ハイスクールD×D 駒王学園の第三勢力 作:空☆条☆承☆太☆郎☆
宙に浮かぶ緑色の光。それをグレモリー部長が手に取る。
「さて、これをアーシア・アルジェントさんに返しましょうか」
「で、でも、アーシアはもう…」
兵藤は顔を伏せ震える。そうだ。俺たちは間に合わなかった。俺の隣では衛宮も悔しそうに顔を歪ませている。
「…部長、みんな、俺とアーシアのために本当にありがとうございました。でも…でも、せっかく協力してくれたけど、アーシアは……」
「イッセー、これ、なんだと思う?」
「それは?」
部長がポケットから紅いチェスの駒を取り出した。それを見て兵藤は疑問を口にする。あれは、『
「これはね、イッセー。『僧侶』の駒よ。私たち爵位持ちの悪魔が手にできる駒の数は、実際のチェス同様に『
そう言うと、部長はシスター・アルジェントの胸に駒を置いた。こうやって、兵藤も悪魔になったのか。
「『僧侶』の力は眷属の悪魔をフォローすること。この子の回復能力は『僧侶』として使えるわ。前代未聞だけれど、このシスターを悪魔へ転生させてみる」
部長の体を紅い魔力が覆う。
「いいのか?」
「彼女の境遇を鑑みれば、これぐらい構わないわ」
雪ノ下がそう言うんなら別に止めなくてもいいか。ていうか、止めたら衛宮が絶対ややこしくしてくるだろうしな。
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、アーシア・アルジェントよ。いま再び我の下僕となるため、この地へ魂を帰還させ、悪魔と成れ。汝、我が『僧侶』として、新たな生に歓喜せよ!」
駒が紅い光を発して、シスター・アルジェントの体内へ取り込まれていく。同時に、彼女の
「…あ、れ?」
少しして、彼女の瞼が開かれる。すかさず、兵藤が彼女を抱きしめる。
「……イッセーさん?」
怪訝そうに彼女は首を傾げるも、兵藤に体を預けた。
「悪魔をも回復させるその子の力が欲しかったからこそ、私は転生させたわ。ふふふ、イッセー、あとはあなたが守っておあげなさい。先輩悪魔なのだから」
「帰ろう、アーシア」
「はい。イッセーさん」
この件はこれで終わりだな。元老院長の星詠みに照らせば、ここからが始まりなんだろうけどな。
「お兄ちゃん、起きなよ!今日これから集まりがあるんでしょ?早く起きないと小町先に行くよ?」
「分かった。起きるから、俺を置いて行かないでくれ!小町と一緒に登校できないとか寂しすぎてお兄ちゃん死んじゃうから」
昨日はまた、後始末で殆ど時間を使い寝不足だった。
「ヒッキー遅い!」
「そうね。女性を待たせるなんて男性としてありえないわね。寝坊ヶ谷君」
なんでこいつらいるの?え、なんで?一緒に行くなんて一言も聞いてないんだけど?
「一々ツッコむのも面倒だ」
ていうか何?朝から集合って。何するんだろうな。
「ど、どうもです。今日からこの学園に通うことになりました、アーシア・アルジェントです!よ、よろしくお願いします!」
部室に入るなり、昨晩ぶりに会うアルジェントさんが元気よく自己紹介してきた。すげえな、本当に生きてるよ。
「うわ〜っ、可愛い!!私、由比ヶ浜結衣っていうの!よろしくね!」
「んんっ。私は雪ノ下雪乃です。よろしく」
「おー、本当に可愛い人だね、お兄ちゃん」
「そうだな。っと、俺は比企谷八幡だ。んでこっちが、妹の小町だ。よろしく」
「よろしくお願いしますね。アーシア先輩!」
「えと、由比ヶ浜さんに、雪ノ下さんに、比企谷さんと…比企谷さん?」
矢継ぎ早にされた自己紹介に整理が追いついていないらしく、アルジェントさんは疑問符をたくさん浮かべている。わかるなあ…俺も人の名前覚えんの苦手だしな。
「あなたの場合は、覚えられるのが苦手なんでしょう」
「いやいや、おかしいだろ。…ていうか、遠坂と衛宮は?」
「遠坂さんは寝坊したそうよ。家の時計が一時間遅れていたらしくて」
あいつらしいな。だから電波時計にしろって言ったのによ。衛宮は多分遠坂の飯の世話だろうな。
「こほん。まあ一部来られない人たちがいるけど、親睦会を始めましょうか?」
そう。このためにわざわざ早朝に学校に来たんだよな。奉仕部の面子が呼ばれたのも親睦を深めるためらしい。なんかの意図が絡んでるかもしれんが。
「ケーキを作ってきたからみんなで食べましょう」
部長が指を鳴らすと、テーブルの上に大きなケーキが出現した。ほう。中々美味そうだ。あと何か小声で、「私も作れるかなぁ?」なんて由比ヶ浜が呟いているのが聞こえた。おまえが作ると下手な化学兵器より効くからやめろ。
こうして、俺の新たな日常が幕を開けた。
漸く一巻終われました。