「どうして逃げたんですか!」
「非難を受けるこっちの身にもなれよ!?」
放課後。模擬戦はアイなんとかの攻撃をひたすら受け流すだけで俺は攻撃しなかった。
理由はクラスメイトからの非難だ。うるせえんだよアイツら。
早くやられろだのくたばれだの、マジでウザかった。
「で、お前はどうすんだよ?」
「…………」
「ま、いいか」
俺には関係ないし。
「そういうイツキさんは?」
「帰って筋トレする」
「魔法の練習はしないんですか?」
「してなんの意味があるの?」
俺はあえてそう答えた。まあ、実際は魔法の練習もやってるけどさ。
俺は姉さんよりも魔力量が多いらしいし、その分制御も大変なんだよね。
「……そうですか」
「そんじゃ、せいぜい頑張れよ~」
さてさて、俺は俺のやりたいことをやろう。
「…………なんであんたがいんの?」
「イッちゃん久しぶり~」
帰宅途中、乞食さんことジークリンデ・エレミアが道端に倒れていた。
なんで汚れないんだこの人は。普通ならボロボロになってるだろ。
まあ、どうでもいいからとりあえず――
「――俺はもうこれで」
「ああっ! イッちゃん待って! お腹すいて死にそうなんよ!」
お願いします。俺に関わらないでください。
「ワタシ、アナタノコトシリマセン」
「嘘つくの下手やな!?」
あんたにだけは死んでも言われたくない。
「こりゃ姉さんが嫌がるわけだ……」
「サッちゃんがどうかしたん?」
「なんでもねーです」
おかしい。俺は確かに小声で呟いたはずだぞ。なのにどうして姉さんって言葉に反応したの?
とにかく、これ以上関わってはいけない気しかしない。
「そんじゃ、俺はホントにこれで」
「お願いやから
ダメだこりゃ。
――数分後――
「ほらよ」
「ありがとう~」
結局、俺はジークさんにご飯を奢るはめになった。とはいってもお金がないため、昼の残りを差し出すことで難を逃れた。
ていうか美味いのか? 鯖の味噌煮。いや、飽きない限りは美味いけども。
「なにしてたの? あんた」
「いろいろあってな~」
お腹がすいたので倒れてました、でいいだろ。普通に。
ずっと気になっているのだが、コイツのジャージの下はどうなっているんだろう? やっぱり素っ裸かな? だとしたら見せてほしいものだ。
「このあとどうすんの?」
「イッちゃん――
逃げろ姉さん。ここに変態がいる。
「イッちゃんは?」
「帰るに決まってんだろ」
マジでそのつもりだったし。あんたが倒れていたからこういうことになってんだろうが。
あーあ、もうすぐ音楽メドレー始まっちゃうよ。録画もしてないのに……。
「そうやイッちゃ――」
「イッちゃんイッちゃん気安く呼ぶなこの乞食」
「誰が乞食や!?」
お前だよお前。
「まあええわ。ヴィクターの屋敷への道を教えてほしいんやけど」
「迷子だったのか」
なんか迷子になっていたらしいので、仕方なく道を教えて別れた。
二度と会いたくない。会いに行くなら姉さんの方にしてくれ。
「ただいま~」
「お帰り」
家に帰ると、珍しくスミ姉がいた。ホントに珍しいなおい。
この時間帯にいるってことは……仕事は休みか。だからエプロンなんか着てんのか。
「スミ姉……全然似合わねえよ」
「殺すぞ」
サーセン。
「飯できてるから早く食べろ」
「へーい」
「ところでイツキちゃん」
「なんだよ?」
「もうヤった?」
「ぶふっ!?」
「テメエ人様の飯吐いてんじゃねえよ!」
「あんたがアホみたいなこと聞いてくるからだろうが!」
何がもうヤっただコノヤロー! 年齢的に早すぎるんだよ!
経験あるからって調子こいてんじゃねえぞ。ちくしょうが。
「なんでイツキちゃんだけ不良にならなかったんだろうね~?」
「俺がそれを望まなかったからだ」
根っから不良のあんたらとは違うんだよ。俺はできるだけまっとうな人間であるつもりだ。
あんたらにはあんたらの
……待て。これは生き様といってもいいのだろうか? 世間的にはアウトな気がする。
「あんたまだ不良やってんの?」
「全盛期ほどじゃないけどね」
「…………あっそ。俺は筋トレしてから寝るわ」
「その前に飯食えや」
どうやらこの人は大人になっても変わることはないみたいだ。
《今回のNG》TAKE 23
「イッちゃんは?」
「帰るに決まってんだろ」
「サッちゃん家に?」
「それはねえよ。だって俺、姉さん家がどこにあんのか知らねえし」
「…………チッ」
「おいコラなに舌打ちしてんだテメエ」