黄金の爪牙〜白夜を染める鮮血の騎士〜   作:パラサイトニート

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更新が半年近く出来ず申し訳御座いませんでした。

就職活動がやっと一段落したのでこれから更新していこうと思います。

これからも何卒よろしくお願いいたします。


zehn

「それで、理事長。何故彼等に対してあんなに低姿勢だったんですか?」

 

ドウェルグとマレウスが出てから暫くしたあと、楯無は十蔵に、先程の交渉について聞いた。十蔵の必死さは普通では考えられない。何か裏があるのではないかと楯無は疑っていた。

 

「そうですね……楯無さんは聖槍十三騎士団について、知らないんでしたね」

 

十蔵は真剣な表情で楯無を見た。そして、他言無用と念押ししてから話始めた。

 

「彼等は第二次世界大戦中、ナチスドイツで結成された13人の魔人の集団です。彼等の戦力は主要先進国を敵にまわしてもお釣りが来る程だと言われていて、国連の裏ルートで莫大な懸賞金がかけられています」

 

「そんな集団があったなんて……しかし、それはあくまで当時の事であって、今はISがありますよ?」

 

楯無はISが有れば勝てる相手だと考えていた。ISこそ世界最強だと信じていた。しかし、十蔵はそれを否定した。

 

「楯無さん、私は実際に彼等の内の一人が紛争地で蹂躙しているところを見ています」

 

十蔵は当時の事を思い出していた。大戦が終わり、まだ世界情勢が不安定だった頃、十蔵はとある紛争地のゲリラ鎮圧に駆り出された。そこで、彼は白髪で赤い目をした男、ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイがゲリラと鎮圧軍の両方を壊滅させているところを見てしまった。十蔵は何も出来ずにその様子をただ見る事しか出来なかった。

 

「楯無さん、貴女は生身で戦車を正面から破壊出来ますか?包囲網からの一斉射撃を回避出来ますか?……彼等はそんな集団なんですよ。……貴女に言っておきます、彼等に手を出さないでください。私は一切の責任を負いません」

 

楯無は十蔵の話を聞いて、ドウェルグとマレウスに興味が湧いた。十蔵がそこまで言うのなら、自分にとって有益になる方向に誘導出来れば良いと考えていた。

 

「すいませんが、私はこれから彼等との交渉結果をまとめるので、出てもらえますか?」

 

十蔵から退室するように言われた楯無は理事長室を出た。すると、千冬がドアの前に立っており、先の交渉について聞いた。

 

「更識、一体何を話していた?先に出てきたヘグニとシュヴェーゲリンは問いただそうにも私を無視してさっさと帰ってしまった」

 

楯無は千冬に対して、内容は明かせないと言って生徒会室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラス代表は織斑 秋斗君になりました。織斑君、頑張って下さいね」

 

クラス代表決定戦の翌日、真耶からクラス代表が発表された。代表に選ばれた秋斗は驚き、ドウェルグを見た。ドウェルグは席を立って説明した。

 

「俺は辞退した。ハイドリヒ卿を侮辱したそこの英国人(ライミー)を血祭りに出来たらそれで良かったからな」

 

ドウェルグは包帯を巻いているセシリアを見ながら理由を説明した。セシリアはドウェルグに怯えながら視線を逸らした。秋斗はドウェルグの言葉に納得出来なかったが、開き直り、代表を受けることにした。

 

「分かりました。ドウェルグさん、特訓に付き合ってもらっていいですか?」

 

秋斗はドウェルグに特訓を依頼した。ドウェルグはそれを承諾し、マレウスも付き合うことにしたが、箒がそれに反対した。

 

「秋斗の特訓は私がやる!貴様らは引っ込んでいろ!」

 

箒の言葉に秋斗は溜め息をつくと、箒に諭すように言った。

 

「篠ノ之さん、俺はドウェルグさんとシュヴェーゲリンさんの頼んでるんだ。関係のない君は黙っていてくれないか?」

 

「お前の剣はあんな邪道なものではなかったはずだ!私が正しい道に戻してやると言っているんだ!」

 

「正しい道ねぇ……」

 

秋斗は箒の剣が正しい道のものとは到底思えなかった。箒の剣はただ相手を痛め付け、屈服させるだけのものにしか見えなかった。

 

「こう言ってはなんだけど……篠ノ之さんと特訓して俺にメリットがあるの?特訓するなら断然ドウェルグさんとした方がいいと思うんだけど」

 

秋斗の言葉に、箒は黙ってしまった。秋斗はこれ以上話すことはないと言って席に座った。

 

「それでは、一組の代表は織斑 秋斗君で決定です。織斑先生もそれで宜しいですか?……織斑先生?」

 

真耶は千冬に確認を取ろうとしたが、千冬は全く違う事を考えていた。

 

(秋斗の振るうべき剣はあんな訳のわからんものではない、私と同じ雪片のはずだ!……まぁいい、束に雪片弐型を強制的に付けさせたらいいんだからな)

 

千冬は真耶の言葉を無視してくだらない事を考えていた。

 

「はぁ……それでは授業を始めますよ」

 

真耶は反応がない千冬を置いておいて、授業を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘグニさん。少しお話がありますの」

 

休み時間、セシリアはドウェルグに話しかけた。ドウェルグは一瞬無視しようとしたが、セシリアが真剣な表情をしていたので廊下に出て話を聞いた。

 

「何の用だ?」

 

「あの……申し訳ありませんでした!」

 

セシリアは深々と頭を下げた。ドウェルグはそれを冷めた目で見ていた。

 

「貴方の尊敬している方を侮辱してしまい、申し訳ありませんでした」

 

セシリアの謝罪を受けたドウェルグは少し考えて、紙を取り出して何か書き始めた。

 

「これを全部守れるならてめぇの専用機を返してやる」

 

紙を見たセシリアは思わずドウェルグの顔を見てしまった。

 

『セシリア・オルコットは今後二度と他国を侮辱しないこと』

 

『セシリア・オルコットはヘグニ・ドウェルグに毎月利益の15%を払うこと』

 

『セシリア・オルコットはヘグニ・ドウェルグの要請を可能な限り実行すること』

 

『セシリア・オルコットは専用機の基礎データをヘグニ・ドウェルグに提供すること』

 

「これは……」

 

セシリアはドウェルグの要求に息を飲んだ。仮に、この要求を飲んでしまいイギリス政府にばれてしまった場合、最悪国外追放されかねないからである。だが……

 

「……了解しました」

 

セシリアはこの要求を承諾するしかなかった。ここで拒否した場合、セシリアは二度と祖国に戻ることが出来なくなるだけではなく、下手をすれば処刑される。ならばばれなければいい方を選ぶしかなかった。

 

「だったらさっさと書け」

 

セシリアは自身の名前を書いた。ドウェルグはラインハルトやザミエルを侮辱したセシリアを即刻殺す気だったが、どうせなら使い潰してしまおうと考え、このような無茶な要求を出した。ドウェルグはそれをポケットに仕舞うと

 

「次はねぇからな」

 

殺気を放ちながら教室に戻った。セシリアは泣きながらも教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日からISの基礎的な飛行それでは専用機持ちに実践してもらう」

 

秋斗がクラス代表になった翌日、ISの実技授業が始まった。

 

「専用機持ちは展開しろ」

 

秋斗とドウェルグは前に出て直ぐに専用機を展開した。セシリアはドウェルグに自身の専用機である『ブルー・ティアーズ』を奪われているため、素直に見学していた。

 

「よし、飛べ」

 

ドウェルグと秋斗はその場から上空へ飛び出した。秋斗は多少ぎこちないながらも挙動を安定させて飛行していた。それに対してドウェルグは見えない足場を蹴るように跳躍していた。

 

「ドウェルグさん、速いですね」

 

秋斗は自身の前にいるドウェルグに声をかけた。秋斗の白式は一次移行の際にスラスターの構造が大きく変化しており、瞬間出力には優れているが、継続して加速することには向いていない構造になっていた。それを差し引いてもドウェルグの速度はとても速かった。

 

「ん?まぁその機体じゃ仕方ないだろ」

 

ドウェルグは秋斗の横に来て答えた。すると

 

『秋斗!早く降りてこい!』

 

突然箒からの通信がきた。下の様子を見ると、箒が真耶の通信機を奪って怒鳴っていた。秋斗はその様子を見て思わず溜め息が出てしまった。

 

「何やってるんだろ……」

 

「アホだろあいつ」

 

二人が呆れていると、千冬から指示が出た。

 

『急加速から急停止をやってみろ。目標は地表10センチだ』

 

千冬からの指示を聞いて、秋斗は地表に向けて加速した。そして、逆方向にスラスターを瞬間的に噴出して減速した。だがタイミングが早く、地表から30センチのところで停止してしまった。

 

「馬鹿者!目標に届いていないぞ!」

 

「……すいません」

 

「……まあいい、次、ヘグニ」

 

「……」

 

ドウェルグはPICで作っていた足場を消して自由落下を始めた。そして、地表から10センチのところで足場を作り着地した。

 

「……次は武器を展開してみろ」

 

千冬の指示で、秋斗は自身の唯一の武器である『焔』を1秒で展開した。千冬は、秋斗が素早く展開したことに驚きながらもどこか誇らしそうにしていた。秋斗はそんな千冬を見て怪訝な表情をしたが、すぐにドウェルグを方を見た。

 

「面倒くせぇ……」

 

ドウェルグは欠伸をしながらも秋斗を上回る早さで『黒円卓の剣』を展開した。千冬は露骨に嫌な表情を一瞬したが、ドウェルグと秋斗、マレウス以外には気付かれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑君、クラス代表おめでとう!」

 

放課後、食堂の半分を使って秋斗のクラス代表決定のパーティーが開かれた。秋斗は部屋に戻って休もうとしたところをクラスの女子に連れてこられた。

 

「織斑君がクラス代表になってくれて本当に良かった~」

 

騒いでいる生徒は秋斗について口々に語っていたが、誰もドウェルグについて触れなかった。一般の生徒にとって、ドウェルグは代表候補生を殺しかけた殺人者をいう認識になっていた。

 

『は~いちょっとごめんねぇ。織斑 秋斗君にインタビューしたいんだけど、良いかな?』

 

秋斗は新聞部の部長を名乗る人物から名刺を渡され、インタビューを受けることになった。

 

「じゃあまずは……クラス代表になった感想は?」

 

「そうですね……指導してくれるドウェルグさんとシュヴェーゲリンさんに恥じないように頑張りたいです」

 

「あ~もう一人の男性適合者ね。なんで彼に頼んだの?篠ノ之博士の妹さんもいるのに」

 

「篠ノ之さんは指導方法が独特で指導役には向いてないと思ったからです」

 

「成る程ねぇ~そういえばもう一人の男性適合者のヘグニ君は?パーティーには来てないの?」

 

ドウェルグとマレウスはパーティーの会場である食堂にはいなかった。

 

「確か週末に一度帰ると言っていたのでその準備では?」

 

「へぇそうなんだぁ~じゃあ次の質問だけど……」

 

その後、質問攻めにあった秋斗は疲れながらも消灯1時間前まで開かれたパーティーを楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……教会の鍵閉め忘れてた」

 

「何やってんのよドウェルグ」

 

秋斗がパーティーに参加した同時刻、ドウェルグとマレウスは教会に戻っていた。その道中、ドウェルグは鍵を閉めていなかったことを思いだし、マレウスに呆れられていた。

 

「あれ?誰かいるわね」

 

「確かに気配がするな」

 

ドウェルグとマレウスは教会に近づくと、教会の中から何者かの気配を感じた。

 

「なんか変わった気配ねぇ~」

 

「まぁ直接見ればいいか」

 

ドウェルグが扉を開けると

 

「ふふ……それでね……」

 

水色の髪で赤い目の眼鏡をかけた少女が十字架の前で見えない誰かと話していた。その雰囲気はとても楽しそうだったが、常人が見ればただの気狂いにしか思えないような光景だった。

 

「へぇ……」

 

マレウスはその少女を見て面白いものを見つけたような表情をうかべた。ドウェルグは何か分からず、声をかけた。

 

「誰だてめぇ」

 

 

 

 

 

 




秋斗の白式はACでいうとブースト性能が低いけどクイックブーストの性能が高いと思っていただければいいと思います。

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