対魔忍もとい喰神忍   作:○坊主

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 気づけば一月間が空いておりました。日が立つのが日に日に早くなっていく・・・
 
 さて、これからどうしていきましょうか・・・
 


??「私に良い考えがある」

 

 

「もうちょっと考えて行動しとくべきだったかなぁ…」

 

 

 サカキ博士とのお話し会が終わった後、病室を抜け出して極東支部の屋上に登って黄昏る。

 偏食場パルスを発信していた人物は私ではなく、特異点(友達)の仕業だと思っているサカキ博士は特異点を見つけ出すために私をゴッドイーターにしたいようだ。新型ではなくともゴッドイーターになればある程度の融通が利くのだろう。

 しかし私は神機使いにはなりたくはない。デメリットが大きすぎるのだ。別に神機を用いずとも雷の力を使えばアラガミとやりあえるし、ゆきかぜの身体能力を以って逃げることも可能だろう。それなのに神機使いにとってある意味象徴でもあるあの腕輪を死ぬまでずっと装着し続けることは不便そうだ。

 そして何より不安なのが偏食因子を投与することでアラガミに喰われることだ。いくら適合率が高かったとしても失敗するときは失敗する。失敗して喰われるのは勿論遠慮願いたいことだ。仮に偏食因子に打ち勝って神機使いになったとしても、偏食場パルスを使って攻撃を行うせいで動かなくなる不具合が発覚しそうで嫌なのである。

 

 なんとかサカキ博士の勧誘を避けはしたが今後も『GOD EATERになろう』とどこぞのサイトのごとく勧誘してきそうな予感はする。ただ協力するだけなら問題なく行けるんだけどなぁ…

 

 自分が気を失っている間に二丁拳銃にも探りを入れられているだろうが、私の力あってのコレを再現したところで向こうには何の得にもならない。なんでこれで生きてこれたのだろうかとしか思われないだろう。

 リッカさん辺りが実際に見てたのかその疑問を聞かれたりもしたがなんとか誤魔化しておいた。

 

 

「うーん。別に悪い方向へ進んでいるわけではないと思うからいいんだけど…まだ新型さんが来るのは早くても明日らしいからなぁ。どうしよう」

 

 

 これからどう動こうか悩みつつ、数十分の間流れ行く雲を眺め続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつては活気に満ち溢れ、栄えていた場所《贖罪の街》

 この場に一人、神機を構えながら歩みを進める存在がいる。

 特務を受けてこの場に赴いていたソーマだ。

 

 建物の影に隠れながら移動している彼はサカキ博士が出している特務目標を探している。

 運が良いのかアラガミの姿も多くは確認されておらずに、今のところ安全に行動が出来ているためかそこまでストレスを感じていない。

 

 

「……?」

 

 

 そんな彼がその違和感に感じ取ったのは幸運であっただろう。

 振り返った先に人影らしきものが建物の中に消えていったように見えたのだから。

 

 

(こんな場所に人影…?特務目標…か?)

 

 

 ただの思い違いであるかもしれないがソーマはその建物の中に入っていく。

 目標を確認できればよし、もし何もなくてもそこはクリアとして確認を終えることが出来る。どちらにせよ損ではない。当然アラガミが出てくることも想定して動きつつ辿り着いた結果は行き止まりであった。

 ステンドグラスが残っているこの場所はおそらく教会として使われていた場所であろうが、一番奥の壁が崩れているために太陽が見える。

 机などが少々あるが何かが隠れれるほどの障害物は確認できなかった。

 

 

「…気のせいか」

 

 

 そう結論付け、索敵を続けると連絡を入れる。

 構えていた神機を肩に乗せてその場を後にするが、ソーマのその直感は正しいものだった。

 

 彼の背を眺める少女が穴が開いた壁から覗き込んでいたのだ。

 彼女自身もソーマに対して思うところがあったらしく、仲間を見つけたような表情に変わる。

 

 

「…ユキのコト シッテル かな?」

 

 

 思うはおそらく初めて出来たトモダチの姿。地下街で姿を消した少女。

 そのことを思いつつも、寄ってきたアラガミを喰らって空腹を満たす。

 今度出会ったら聞いてみようと、シオはそう結論づけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、そうかい。それは残念だ」

 

「すいません。でも何かあれば手伝うことは出来ますので」

 

「そう言ってくれると助かるよ。“特異点”を探すにあたっては君の力を借りたいと思ってたんだ」

 

 

 神機使いにはならないと伝えると残念そうに受け入れてくれたサカキ博士に申し訳ない気持ちを抱きつつ力にはなれることを伝えるとお礼を言われた。

 特異点を、つまりはシオを探すことに私も加わることになるのだが、神機使いでない極東支部の人間が外に喜々として出ていくわけにもいかない。そこのところをどうするのかと聞いたところものすごくいい笑顔で

 

「僕に、いい考えがあるんだ」

 

 そういってくださりやがりました。本当に(ry

 嫌な予感がするが仕方ない。今日はロシアからやってきた新型神機使いの下乳さんがやってくる日なのだ。そろそろ一波乱起きてくるだろう。

 

 

「ところで私の存在を支部長はご存じで?」

 

「いや、伝えていないから知らないよ。君は逸般人だからね。報告したとしても市民を救助した程度さ」

 

「…なんかニュアンスが違っていたような気がしますが」

 

「気のせいさ。もし気のせいではなかったとしても否定できないだろう?」

 

 

 むむっ。痛いところを突いてくる。

 オラクル細胞ないのに神機使いと同レベルかそれ以上の身体能力を保持してるから何も言えない。

 

 しかし支部長は私のことを知らないのか。ということはあまり第一部隊の面々と関わり合うのは避けたほうがいいかな…?でもいずれはばれることだと思うしなぁ。というか隠し通せるものでもないんだよね。

 

 

「むむっ」

 

「?どうしました?」

 

「どうやらロシアの新型君がやってきたようだ。僕の予測よりも567秒早いね」

 

 

 ようやくお出ましかと笑みを作るサカキ博士になんとも言えない視線を送る。

 

 

「…そうですか。私、一応まだ怪我人なのでどうぞお気になさらず」

 

「何を言っているんだい?君も当然行くんだよ」

 

 

 サカキ博士が悪だくみを考え付いたようにこちらを見る。

 よからぬことが起きそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はじめまして、『アリサ・イリニーチナ・アミエーラ』と申します。本日一二○○(ヒトフタマルマル)付で、ロシア支部から、こちらの支部に配属になりました。よろしくお願いします」

 

「女の子ならいつでも大歓迎だよ」

 

「は?よく、そんな浮ついた考えでここまで生きながらえてきましたね…」

 

 

 美少女であるアリサの姿を見て口に出てしまったようだが、それが第一印象を低劣なところまで陥れてしまった様子だ。養豚場の豚を見るような目でコウタを見下している。

 

 

「彼女は実戦経験こそ少ないが、演習では抜群の成績を残している…追い抜かれぬよう精進するんだな」

 

「・・・りょ、了解です」

 

「アリサは今後リンドウについて行動するように、いいな」

 

「了解しました」

 

「それとリンドウ、資料等の引継ぎをするので私と来るように。その他の者は持ち場に戻れ。以上だ」

 

 

 

   ――――――

 

 

 

「期待の新人ですねぇ・・・レア物の新型が2つも揃ってる支部なんて、ここくらいじゃないですか?」

 

「あぁ、そうだな。だが本部の意向で今後は新型の適合者発掘が優先されていくらしい。…ただ彼女の場合、適合はしているものの、若干精神的に不安定なようでな・・・定期的に主治医によるメンタルケアのプログラムを組まれているようだ。…まぁ、とにかく注意を払ってやってくれ」

 

「了解です、姉上」

 

 

 エレベーターに乗り込みそう注意を促すツバキにリンドウが了承すると「二度とここで姉上と呼ぶな」と釘を打たれた。

 やれやれと思いながらも頷く。

 

 

(まったく強情なこって…)

 

 

 血のつながった兄弟であるというのにこの場所ですら姉と呼ぶことを許してくれない家族にそう毒づいた。

 エレベーターの扉が開き、外に出ると、

 

 

「いや、すまないツバキ君。リンドウ君。少し時間はあるかい?」

 

 

 サカキ博士がいつも通りの不敵な笑みを浮かばせて立っていた。それだけでない。後ろには自分たちが見慣れない少女が立っていたのだ。つまりユキカゼこと私、ユキである。

 

 

「・・・?サカキ博士。もしかしてコレ(・・)ですか?・・・いけませんよ?いくら愛しあっているとは言っても年齢というものを考えてですね」

 

「うん。ちょっと待ってくれないかねリンドウ君。私はそんなつもりで君達を呼び止めたわけじゃないんだ。ツバキ君、私は無実だからその養豚場の豚を見るような目を止めてくれたまえ。ユキ君、君はその分かり易い嘘泣きをやめたまえ!」

 

 

 リンドウの言葉に合わせてわかりやすい泣き方をするユキにサカキは声を荒げる。ノリといたずら心でやってみたのだが思いのほかダメージが大きかった様子。日頃周りからサカキ博士がどれだけ変人扱いされているかがわかる場面でもあった。

 

 

「いや、すいません。わざとです」

 

「うん。知ってた」

 

「それで何か御用でしょうか?」

 

 

 リンドウは2人のコントのような振舞いを他所に置いて話を続ける。

 今後のための資料の引継ぎがあるためにあまり時間を取られたくないのが今の気持ちなのだろうか。それとも今から言われることが明らかに面倒事だと理解しているからなのか・・・どちらもか。リンドウはとにかく本題を話してくれといった感じである。ツバキ教官も以下同文。

 

 

「いやいや、ちょっと君たちに頼みたいことがあってね。言っておくけどこれはフェンリルとしての頼みではなくて、僕個人としての頼みなんだけどね?」

 

「・・・サカキ博士の後ろにいるそこの少女に関係することでしょうか?」

 

「むむっ!鋭いねぇツバキ君。そうなんだ。ちょっと来てくれないか?立ち話もなんだろうし、手早く済ませないといけないようだからね」

 

 

 サカキ博士は笑みを絶やさずにそのまま自室まで歩き始め、私もそれに続く。

 リンドウ達が部屋に到着し、席に座るとサカキは何かを印刷した数枚の紙を二人に手渡した。

 

 

「・・・・・・本気ですかサカキ博士?流石にこれはまずいんじゃないですかね?」

 

「極東支部の変態と言われる博士であっても流石にこれは理解しかねます」

 

 

 二人は紙に書かれた事柄に異を唱えた。というかサカキ博士は極東でもやはり屈指の変態という認識にあるのか。流石です。

 

 

「残念だけど僕は至って本気だよ。それにこれは今後の行動にとても重要な役割を担うと踏んでいる。そのために君たちの同意を得たいんだ」

 

「確かにこの通りならそうかもしれないですけどね・・・いくら何でも怪しまれますって」

 

「私たちが良くてもオペレーターや輸送部隊にはどう説明するつもりなのですか?」

 

 

 サカキ博士の言い分に反対する二人。私自身はその紙に何が書いてあるか全く知らないのでこの会話に全く付いていけていないのだが、サカキ博士が理解不能なことを紙に書いているのだろうか?

 

 

「この少女を・・・神機使いでもない一般市民 水城(みずしろ) ユキを前線に立たせるなどと誰が許可すると思うのか、そこをお尋ねしたい。サカキ博士」

 

 

 ツバキの発言に一瞬理解できなかったが、すぐに我に返る。

 どうやら私はシオを引っ張り出すための餌として監視の目が少ない外に出されるそうです。

 

 

(・・・手伝うといったがそれはないでしょうサカキ博士ぇぇぇぇえ!!)

 

 

 そんな心境をユキが抱いていることなど知りもしないサカキはリンドウとツバキを説得しにかかるのであった。

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