「んー…………」
俺は今、アイちゃんが作成したという模擬テストをやっている。
これがまたレベル高くてさ……まあ、かなり苦戦してるってわけだ。
作成者であるアイちゃんは俺の監視をしつつ自主勉を行っている。
ちなみにあの気まずい事件はまだ解決してない。さっきも聞こうとしたけど威圧されてしまった。あれめっちゃ怖いんだけど。
「アインハルトさーん!」
「あ、先輩もいる!」
「皆さん、少し静かにしてもらえませんか?」
教室の扉が開いたかと思ったらヴィヴィオたちが現れた。
大方アイちゃんと帰りたいから迎えに来ましたってやつだろうな。
一応、ここは中等科の教室だしな。今は貸し切り状態だけど。
「どうしてですか?」
「模擬テスト中だからです」
「え? でもアインハルトさんがやってるのって自主勉ですよね?」
「私は試験官で、テストをやっているのはイツキさんです」
「イツキさんいたんだ……」
ええ、いましたよ。お前ら気づくの遅すぎ。
よし、あと半分といったところか。周りのことなど気にせずやっていこう。
「どんな問題やってるんだろ?」
「あ、ダメだよリオ! 先輩の邪魔しちゃ!」
「先輩だから大丈夫だよ!」
全然大丈夫じゃねえよ。
「先輩っ! 調子はどうですか?」
「んー……イクスヴェリア」
「へ?」
なるほど。確かここの問題は歴史だったな。どうりで冥王に関する問題が出ていたのか。
俺はすぐさま解答欄にイクスヴェリアと書く。ふっふっふ、これでこの問題は終わりだ。
「い、イクスヴェリア?」
「うーん…………」
「リオさん。テスト中ですよ」
「えー!?」
「リオ、外で待っていようよ」
「はーい……」
どうやらヴィヴィオたちは教室から出ていったみたいだ。まあ、今の俺には関係ないことだが。
ていうかウェズリーよ、テスト中にカンニングはダメだろう。
あれ、また歴史だよ。覇王と冥王はもう出たから残るは……聖王か。しっかし……
「聖王って誰だっけ――あ」
オリヴィエか。
――そして数十分後――
「よっし! できたぞ!」
「では採点をしますので貸してください」
「あいよ」
俺的には結構手応えあったからな。70点ぐらいはいってるだろ。
特に歴史は一番叩き込まれたからそこそこ自信がある。
「……採点、終わりました」
「お、意外と早い――」
「10点です」
「――は?」
は?
「じゅ、10点……? それ、100点満点だよな……?」
「はい。100点満点中、10点です」
「テメエふざけてんのか!?」
さすがにあり得ねえだろそれは!
「…………ふざけているのはあなたでしょう?」
「はぁ……?」
「あれだけ勉強したというのに、どうやったらこんな点数が採れるんですか?」
「っ……!」
確かにその通りだ。だけどそんなことは俺でもわからない。
勉強してるときには解けた問題も、テストだと解けなくなる。なんでかはわからない。
ただ言えるのは――今のままじゃ赤点は確実だということだ。今回の点数はまさにそれだった。
「……………………あー、はいはい。もういいわ」
「……イツキさん?」
「とりあえず帰るよ。テストも終わったし」
なんかもう、疲れたわ。気まずい事件といい、今回の模擬テストといい……。
俺は憂鬱な気分で教室から立ち去った。帰ってリラックスしよう。
「せ、先輩……?」
「んだよ?」
「アインハルトさんと何かあったんですか?」
「どうしたの急に。もしかして色恋沙汰でも嗅ぎつけた?」
教室から出ると、アイちゃんを待っているであろうヴィヴィオたちがいた。
最初に話しかけてきたのはティミルだ。どうやら察しは悪くないらしい。
でもまあ、話しかけてほしくはなかったな。早く帰りたいし。
「いえ……ただ先輩が――」
「相変わらずちっせえな。揉むことすらできねえじゃんか」
「も、揉む? ――どこを見てるんですか!?」
水平線なペッタンコを見ている。
「ああそうそう、アイちゃんはまだ残るそうだよ」
「え? 本当ですか?」
「うん。そんじゃ俺はこれで」
これ以上話すとバレそうなので無理やり話題を逸らし、その場から退散する。
さぁて、なんとかリラックスできる方法を探さなきゃな。
「あの、アインハルトさん」
「ヴィヴィオさん。どうかしましたか?」
「いえ、その……イツキさんと何かあったんですか?」
「……………………いえ、特に何も」
「だといいんですけど……」
「…………すみません。私は用事を思い出しましたので先に失礼します」
「え? あ、アインハルトさん!?」
《今回のNG》TAKE 37
「……採点、終わりました」
「お、意外と早い――」
「0点です。イクスヴェリアさん」
「――は?」
は? イクスヴェリア?
「な、なんでイクスヴェリア?」
「…………名前の欄にイクスヴェリアと書いてあったからです。イクスヴェリアさん」
「うん。わかったから連呼するのやめてくれないかな」
めっちゃ恥ずかしいから。