「――にゃーん」
「……そこッ!」
もはや何度目だろう。耳にした猫の鳴き声。
アリス・マーガトロイドは同じ回数目の攻撃を人形を操作しくりだした。
「く……また!」
そう、"また"だ。
人形に装備させたランスは、誰も居ない魔法の森の枝を一本落としただけだった。
「あっはっはっはー。何処見てるんだい? 人形遣いのおねーさん」
「ああもう……!」
こちらを嘲笑うような楽しそうな声。
これは、挑発だ。こちらの冷静さを欠こうとしているのだ。
だが、それを分かっていたとしても実行に至れない。
「そろそろ諦めついでに許しちゃもらえないかねぇ。一応悪いとは思ってるんだよ本当ー」
「ならさっさと落とされなさい!」
"戦符「リトルレギオン」"
同時に何体もの人形で声のした方向を刈り取る。が、やはり手応えは無い。
苛立ちが更につのる。
何日もかけた、実験だった。
あれが成功すれば研究中の魔法は完成に近づき、ひいては夢の実現への架け橋になるかもしれなかった。
それを、この火車は――
「大体、怨霊の一体や二体……あたいだって見逃す事くらいあるさ。大目に見ちゃくれないかねぇ?」
実験途中の事だった。
怨霊は身体を求める物。
人形は心を持たぬ物。
両者が偶然とは言え、揃ってしまったのだ。その先の顛末によって引き起こされた自体と損害は想像も容易い。いや……想像以上だった。
「まぁほら、暴走しちゃった人形はちゃんと壊した訳だし、実験はまた頑張りゃいいじゃないか。なんならあたいも協力を――」
「――"また、頑張ればいい"?」
連日の実験に伴う魔力の不安定化が及ぼし続けていた、精神面へのストレスが、ピークを迎えた瞬間だった。
今まで頭の片隅のギリギリ冷静な部分がかけていた歯止め。それが音を立てて崩れた気がした。
「――そうね。また頑張れば良いわよね」
"人形「レミングスパレード」"
「――にゃにゃ?」
猫の姿で枝葉のスキマからアリスを眺めていたお燐は、奇妙な空気の変化を感じた。
アリスが宙に描いた召喚陣から、次々と人形が現れる。それは先ほどから見ている光景だ。
だが、それらは今までアリスが出していた人形とは違って空中に浮かぶ事は無く、そして何故か危険な印象をお燐に与えた。
(……もう少し様子見てみようかねぇ)
野生の勘は今すぐ逃げろと騒いでいたが、そうは行かなかった。
このまま逃げれば有耶無耶になって全部無事解決――……なんて事はありえないのだから。
何らかの決着は付けなきゃ騒動は収まらないだろう、という考えと、先ほどの言葉通り多少申し訳ないかなぁ、と思っていた故の判断だった。
だが、直ぐ様それを後悔する事となる。
「大江戸人形。open formation――」
アリスの命令に反応するように、人形達が一斉に放射状に歩み始める。
その動きはゆっくりとした物で、お燐の位置を把握している訳では無いようだった。
やがて、その中の数体が近くの樹の根本へと来ると――
「――Ignition!」
「え――?」
思わず出た驚きの声、それが掻き消えるような閃光と爆音を伴って爆発した。
「ちょ、ちょっとぉ!?」
間一髪、樹が倒壊する前に何とか別の樹に飛び移ったが、その根本に居た別の人形も爆発。
ギリギリのタイミングでそれも回避するが、次に移動しようとした樹が既に音を立てて倒れ始めていた。
「おねーさんってこんな乱暴だったかい!?」
「あら、ごめんなさい手荒過ぎたかしら? でも――」
倒壊していく樹の僅かな足場を利用し、爆風の連鎖から逃れようとする。が、やがてそれも限界に至る。
「"また、頑張れば良い"でしょう? 滅茶苦茶になった自然の復興も、ボロ雑巾のようになる予定のその体の治療も」
「ははは……。ちょぉっと口が過ぎちゃったかなぁ……?」
最後に残った樹の上でお燐は逃走を選ばなかった事を後悔し始めていた。
「これならもう見失わない。でも安心なさい。死ぬ前くらいで止めてあげるわ」
「それってどのくらい命が残るんだい?」
"騎士「ドールオブラウンドテーブル」"
アリスが次に出した魔法陣から、甲冑を身につけた人形達が呼び出される。その数、十二体。
「……そうね。スペルにちなんで十二割殺しくらいでどうかしら?」
「やっぱりそれって死んで無いかい? しかも限界越えて……。」
「言い訳はあの世で閻魔相手にする事ね。――騎士人形達。Charge!」
号令を切っ掛けに、唯一残った樹という分かりやすい目標へと、人形騎士達は突撃を始めた。
無論、その枝のどれかに居るだろうお燐をまるごと仕留める為だ。
その動きは見た目に反して早い。見る見る内にお燐の視界の中の人形騎士達が大きくなって行く。
だが、お燐はその光景を前にしても、恐怖心は抱いて居なかった。
「――仕方、無いなぁ――」
"猫符「キャッツウォーク」"
一体目の人形のランスがちょうどお燐の居る辺りを貫いた瞬間だった。
枝の間から飛び出したお燐は、その一番槍を足場にして宙へと飛び出したのだ。
その向かう先は次の人形騎士。
「くっ……、騎士人形! Intercept!」
アリスはそれを追撃するように人形達に命じる、がそれは既に遅かった。
お燐の"ねこ歩き"が一二歩目を数えた時、既に操作を受け付ける人形は居なくなって居た。
「これは……一体?」
「――察しが悪いねぇおねーさん」
十二体目の人形を足場に、アリスの背後を取ったお燐。
着地するまでの間に、その姿は先ほどまでの猫ではなく、人型へと変化していた。
「まさか!」
急ぎ、眼へと魔力を集中させ幻視力を上げる。魂まで視認出来るようになった事で、よぎった予想が正しかった事が証明された。
「また怨霊を……!」
「死体は好きだけど、流石に自分がなるのはゴメンだからねぇ。悪いと思うけど猫を虐めるこわーい人形達は祟らせてもらったよ」
ケタケタと笑うお燐。その傍らにあるのは、今やお燐を守る騎士となった人形達の姿。
その事実を物語るように、糸を通して命令を送るがその一切が拒絶されているようだった。
「それじゃ、今度はおねーさんが怖い目に遭ってもらうよ。なーに、"恩"は無いけど"怨"も無いから死ぬ前には止めさせるさ!」
「騎士人形……達……!」
お燐が鳴らした指の音色。それが騎士人形達による下克上(アリスへの反逆)の合図となった。
十二体の円卓を守る為の騎士は、守るべき王を見失い、怨霊の悪意のままその刃を向ける。
「……ごめんなさい。後でちゃんと治すからね――!」
"魔符「アーティフルサクリファイス」"
しかし、その十二の騎士はどれもアリスへと届く前にその身を突如爆散させる。
アリスが行ったのは強制的な自爆命令。
もし別の意思に乗っ取られた際も起動出来る唯一の命令式だった。
「ありゃりゃ……酷いことするなぁ」
「……この分の償いも上乗せさせてもらうわ」
鋭い眼付きでお燐を睨みつけるアリス。
だが、その視線を受けて尚お燐の表情から余裕が消えていない。
「そうかい? でもそいつ達はおねーさんを恨んでるみたいだけどなぁ?」
「……ッ!」
魔力の篭った爆風のせいで、視認が遅れたのは致命的だった。
一二体の怨霊。確かにそれらの"器"である人形騎士は爆破出来た。が、怨霊は残っていたのだ。
「――燃え尽きた命の残滓達よ。その恨みを今再び燃え上がらせろ! "「死灰復燃」"」
不気味に響き渡るお燐の宣言を含んだ口上。そして、そこから更に変化が始める。
熱を持つ怨霊達がその姿を変え始めたのだ。
――やがて現れたのはおぞましい外見を持つ妖精達のような姿。
「これは、怨霊を起点にした召喚……?」
「おっと、見た目に油断しない方が良いよ。妖精ってのがその性質をあっさり変化させやすいのは知ってるだろ? つまり――」
指を弾く音が、高らかに響く。
その瞬間、妖精が唸り声を上げながら飛びかかってきた。
「"人形「セミオートマトン」"!」
咄嗟にその場から引くと同時に、アリスも召喚陣から次の人形達を出現させた。
半自動化命令を仕込んでいる為、一定パターンの行動を繰り返す事しか出来ない人形だが、その分自身の回避に専念出来る。
「Start Up!」
起動開始。アリスの移動方向と逆の方へ弾幕を放ちながら、突撃していく人形達は迫り来るゾンビフェアリー達を次々と迎撃していく。
効果は充分だった。が、対処としては失敗だった。
「――そいつ達も怨霊と同じ、って事さ」
ゾンビフェアリーへと接触している人形達が次々とその挙動をおかしくし始めていたのだ。
やむなく、アリスはそれを認識した瞬間に再び自爆コマンドを実行させる。
だが、結局は先ほどの事態の繰り返し。爆心地にはまたもや怨霊が漂っている。
「これじゃキリがない……。それなら――!」
次にアリスが召喚した人形は、少し異質な人形だった。
今までの人形の様に、手足がきちんと創られている訳でもなく、顔らしい顔も無い。
それはまさに藁人形そのものだった。
「呪いには呪いよ。"呪符「ストロードールカミカゼ」"!」
回転をかけながら、各々に特攻していく藁人形達。
呪術的な力が既に載っている人形達ならば、空っぽの人形よりも他の魂が乗りにくい――。それは、アリスの目指す完全自立型人形への研究過程で突き止めた理論だった。
事実、怨霊が形を成す前に貫き進んで行っていく。射出速度に秀でたこのスペルを止めるには、"「死灰復燃」"の復活速度はあまりにも遅く、既にお燐の目前へと迫っていた。
「おー……本当に色んな人形があるんだねぇ。おねーさ――」
藁人形には術の命令式の篭った五寸釘が付いている。それが次々と肉へと突き刺さるくぐもった音と共に、お燐の体躯が反動で吹き飛んでいくのがアリスには見えた。
「――これで、決着よ」
お燐に命中したのはほんの一部の人形だけ。それでも戦闘不能に追い込むには充分なダメージを負わせた事だろう。
アリスは転がったままのお燐に対して抱いていた怒りが晴れていくのを感じていた。
「はぁ……一応、トドメは刺さないでおいてあげるわ」
普通の生物ならば致命傷だが、相手は妖怪。精神的に無事なら明日にはピンピンしている事だろう。
それよりも思わず激昂してしまった自分の疲労状態を再認識したアリスは、研究の再実験をどうしたものかと考えながらお燐へと背を向けた。
――その瞬間、だった。
「――ちょっと、甘く見てたよおねーさん」
声に反応して振り向くアリス。その視線の先に居たのは、ゆっくりと立ち上がるお燐の姿だった。
そして、その体に刺さっていた筈の藁人形達は――
「――"「死体繁華街」"。流石にここまでやられたら、あたいもおねーさんを怨まない訳にもいかないなぁ……」
「ゾンビフェアリーを……盾に!?」
藁人形を体で受け止めていたらしい屍妖精達が、恨めしそうにアリスへと濁った瞳を向けていた。
そして、その姿はアリスの見ている前で尚も増え続けているのだった。
「魔法の森ってのは聞きしにまさる陰鬱さだねぇ。だからほら、こんなに怨みの思念が沢山漂っていたよ?」
十や二十……そんな数では収まらない。アリスの視界をうめつくさんばかりに召喚は止まらない。
無傷のお燐と、大量のゾンビフェアリーを前に、アリスはとうとう膝を付いた。
「さぁおねーさん。覚悟は良いかい? なーに死後の事なら心配いらないさ。あたいの仕事を一緒に手伝ってくれりゃそれだけで――」
「――悪くないわね」
「……ん? 何か言ったかい?」
ざわついているゾンビフェアリーを静かにさせ、もう一度問う。
「条件としては悪くないわね、って言ったのよ……」
「おお、結構乗り気になってくれてるねぇ! うんうん! それじゃ特別におねーさんの身体は燃やさないでこいし様の部屋に飾って頂くよ! おねーさん結構別嬪さんだから――」
「――何を勘違いしているの?」
冷たく、鋭い声。それは先ほどまで冷静さを欠いていた者の声とは別格の物だった。
だが、この絶望的な状況を前に、そんな筈は無かった。
「どういう……ことだい?」
今度は訝しげに、探るように問う。
だが、それへの返答はお燐の予想を超えていたものだった。
「久しぶりのスペルの相手としては、やっと充分なレベルになった――。そう言ったのよ」
瞬間、七陣七色の魔法陣が次々とアリスを中心に展開を始める。
その輝きと、魔法に携わっていない者でも分かる膨大な魔力量は、思わずお燐を後ずらせる。
やがて現れたのは様々な特色をそれぞれに兼ね備えた数多の人形達。それは、お燐の召喚したゾンビフェアリーの数に並ぶ程であった。
「――さぁ人形劇を始めましょう。観客は怨霊と呪精と貴女。――"「グランギニョル座の怪人」"開幕よ!」
「迎えうつよ! ゾンビフェアリー軍団!!」
そうして、人形と屍妖精は両者の中間でぶつかった。
「"倫敦、西蔵、京人形"! Disturbance!」
「怨め! 怨霊達!」
人形達が生み出す魔力の篭った霧は、舞台を彩る演出――
「"仏蘭西、オルレアン人形"! Roll!」
「呪え! ゾンビフェアリー!」
舞い踊りながら、"悪役"を取り囲んでいく人形達は様々な役目を持った演者達――
「"和蘭、露西亜人形"! Shoot!」
「燃え上がれ! 燐火!」
色とりどりに放たれる弾幕は、観客を引き込む協奏曲――
ここに、アリス・マーガトロイドの人形劇は完全に成り立っていた。
劇の中でおいて、決められた結末に抗える者など存在しない。
「――Finishよ。"上海、蓬莱人形"!!」
「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
上海人形の大型一門、蓬莱人形の小型六門の高密度魔力砲が放ち止んだ時、すでにそこにゾンビフェアリーの姿は無かった。
対する人形達の損害は軽微。完璧にこなされた人形操作と、怨霊を通して行われる呪精操作の差が現れた結果だった。
「……ほんと強いねぇ。おねーさん……。でも忘れてないかい?」
そう、まだ決着では無いのだ。
妖精を消し飛ばした所で、怨霊が、怨みが残ったままならば復活し続ける。そして、お燐へ人形を使って攻撃しようとすれば、再び怨霊が人形を乗っ取る。
現に、妖精を倒した後の人形達は、残った怨霊にも、お燐にも、手を出せなくなっていた。
「そうだなぁ。話の終わりはこうでどうだい? "魔法使いと人形達は、怨みの力に打ち勝つことは出来ず、死後幸せに地底で過ごしました"ってね」
実力的にはアリスのが格上。だが相性の問題があったのだ。故にお燐は余裕を失わない。
――しかし、アリスはその上で不敵な笑みをお燐に返すのだった。
「――いいえ、これで演目は終わりだわ。結末は"悪い猫は魔法使いにたっぷりとお仕置きをされ、泣きながら地獄に帰りました"よ」
言い終わると同時に、アリスの両手が自らの足元へと触れる。
瞬間、今までで最も巨大な魔法陣が展開され始めた。それはお燐の足元にまで及んでいる。
「なっ……!? こんなのいつのまに――!?」
思い当たる節は一つだけあった。アリスが膝を付いたあの時だ。脱力した両手が大地に不自然に触れていた。
「来なさい! "ゴリアテ人形"!!」
"試験中「ゴリアテ人形」"
未だ未完成ながら、巨大人形として実現するに至ったアリス・マーガトロイドの新しい魔法。
そのあまりにも巨大な人形は、アリスをその肩口に載せたまま全貌をお燐の前にあらわしていく。
『……ゴリアテー』
大きさ故に発生一つとっても咆哮地味たその規格を前に、お燐は一つの確信をしていた。
「――こりゃあたいに勝ち目無さそうだねぇ……」
体躯の大きい物はそれだけ意思を載せるのに時間がかかる。怨霊と同質量以下の人形程度ならば瞬時に憑依出来ても、見上げただけで首が疲れるような大人形相手となればどれだけ手間取る事か。
お燐は、考えただけで深い深い溜息を付くと、猫の姿を再び取った。
「この通り、申し訳有りませんでした!」
そのまま取った土下座の姿勢。猫の姿を取ったのは、少しでも許してもらえる確率を上げる為だったのだが、そのせいで土下座と言うよりは猫が"伸び"をしているようにしか見えない。
しかし、地面へと顔を向けているお燐には、アリスがどういう表情を浮かべているかさえ分からなかった。
(――何か答えてよおねーさん……)
長い沈黙。それが逆に怖かった。
恐る恐る眼を開ける……と――
ドサリ、とアリス・マーガトロイドが"落ちて来た"所だった。
「……はい?」
『――ゴリアテー……』
続いて巨大な人形が、各国をイメージした人形達が消えていく。
魔力不足による人形倉庫への自動返送現象だったのだが、それはお燐の知る由もない。
お燐の目の前にあるのは、戦いの跡の残る荒れ地と意識の無いアリス・マーガトロイド。
少し、どうするか迷ったが、お燐の取るべき行動は決まっていた。
「――よし!」
「う……ん――?」
アリス・マーガトロイドが次に目覚めた時、自身が何かに揺られている事にまず気がついた。
そして、それが誰かに運ばれているからだと言うことも。
「あ、目が覚めたかい? おねーさん。気分はどうだい?」
「……最悪、ね。死体になった気分だわ」
誰に運ばれているのか、何に乗せられているのかはすぐに分かった。強烈な臭いで。
「心配しなくても、運び先はおねーさんの家だよ。だから慌てないでおくれ」
「――慌てたくても動けないわよ」
「ん? 何て?」
「何でもない……」
アリスの身体には目立ったダメージは無かったものの、連日の実験の疲労と魔力の不安定化による一時的な衰弱現象が起きていたのだ。
人間で言えば、"連続徹夜開けの朝"と言った具合だろうか。身体を動かすのもしんどい所まで来ていた。
故に、臭いに我慢しながら大人しく揺られる以外の選択肢はアリスに残っていなかったのだ。
「――ところでおねーさん。死んだ後の身体と魂の行き先宛はあるかい? もし良ければあたいの送迎付きの良い運び先があるんだけれども――」
「……悪いけれど貴女より先に死体になるつもりも予定も無いわ。早死にしそうでしないキノコ馬鹿の方を当たって頂戴」
「そりゃ残念。じゃあ代わりに家までおねーさんの事聞かせておくれよ。おねーさんって意外に強くて結構気に入っちゃって――」
陰気な地底の陽気な猫の話を聞き流しながら、アリスは服に付いた臭いをどうしようかと、ジメジメした魔法の森の空気に身を委ねたのだった。