対魔忍もとい喰神忍   作:○坊主

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 GOD EATER新作発売もあと一月になりましたね
 
 


かつての彼は少女と出会う

 

 

「ふむ…君達の到着前にアラガミが…わかった。こちらでも調べてみることにしよう。報告ご苦労だったね」

 

 

 アラガミが殲滅されるという衝撃的な出来事が起きたあの後、無事に帰ってきたリンドウ君達の報告を聞くと実に興味深いものがある。

 アラガミを狩る力があるというのに捕食していないこの事実から見るにアラガミを喰らわない偏食家なのか、それとも神機使い殺しの異名を持つ“スサノオ”のような禁忌指定のアラガミが新たに生まれたのか。どちらの可能性もあるがどちらの可能性でもない可能性もある。

 リンドウ君が言うに銃で撃たれたような跡があったと言っていたが、この極東支部で“コンゴウ”のような中型アラガミを発見したにも関わらず、こちらに連絡すら行き届いていないのはおかしい。スサノオのように神機を喰らったアラガミが偏食家ゆえにただ狩っただけであるとみるのが打倒であるはずなのだが、自分の勘と呼ぶべきものが何かの違和感を感じ取っている。

 

 かつてオラクル細胞を調べていた第一人者と共に研究を続けていた彼にとって、今回のような事象は関心を抱きやすい。何故捕食しなかったのか。何故リンドウ君達がその存在を確認できなかったのか。そんな疑問を追及し、答えを導き出すのが研究者の役目だというように榊は笑みを深める。

 

 

「ふむ、アラガミが生まれてからというものの本当に興味が尽きないよ。不謹慎だけど、僕からすれば最高の世界になるね」

 

 

 この呟きは誰かに聞かれていないと思いたいね。さて、私なりに調べてみよう。

 面白いことになりそうだ。

 

 

 

 

 

   ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 とある場所。少女が壁にもたれかかっていた。

 辺りを周回していた飛行型アラガミ“ザイゴート”が少女の周りで無残な死を遂げている。

 

 アラガミは例にもれずに胴体に穴が開いており、それが原因で核を失ったのか動かなくなっていた。

 その光景を生み出したと思われる少女も壁に背を預けたまま動こうとはしない。それはザイゴートとの戦闘で怪我を負ったわけでもなく、況しては毒などを喰らったわけでもない。しかし彼女は動けなかった。それは生き物としての本能的な、生理的な部分からくるものだからだ。

 

ぐぅぅぅうう

 

 彼女のお腹から大きな音が聞こえる。

 その聞きなれたお腹の音に苦笑する少女はこれからどうしようかと空を見る。空はとても青かった。

 

 

 

 

 

 ドーモ、ミナ=サン。文字通り空腹で死にそうなユキカゼです。

 

 (仮)ではないのかって?正直空腹が限界になってきててそんなこと今はどうだっていい。

 リンドウさんとの一方的なご対面を果たした後、食料を探して歩き、そしてアラガミと戦い続けて早1週間ほどか。流石に限界です。いくらエロゲの高性能キャラであったとしても飲まず食わずでは生きていけません。正しく言うと食わずだけだがそれでも流石に無理。空腹で腹が痛いとかを通り越して何か悟りそうになってる。目の前の廃材とかが食料に見えるもの。

 

 今いる場所はゲーム内で言う《鎮魂の廃寺》という場所だと思う…生態系がおかしくなってるせいで雪が降ってるけど多分間違いないだろう。ってこれあれだな東京から神奈川の一番下の辺りまで徒歩で来たことになるのか…アラガミが闊歩する中、よく生きてこれたな自分。この身体に感謝しよう。

 

 そんな変なことを考えているとほら、目の前現れた白い子が野草みたいなのを手に持ってこちらに近づいてきている。まったくだめだよ?そんなボロボロの布きれでこのへんをうろついていたらよからぬお兄さんたちに連れていかれるよ?あぁ…だめだ…空腹で…意識が…………

 

 

 

 

 

   ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「おっユウイチじゃん。互いに無事でなによりだな」

 

「コウタか。そうだな、ゴッドイーターになってまだ1週間だってのにもう数か月過ごしたかと思うぐらいの濃密さだよ。正直ここまでハードだとは思わなかった…」

 

「あー…だよなぁ。俺も雨宮教官にずっと扱かれているけどそれ以上に任務の頻度が厳しいかな。オレがゴッドイーターになるのを母さんが反対していた訳がわかった気がする」

 

 

 そんな理由で反対していたわけじゃないと思うけどな。

 実際にはそんなことは言わずに苦笑してコウタに「だよなー」と返す。

 

 彼は藤木(ふじき) コウタ。

 自分と同じ時期にフェンリルに配属された入った同期の神機使いであり、支部内でも有数のムードメイカー。気を許しあえる仲間であり、バカラリーを共に見る仲である。気さくな性格でポテンシャルも悪くないのだが自分の予想を超える出来事が起こるとパニックに陥りやすいのが偶に傷だ。そのせいもあって第一部隊のリーダー 雨宮リンドウさんの姉に当たる人物である雨宮ツバキ教官によく扱かれているのを見かける。

 

 そして今話している自分の名前は神薙(かんなぎ) ユウイチ。

 極東支部でも初めてとなる新型の神機に適合出来た貴重な人間。そのため支部内では嫌でも注目が集まっている。多少の無理をしても流石新型だと言われ、失敗すればおそらくは新型のくせにと罵られるだろう。自分の周りにいる人達はそんなこと言わないだろうが、そうでもない人達は我が物顔で言ってくるに違いないだろう。

 それに神機使いに成ったばかりの時、被害が出ていないため事件と呼んでいいのかはわからないが衝撃的な出来事があった。一人前の神機使いでも苦戦するといわれるアラガミ“コンゴウ”を含めたアラガミ数十匹が殺されていたのだ。それも未だに原因がわからないらしい。あの後アラガミが消えてしまったため、何故あのようなことが起きたのか調査も進んでおらず、真相は解明されていない。

 

 

「ユウイチも初陣の時にあんなことが起こって不運だったな」

 

「まぁ、あの後そのまま別の任務に駆り出されることになったけどいい機会だと思ったよ。現場では何が起こるかわからないことを始めに体験できたんだ。これをしっかり次に生かすさ」

 

「うわぁ真面目。その姿勢はやっぱすげぇや」

 

 

 思ったことを言うと信じられないといった表情でコウタはジュースを飲み始める。

 そうは言ってもやはりあの出来事は気になって仕方ない。リンドウさん曰く何かキナ臭いと言っていたし警戒して損はないだろう。

 

 

「…で、コウタはここで呑気にジュース飲んでいて大丈夫なのか?さっきから雨宮教官のアナウンスが鳴り響いているけど」

 

「えっ」

 

 

『第一部隊所属藤木(ふじき) コウタ!!さっさとこちらに来い、予定の時間はとっくに過ぎているぞ!これ以上私に手間をかけさせるならそれ相応の対価を支払ってもらう!!』

 

 

「「……………」」

 

 

 怒気交じりに伝わるアナウンスの内容を聞いてコウタは見る見る内に顔が真っ青になっていく。持っていたジュースの缶が細かな振動を感じ取り、中身があふれそうにまで振動していた。

 

 

「ごごごごごめんユウイチ!すぐに行かないと殺される!!」

 

「足元には気をつけろよ!」

 

 

 どんなことをされているのか知らないがコウタは雨宮教官に対して恐怖心が圧倒的に埋め尽くしているようだ。

 ジュースを一気に飲み干し、ごみ箱へと目にも見えないほどの速さで投擲しつつ駆けていく。

 うわぁぁぁあ死にたくないぃぃ!!などと聞こえてくるが自分のスケジュールを把握出来ていないのが悪いため、自分からはドンマイと背中に投げかけることしかできなかった。

 

 

「…訓練しに行くか」

 

 

 そんな賑やかな仲間がいなくなったことで静かになった空間を数分堪能した後、訓練棟へと足を運ぶ。万が一のことがあった時自分が足を引っ張ってしまうわけにはいかないため、神機を振るったあの感覚を再び得ようと思ったからだ。

 明日は第一部隊のサブリーダーを務める女性 (たちばな) サクヤさんとの初合同任務だ。気を引き締めて挑んでいこう。

 

 

 

 

 

   ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「んー?…おー?」

 

 

 目を覚ますと気が朦朧としていた時に視界に移った真っ白な少女が自分の頬を突いて反応を楽しんでいた。

 自分がいた場所は変わっていないが周りのアラガミは全て無くなっており、目の前に野草らしきものが積み上げられている。もしかしなくてもあの時みた光景は幻覚ではなかったようだ。

 

 目の前の少女――シオ――がいることには目もくれず、眼前にある野草を口に放り込む。味なんて知らない。今思えば毒草が交じっていたりしたかもしれないが、やはり空腹を前に手を止めることなど出来なかった。大地の恵みに感謝します。本当に。

 草を口へと投入していく姿が面白いのかシオは「おー」だの「むー」だの言いながらじっと見つめていた。

 

 

「ふぅ…ご馳走さまでした!野草を持ってきてくれてありがとう」

 

 

 この世界に来て初めてするかもしれない笑顔でお礼を言うとシオは「ゴチソウ…サマ?」と返事を返してきた。

 なんだろう。このあどけなさはとても可愛い。

 

 

「あ、うん。これはね、食べる際にする作法のようなものでね。食べる前には手を合わせて“いただきます”。そして食べ終わった後も手を合わせて“ご馳走さまでした”というんだ」

 

「イタダキ…マス!ゴチソウ…サマ!」

 

 

 自分がやった動作を真似るようにシオも同じ動きをする。

 相手は自分が探していたアラガミであるというのにほんわかとしてしまう。

 

 

「そうそう。でもそれは食事をするときの言葉だよ。まぁそれはおいおい教えるとして…どうして君はおr…私を助けてくれたのかな?」

 

 

 元の一人称を言いそうになるがすぐに言い直して疑問を聞いてみる。

 彼女と出会うのは願ってもないことだが、彼女に自分は何かしたわけでもないはずだ。

 そういうと彼女は「おー」と言いつつ、血だまりになっている場所を指さす。

 

 

「ゴハン、ゴチソウ…サマ!」

 

 

 さっき教えた通り手を合わせてそう言葉を発する。そしてなんとなくだが理由がわかった。

 どうやら自分が倒していったアラガミを喰らっていたのだろう。自分はアラガミでもゴッドイーターでもないから手を出す必要もないため、彼女からすればご飯を用意してくれる存在と思われた。で、腹を擦りながら座り込んで、そしてそこから聞こえてくる音で状況を判断したのだろう。自分がアラガミを食べないことを確認して、近くにあった草をとって持ってきてくれたと。

 ……一人で彷徨っていたときは全く視界に入らなかったが、ちゃんとした草木もあったんだな。まぁ身体に収めていいのかはまったく知らないけどそれは知らぬが仏という言葉もある。気にしないようにしよう。

 

 

「なるほど。どういたしまして」

 

 

 なんだかんだでこの世界を一人で生きていたためこうして話す機会が全くなかった。

 記憶通りにいけば自分はインドア派とは言えども――

 

―――――いつも外で体を動かして遊んでいたから猶更よ

 

 そうだ。…あれ?そうだったっけ?体を動かして遊んでたっけか。でもGOD EATERは結構やりこんだ思い出が…あれ?

 ふと思い返そうとすると脳の奥がズキリと痛む感覚が襲う。

 いかん。これは精神的に参っているのだろうか?頭に手を当てる自分を不思議そうに見るシオに気づいてすぐにやめたが、これはどこかで本格的に寝たほうがいいな。

 今気づいたがここに来て初めて寝たときに触手プレイをされかけたせいでまともな睡眠時間をとっていない。体感だけど仮眠で長くて1時間程度か…本当によく生きてこれたな。対魔忍パネェ…

 

 そんな異常な生活を思い返していくと段々と身体が重くなり、瞼も重くなってきた。アドレナリン的なものが切れたのだろう。  

 

 

「ドウ、イタシ、マシタ?」

 

「ごめん。ちょっと…寝るね…」

 

 

 シオの返答を聞く前に意識が暗闇に落ちていく。

 確証はないが、安心して眠れそうだ。

 

 

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