黄金の爪牙〜白夜を染める鮮血の騎士〜   作:パラサイトニート

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明けましておめでとうございます。

更新が遅くなって申し訳ない。これから忙しくなっていきますが、出来るだけ更新していきたいと思います。




sechs

入学式の翌日、危うく遅刻しかけた二人は急いで朝食を食べて教室に駆け込んだ。急いだおかげでなんとか予鈴の前に教室に入ることが出来た。

 

「ギリギリ間に合ったか」

 

「危なかったわ」

 

「ドウェルグさんとシュヴェーゲリンさん、二日目から遅効寸前だけど……大丈夫?」

 

二人が心配だった秋斗が声をかけた。ドウェルグは目を反らし、マレウスは普通に言葉を返した。

 

「大丈夫だ」

 

「昨日は激しかったわねぇ、ドウェルグ?」

 

マレウスの発言で聞く耳をたてていた生徒の顔が真っ赤になった。此処にいるのは思春期真っ盛りの年齢の女性が殆どなので、なにやらR-18なことを想像していた。

 

「思い出させるな、襲ってきたのはそっちだろ」

 

「なによ~まんざらでもない顔してた癖に」

 

「……くそ」

 

ドウェルグはマレウスの言葉に反論出来なかった。それは紛れもなく真実だったからである。

 

「……節度は守った方がいいよ?」

 

「……そうだな」

 

ドウェルグは秋斗と目を合わせようとしなかった。教室にいた生徒はドウェルグとマレウスについて何やら小さいな声で話していた。

 

「もしかしてヘグニ君ってロリコンなのかな?」

 

「シュヴェーゲリンさんにどんなことしたんだろ?」

 

「やっぱり男なんて野蛮な生き物よ」

 

小声だったがドウェルグにははっきり聞こえていたが無視することにした。

 

「おっと……ブリュンヒルデさまのご登場だ」

 

「そうだね」

 

教室に千冬が入ってきたので、秋斗は自身の席に戻った。

 

「それでは授業を始める」

 

千冬の号令で授業が始まった。ドウェルグはあくびを我慢しながら授業を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑、政府からお前に専用機が用意される。」

 

千冬は秋斗に専用機が渡されることを告げた。秋斗は怪訝な表情で千冬に聞き返した。

 

「随分急な話しですね」

 

「私が倉持研究所に掛け合って用意させた」

 

「……はぁ」

 

秋斗は内心呆れ返っていた。秋斗とドウェルグの適正が発覚したのはほんの1~2ヶ月前、そんな短い期間で作られた機体に対して不信感が出るのも無理はない。

 

「あれ?それじゃあドウェルグさんは……」

 

秋斗に用意されるのだからドウェルグにも専用機が用意されるものだと秋斗は思っていたが

 

「こいつにはない」

 

千冬はドウェルグの専用機はないと告げた。秋斗はフェアじゃないと千冬に抗議しようとしたがドウェルグに止められた。

 

「俺は専用機を持ってるぞ。今は手元にはないがな」

 

ドウェルグのカミングアウトに話を聞いていた全員が驚いた。千冬はドウェルグを睨み付けた。

 

「私はそんな話聞いていないが?」

 

「ハブられたんじゃねぇのか?学園長には言ってあるぞ」

 

ドウェルグの専用機は個人の所有になっており、さらにコアに至ってはシュピーネがコピーしたコアが使用されている。学園は当初、個人の所有を認めなかった。しかし、ドウェルグがデータの一部を開示すると言うと仕方なく妥協した。

 

「……まあいい、授業を始めるぞ。席に座れ」

 

千冬がそう言うと、クラスの全員が席に座った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦するものと思っていましたわ」

 

休み時間になると、セシリアは秋斗に話しかけた。秋斗は無視しようとしたが、下手に無視すると後で面倒になるので反応することにした。

 

「何が安心したんだ?」

 

「わたくしはイギリス代表候補生にして専用機を政府から渡されているエリートなのですわ」

 

「そうなんだ」

 

「……馬鹿にしていますの?」

 

「別に?普通に凄いと思ったけど?」

 

秋斗の単調な返事にセシリアはイライラを募らせていた。

 

「それで、何が安心したんだ?」

 

「訓練機ではわたくしの相手になりませんから。そちらの男は何処で専用機を手に入れましたの?」

 

セシリアはドウェルグの方を向いたが、ドウェルグはマレウスに何やら難しいことを聞いていて、全くセシリアの言葉を聞いていなかった。

 

「聞いていますの!」

 

セシリアはドウェルグに怒鳴ったが徹底してドウェルグは無視した。

 

「……まあいいですわ。織斑さん、代表決定戦で貴方を叩きのめしてさしあげますわ」

 

そう言ってセシリアは自身の席に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもし、シュピーネさん」

 

『おやおや、ドウェルグではないですか。いかがしましたか?』

 

放課後、ドウェルグはシュピーネに電話をかけた。急遽専用機が必要になったことを伝えるためだ。

 

「実は…………」

 

ドウェルグが事情を話すとシュピーネは

 

『構いませんよ。一週間もあれば調整も済みます。当日に渡すことになりますが……構いませんか?』

 

「了解しました」

 

『しかし、そのお嬢さんも運が悪い。貴方の前でハイドリヒ卿に対する暴言を口にするとは』

 

シュピーネの言葉にドウェルグはセシリアの言葉を思い出し、持っている電話に力を入れた。

 

『落ち着いて下さい』

 

「……すいません、気が立っていました。あの愚か者には誰に喧嘩を売ったのか思い知らせてやりますよ」

 

『そうですか……ところで貴方の元兄がその学園にいるようですが……どうです?』

 

シュピーネに秋斗の事を聞かれたドウェルグは少し笑いながら

 

「別に……ただ、面白くなると思いますよ」

 

そう返した。シュピーネはその言葉に納得した。

 

「副首領閣下に代表決定戦が終わり次第、一度報告に伺うと伝えてもらえませんか?」

 

『……分かりました。それでは』

 

シュピーネが電話を切った事を確認したドウェルグは教会に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時間がたち、クラス代表決定戦当日になった。ドウェルグと秋斗はセシリアとは反対のピットに待機していた。マレウスは観客席で観戦すると言って此処には居なかった。

 

「ドウェルグさんはこの一週間どうしてました?」

 

秋斗は緊張を紛らわそうとドウェルグに声をかけた。

 

「別に大したことはしてねぇよ。朝と放課後に鍛練して夜にアンナと教科書読んでた位だ。そっちは?」

 

秋斗は疲れたような表情をうかべた。

 

「こっちは毎日篠ノ之さんがしつこく剣道をしろって付きまとってきて、ろくに練習出来なかったよ」

 

「そいつは……まぁなんだ……ご愁傷さま」

 

「ありがとう。……こっちは只でさえ不利だっていうのに。専用機も届いてないなんて」

 

秋斗の専用機は代表決定戦の当日である今日も届いていなかった。千冬から機体の詳細も教えてもらっていなかった為、戦略を練ることも出来なかった。

 

「それにしても来るのが遅いなぁ」

 

秋斗が呟いた瞬間、扉が開いて千冬と麻耶が入ってきた。

 

「織斑くんにヘグニくん、機体が届きましたよ!!」

 

麻耶がそう言うと、コンテナが一つ運び込まれた。そして

 

「お久しぶりですね、ドウェルグ」

 

法衣を着た金髪でメガネをかけ、柔和な笑顔の男性、ヴァレリア・トリファ=クリストフ・ローエングリーンがピットに入ってきた。

 

「聖餐杯貎下!」

 

ヴァレリアを見たドウェルグは直ぐに膝まずいて頭を垂れた。秋斗や麻耶はその様子に驚き、言葉を失った。

 

「頭を上げてください」

 

ヴァレリアの言葉に、ドウェルグは立ち上がった。

 

「シュピーネからこれを渡して欲しいと言われなしてね。下見を兼ねて来たのですよ」

 

「下見ですか?」

 

ドウェルグはヴァレリアの言葉に疑問を感じた。ヴァレリアがIS学園に用事でもあるのかと考えていると

 

「今度の礼拝に呼ばれまして、それに私は貴方の一応の保護者ですから……それでは、これを」

 

ヴァレリアが差し出したものは黒円卓の刻まれた腕章だった。これがドウェルグの専用機の待機状態だった。

 

「シュピーネから幾つかの伝言を預かっています。まず、大幅な改修をしたので機体が初期化されていること、一次移行(ファーストシフト)するまで活動位階を使用すること。形成や創造を使うと機体が空中分解するそうです」

 

ヴァレリアの言葉に頷いたドウェルグは機体を展開した。

 

「ヘグニくんの専用機って変わってますね」

 

麻耶の言葉の通り、ドウェルグの専用機である『血塗られの騎士(ブルート・リッター)』は既存のISよりも小型で、腕と脚しか展開されていなく、一目見ただけではISと判らない代物だった。

 

「ヘグニ、織斑の機体はまだ初期化(フィッティング)一次移行(ファーストシフト)が出来てないからお前からいけ」

 

千冬の命令にイラつきながらもドウェルグはカタパルトに移動した。

 

「ドウェルグさん、頑張ってくれ」

 

「貴方に神の祝福があらんことを」

 

秋斗とヴァレリアの言葉を受けたドウェルグは振り返り

 

「あの女をボコボコにしてくる」

 

いい笑顔でそう言ってカタパルトから飛び出した。

 

 




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