黄金の爪牙〜白夜を染める鮮血の騎士〜   作:パラサイトニート

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暇があったので投稿します。

活動報告で軽いアンケートをしています


acht

「お疲れさまでした」

 

ドウェルグがピットに戻ると、ヴァレリアが出迎えた。ドウェルグはセシリアから奪った『ブルー・ティアーズ』をヴァレリアに渡した。

 

「確かに……シュピーネに渡しておきます。すぐに解析が終わるでしょう」

 

「この後、もう一試合ありますが……御覧になられますか?」

 

「そうですね。それを見てから教会の方に行くことにします」

 

ドウェルグとヴァレリアが話していると、千冬がピットに入ってきた。そして、ドウェルグを見るなり

 

「貴様、国際問題を起こすつもりか!」

 

怒鳴った。ドウェルグの行動は確かに常識で考えれば大事だが

 

「互いに了承してんだから問題ねぇだろ。それに三日くらいで返してやるよ」

 

「……いいだろう。あと、放課後に理事長室に来いと、理事長が仰っていた」

 

「へいへい」

 

千冬は理事長がドウェルグに対する処分を下すと思い、一旦引き下がった。

 

「アリーナの準備が終わったようだな」

 

ドウェルグはさっさとアリーナに出た。アリーナでは秋斗が先に待っていた。秋斗の専用機『白式』はまだ一次移行(ファーストシフト)が終わっておらず、全体的にゴツゴツしていた。

 

「まだ終わってなかったのか……どうする?終わるまで待つか?」

 

「いや、いいよ。全力で行かせてもらうよ」

 

ドウェルグの提案を拒否した秋斗は集中力を高めた。先の試合でドウェルグが見せた動きに対処するためだ。

 

『3』

 

秋斗は集中しつつ、初期装備のブレードを展開し、中段の構えをとった。

 

『2』

 

ドウェルグは黒円卓の剣(ヴェヴェルスブルグ・シュベルト)を展開、上段に構えた。

 

『1』

 

ドウェルグは足に力を籠めて何時でも飛び出せるように、秋斗は迎撃出来るように重心を据えた。

 

『試合開始』

 

ブザーと同時に、ドウェルグは秋斗に向かって飛び込み、剣を振り降ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり受けきれないか……けど!」

 

秋斗はドウェルグの振り降ろしに対して、ブレードで滑らせるように受け流した。受け流されて前のめりになったドウェルグを、返す刃で斬るためにブレードで斬ろうとしたが

 

「おっと」

 

ドウェルグは初速が乗る前に刃を掴んで防いだ。秋斗は想定外の防がれ方に一瞬動揺したが、すぐに片手を離して、ドウェルグの顔に拳を叩きつけようとした。

 

「そいつは悪手だぜ」

 

ドウェルグは掴んでいるブレードを引っ張った。秋斗は態勢が崩れて、拳はドウェルグの顔の横に逸れてしまった。そこにドウェルグは『黒円卓の剣(ヴェヴェルスブルグ・シュベルト)』を地面に地面に突き刺し、それを支点に秋斗の首へ回し蹴りを放った。秋斗はブレードを握っていた手を離して、ギリギリ防御に成功したが、後方に飛ばされ、さらにブレードを失ってしまった。

 

「やっぱり体術じゃ敵わないか」

 

秋斗は冷静に現状を分析していた。自身とドウェルグの圧倒的な差を自覚しながらも、勝つために策を考えていた。

 

(プランは2つ……機動力で撹乱して隙を探す。もう一つは正面から攻めてカウンター。だめだ……ドウェルグさんの方が俺よりも速いし、技量も上だ。それに、ブレードが無いことにはどうしようもない)

 

秋斗が策を考えていると、ドウェルグは秋斗のブレードを、秋斗に向かって投げた。秋斗は驚きながらもそれをキャッチした。

 

「うだうだ考えてないで……かかってこいよ」

 

秋斗はその言葉を聞いて、あえて考えていた策を全て捨てて、真っ正面からドウェルグに突っ込んだ。

 

「はあぁぁ!」

 

そして、ドウェルグにブレードによる連撃を放った。だが、ドウェルグはそれを悉く防いだ。

 

「これじゃあ、剣道場と同じだぞ?」

 

ドウェルグは連撃を強く弾き、秋斗の動体視力を越える速度で懐に飛び込み、切り上げで秋斗を上空に飛ばした。その後、態勢が整う前に追い付き、剣を叩き付けた。秋斗は凄まじい勢いで地面に激突した。激突した衝撃で砂煙が舞い、秋斗の姿が見えなくなったが、すぐに出てきた。

 

「やっと終わったか……」

 

秋斗の専用機『白式』の姿が大きく変わっていた。ゴツゴツしていた装甲は、体に吸い付くようにフィットし、カスタム・ウイングは小型化して動きを阻害しない作りになっていた。そして、唯一の武器であったブレードは日本刀のような作りになって、刀身が赤く燃え上がってなっていた。

 

「女神の声を聞いたのか……面白そうじゃねぇか」

 

ドウェルグは笑いながら秋斗に向かって突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こんなに差があるなんて)

 

地面に叩きつけられた秋斗は、ドウェルグとの差を感じ、諦めかけていた。だがその時

 

『諦めないで。私が傍にいるから』

 

目の前に金髪の少女が秋斗を励ました。その少女こそ、ドウェルグの崇めるラインハルト・ハイドリヒとカール・クラフト、少女の恋人である藤井 蓮が守護する女神『マルグリット・ブルイユ』である。彼女に励まされた秋斗は

 

(そうだ……こんなことで諦められるか!もう一夏の時のような後悔はしたくないんだ!)

 

秋斗は周囲の人間から『天才』と呼ばれていたが、実際には周囲の人間よりも人一倍努力をしていた。そして、そんな彼だからこそ、自身に追い付こうと努力していた一夏を誰よりも認めていた。自身も、一夏に負けていた分野に対して、負けないように努力して追い付こうとした。一夏の目標であろうと努力し、一夏がいつか周囲の人間を見返すところを見ることを楽しみにしていた。一夏が友人を遠ざけた時も、裏で一夏のフォローにまわったりした。だが

 

(千冬姉さんはそんな一夏を俺の引き立て役にしただけじゃなく、誘拐された時も助けに行こうとしなかったばかりか、元々居なかったように扱った)

 

一夏が第二回モンド・グロッソで誘拐されて行方不明になった際、千冬は誘拐の知らせを無視し、優勝会見でも弟は秋斗だけだと発言した。それ以来、千冬と秋斗はあまり顔を合わせなくなり、秋斗は千冬を避けていた。

 

『君は何を望むの?』

 

少女が秋斗に質問した。秋斗はすぐに答えた。

 

「この情熱を剣にしたい」

 

秋斗は今はいない一夏に恥じないように、そしていつか再会したときに、一夏に誇れる剣を見せよう。自身が歩んだ道を剣で示そう。そう決めていた。

 

『なら、私が傍にいるから。見守ってあげるから。頑張って』

 

少女は秋斗に微笑みかけて、消えていった。

 

一次移行(ファーストシフト)を開始します』

 

白式が一次移行(ファーストシフト)によって姿を変える際、秋斗は自身が千冬の剣である『雪片』を握っている姿が見えたが、すぐにそれを頭から振り払った。

 

そして、白式は秋斗の望む形になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これなら!」

 

秋斗は突撃してきたドウェルグが振るう剣が、先程よりも遅く見えた。攻撃を防ぎ、カウンターを放った時も、動きが速くなっているように感じていた。

 

「これは……」

 

「成る程な。反応速度の向上か」

 

ドウェルグは秋斗の動きを見て、即座に気がついた。人間の反応速度は通常0.2秒程度、どんなに鍛えても0.1秒を切ることはない。だが、秋斗の反応速度は0.1秒を切っていた。それが白式に追加された機能『神速反射(マージナルカウンター)』。そして、手に持っている剣は炎は発生させる剣『(ほむら)』。

 

「うおおぉぉ!」

 

(ほむら)による、先程とは比べ物にならない連撃によって、ドウェルグの手から黒円卓の剣(ヴェヴェルスブルグ・シュベルト)が弾き飛ばされた。秋斗は油断せずにドウェルグを見ていると、ドウェルグは秋斗を誉めた。

 

「やるじゃねぇか。記念だ、見せてやるよ」

 

ドウェルグは息を吐くと

 

形成(Yetzirah)不治の魔剣(ダーンイスレイブ)

 

そう呟いた。すると、ドウェルグの手に刀身が赤黒い大剣が現れた。その剣は黒円卓の剣(ヴェヴェルスブルグ・シュベルト)よりも遥かに危険なものだということが、見ている全員が分かった。

 

「エネルギーがきついだろ?あと一撃で勝負を決めようや」

 

ドウェルグの提案に秋斗は頷いた。(ほむら)で炎を発生させるには、シールドエネルギーが少し必要で、一次移行(ファーストシフト)の前に受けたダメージが残っていたので、白式のシールドエネルギーは殆ど残っていなかった。

 

「そんじゃぁ……いくぜ!」

 

「いかせてもらう!」

 

ドウェルグと秋斗は同時に飛び出し、一瞬交差し

 

『白式、シールドエネルギーエンプティ。勝者、ヘグニ=ドウェルグ』

 

勝ったのはドウェルグだった。秋斗はドウェルグの攻撃を見切ってカウンターを決めようとしたが、神速反射(マージナルカウンター)でも見切ることが出来ない速度でドウェルグが剣を振ったので、先に秋斗に剣が当たった。

 

(結局勝てなかったか)

 

秋斗は勝てなかったことを悔やみながらも、ドウェルグに勝つために情熱を燃やそうと決めて、気を失った。

 

「流石に放置って訳にもいかねぇか」

 

ドウェルグは秋斗を担ぐと、ピットに戻っていった。

 

 

 

 




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