終末の物語   作:Wiseman

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お久しぶりです。


第十二話 天の羽衣

 …………気がつくと、見滝原の市街を吹き荒らしていた暴風は鎮まり、暁美ほむらは、つい先ほどまでの砲火が嘘のような静寂の中にあった。静かだ。聴覚が麻痺してしまったのではないかと疑うほどに、静かだった。

 遠方の宙に漂う二体の天使が、ずっと視界に映り続けている。悪魔を殺すためにやって来た彼女達。彼女達は本当に、戦う意志を放棄してしまったのだろうか。魔法も何の力も持たない、たった一人の少女の言葉によって。まどかの発した一言によって、混沌の渦に転がり落ちていた両者の戦いは終結しようとしていた。

 暁美ほむらは呆気にとられていた。混乱していた。

 天使達が、戦いを放棄したからではない。

 自分は確かに、まどかに拒絶の意志を示した。今のまどかの目に、自分はどう映っているだろうか。そう考えるだけで、まどかが今この場にいること自体が、ほむらにとっては耐え難い苦痛だった。身体の一部は欠け、憎悪の塊と化してしまった自分。

 その自分を、まどかが今、抱擁している。

 膝をつき、傷だらけの身体を引き寄せ、両腕を背中に回し、包むようにしてほむらの身体を抱いている。

「冷たい……」

 まどかの呟く声が聞こえる。ほむらの身体が、よほど冷たかったのだろうか。

 一方のほむらは、彼女の言葉とは真逆のことを感じていた。温かい。とても温かい。そう感じた瞬間、身の強張る思いがして、ほむらは彼女の抱擁から逃れようと身体を動かした。

 自分に、彼女の温もりを受ける資格はない。彼女の慈悲を受ける資格はない。この身体は、他者の血で穢れている。この魂は、憎悪に染まっている。まどかの手が自分に触れることなど、あってはならない。

 けれどまどかは、ほむらを離そうとはしなかった。人ひとりを突き放す力さえ失ってしまったのか、あるいはまどかの力が強すぎるのか、ほむらにはそれさえ分からない。

 まどかのその行為は、暗闇の底を彷徨い、凍りつき、乾き、ひび割れていた魂を、必死に掬い上げようとしているかのようだった。

「全部わかったよ。ほむらちゃんが……キュゥべえからわたしを守るために、ずっと一人で頑張ってくれてたこと」

 ほむらは混乱した。まどかは一体、何の話をしているのだろうか。キュゥべえ……インキュベーターが、何だというのか。……ああ、そうだった。彼が、まどかにとって大変な脅威になるかもしれないという話だった。

 思い出すと同時に、ほむらははっきりと悟った。ここにいるまどかは、今までのまどかではない。いくつもの世界、いくつもの時間を渡り歩き、数え切れない悲しみと絶望を目の当たりにしてきたまどか――自分のよく知るまどかだ。

 記憶はやはり、封じられていただけだった。さやかがそうであったように。そして他ならぬ自分がそうであったように。まどかの記憶の蓋は開け放たれてしまった。

 思えばほむらは、この時が来るのを最も恐れていた。にも関わらず、今のほむらの心の中には、底知れぬ安堵のような感情が広がっていた。ほむらは認めざるを得なかった。この瞬間を恐れながら、本当は待ち望んでいた。相反する二つの想いを抱きながら、その片方に蓋をしてしまったことを。

「でも、教えて欲しかった。打ち明けて欲しかった。そうしたら……キュゥべえを自由になんてしなかったのに。ほむらちゃんは、いつもそう。いつも、自分ひとりで抱え込もうとするの」

 慈悲と叱責の両方を込めたような口調で、まどかが言う。

「私……本当は……」

 声を震わせながら、ほむらは言う。

「全部打ち明けたかった。全部話してしまいたかった。ずっと苦しかったの……貴方が……私のことを忘れてしまったことが……。けど、貴方が、本当の自分を取り戻してしまったら、貴方はきっと、この世界を去ろうとする。それが怖くて……怖くて怖くて」

 想いを吐露しながら、自分はなんと情けない存在なのだろうかと、ほむらは感じずにはいられなかった。結局自分は、自分が孤独になることを何よりも恐れていたに過ぎなかったのだろうか。その本心をひた隠しにするために、「まどかを幸せにする」という大義を掲げていたに過ぎなかったのだろうか。

「伝えられなくて……分かってもらえなくて……。怖かった。貴方を……憎んでしまったんじゃないかって。けど違う。本当に憎かったのは、こんな愚かな方法ですら貴方を救えない私」

 ほむらの吐露を聞き終えると、まどかは両手で強く彼女の上体を抱き寄せて、

「ごめんね」

 と呟いた。

 しばらくして、満身創痍となった杏子を肩に担いだマミとなぎさが、二人の元へと駆けつけた。

 三人を一瞥した後、まどかはほむらの両肩に手を置き、その顔を見据えた。

「ほむらちゃんにお願いがあるの。わたしはこれから、元の居場所に帰る。どうか、それを止めないで欲しい」

 慈悲のこもった笑みを浮かべながら、まどかは懇願した。

「駄目……」

 かぶりを振りながら、ほむらは弱々しい声で答える。

「お願い。このまま何もしなかったら、またあの未来が繰り返される。それを変えられるのは、わたししかいないの」

「待って……。お願い。まだ何か、他の方法があるはず」

 このまま彼女が魔法少女となることを認めてしまえば、また、あの時の繰り返しだ。ほむらは焦り、思案を巡らせた。まどかの運命を変える、新しい道は無いだろうか。

「そうだ。私と、まどかが力を合わせれば、『彼女』を超えられる。二人で力を合わせて、〈円環の理〉を消し去って……何もかも、無かった事にするの。そして、もう一度、二人でやり直すの。あの時に戻って――」

「できない」

 突いて出たようなまどかの言葉が、ほむらの言葉を遮った。

「そんなこと、できないよ」

 ほむらは再び、己を嫌悪した。自分はなんと浅はかで愚かな提案をしてしまったのだろう。こんな提案を、まどかが受け入れる筈などないのに。

 今のまどかは、かつてこことは違う時間で、魔法少女達に苦しめられ、追い詰められ、命を奪われようとしていたことも、きっと思い出している。しかしそれでも、まどかは彼女達に尽くそうとする。彼女達が絶望に沈むのを、決して見捨てようとはしない。それがまどかなのだ。

 溝は、まだ埋まっていない。まどかが記憶を取り戻したことで、心の溝が埋まったかのような錯覚をしていたに過ぎなかった。この隔たりを埋めるために、自分は一体何をすればいい?

「ほむらちゃんの気持ちはわかってる。わたしはその為に、また大切な人達とお別れしないといけない。とても辛いよ……」

「だったら……!」

「けど、わたし気づいたの。大切な人達と別れるのと同じくらい辛いことがある。助けられるかもしれない人達のことを、見捨てちゃうこと。わたし、あの時ほむらちゃんに問われてから、ずっと考えてた。幸せって何だろうって。今なら、その答えを見つけられそうな気がするの。だからお願い」

 ほむらははっきりと悟った。もはや、彼女を止めることはできないのだと。

 だが、ほむらには、どうしても彼女を止めなければならない理由があった。今後のまどかと魔法少女の運命に関わる、重要な懸案がある。

「貴方を止める理由は、それだけじゃない。インキュベーターに、何もかも話してしまったのよ。魔女のこと、〈円環の理〉のこと、まどかのこと。あいつはきっと、どんな手を使ってでも、貴方の力の秘密を暴こうとする。そうなれば、貴方の望む世界は、きっとそこで潰えてしまう」

 それが、最も恐れていたことであった。インキュベーターの飽くなき未知への欲求は、いつか彼ら自身を神をも超える存在へと押し上げるだろう。その時まどかは彼らに支配される存在となり、魔法少女が魔女へと変貌する様を、ただ見届けるだけの存在へと成り果ててしまう。

「そうだね……そうかもしれない」

 まどかも、その可能性を認めた。

「けどね、わたし、ここに来る途中で気づいたの。まだ希望はある。その希望のためにも、わたしはわたしの願いを叶える必要がある。だからどうか、わたしを信じて欲しい」

 彼女の発した「希望」という言葉が、闇の底に沈んでいたほむらの心に、小さな火を灯した。だが、彼女の言う「希望」が何であるのか、わからない。まどかを信じたいが、信じ切れるだけの根拠が得られず、ほむらは返答に迷った。

 まどかはほむらの返答を待たずに立ち上がった。そして、駆けつけた三人へ眼差しを向け、彼女達の元に歩み寄った。

 まどかが最初に心を向けたのは、なぎさのようだった。

 彼女は暗い表情を浮かべながら俯き、まどかと目を合わせようとしなかった。その表情には、自分のしたことへの後悔が滲み出ているかのようだった。彼女の願いどおり、戦いは終わろうとしている。しかし、そのために、キュゥべえという新たな火種を解放してしまった。その選択は、正しかったのだろうか。

「わたし……」

 なぎさが何かを言いかけると、まどかはなぎさに歩み寄り、そっと両手で包むようにして彼女を抱擁した。

「何も言わなくていい。あなたのしたことは間違いなんかじゃない。だって、あなたのおかげでわたしは魔法少女になれるの。あなたのおかげでみんなを救えるの。だから胸を張って。あなたは、みんなの為に立派に戦ってくれたんだから」

 なぎさの目に、大粒の涙が浮かび上がった。これまで抱えていた後悔や迷いが、まどかの言葉によって、一瞬にして消え去ったかのようだった。

「うん」

 なぎさは、大きく頷いた。

 次に、まどかは傷だらけになって座り込んでいた杏子の元に歩み寄り、膝をついて彼女を抱いた。

 短い沈黙の後に、杏子が口を開いた。

「考え直す気は、ないんだな」

 遠くへ旅立とうとする友を惜しむような顔つきで、まどかに問う。

「うん」

 微笑みながら答えると、まどかは少しの間、無言で彼女を抱擁し続けた。

「すごくほっとした。こんな姿になっても、杏子ちゃんは杏子ちゃんのままで居てくれて」

「え……」

「自分を信じて。いつかまた、さやかちゃんとも逢えるから」

 まどかの言葉の真意を理解できなかったのか、杏子は困惑の表情を浮かべる。

 まどかは立ち上がって、隣に立っていたマミと向き合った。

 二人はお互いに歩み寄り、両手を互いの背中へ回すと、強く抱擁し合った。

「ごめんなさい……あなた一人に、すべてを背負わせることになってしまって……」

 涙を流しながら、マミは言う。

「これでいいんだよ」

 優しい声で、まどかが答えた。

「マミさんに、伝えたかったことがあるの。こことは別の世界の話。わたしね、マミさんに憧れて魔法少女になったんだよ。みんなのために頑張るマミさんを見て、わたしもあんな風になりたいって。……それがわたしの始まりだった。だから、マミさんに見届けて欲しいの。これからわたしがすることを」

「わかったわ。けど、約束して……いつかまた逢えるって」

「……約束する」

 まどかが振り返ると、この時を待っていたと言わんばかりに、キュゥべえが暁美ほむらの傍らに佇み、まどかに視線を向けていた。まどかは再び、ほむらの元へと歩み寄る。

「ひとりの少女の願いが、宇宙の在り方そのものを変える。君には畏敬の念すら覚えるよ。さあ、見せてくれ。君の魂の輝きを。君の起こす奇跡で、世界を変える様を」

 よくもそんな台詞が出てくるものだ。畏敬の念などと言いながら、この小動物は今この瞬間も、まどかを利用する方法を画策しているに違いない。

 まどかは彼を一瞥すると、半ば無視するようにすぐさま目を背け、暁美ほむらの目の前で膝をついた。

 そして、そっとほむらの両肩に手を添えると、微笑みながら、彼女に語りかけるように、自身の願いを言葉に発した。

「すべての悪魔を、人間に戻したい――」

 

 

 まどかの身体が、眩い光に包まれた。

 眼の奥を焼かれるような痛みを覚えて、ほむらは思わず目を細める。

 同時に、己を悔いた。自分は一体、何をしていたのだろうか。まどかの力ならばどんな奇跡も起こせると知りながら、ただ黙って見ていることしかできなかった。彼女を止めることができなかった。

 まどかの願いの対象には、間違いなく自分も含まれている。しかし、それはあってはならない。自分は赦されてはならない。この穢れから解放されてはならない。自分は一生、この穢れを背負って生きていかなければならない。自分は、それだけの罪を犯してきたのだから。

 ほむらの拒絶とは裏腹に、まどかを包む光はさらに眩しさを増し、まどかの発した願いが現実のものになろうとしていた。

 

 真っ先に変化が起こったのは杏子だった。胸元のダークオーブが赤く眩い光を発すると、瞬く間に穢れは消え去った。光へと変化した彼女の魂が、胸元から徐々に身体の内部へと浸透し、その両肩に携えていた翼は朽ちるように崩れ落ちた。

 気がつくと杏子は、魔法少女でも悪魔でもない、ごく普通の人間の姿へと戻っていた。

 普通の人間は、自身の魂の在処を自覚することは出来ない。しかし、この時の杏子の心は、あるいはただの錯覚かも知れないが、奪われた魂を自身の手に取り戻したかのような、不思議な温かい感覚に満ちていた。胸元に手を当てながら、彼女はその不思議な感覚の余韻に浸っていた。

 

 

 その光景を見守っていたなぎさは、今は遠くにいる母が、同じようにして穢れから解き放たれ、普通の人間へと戻っていく様を夢想した。何も知らない母は突然の出来事に驚くかもしれない。しかし、自身の願いをまどかに託すことで、なぎさは自身の本当の願いを果たした。

 なぎさは杏子のもとへ駆け寄った。傷はすっかり癒え、目にはかすかな輝きが戻っていた。衝動的に彼女に抱きつくと、確かに人間の体温があり、そして少し、お菓子のにおいがした。

「なんだよ」と呟きながら、杏子はきょとんとした表情を浮かべていた。

 

 

「ほむらちゃん!」

 まどかの叫ぶ声が、耳に届く。

 暁美ほむらの視界には、自分の肩に手を置きながら、困惑するまどかの姿だけが映っていた。

 彼女が戸惑うのも無理はない。自分が、持てる力のすべてを使って、まどかの起こそうとする不条理を覆そうとしているのだから。

 杏子や他の悪魔達は、もう人間に戻ってしまっただろう。だが自分は違う。彼女達のように、やすやすと運命を受け入れたりはしない。自分には力がある。たとえまどかの願いであろうとも、退けるほどの強い力が。

「どうなってるの?ねえ、キュゥべえ」

 困惑しながら、まどかが彼に問う。

「まどかの願いに抵抗しようとしているんだ。願いが成就しなければ、まどかは魔法少女にはなれない」

 まどかはほむらから発せられるオーラを押し退けるようにして、彼女の肩に再び手を当てるが、為す術を見いだせず、呆然とほむらの顔を見つめ続ける。

「ねえ、ほむらちゃんっ。お願いっ。わたしを受け入れて!」

 まどかが再び叫ぶ。だが、無駄な叫びだ。彼女の願いが遂げられることは、決して無い。

「まどか!」

 叫ぶ声が聞こえて、まどかは振り返った。杏子が身を乗り出して、何かを訴えるようにまどかの顔を見ている。

 杏子はそれ以上言葉を発しなかったが、まどかは彼女の言おうとしていることを察したように、ほむらに視線を移して微笑みかけた。

「ほむらちゃん。あなたはずっと、わたしの為に戦ってくれた。だから、これからはあなた自身のために生きて欲しいの。けど、それでもあなたが戦い続けることを望むのなら、あなたにはチャンスがある。だって、そうでしょ?あなたは人間に戻れる――」

 優しく微笑みながら、まどかは言った。

「それは、もう一度奇跡を叶えるチャンスがあるということだから」

 彼女の言葉を聞いた瞬間、ほむらの脳裏に、潰えかけていた遠い過去の記憶が、鮮明に蘇った。

 破壊し尽くされた見滝原の街の真っ只中で、魂の消えたまどかの抜け殻を見守りながら、普通の人間としての生き方を捨てる覚悟をしたあの瞬間の思いが、再び心の中に湧き上がるのを感じた。

 それと同時に、悪魔に身を堕としてから今日までの行いの数々が、悪夢のように脳裏に再生された。

 まどかの仇となる魔法少女達を葬り、生きることを望む魔法少女の魂を奪い、なぎさを利用し、まどかの親友を手にかけ、魔法少女の希望の光を奪おうとした。そのすべてが、大きな悔恨となって、心に重くのしかかった。

 ほむらは顔を上げ、まどかの顔を見た。

「まどかは……私を赦してくれるの?大勢を傷つけたのに……貴方の心さえ踏みにじったのに……?」

 問われたまどかは、笑みを浮かべながら答える。

「ほむらちゃんはどう?自分を赦せる?自分のしてきたこと、自分のしようとしたこと……」

 その言葉が、ほむらの心に重くのしかかる。赦せるはずがない。赦されざる行いを、自分は繰り返してきた。

「だって、ほむらちゃんは知ってる筈だよ?魔女になるのがどんなに辛いか、どんなに苦しいか。なのに、みんなが魔女になるのを見捨てちゃうなんて、わたしの知ってるほむらちゃんは、そんな酷いことしないよ」

 まどかの顔を見続けることに耐えられなくなり、思わず視線を落とした。

「だから、ほむらちゃん自身が自分を赦せるようになるまで、わたしも、あなたを赦さない。……でも大丈夫。あなたには、どんな願いも叶えるチャンスがあるから」

 言葉を交わす間に、ほむらのダークオーブが発していた光は次第に弱まり、彼女は人間の姿へと戻っていった。残された左の翼が肩から落ち、朽ちていく。

 それと同時に、ずっと心を支配していた憎悪が、遠い過去の感情のように薄れていくのを感じた。

 思いがけなかったのは、失われたはずの右腕が戻っていた事だった。動かそうとすると、右腕は自分の意思通りに動いた。それは紛れも無く、自分の右手であった。

 同時に、まどかの身体は魔法少女の衣装に包まれていった。薄れかけた記憶の中にある、戦うまどかと寸分違わぬ姿であった。

 ほむらは、はっきりと認識した。まどかは自分を赦したから人間に戻したのではない。罪滅しをさせるために、人間に戻したのだ。そのために与えられた、たった一度のチャンス。どんな願いでも叶えられるチャンスを、ほむらは再び手にした。

 直後、地面が激しく揺れると同時に、周囲が轟音に包まれた。

 その場にいた五人は一様に、街の郊外に並ぶ、遠方の山々に目を向けた。

 空から黒い塊が舞い降り、山の上に何かを形作ろうとしていた。

 黒い塊は次第に大きくなり、空高くそびえる塔のような構造物へと姿を変えた。

 暁美ほむらは、その塊が塔というより、むしろ巨大な樹のような造形をしていることに気がつくと、戦慄のあまり身を震わせた。

 それはこの世界に存在する筈のない、ありとあらゆる生命の魂を喰らう、究極の呪いの権化だった。

 ほむらは目の前に立つまどかに視線を向けた。その表情は見えなかったが、彼女もまた、その黒い大樹の正体をはっきりと認識している様子であった。

 

 

 

 

   ――――

 

 

 「彼女」が現れた途端、見滝原の市街は再び混沌の只中に沈んだ。街全体が無重力空間に放り出されたかのように、破壊された建造物の残骸が宙を漂う。

 マミ、杏子、なぎさの三人が、目を剥いてその光景を眺めている。彼女の存在を前にして、恐怖を感じない者はおそらく居ないだろう。

 大樹は注意深く観察すると、一本の巨大な幹というより、何本もの細い根が折り重なってその形をつくっていた。根は地中深くまで伸び、やがて世界全体を覆い尽くす。そして、この星のありとあらゆる生命を吸い上げる。それが、かつての彼女によってもたらされる「救済」の在り方だった。

「まどか……あいつは……!」

 ほむらが、警告するような甲高い声を上げる。

「わかってる……わたしのこと、迎えに来たんだね」

 まどかは改めて、かの大樹が自身の呪いによって生まれた存在であることに対し、戦慄とか恐怖といった言葉では言い尽くせない感情を抱いていた。

 それと同時に、あることに気がつく。

「ほむらちゃん。わたし、ずっと不思議に思ってたことがあるの。向こうにいるわたしは、一体誰なんだろうって」

「あいつは何者でもない。ただの抜け殻よ」

「違う……違うの。あれは、抜け殻なんかじゃない。怒ってる。悲しんでる」

 やがて、まどかの脳裏に、封じられていた記憶が鮮明に浮かび上がってくる。

「わたし、あの時……あなたに引き裂かれそうになった時、思ったの……あなたを救えなかった……あなたに、裏切られたって……」

「まどか……」

 ほむらの目が、大きく見開かれる。

「けどわたしは、そう感じてしまった自分が許せなくて……その感情を、置き去りにしてしまったの……あの子の中に」

 あのときの衝動的な行いが、このような結果をもたらすことになるなど、まどかには想像もできなかった。彼女はあのとき以来、延々と繰り返していたのだ。怒りと悲しみを。それ以外の一切の感情を忘れてしまったが為に。その結果、一度救った魔法少女の魂を利用することにも、無関係の人々を巻き込むことにも、何の躊躇いも持たなくなってしまった。

「みんなを苦しめていたのは、わたしだったんだ」

 突然、地鳴りが起こった。何かが地を這うような轟音が次第に大きくなり、やがてコンクリートの床が裂け、中から黒い樹の根が飛び出してきた。

 触手のように蠢く根が瞬く間にほむらの身体に絡み付き、彼女の身体を頭上数メートルの高さまで持ち上げた。

「ほむらちゃん!」

 まどかが慌てて弓を構える。ほむらの身体が根に強く締めつけられ、彼女の表情が苦痛に歪められていく。

 まどかは根に向けて一本の矢を放った。根は力を失い、拘束から解かれたほむらが落下する。まどかの両腕が、彼女の身体を受け止めた。彼女をそっと、床に下ろす。

 今度は爆音とともに、地面から二本の根が立ち昇った。根は遠方の宙を漂っていた二体の天使をがんじがらめにすると、天使達を地に引きずり下ろし、瞬く間にまどかの視界から消し去った。強大な力を持つはずの天使達も、彼女の前には無力だった。

 怒りに我を忘れたかのような彼女の振る舞いを目の当たりにし、まどかは悟った。

「ほむらちゃん、ごめんなさい。向こうのわたしは、あなたを決して赦さないつもりみたい」

 ほむらの身に、危険が迫っていた。彼女はもはや、悪魔ではない。何の力も持たない、ひとりの人間だ。だが、かの者の怒りはそれでは収まらない。ほむらの為してきた行いが、消え去った訳ではないから――。

 しかし、諦めるわけにはいかない。ほむらに与えた最後のチャンスを、ここで無為にすることはできない。

「もう、行かなきゃ」

「まどか……」

「本当は、もっとあなたと、いろいろなことを話したかった。今まで、あなたとじっくりお話しする機会、なかったから……。けど、向こうのわたしは、待ってはくれないみたい」

 まどかは彼女から視線を逸し、遥か遠方に立つ大樹に目を向けた。静かだが、まどかには、彼女がほむらを斃す隙を伺っているかのように見えた。

「まどか」

 ほむらの弱々しい呼び声が聞こえて、まどかは再び彼女を見た。

 彼女は赤いリボンを乗せた右手を、こちらに差し出していた。それがかつて自分の持ち物であったことも知らず、まどかがほむらに返したリボン。ほむらはそれを、再びまどかに返そうとしていた。

 まどかは歩み寄って膝をつき、広げていた彼女の掌を、自身の手でそっと包んだ。

「あなたが持ってて」

 まどかは微笑み、さっと立ち上がった。ほむらは唖然としたまま、目でまどかの顔を追う。

 大樹の方角に向かって、二歩、三歩と歩みを進める。その様子を、マミ達三人も見守っていた。

「マミさん、なぎさちゃん。杏子ちゃんをお願いね」

 三人とも、別れを惜しむような表情をまどかに向けている。その顔を見るのが辛くて、まどかはすぐに視線を逸らした。

 大丈夫だ、と、まどかは自分に言い聞かせる。これは、いっときの別れに過ぎない。彼女達と再び会えるときが、いつか必ずやって来る。

 まどかは大樹に向かって駆け出した。

 ビルの淵に足を乗せ、そこから勢いよく跳躍する。

 空気の抵抗を受けながら、ビルの側面に沿って、まどかは勢いよく降下する。

 脳裏に、ある記憶が蘇る。かつてこことは異なる時間枝で、すべてに絶望し、ビルの淵から身を投げたあの瞬間の記憶だった。

 あのときの自分の選択は間違っていたと、今のまどかは悔いるばかりであった。希望はすぐ目の前にあったのに、それを見出すことができなかった。いつどんな状況でも希望を捨ててはいけないと、かつての自分はそう信じて魔法少女になったのに、その何もかもを忘れて、自らの命を投げ捨ててしまった。

 あのときと今とでは、何もかもが違う。多くの苦難を経て、まどかは再び希望を見出すことができた。ソウルジェムとして結晶化されたこの魂を、皆のもとへ返す。長く続いた悲しみの連鎖を、今度こそ断ち切るのだ。

 地面に迫ったところで、魔力で編み出した翼を広げ、減速する。ゆっくりとアスファルトに着地し、まどかは正面に目を向ける。

 慣れ親しんだ見滝原の風景とは、何もかもが異なっていた。アスファルトを裂いて地中から現れた黒い木の根が、荒波のようにうねる。

 前方のガラス張りの高層ビルが、根元から掘り返された大木のようにゆっくりと傾く。

 急がなければ――。

 まどかは荒波のような木の根の群れを足場にしながら、数キロメートル先にあろう大樹を目指して駆けた。ときに壁のように目の前に立ちはだかる蔓を弓矢で退けながら、走り続ける。

 まどかの遥か頭上を、二、三本の太い蔓が後方に向かって伸びていく。蔓はほむら達のいる高層ビルの屋上を目指していた。

 「彼女」は依然、ほむらの命を狙い続けていた。

 まどかは立ち止まり、真上に向けて弓を構えた。放たれた矢は途中で三本に分かれ、伸び続ける蔓の真ん中を貫いた。力を失った蔓が、ビルに届く前に地面に落ちた。

 再び前方を目指し、走り続ける。前方から勢いよく伸びる木の根が、まどかの腕を掠めた。

 「彼女」がまどかを傷つけようとする理由はわかっている。まどかの魔力を消耗させ、すぐにでも自らの手でこの魂を回収したいのだろう。

 その思惑通り、大樹を目指す中で、まどかの魔力は消耗し続けた。そして、失った魔力を回復する手段を、今のまどかは持っていない。肉体を持った魔法少女としての、これは最初で最後の戦いなのだ。

 やがてまどかは、大樹の根元にたどり着いた。立ち止まり、天を見上げる。頂上が見えぬほどの長大さに、息をのんだ。

 この大樹のどこかに、「彼女」の魂が――ソウルジェムが存在している筈だ。呼吸を整え、心を研ぎ澄ませる。

 心の赴くままに、まどかは遥か頭上に向けて弓を構えた。狙うは大樹の「胸」の部分――腕のように伸びる二本の枝の付け根の中間部分だった。

 使える限りの魔力を集中させ、矢を放つ。矢はわずかに弧を描きながら天に伸び、大樹の胸に達した。

 束のように群がる細い幹の間に隙間が生じ、間からピンク色の光が零れ出る。

「見えたっ」

 まどかの目指すべき場所が、これではっきりした。しかし、それは登るにはあまりにも高いところにあった。空を自在に飛翔する力は、今のまどかにはない。湾曲する大樹の幹を足がかりに、登っていくしかなさそうだ。嵐のように吹き荒ぶ強風は、幸いにも大樹の根元で上昇気流に転じていた。風をうまく利用すれば、目標の高みに辿り着けるかもしれない。

 魔力を脚に集中させ、まどかは勢いよく跳躍した。足場にできそうな場所を探しながら、少しずつ樹の幹を登っていく。幹は波のようにうねっていて、足をかけるとすぐに不安定になった。バランスを崩しそうになりながらも、必死に上を目指し続ける。

 登るにつれ、混沌と化した見滝原の市街が、広く見渡せるようになった。既に地上から二百メートルの高さに達しただろうか。ほむら達のいるであろう高層ビルの姿もあった。彼女達は、まだ無事だろうか。

 気を取られた瞬間だった。幹の隙間から無数の蔓が飛び出し、上を目指すまどかの進路を遮った。突然の出来事に唖然とし、まどかの身体は重力に従い落下を始めた。背中を下に、まだ遥か上にあるピンク色の輝きを視界に捉えたまま、為す術もなく落下する。

 ここまでなのだろうか。この混沌を終わらせるためにここまでやって来たのに、こんな場所で――。

 突然、背中に大きな衝撃を受けた。だが、まだ地上までは落下し切ってはいない。

 視線をわずかに右に傾けると、巨大な甲冑を身にまとったヒトの姿が見えた。痛みを魔力で抑え、慌てて身体を起こす。

 気がつくとまどかは、巨大な人魚の掌の中にいた。人魚は右手に握った大剣を頭上に掲げ、水中を泳ぐように軽やかに上昇し続ける。

 人魚の剣は青い光を放ち、まどかの進路を遮っていた無数の蔓を一刀両断にしていく。

 諦めるのはまだ早い。まどかには、窮地のときに助けてくれる友がいる。そのことを、あやうく忘れるところだった。

 人魚に導かれ、まどかはピンク色の光の放たれる、大樹の中核に辿り着いた。引き裂かれたもうひとつのまどかの魂が、この先にある。

 まどかは人魚の掌から飛び降りた。ここから先は、自分ひとりで行かなければならない。

「ありがとう、さやかちゃん」

 振り返って、人魚に礼を言う。人魚は無言のまま、握った剣を上半身の前に真っ直ぐ突き立てた。まるで忠誠のポーズだ。こんなときでも冗談を忘れないのが、彼女らしい。

 

 

 人魚と別れ、まどかは無数の樹の根が左右にひしめく空間を奥に向かって進む。根の合間から溢れるピンク色の光が、奥に進むに従って弱まり、黒い穢れの入り混じった淀んだ光へと変化していく。それは過去から未来に渡り、数多の魔法少女達の魂を濁してきた穢れの集合物だった。「彼女」は魔法少女達の魂に蓄積した穢れを一手に引き受け、その魂は「彼女」と一体となる。そうすることで、魔法少女の魂の救済が果たされる。

 しかし、なぜ彼女達を救わなければらないのか――その最も大切な部分を、「彼女」は忘れてしまった。ただ彼女達の魂を回収し続ける、無機的なシステムと化してしまった。これは、まどかの望んだ救済の形ではない。

 「彼女」に、もう一度思い出させなければならない。まどかの本当の望みを。自分達の本当の使命を。そのためには、「彼女」のもとに還り、魂の合一を果たさなければならない。

 足元の樹の根が、まどかの脚を捕らえた。根は螺旋を描きながらまどかの上半身に向かって伸び、全身の自由を奪った。

 根の圧迫が次第に強まり、全身に激痛が走る。近くに、「彼女」の気配を感じる。

 やがて、明確な視覚的イメージをもって、「彼女」はまどかの目の前に現れた。

 それは白い衣を纏った女神のようなイメージだったが、身体の一部が樹と同化していた。輝きの乏しい瞳が、まどかに向けられている。

「やめて……」

 今なお身体への圧迫を続ける彼女に対し、まどかは懇願する。

「何故」

 彼女が言葉を発した。まどかによく似た声質だったが、抑揚がない。

「何故抵抗するの。此処に来たということは、その肉体はもう不要ということでしょう」

 彼女がさらに圧迫を強める。普通の人間ならば、とうに全身の骨が砕けているだろう。

「やめて……パパとママに貰った大事なものだから……だから傷つけないで」

 途端、根の力が弱まり、まどかの身体は束縛から解放された。膝をつき、呼吸を整える。

「笑わせる」

 彼女が言うが、その顔は笑っていない。

「それほど家族が大切なら、何故此処に来たの」

「大切だからだよ」

それ以上の言葉は不要だった。言葉の代わりに眼差しで、彼女に想いを訴える。

「あなたにとっても、大切なものだったはず。家族も、世界も、魔法少女も。なのに、どうしてあんな酷いこと……」

 彼女のもたらした災禍によって、世界は一度、崩壊した。大切なものすべてが、失われてしまった。

「あれは罰よ。裏切り者に対する」

 暁美ほむらのことを、彼女は裏切り者と表現した。神であるはずの彼女には似つかわしくない言葉だと、まどかは感じた。「叛逆者」や「秩序を乱す者」といった表現の方が、しっくりくる。そういった表現と違って、裏切り者という言葉には、対象への怒りの感情が込められている感じがする。

 まどかの思った通り、彼女には感情が残されていた。引き裂かれる寸前にまどかが置き去りにしてしまった、負の感情。その感情が、回収した魔法少女の魂の穢れによって、増幅してしまったのだろうか。

 だとしたら、あれは罰でも、裁きでもない。報復だ。

「貴方だって、あの裏切り者を憎んでいた筈よ。なのに何故赦すの」

「赦したわけじゃない。あの子は、償いを必要としているの。けれどあなたはその機会さえ奪おうとしている。お願い。これ以上あの子に手を出さないで」

「償いですって。一体どんな償いの道が残されているというの」

「わからない。それはあの子が決めることだから……けど、あなたは本当はわかっているはず。あなたは過去と未来のすべてを見通すことができるから」

「そうね。そこまで言うのなら、教えてあげる。彼女の未来を……。彼女はただ魔法少女となり、ただ戦い、私の手によって回収され、その一生を終える。……それのどこが償いだっていうの」

「……それは嘘」

 まどかはそう確信することができる。それは嘘だ。誰よりもほむら自身が、そんな終わり方に納得するはずがない。

「そう思うのなら、貴方も此処に来ればいい。そうすれば見えるようになる……あの裏切り者の末路が。けれど、貴方には別の選択肢がある」

 思いがけない言葉に、まどかは息を呑む。

「貴方は私のもとに還るつもりで此処に来た。確かに、それですべては元通りになる。貴方の望む、救済者としての貴方、救済者としての私が完成する。けれど、道はそれだけではない。こういうのはどう?私が貴方のもとに降りる」

「どういうこと……?」

「私という存在は無に帰すこととなり、宇宙は再び創り変えられる。そして、創り変えられた世界で、貴方は再び生を受けることになる。ひとりの人間、鹿目まどかとして」

 眩暈がしそうだった。まどかはずっと、ひとつの結末を追い求めて、この場所までやって来たのだ。ここに来て、それとは全く違う道を提示されることになるなど、夢にも思っていなかった。

「貴方は心の何処かでこれを望んでいたはず。何故なら貴方は、家族を愛しているから」

 家族――。

 その言葉に、一瞬心が大きく揺さぶられるのを感じた。そういえば、両親に何も告げずにこの場所に来てしまった。まどかが居なくなった後の世界は、どうなるだろうか。両親はまどかのことを覚えていてくれるだろうか。それとも、忘れてしまうだろうか。どちらにしても、自分はなんて親不孝なんだろう。タツヤは、どんな大人になるんだろう。大きくなったタツヤは、やはり自分を忘れてしまうだろうか。いろいろな想いが、泡のように湧き上がってくる。

 すべてを無かったことにできるなら――。この力も、背負った運命も投げ捨てて、ひとりの人間として生きることができたら――。

 けれど――まどかは考える。もしそれが果たせたとして、まどかの生きる世界はどのような世界だろうか。

 魔女のいる世界。魔法少女が、宇宙から来た知的生命体に搾取され、ただの道具のように捨てられる世界。裏切られ、絶望した少女が、死後もこの世を彷徨い、罪のない人々を呪う世界。そのような世界を、そうとは知らずに、まどかは生きていくことになる。

 俯きがちだった顔を上げ、まどかは彼女に微笑みかける。

「行こう」

 そう言った瞬間、彼女の目が大きく見開かれた。

「帰ろう。みんなのところへ。わたし達の、本当の役目を果たそう」

「自分の選択は間違っていなかったと?今でもそう言い張れると?」

「うん」

 まどかは必死で思い出そうとしていた。こことは別の世界で、かつて自身が抱いた希望を。もし自分に、すべての魔法少女を救う力があるのなら――、自分の存在と引き換えに、すべての魔法少女を救うことができるなら、喜んでこの命を捧げよう。あのとき抱いた気持ちが本物かと問われたら、答えはもちろんイエスだ。

 けれど――全く、何ひとつの悔いもないというわけではなかった。あのときの自身の選択が、ほむらの心に、深い悲しみをもたらしてしまった。彼女の想いを、十分に理解してあげられなかったが為に。

 だが、まどかは信じている。いつかきっと、その過ちさえ、遠い過去の出来事として笑い合える日がきっと来ると。だからまどかは、戦い続ける。

 彼女の掌が、胸元の濁ったソウルジェムに、そっと添えられた。

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