オーバーロード~割と日常で桃色な日常の結末~ 作:へっぽこ鉛筆
さらに、キャラが崩壊しているので、苦手な人は読まないでください。
「お久しぶりです。みなさん」
ナザリックの地下第十階層、その中に響く、割れんばかりの歓声のなか、アインズは両手を広げ、その人たちを向かい入れた。いや、もはや、アインズではない、モモンガとして、ナザリックに帰還を果たした仲間たち、鳥人、スライム、その他、異形の怪物たち、すべてが懐かしくも、友と呼んで差し支えないアインズ・ウール・ゴウンの至高の41人
「本当に、みなさん・・・お帰りなさい。本当に・・・本当に、嬉しいです。」
そして、腕を広げ仲間を迎え入れるアインズ・・・の、となりを通り過ぎる仲間たち
一瞬、肩透かしを食らったように、空を切る腕、そして後ろを振り返ればその理由はすぐに分かった。
「酷いじゃない、モモンガくん、私のマーレに、こんな・・・」
見れば、マーレ抱きしめるぶくぶく茶釜さん。男の娘から、女の子にされ、さらに二児の母となったマーレを抱きしめている。
「僕もだよ。せっかくアルベドを君に任せたのに・・・しかも、設定まで変えて、こんなことをするなんて」
そして、異形の触手を動かし、アルベドの大きくなったお腹を心配するタブラ・スマラグディナさん
「いやー、流石っす、モモンガさん・・・まさにエロ同人誌みたいな展開、いいNTR展開頂きました。」
全裸に尻尾とおしゃぶりをつけただけの、シャルティアの頭を撫で、犬が喉を鳴らすように足元に擦り寄り少女に満足げに笑うペロロンチーノさんを、ぶくぶく茶釜さんがしばいている。
違うんです。違うんです。みなさん
「やっぱり、モモンガさんにギルドマスターは無理だったんだね。」
「さぁ、マーレ・・・一緒にGMに通報しようね。」
「ところでモモンガさん・・・前世紀に、みさくらなんこつという偉人がいたんですが・・・」
違うんだ。これは・・・俺は、みなさんの子供を、愛して・・・合意の上で・・・いや、アグネス法だけは、やめて
手を伸ばすが自分の周りを離れていく仲間たち・・・アインズが必死に伸ばすては、虚しく空を切る。
いやだ・・・みんな、また、俺を置いていかないで、くれッ・・・
「ア、アインズさま・・・アインズさま・・・」
寝室で目を覚ませば、そこは見知った天井だった。
自分の子供であり、麗しい我が君・・・正妃のマーレが心配そうにこちらを覗き込む。
ハンカチで骨だけの額を拭う少女のなだらかな裸体を見て、僅かに落ち着いたアインズは、その柔らかで慎ましやかな胸に顔をうずめる。
人間に変身し、妻たちと夜を共にするようになったアインズは、人間としての欲求が少しずつ戻るという現象が出てきた。アンデットの時は感じなかったが、人間に戻った時には、食欲もあり、性欲も感じる。そして、睡眠をとり休息できるというゲームで言えばペナルティーもアインズには嬉しいことだった。
特に、こうして美しい細気味を抱いて眠れることは、日々の激務の中、掛け替えのない安らぎになっている。
「マーレか・・・ありがとう。しばらく、このままで・・・いさせてくれないか・・・」
母になり、また、丸みを帯びた身体、その小さな蕾を甘く噛めば、少女の口から小さな悲鳴が漏れる。
「ひやぁ・・・ア、アインズ、さま・・・その、ぼく・・・まだッ、じゅ、準備が・・・」
「構わないさ。少し怖い夢を見てな・・・すぐに、やめる」
僅かに、ミルクの匂いがするそこに顔をうずめ、その頭を優しく抱きしめるマーレが、安心させるように手のひらでポンポンと背中を叩く、本当に、情けない支配者だな。と心の中で自嘲すれば、少女を抱きしめ
「大丈夫ですアインズさま・・・怖い夢なんて、僕が、追い払っちゃいます、から・・・」
「それは頼もしいな。それでは、もう少し近くに・・・ん?」
抱き寄せようとすれば、何か下半身に違和感を感じる。なにか、モスラの幼虫か、象の鼻のようなものが腰のあたりに当たったような。
「ど、どうしました?アインズ・・・さま?」
不安そうに、こちらを見つめるマーレ、それから逃げるようにベットの端に逃げれば、何かを蹴飛ばしてしまう。
ぼんやりとした魔法永続光に照らされ、床に散らばったポーション瓶がカラカラと乾いた音がした。いくつもの、いくつもの空瓶を何に使ったのか、振り返れば、少女らしい体つきのマーレ、その視線が下ろされ
「マーレ・・・お前・・・おとこに、戻った・・・のか?」
「何を言ってるんですか、アインズさま・・・僕は、女の子、ですよ。いやだなぁ・・・アインズさまは、今晩も僕を、愛してくれたじゃ、ないですか・・・?」
「いや、しかし・・・」
無数のポーションを見れば、薬品の効力が切れたとは考えにくい、それに気づいたのか、マーレが緑色のポーションを下半身・・・鈴木悟よりも立派なものに振りかける。ポーションは人体に吸収されるが、効果は全く現れない。
「あははッ・・・これも、役に立たないみたいですね。」
ポーションが効かなくなる?医薬品の拒絶反応かわからないが、マーレは気にした様子もなく、ポーションの瓶を投げ捨てる。毛長な絨毯にポトリと落ちた瓶が転がり、他の瓶とぶつかる。色違いの瞳を見開いたままこちらに笑いかけてくる。
「どうしたんですか、アインズ様・・・僕、もう、アインズさまに、愛して、貰えないん、ですか・・・」
「そ、そんな事はないぞマーレ・・・私は、男の娘でもお前のことを愛して――」
「嘘だ――ッ!!」
やけに、無邪気・・・いや、狂気に近い純粋な愛情を向ける少女、いや、少年、の瞳が近づきその、濁ったガラスのような瞳が自分を映し出した。突然の音量と感情の変化に戸惑えば、その場に尻餅を付くアインズ・・・その骸骨の顔を冷たいものが通り過ぎる。
ザクッ――そんな、軽い音とともに、絨毯の床に突き立ったものは、刃こぼれのした鉈だった。低位のアイテムではダメージを負わないこの体でも、その鉈ならば首をはねとばすことのできる。そんな、錆と血糊で汚れた凶刃、それを、マーレのたおやかな指で持ち上げる。
少年の唇が近づき、僅かに、身構える。
触れるか触れないかで、骸骨の顔に息がかかれば、地獄の底から響く・・・コキュートスの冷気より冷たい息が、頬を撫でた。
「ほら、やっぱり・・・キス・・・してくれない、んです、ね・・・っ・・・」
「いや、違う・・・マーレ、違うんだ。」
「やっぱり、こんなもの、付いてるから・・・アインズ様に、愛してもらえ、ないんですか・・・」
鉈を抜き、片手で弄ぶマーレ、恐怖・・・感情はないはずなのだが、それに近いものに支配された身体が動かずに、ぼんやりと少年の行動を見ていた。そして、気づいたときには・・・
ガリッ、ザシュッ――耳を塞ぎたくなるような肉を裂き、骨を削る音・・・普段、戦闘で聴き慣れた音のはずなのに、アインズはその場から目を逸らす。そして、僅かに聞こえる液体が吹き出し、絨毯に染みを作る音・・・そして見てしまった。普通なら、激痛に気を失ってもおかしくない行為に狂った笑顔を貼り付けた少年が、先程まで下半身なあった肉塊を片手でつまみ、床に投げ捨てる。
血に染まった下半身は、生物というより、アンデットのようなグロテスクさ、それでも、美しい少年でも少女でもないそれが、アインズに向かって花のような笑みを浮かべた。
「これで・・・これで、アインズ様、僕を、愛してくれますよ、ね。愛して・・・くれますよ、ね・・・アインズさま、僕を、愛して・・・くれ、ますよ、ねっ・・・ぇ・・・」
壊れたラジオのように繰り返された言葉、血液が絨毯のシミを広げ、血の池になるほど侵食すれば、アインズは絶叫を上げてその場を逃げ出してしまった。
「何なんだ、あれは、何なんだ、あれは、何なんだアレはッ!?」
重厚な扉を開け、逃げ出した先、怖くて後ろを振り返らずどこをどう逃げたかわからなかったが、思わずアインズはそのドアに逃げ込んでしまった。
「あら、お帰りなさいまさ、アインズさま・・・」
そして、その部屋を見て驚いた。なんというか、ナザリックに不似合いというか・・・2LDK程の広さのアパートを思い起こさせる部屋から聞こえたのは、守護者統括、アルベドの声だったからだ。
エプロンに質素と言って差し支えないゆったりとしたマタニティードレスの女性を見て、先ほどの惨劇と相まって、何か違和感を感じながらも、その部屋に足を踏み入れた。なんと、フローリングのキッチンと、居間は畳という、日本の古き良き新婚夫婦が住むような間取りが、より一層、違和感を醸し出す。
「どうなされました。アインズさま?」
不思議そうにこちらを見たアルベド・・・には、翼と角があるので、問題はないのだろう。いつものお遊びかな。と、ここは靴を脱いで、部屋に上がり
「いや、すまなかった。アルベドよ。しかし、料理の途中なのか・・・悪魔は飲食不要だと思ったのだが、いや、それ以前に、アルベドは料理のスキルを持っていたのだな?」
「まぁ、アインズさま・・・女は、愛する人の為なら、どのようなことでもできるのですよ。」
そういう物だと納得しながら、そう言えば、先ほどの惨劇はなんだったのだろう。キッチンの横を通れば
「ささ、おかえりなさいませアインズさま、まずは、私にしますか?それとも、私にします。それとも、わ・た・し。」
いつものようなおフザケだろう、それすらもおかしく思え、大分に心の平静が戻ったのだろう。アルベドがかき回す鍋を見てみれば
「・・・お、おい・・・これは・・・」
「うふふっ、ダメじゃないですか、アインズさま・・・まだ、料理は、できてませんよ。」
艶やかな黒髪を揺らし、いつものように上品に笑うアルベドがオタマでかき回している鍋の中は
――空鍋だった。
まったく、何も入っていない鍋が、弱い火で熱せられ続けているのだろう。カタカタと音を立てる。それを、鼻歌を歌いながら、瞳孔が開いたガラス玉のような瞳で、嬉しそうにかき回すアルベドに、思わずアインズは、一歩後ろに下がる。
それに気づいたのだろう。美しい、病的に美しい顔が近づけば、官能的と言って良い指先がアインズの頬を撫でる。ぬるりと、粘ついた感触が伝いなにか気にすれば、固まりかけた血糊が白い骨を汚した。
「もう、アインズさま・・・お料理の最中に覗き込むなんて・・・もうすぐ、もうすぐお料理ができますよ。もう少しまってくださいね。この・・・このお肉を、捌いたら・・・すぐに、お料理ができますから・・・ぁ・・・」
なにか巨大な肉の塊を二つ、それは、ちょうど、アインズとマーレの愛の結晶・・・生後6ヶ月位の赤ん坊と同じ大きさの肉の塊だった。
出刃包丁を振り回す、アルベドを止めようと声をかける。そして、見てしまった・・・
美しく、気品に溢れながらも、表情がそげ落ちた瞳に映る、薄暗い狂気の炎を――
「ふふっ、どうしましたか・・・アインズさま、すぐに、この肉の塊・・・バラバラにして、アインズさまに、お出ししますね・・・この、家畜の肉・・・きっと、柔らかくて、美味しいと思いますよ。私の・・・わたしのぉ、アインズさまは、奥様の手料理を・・・居間で、まっていてくださいねー、ああ、それとも、やっぱり、先に、わたくしを食べますかぁー」
「おい、その・・・お前、それは、赤ん坊・・・」
「・・・何を言ってるんですか?アインズさま」
一瞬、怒気にも似た声を放つアルベド、しかし、すぐに、うっとりと慈愛に満ちた表情で自分のお腹を撫でた。
「アインズさまの赤ちゃんは、この子だけ、です・・・うふふっ、この子だけ・・・この子、だけ・・・他は、みーんな、偽物・・・このこだけ・・・コノコダケェ・・・ッ・・・」
アルベドの手が純白のマタニティドレスを触れば、赤黒い汚れが広がり、より一層、狂気の度合いを高めてくる。なにか、ニグレドの部屋・・・いや、タブラさんの教えてくれたホラー映画を思い出す。
そして、それに触発されたのだろうか、2LDKの部屋が耳障りな音を立てる。まわりを見れば、部屋の壁は朽ち果て、ヒビや赤錆が浮かび、さらには、子供の泣き声のようなノイズが耳奥にこだまする。
開いた眼孔は瞬きもせず、包丁で肉塊をメッタ刺しにするアルベドに背を向け、錆び付いた重いドアを開いたアインズ、なにか、引きずるような音を立てて追うそれを振り向きもせずに、ひたすら、ナザリック内であろう場所を走り逃げた。
なんなんだ、アルベドも・・・世界級アイテムの影響か?
違うような気がするが、最近は、上手くパワーバランスが取れていたナザリックで、あんな・・・
そこで、アルベドが調理していた・・・何かわからない肉塊を思い出して、胃の辺りがキリキリと痛む。
とりあえず、誰かに連絡を、デミウルゴスを中心に、コキュートスと、アウラ・・・それにシャルティアに捜査をさせて、と考えていたとき
「そうだ、シャルティアだ。あいつが一番危ない――」
「私がどうかしましやんしたか、アインズ様?」
うわぁ、と、一瞬、動揺をしつつ、すぐに平静に戻っていく、後ろに居たのはいつものゴシックロリータのボールガウンの少女が不思議そうにこちらを見上げている。礼儀正しくスカートの裾を摘んで一礼される。
(よかった・・・シャルティアは、まとも・・・なのか?)
息を呑み、薄氷を踏むように紅い瞳の少女を見れば、異変はないようだ。いつものように鷹揚な態度を取り平静を装う。
「うむ・・・シャルティア、良いところに居たな。お前をちょうど、探していたところだ。」
「はい、アインズさま、シャルティア・ブラッドフォールン、御身の前に・・・なんなりと、命じてくれでありんす。」
膝をつき、その場に忠誠を示す少女、とりあえずその態度に安堵を覚えながら、シャルティアに手をかざし「付いてこい、ほかの守護者にも聚集をかける」と命ずる。嬉しそうに、ハイヒールが小走りに近寄り、アインズの神器級アイテムのガウンを踏んだ。
別に、気にする様子もなく、振り返れば、シャルティアがその場で震えている。
「おい、シャルティア、どうしたの、だ?」
何が起こったかわからず、少女の華奢な肩を抱けば、蒼白な顔を上げ、今にも泣き出しそうに目を潤ませた少女
「わ、私・・・アインズさまの、御身衣を・・・ふ、踏むなど・・・ッ」
「どうした、そのようなこと気にしてはいないぞ・・・それより・・・ぃ・・・?」
震える唇で声を紡ぐシャルティア、明らかに様子が変だ、肩を抱き、顔を上げさせれば「ヒィ―ッ」と短い悲鳴を上げ、その場に平伏し、さらに・・・
「お、お許し・・・ピチャ・・・ください、ピチャッ、アインズ、しゃま・・・チュ、チュッ・・・」
突然、靴を舐めだしたのだ・・・一瞬、何が起こったのかわからなかったが、その異常な光景に、思わず脚を上げる。
その拍子に、シャルティアの顔をアインズのつま先が蹴った。しまった、と、後悔しながらも「大丈夫か?」とシャルティアを助け起こそうとすれば、その目には欲望に酔ったように恍惚としている。
しかし、すぐに正気に戻り、平服し「ごめんなさい」を繰り返すシャルティア、まずい、シャルティアにも異変が起こっているのか?
何も言葉をかけないアインズ、それに焦るように・・・子供が親の気を引くように恐怖と焦燥を浮かべた瞳、そして、更には、ボールガウンのボタンを外し、衣服を脱ぎ去っていく、美しい少女の裸体・・・シミ一つない絹のような白磁の肌、ではなかった。
「ア、アインズさま・・・罰を、罰を与えてください。卑しい奴隷に・・・ムチを、与えて・・・ッ・・・」
衣服を床に落としたシャルティアの裸体には、革の拘束具のような下着は、その・・・根本的に、少女の大切な場所を隠しておらず、羞恥を煽るようなスリットや金具が付けられている。さらに、最高級の白磁のような美しい肌には、殴打や擦傷、縄跡、火傷、さらには、切り裂かれ、乱暴に縫い合わせたような縫合跡まである前衛芸術のようにむちゃくちゃな痕が刻まれていた。
明らかに被虐の痕、そのような行為をした覚えはないのだが、自傷したのか?と、その醜い傷跡を見られ、恍惚と、荒い息で自らの濁った熱を吐き出すシャルティア・・・それをみて、アインズは思い出す。
確か、ヴァンパイアの超回復能力があれば、傷等残らぬはずだが・・・いや、デミウルゴスの言葉を思い出す。回復を本人が望まぬ場合は、傷は不完全に回復すると、さらに、その肌を鈍く写すように、各所に奴隷の証としてか、ピアスが穿たれていた。
「アインズさま・・・奴隷に罰を・・・ぉ、お願いします。罰を与えて・・・ッ、痛みを与えて・・・ください・・・ぃ・・・」
「シャルティア、そのような場合では・・・クソッ、〈伝言/メッセージ〉デミウルゴス、コキュートス、アウラ・・・早く、この異常事態を・・・ヒィッ」
被虐を求めてなのか、アインズに歪んだ依存心を抱いているのか、澱んだ瞳で見上げる少女の手が足首を掴む、そして、ナザリックの回廊、永続光で照らされているはずなのに、闇の中、何か重いものを引きずるような音が近づいてくる。
「ア、アインズさま・・・ぼくを・・・見て、くださ、い・・・」
下半身を血に染めた、鉈を引きずるマーレ、そして、振り返れば――
「ほーら・・・赤ちゃん・・・んっ、私と、アインズさまの、可愛い、あかちゃん・・・あはっ」
「アインズさまぁ・・・もっと・・・わたしに、お仕置き・・・ッ、お仕置きして、ください・・・ぃ」
逃げられない。三人の愛姫たちに囲まれたアインズは、その場で絶叫した。
「ちょ・・・アインズさま、アインズさま・・・?」
「うーん、う・・・ん、助けて・・・ぇ・・・はッ!?」
気がついた。かなり汗をかいているのかじっとりと下着が肌に吸いついている。恐怖で目を開ければ、覗き込むような色違いの瞳・・・丁度、マーレちは逆のエルフの少女、アウラが心配そうに見下ろしている。一瞬、思考が混乱する。さらに、隣からはマーレ姫の赤ん坊のあやす。
「な、なんだ、眠っていたのか、アウラ・・・それに、マーレも?」
「アインズさま、お疲れなんですよ。あたしの膝の上でよければ、ずーっと、お使いしてくれていいんですよ。」
「ず、ずるいよ。お姉ちゃん・・・僕も、アインズ様に膝枕、あ、ああ、モモル、ヒゲを引っ張っちゃだめだよッ」
隣に座り、元気な赤ん坊の笑い声が聞こえ、その隣に「い、痛いでござるよー、王子ー」と、情けないハムスケの声が聞こえる。微笑ましい光景だ。
「ああ、アインズさま、お目覚めでありんすか?」
「よくお眠りでしたね。ささ、次は私の膝を、お使いください。アインズさま」
見れば、大きなお腹を心配するシャルティアと幸せそうな笑顔のアルベドが、ゆったりとした足取りで草原の上に敷かれた絨毯の上に腰を下ろす。
そこで、太陽の光に目を細める。人工ではない自然な風が吹き抜けた。今日は、守護者全員でリザードマンの集落、その湖に遊びに来たのだ。ピクニック気分で、寝転んだところ、そのまま眠ってしまったのだろう。ポーションで人間の姿に変身したままアウラの膝の上で目を覚ましてしまった。
「そ、そうか・・・アウラ、すまなかったな。足は大丈夫か?」
「そんな、とんでもないです。アインズさま、あ、その、そのままお耳の掃除もいたしましょうか・・・その、恋人同士は、そういうこと、するって言うし・・・(ボソボソ)」
「あー、ずるいでありんす。チビ助――アインズさま、そんな固くて骨ばった膝枕よりの、わたしのやわらかーい、膝の方がいいでありんすよね。」
「黙りなさい、二人共ッ、ささ、アインズさま、こちらに・・・耳かきだけでなく、耳舐めから、あちらの方のお掃除も、全て、第二王妃であるこの私に、任せてくださいませ――」
「あ、あわわ・・・み、みなさん、静かにしないと、モーレが起きちゃいま・・・あっ、コラッ、モモル、ハムスケさんの尻尾を噛んじゃ、だめぇ・・・」
「痛いでござるよ。痛いでござるよぉ、王子ィ」
騒がしい姫たちの声が、湖周辺を警護するリザードマンたちが、呆れたように、微笑ましく見ている。アインズはやれやれと寝返りを打ち、愛すべき姫たちの膝の上で、もう一度、寝息をたてたのであった。
そして、それに背を向けて、釣り糸を湖に垂らす、守護者が2名
「釣レヌナ・・・デミウルゴス・・・ッ」
「そうですね、コキュートス・・・まぁ、我々は、気長にアインズさまの食料調達を行いましょう。」
アインズ様「いやー今回は、危なかったなー、やっぱり、アウラが一番落ち着くなー」
――ツンツン
シャルティア「あの、アインズさま・・・できちゃった。でありんす。(///)
――ザシュッ
アウラ「シャルティア・・・やっぱり、うそだったじゃない・・・中に・・・誰もいないよ・・・」