対魔忍もとい喰神忍   作:○坊主

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 ゲーム内の大型アラガミはもっと大きくしていいのではないかと思ったりする今日この頃
 
 


勘づく存在

 彼女と知り合ってからどれだけ夢を見ただろうか。

 

 

 まだ私が彼女を知らず、何もわからなかったあの日。私はただただその日のご飯を求めて彷徨い歩いていた。

 

 いつも通りに狩りに行き、気が向くままに過ごす日々。

 退屈なんてなかった。ただ本能のままに動いていた。

 

 そんな時、私は何かを感じ取った。

 声が聞こえたわけではない。実体として何かを見たわけでもない。だけどソレは私を呼んでいるような気がした。

 

 ソレに誘われるように向かった先に、彼女がいた。

 見た目は似ているようでも、本質は私とは全く異なる彼女。

 本来であれば敵対する関係であるはずなのに、彼女は私に銃口を向けるようなことはしなかった。

 

 始めはただ気づいていなかっただけかもしれない。

 だけど実際に出会い、慣れない会話を続けていくうちにそうではないことに気づいた。理解した。

 

 彼女はそもそも私達にそんな感情を持っていないのだ。

 この世界に生きる人間は今を生きるために敵意を向けるというのに、彼女は興味がなさそうにする。

 

 おそらく彼女が引き金を引くのは自分に害があると判断したからだろう。

 もし、自分に害がないとわかれば彼女はそのまま一日を過ごすのだと、そう思うようになった。

 私に言葉を教え、そして話し方や違いなどを教えてくれた。自然体で接してくれた。

 

 あの時の私はその意味がわからなかった。だけどそれは当然だと今は思う。

 

 彼女は寂しかったのだ。

 自分と同じように全く知らない場所で一人で生きてきたその生活に。

 

 彼女は欲していたのだ。

 外面だけではない繋がりに。

 

 前に見た本には会えずとも、人は繋がっているという言葉が載っていた。

 関わり、培ってきた思い出や想いが離れていても切れない(もの)を紡ぎだすのだと。

 

 

(そうだと…いいな)

 

 

 時間も残されていない。私がやらなければいけない。

 彼女だけじゃなく、みんなともしっかりと話し合うことが出来なかったけど、しっかりと“縁”が出来ているといいな。

 

 無口な彼も、真面目な彼も、元気な彼も、優しい彼女も、素直な彼女も、そして素直になれない彼女も。

 

 私はここでお別れしちゃうけど…

 

 みんなとの時間、とっても…楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   またね。みんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先に帰ってたのね。お疲れ様」

 

「あぁ、何とか早めに切り上げられた。そっちはどうだった?」

 

「ご命令に従って、“いつも通り”だ」

 

「そうね。任務は滞りないし、人も欠けてないわ」

 

 

 任務を終えた四人は先に任務を終えて寛いでいたリンドウに労いの声をかける。

 特に変わったことはないとソーマが答え、それにサクヤも同調する。

 

 コウタが自慢するように戦果を語るがソーマの役に立ってたか?の一言で項垂れてしまった。

 

 実際のところコウタは周りを飛んでいるアラガミなどの撃墜を主として動いていたため、目標に対して活躍できているかと言われればなんとも言えないところが残念である。

 

 

「そうか、これならこっちももう少し“デート”の回数を増やしても問題なさそうだな」

 

「まず俺に女の子を紹介するのが先じゃないッすかね?」

 

「…ふっ、お前の手には負えないと思うぞ?」

 

 

 リンドウがそう言うとコウタではなく、サクヤとソーマの表情が少し重くなる。

 彼らはリンドウがいう“デート”がどんな意味を指すのかがわかっているためだ。

 

 だが新人であるユウイチとコウタは純粋にデートの意味でしか捉えられなかったため、この言葉に大した疑問を持つことはなかった。

 

 

『業務連絡 本日第七部隊がアラガミ“ウロヴォロス”のコアの剥離に成功。技術部員は第五開発室に来てください。繰り返します』

 

 

「“ウロヴォロス”!?あんな化け物を!一体どこのチームが仕留めたんだ?」

 

「第一部隊とかじゃねぇのか?しかもコア剥離成功かよ…ボーナスすげぇんだろうな」

 

「おい、おごってもらおうぜ」

 

「やめときなさいよ、みっともない」

 

 

 業務連絡が流れ、その内容が公表された途端に極東支部(アナグラ)内が騒めき立った。

 あるものは驚愕し、あるものは誰がやったのかと探りを入れる。

 

 

「ウロヴォロス…って何?強いの?」

 

「ターミナルを調べりゃ出てくる。偶には自分で調べろ」

 

「そうね…私たち四人じゃ…まだ無理じゃないかな…」

 

「マジでぇぇぇぇえ!?このメンツでも!?」

 

「勝てないとは言わねぇ。ただ、一人二人は死人が出るだろうな」

 

 

 単独の戦闘能力が高いソーマでさえもそう言うのだ。実際に出会えば相応の被害を被ることになるだろう。

 

 

「まぁアレだ。生き延びてればそのうち倒せるだろ。今は余計なことは考えずにとにかく死なないことだけ考えろ」

 

「その台詞、いい加減聞き飽きたぜ」

 

「…あぁ、特にお前には何度でも言っとくわ。ほっとくと一人で死にに行っちまうような奴にはな」

 

「…チッ、黙れ」

 

「へいへい。さ、俺は次のデートに備えて精のつくものでも食ってくるかな」

 

 

 ソーマが毒づくのを流しつつ、リンドウは腹を満たすためにこの場を去っていった。その後ろ姿を見つめるサクヤの顔が暗いことに気づいたコウタとユウイチであったが、よく理由がわからずにそのまま立ち尽くすことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 ターミナルで先ほど業務連絡で話題に挙げられていたアラガミを調べる。

 

 

 

  荒山神“ウロヴォロス”

 

 無数の触手と(まなこ)を有する超弩級のアラガミ。

 別名は《平原の覇者》とも呼ばれ、山のように巨大。これは比喩ではなく、“ヴァジュラ”などの大型アラガミを軽く踏みつぶせるほどの巨体を持ち、巨体に見合った質量を有する。

 このアラガミが歩くだけで災害になるほどの被害が出るため、各支部では最も警戒すべきアラガミである。

 

 確認されている攻撃手段として、触手による攻撃のほかに大口径のビームを放つことが確認されている。

 仮にこのアラガミを討伐する場合、人員は4人以上は必要である。

 

 

 

「なんだよこれ…」

 

 

 こんな化け物を誰かが倒したという事実にユウイチは驚愕する。

 極東支部でも第一部隊に所属する実力もトップクラスのソーマがあそこまで言う相手だ。実際に見たことはないが、自分が戦ったとしても負けるだろう。

 

 上には上がいるとはよく言ったものだ。

 こんな化け物を相手にできるゴッドイーターも十分人間離れしているだろう。

 

 

「お、ユウイチ。お前も調べてたのか」

 

「コウタか。あぁ、ウロヴォロス…想像以上にやばそうなアラガミだな。ソーマさんがあそこまで言っていた意味がわかったよ」

 

 

 コウタもターミナルを使って調べたらしく、ある種の興奮を纏いながら接してくる。

 

 

「うん。でもすっげぇよな!こんな馬鹿でかいアラガミを倒しちまう人がこの極東支部にいるなんて!俺もそれぐらい強くなって活躍してぇ!!」

 

「…そうだな。今はダメでも未来はわからないよな。…よし、コウタ。今から訓練に行こうぜ!お前囮な!」

 

「ひでぇ!?」

 

 

 ふざけあいながら訓練場まで二人は向かう。何が起きても対応できるように。

 

 

 

 

 

  ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「さて、というわけで僕個人の意見を言わせてもらうと君にはゴッドイーターになってもらいたいんだけど」

 

「いや、流石に意味がわかりません。私でもわかるように説明をお願いします」

 

 

 療養期間もある程度過ぎて傷も程よく塞がってきたところにサカキ博士から何故がオフォーを受けました。

 

 ドーモ、ミナ=サン。ユキカゼ改めユキです。

 全く意味がわかりません。

 

 相変わらず笑みを絶やさないこの研究者は考えていることがわからない。

 一体私が何をしたというのだ。記憶にあるのはこちらで最初に目覚めたときにアラガミを打ち抜いたことぐらい。まぁそれがすごく大きな衝撃を与えているのかもしれないが、私がやったことは見られていないはずだ。

 

 

「いや、実はとても興味深いデータが得られたんだよ」

 

「興味深いデータ?」

 

「君は特異点というものを知っているかい?」

 

「はい?」

 

 

 博士の口から出た“特異点”という言葉に少し戸惑ってしまった。

 仮にも私は一般人という体でここで治療を受けている。特異点なんていう言葉を使う意味などない。

 実際サカキ博士もカマをかけたのだろう。こちらの反応を確認すると納得したようにうなずいた。

 

 

「やはり君は知っていたか…特異点の存在を」

 

「なんのことでしょうか?」

 

 

 しらばっくれるように答えると博士は腕を後ろに組んだまま面白そうな表情を浮かべて続ける。

 

 

「アラガミ同士が捕食を続けることによって地球全体を捕食してしまう“終末捕食”。僕はこの終末捕食は地球再生のエコシステムだと考えていてね、一応10年前に理論上の実証を行っているんだ。まぁそれもここの支部長であるシックザール支部長に止められているんだけどね?」

 

「それと私に何の関係があるのでしょうか?」

 

「そこでさっき僕が言った特異点が関係してくるんだよ」

 

 

 特異点とは終末捕食を引き起こすアラガミのコアの役割を担う存在。

 特異点、つまりシオがシックザール支部長が行おうとしている《アーク計画》の要である大量の高密度のオラクル細胞の塊“ノヴァ”を起動させてしまう鍵だ。

 

 実際ただの一般人を装って特異点のシオと共に極東支部に接触するつもりだったのだから知っている。

 この件に関わった時点で目の前の男ともいずれは関わることも。

 

 

「確か大体一月ぐらい前かな?とある場所でこの極東支部を驚かせる出来事が起こったんだ。神機使いではない何かが中型アラガミ“コンゴウ”を含めたアラガミを殲滅したんだ」

 

「……」

 

「始めは僕も第一種接触禁忌種“スサノオ”のようなアラガミが新しく生まれたのかと思った。特殊な偏食場パルスも観測されていたからね。でもそのパルス信号が観測されていくと僕はふと疑問に思ったんだ。本当にアラガミの仕業なのか…てね?」

 

「つまりそれの出来事を起こしたのが特異点であると?それならば神機使い(ゴッドイーター)を派遣して探してしまえばいいのでは?」

 

「うん正直そうしたいところなんだけどね。そううまくはいかないものだよ。今のところ人類が生み出した神機を操るゴッドイーターこそがアラガミに対抗できる唯一の存在だ。だけどこの偏食場パルスは本当に興味深くて厄介でね。オラクル細胞の動きを文字通り止めてる(・・・・)んだよ」

 

「…ん?止める?」

 

 

 阻害ではなくて?

 

 

「そう。物質をなんでも捕食すると特性を持っているはずの単細胞の働きを偏食場パルスで完全に停止させているんだ。いくらオラクル細胞でも動作そのものを止められたらただの単一細胞。危険もないだろうね。そして今のところわかっていることはこのパルス信号は広範囲に発生させるタイプではなく、砲撃などの攻撃に纏わせて放つタイプということだね。それでも観測できるほどの密度を保っている。つまりこれはいくら神機であったとしてもこの攻撃を受けた瞬間に機能を停止してしまって使い物にならなくなるってことだね。もっともこれに気づいているのは僕ぐらいだろうし、絵空事で処理されてしまいそうな自論だけどね」

 

 

 もしこの偏食場パルスを運用できるようになれば通常の武器でも戦えるかもしれない。最もそんな技術を生み出すのにかなりの時間を有するだろうけどね。とサカキ博士は嬉しそうに語っていたが、博士の考察と研究結果を聞いたとき、私の中で疑問が氷解していくように感じた。

 

 この世界に来たときになぜアラガミにただの電撃が効いたのかと疑問に持った。

 その疑問に対する答えが先ほどの回答ではないだろうか?

 

 

 特殊な偏食場パルスを発生させて戦うアラガミは存在する。

 無印の「GOD EATER」ではなく、次回作の看板として登場したアラガミ“マルドゥーク”だ。

 

 白い体躯にマントのような触手を備える狼のようなアラガミ。

 感応種の代表に充てられるこのアラガミは偏食場パルスを操ることで他のアラガミを活性化させたり、召集させたりすることが出来る。この偏食場パルスは【血の力】に目覚めていない神機の動きを阻害する力もあり、極東で活動していた エミール・フォン=シュトラスブルクがその被害を受けている。

 

 

 マルドゥークは広範囲にパルスを拡散させることで全体的に効果を及ぼしていた。これを“面”での力だとすると私が使える電撃はその効果を集約させた“点”での力であると予測できる。

 一点に偏食場パルスを雷と共に集約させて電磁砲(レールガン)として放っていたことにより、オラクル細胞で形成されているアラガミにダメージを与えることが出来た…という解釈でいいのだろうか。

 “点”での力である以上、“面”よりも効果は強力になる。よもや自分がというよりも対魔忍がそこまでの力を持っていたのか…対魔忍の名の通り、魔に対抗できる力はちゃんとあったんだな。

 

 

「それで特異点の話に戻るんだけど、どうやらこの偏食場パルスを発しているところに特異点がいたのではないか。と考えるようになったんだ。初めは《贖罪の町》、次はそこから《鎮魂の廃寺》に至るまでの道のり、そして《鉄塔の森》付近の場所に。とある神機使いに僕個人のお願いを頼んでいたんだけど、どうやらそれらしい人影を見たらしくてね。そしてそれは今回、君がいた《煉獄の地下街》でも見つけてはないけど偏食場パルスが微量にだが確認されたんだ」

 

「つまりそこに特異点がいたかもしれない…と?」

 

「そのとおりだ。始めに君は言ったね。友達と“二人”で《煉獄の地下街》へ来たと」

 

「えぇ、そうです」

 

 

 博士はすでに確信を持って私に話している。そう感じ取った。

 そうでなければ特異点だの偏食場パルスだのの話題をするはずがない。

 友達の話も途中でアラガミに喰われたかもしれないと伝えられてもいいはずなのに、そんなことは一切なかった。そう思うと私の対応自体が異常だったのかもしれない。アラガミが闊歩する場所に友達が残されて騒ぎもせず、どうしようと悩んでいるのは明らかに不自然ではないだろうか?

 

 その予測を正しいというようにサカキ博士は頷いて肯定の意を伝える。

 

 

「僕はね。君の友達こそが特異点ではないかと、そう考えているんだ」

 

 

 どうしよう。予想以上にばれるのが早いです。

 

 

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