対魔忍もとい喰神忍   作:○坊主

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「見切り発車の作品なのに、継続してしまって済まない…」
 
 
 戦闘描写もあり、いつもより長めでお送りします。

 


目が覚めると、そこは極東支部でした!?

「ん…ん?」

 

 

 目を覚ますと見慣れない天井がこんにちはしていた。

 頭部には包帯が巻かれており、まだ痛みが残っている。服が病衣が着せられており、普段身に着けていた痴女服ではなくなっていた。自分からすれば助かることなのだがこれは他人が着せ替えたはず。つまりあの痴女服を着ていた姿を見ていたはずだ。正直とても恥ずかしい。

 

 久しく使っていなかったベッドから身を起こして周りを見る。自分の姿を見せないように白のカーテンで隔たれていたがそれをめくって外を確認する。このご時世では大きな病室であり、自分がいた地域に少なくとも、このような大型施設は目に見える範囲ではなかったはず。つまり自分は大型施設があるここまで搬送されてきたということになる。

 

 

「うーん…どこかで気を失ったのは分かったけどここは一体…?」

 

 

―――だよ―――み――

 

―――それは――が――

 

 

「む?」

 

 

 聞きなれない人の声が壁の向こうから聞こえてくる。声が段々と大きくなってきていることからこちらに近づいてきているのだろう。

 チェストの上に置かれていた二丁拳銃(相棒)を念のため手に収めて掛布団で見えないようにする。病室に運んで治療してくれているため、警戒する必要はあまりないとは思うが念には念をというやつだ。

 

 だがそんな懸念を他所に、私は病室に入ってきた人物を見て言葉を失ってしまった。

 

 

「おっ。どうやら起きていたようだね。調子はどうだい?」

 

 

 なんでサカキ博士が目の前にいるの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「ミッションの受注を確認しました。討伐対象は“クアトリガ”…えっ!?クアトリガを一人ですか!?」

 

「うん。正直な所を言えばコウタやサクヤさんの援護が欲しいところなんですけど、生憎予定が合わなくて…」

 

 

このフェンリル極東支部に運ばれる二日前、ミッションを受けに来たユウイチに驚く。

 

 

 荒神戦王“クアトリガ”

 

 人類が生み出し、アラガミが現れるまで人類が頂点に立ち続けれた要因である道具、ミサイルや重火器を捕食して取り込んだことで自由に操ることが出来るようになったアラガミだ。

 昔行われた核融合施設を使った殲滅作戦においてもこのアラガミの姿は確認されており、まるで人が石を投擲するかのようにミサイルを発射してきたという話もある。ヴァジュラを一人で倒せるようになったら一人前と言われている極東支部の神機使いであったとしても、近代兵器を用いてくる大型アラガミに対して一人で挑もうとする考えは容易には許容できない。…が。

 

 

「……まぁユウイチさんですから大丈夫な気がしますけど、無理はしないでくださいね?」

 

「なんですかその納得する理由は…」

 

「だって前に一人で“コンゴウ”4体を同時に相手取って生き残っている人ですし…」

 

「あぁ…なるほど」

 

 

 オペレーターである竹田 ヒバリは実行する人が期待の新型使い 神薙 ユウイチであると理解すると驚きはすれど止めることはなかった。

 まだゴッドイーターになって日が浅い新人であるはずの彼はミッション中に突如乱入してきたコンゴウ4体を相手に新人とは思えない冷静さと的確な動きで討伐を成し遂げた。それも一人でだ。

 『GOD EATER』のゲームではある程度のプレイングを持っていれば狩れる状況であってもこれは三次元。質量も異なれば衝撃も大きく異なるこの世界で無事に生還したという事実は既存のゴッドイーターに多大な衝撃を与えたのである。

 それゆえに彼は知らないうちに<神狩り>や<擬態の新人>などとも囁かれているのだが、まだ知ることはない。

 

 

「念のためアイテムを補充して、リッカさんに神機の調整をしてもらってくださいね?突然の故障なんて起きたら目も当てられませんよ?」

 

「あぁそれについては大丈夫です。昨日しっかりと診てもらいましたから」

 

「ならば私から言えることは一つだけですね。無事に帰ってきてください、ご武運を」

 

「はい!」

 

 

 神機を担いで現場へと向かっていく姿を見送りつつ、ヒバリはふと想う。

 

 普段から口説いてくる男も、今背を向けている彼ぐらい強ければ安心して見送れるというのに…

 

 

 

 

 

  ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「目標“クアトリガ”を確認。これより戦闘へ移行します」

 

『了解しました。サポートは任せてください』

 

 

 場所は《煉獄の地下街》と言われている一角。アラガミによって噴出したマグマがこの地下で活動を続けているために普通の人間では活動できない場所である。だがオラクル細胞を体内に有したゴッドイーターはこの過酷な環境も適応できるため、平常通りに活動を行える――――のだが今回の目的地はその真上だ。地下街の上の土地に居座っている目標を確認して駆けだす。

 

 完全に背後に回っているおかげでクアトリガはこちらに気づいていない。ヒバリさん曰く周りにはコクーンメイデンが数匹いるようだ。軽く見渡して見るがこちらにはおらず、建物を隔てた先にいるために危険は少ないと判断する。

 見た目に反して音に敏感なクアトリガに感ずかれないように細心の注意を払って後ろ足を狙って神機を捕食形態へと変えて、喰らう。

 

 クアトリガに痛覚があったのならば突然後ろ足に激痛が走り、怒り狂っていただろうが当事者はそんな様子も見せずにこちらに体を向ける。ユウイチも特に驚きもせず、そのまま迎撃の構えをとった。

 

 

――オオオオォォォォォオオオオオ!!

 

 

「捕食完了――神機解放!!」

 

 

 クアトリガの雄たけびが開始の合図だというかのように捕食したエネルギーを神機に回す。刀身から光があふれ、微量ながらオラクル細胞を有する自身の肉体も光に包まれる。

 

 

「いくぞ、クアトリガ。相手にとって不足はない!!」

 

 

 見た目に反して俊敏な動きを行えるクアトリガはその場を跳躍し眼前にいる小さな存在を己の体積を持って押しつぶすように接近。その押しつぶしに合わせてユウイチは捕食によって生み出されたショットガンタイプのバレットである拡散型ミサイルを跳躍しつつ顔を狙って発射する。発射する反動とその後に引き起こされる爆風を利用してクアトリガの攻撃を往なしつつ、ダメージを与える。そして爆発したことで発生した煙を利用して接近し、今後のために背中辺りについているミサイルポットを重点的に切りつける。

 

 

「ふっ…と!」

 

 

 戦闘が起こってまだ5分も経ってはいないが即座に片方のミサイルポットを切り落とし、貯まったオラクルを装填。転がるようにクアトリガの足元を通り抜けて再び跳躍。後方へ跳びつつミサイルを展開しようとしていたところに打ち込み、その場で破壊を行う。当然爆風を受けるが捕食によって【BURST状態(バースト・モード)】へと移行している今のコンディションであればそこまでの被害ではない。

 

 

『目標のアラガミ、活性化します!』

 

 

 攻撃を往なされた上にもう片方のミサイルポットを破壊されたクアトリガの全身から黒煙が発生。「活性化」の状態へと切り替わる。

 クアトリガは「活性化」すると足・下半身以外の非物理属性への耐性が減少するという報告がなされており、属性を持つ神機『氷刀』を握っているユウイチにとってこの状態はダメージレースを加速させる貴重なタイミングだ。

 

 走ってもすぐには届かない距離に移動したクアトリガは前面装甲を開いてその口を露わにすると、体内からトマホークミサイルを生み出し、露出させる。

 この攻撃はある程度のホーミング性能を有しながらも速度も馬鹿には出来ないため、一般の神機使いであれば装甲を展開して受けることで踏みとどまることを選択して事を済ます。しかし、この男はそうではなかった。装甲を展開するどころかそのままクアトリガへ向かって走り出す。どうあがいてもクアトリガとユウイチの距離は離れているため、ミサイル発射を止めることは出来ない。

 

 

―オオォォォオオオオオオ!!

 

 

 予測通りに止めることは出来ずにミサイルが発射され、近代兵器が有する相応の速度で彼に迫った。

 だがユウイチはそんなことは知らないとでも言うかのように、あと数センチで被弾するほどの距離を紙一重で避ける。【BURST状態】によって身体能力及び動体視力ともに底上げされているからこそ出来る芸当であろう。

 避けたミサイルが後方で爆発。その爆風をまたも利用して速度を一気に上げる。

 閉じかかっていた前面装甲の隙間を氷刀で縫うように切り上げ、そして切り落とす。前面装甲が閉じ、動き始めるのに合わせて前足のキャタピラを切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 彼 神薙 ユウイチは“コンゴウ”4体に囲まれたにも関わらず、神機と己の身で生き延びた。それは何故か。

 その答えはこの攻撃的な戦闘スタイルにある。

 

 コンゴウが己を囲うように存在しているのを確認し、眼前のコンゴウ目がけて突進。当然反撃してくるコンゴウを相手取りながらも他の3体の攻撃を往なすのには相応の集中力と反射神経が必要になってくる。そのため隙を見つけ捕食し、【BURST】。その身体向上を利用してコンゴウを盾に外の3体から身を守ったのだ。時には背に乗り、時には懐に入り、その際も切ることは忘れない。

 一歩でも間違えば即アウトの戦闘方法。フラッシュ・グレネードを使って撤退するという方法も取れたはずなのに、彼が取ったのは迎撃という名の殲滅の構え。

 

 それが彼の戦闘スタイルだ。

 装甲を展開するのは避けれないと直感したときだけ。それ以外は回避を選択し、隙を逃がさないよう対象を常に視野に入れ込み攻撃を仕掛ける。傍から見れば生き急いでいる馬鹿者にしか見えない生き方。それを実行し、乱入してきたコンゴウを狩り切るという結果をもたらした。新型だからではない。彼だからこそ作り出せた結果なのだ。当然その後雨宮 ツバキ教官に叱られたのだがユウイチ自身そのスタイルを変えることは出来なかった。

 

 彼が新人として極東支部に配属されて起こった出来事は神機使いとして衝撃的な事件だった。

 見事に打ち抜かれたアラガミ(残骸)を見て、リンドウは被害が他に出てないならいい。生き残れたことを喜べと言った。

 そのときはその言葉に従って喜んだ。だがその後ソーマとエリックの共同任務で本当にその考えはいいのかと思い直した。

 

 自分が反応できなかったあの攻撃。アラガミに当たったから良いものの、あの標的が自分たちになった時どうするのか?

 オウガテイルを吹き飛ばすあの威力を目の当たりにして、どんな攻撃も装甲で受ける戦い方で本当に良いのか?と。

 

 もしあの攻撃が装甲では防げない威力を有していた場合、神機使いも共に打ち抜かれて絶命するのではないか。そう思ってしまった彼はそれから装甲をあまり使わなくなった。勿論信用していないわけではない。ただ、装甲を展開して防ぐという動作に用いる時間を他に有効的に使えないのかと、そう考えたのだ。

 そうして彼は他の人よりもアラガミを観察するようになった。

 

 どのタイミングで攻撃が発生するのか。

 通常とは異なる動作を確認した場合、どのように動くことが最善なのか。

 自分はどのタイミングで動くべきなのか。

 

 ダミーアラガミを使って何度も何度も何度も練習を行った。

 鬼気として行っていたせいで強引に休暇を取らされたこともある。だがそのおかげで彼は対アラガミに関しては新人とは言えないレベルの戦闘力を持つようになったのだ。

 

 戦闘中であっても考えるのを止めない。

 動き、考え、切る。

 この一連の動作を止めることなく続けるうちに4体いたコンゴウも3体、2体と数を減らしていく。

 そして眼前のアラガミが動かなくなったときには辺りは静寂に包まれていた。激戦の爪痕が至る所に残り、骸が4つあることを確認。そして安全であるとしっかり確認し、ようやく終わったのだと、自分は勝てたのだと心に刻んだのである。

 

 

 

 

 

 

 そうしたイレギュラーを狩ってきたその自信を武器に彼は神機を振るう。

 時には跳んで衝撃破を発生させ、時には己の周りに火炎を生み出すクアトリガの行動に合わせて最善の行動を叩き出す。

 

 

「せりゃぁぁぁあああ!!」

 

 

 幾多に切りつけ、ようやく現れたクアトリガの核を神機で奪い取る。

 

 

―オオオォォォォ・・・

 

 

 自身を形成する重要器官が抜き取られたことにより、クアトリガはついに動かなくなった。

 

 

『目標の沈黙を確認。やっぱりすごい動きですね、ユウイチさんは』

 

「はは。リンドウさんやソーマさんに比べればまだまだですよ」

 

『貴方も彼らと同じ類にすでに入っていることを自覚したほうがよろしいですよ?』

 

「…善処します…・・・ん?…っ!?」

 

 

 ヒバリさんの毒舌に苦笑を返しつつ、帰還しようとしたのだが危険を感じ取りその場から離れる。

 

 ゲームだと容量的な意味合いもあり、ステージとなっている建物は崩れることはほとんどないが、何度も言うがこれはゲームとは異なる。

 アラガミが襲って来れば当然建物は壊れるし、逆に建物を作り上げることも可能なのだ。

 

 クアトリガの攻撃は近代兵器と多大な衝撃のオンパレードである。

 いくら崩壊が起きないように地下街を作り上げたといってもそれは平常通りであればの話。ミサイルを地面に撃ちまくったり、燃やしたり、衝撃破を発生させるほどの質量と重量で飛び跳ねたりしているのだ。破砕攻撃によって地盤が多少緩んだところにその衝撃が加わればこうなる可能性も予測できるのではないだろうか。

 

 最後にクアトリガがボディプレスを行ったところを起点として辺り一帯にヒビが入り、崩壊していく。

 危険を感じ取って移動を開始していたユウイチであったが、あと少しのところで崩壊に巻き込まれてしまったのであった。

 

 

 

   ―――――――

 

 

 

 そんな最中、地下街の中層部で物資を漁る存在がいる。

 ゴッドイーターでもなく、一般人でもない。ユキカゼとなった私こと水城(みずしろ) ユキ とシオである。因みにユキカゼの本名は水城(みずき) ゆきかぜなので間違いの無いようにご注意願いたい。

 何故名前が違うのかって?そりゃ荒廃した未来だから問題は無いのかも知れないが、私の姿はある意味有名な対魔忍の姿だ。一部の勇者の力によってその作品が今にまで残っていた場合かなり面倒なことになってしまう。そこに名前まで一緒だったら本人認定待ったなしだ。好き好んでエロいことをされたいとは思わない。

 

 そんなわけでこの姿の名前を借りてユキと名乗らせて頂こう。正直に言えば男だったはずの名前が思い出せないのでこのような処置になったのだが。

 

 まぁ雑談はその辺にしておいて、何故この場所にいるのか。それは書いた通り、物資を探しに来ただけである。遮蔽物が多くて身を隠しやすいというのもあるし、場所を選べば中型以上のアラガミが通れないであろう道も通れる。熱いが意外と助かる場所なのだ。

 

 

「ゆきー、ワタシ、ごはん、食べてクル」

 

「分かったわ。道中気をつけてね」

 

「おー!」

 

 

 アラガミを探しに行くシオと軽く会話をしつつ、コミュ力が高くなったなぁとしみじみ思う。

 発する言葉も滑らかになってきているし、言葉の意味も理解してきている。本当に良い子育ってくれてお母さんは嬉しいよ。母親ではないけど。

 

 なんか上が騒がしいのもあって一帯のアラガミが活発に動き回ってる。早く物資を集めて離脱しますか。

 

 使えそうな物を集め終えてシオが出ていった方向へ歩き始める。大通りに出た瞬間、天井が崩壊し、クアトリガが瓦礫と共に落ちてきた。

 

 

「...へ?」

 

 

 突然のことで動けなかった私の頭に瓦礫が直撃。

 めのまえ が まっくら に なった !!

 

 

 

 

 

   ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「あ~…なるほど」

 

 

 自分が何故運ばれたのかを理解してなんとも頭が痛くなった。

 瓦礫が直撃したことで頭から血を流しながら地面に伏していたところを彼 神薙(かんなぎ) ユウイチに発見され、そのまま運ばれて治療を受けたと。

 

 

「本当にごめん!俺がもっと手早く済ましていればこんなことにはならなかったのに」

 

「いやいや、それなら私があの場所まで物資を探しにいかなければよかったのだからあなたが謝る必要はないのよ?」

 

「いや、ゴッドイーターしかあの場所にはいかないと勝手に思い込んでいた俺が悪かったんだ。もしこの可能性に気づけていたら別の行動をとれていたかもしれないのに」

 

 

 何故かものすごく遠慮をしてくる目の前の男。非はこちらにあると言っているのにそれを認めようとしない。何なの?真面目なの?それとも罰を受けたいドMなの?

 サカキ博士はものすごく興味深そうにこちらを見てくるし、とても居心地が悪い。

 

 気絶して連れてこられてしまったせいでシオとはぐれてしまったこともあって、どうしようかと考える。

 シオはいい子だ。はぐれただけで済めばいいがもしアラガミに喰われたとか崩壊に巻き込まれて死んだという発想に至った場合、どうなってしまうのだろうか?

 

 

「割り込んですまないが君はあの場所に一人で居たのかね?」

 

「いえ、友達と二人であの場所にいました。連絡をつけれていないのでもしかしたらまだあの場所で私を探しているのかも…」

 

「んな!?それはまずいじゃないか!」

 

 

 話を変えてくれたサカキ博士に感謝しつつ、現場にもう一人いるはずだと告げるとユウイチは声を荒げてサカキ博士と話し出す。

 結果一般人と思われているであろう私は療養のためということで支部に残り、ユウイチはコウタを連れて地下街へと出撃した。が、それらしい人影は見つからず、成果は得られることはなかった。

 

 だらしない神機使いですまない…と某だらしない先生のように項垂れる彼を宥めていると、この極東支部に新たに新型の神機使いが着任してくるとツバキ教官が話していた。

 

 

――物語の介入も近い。

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