ハイスクールD×D 駒王学園の第三勢力   作:空☆条☆承☆太☆郎☆

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手袋

「いやー、リアスの『女王(クイーン)』が淹れてくれたお茶は美味しいものだな」

 

 

「痛み入りますわ」

 

 

おっふ…笑顔でいる朱乃さんだが目が笑ってないよ…いつもの「あらあら」や「うふふ」がないし…どころか、何か怖いものを感じるし…

 

 

そして、ソファに座る部長の隣ではライザーが軽々しく部長の肩を抱いている。何度も部長がその手を振り払うが、野郎は構わずベタベタと肩や手や髪を触りまくっている。

 

 

マジで馴れ馴れしいことこの上ねえぞ!

 

 

「いい加減に…してちょうだい!!」

 

 

止める様子のないライザーに堪忍袋の緒が切れたのか、激昂した部長が勢いよくソファから立ち上がり、ライザーを睨みつける。しかし、奴は変わらずニヤニヤしていやがる。

 

 

「以前にも言ったはずよ、ライザー!私はあなたと結婚なんてしないわ!」

 

 

「それは、前にも聞いたよ。だが、リアス、そういうわけにはいかないだろう?キミのところの御家事情は意外に切羽詰まっていると思うんだがね?」

 

 

「余計なお世話よ!私が次期当主である以上は、誰を婿に取るぐらいかは自分で決めるつもりよ!父も兄も一族の者も皆急ぎすぎるわ!当初の話では、私が人間界の大学を出るまでは自由にさせてくれるはずだった!」

 

 

「その通りさ。キミは基本的に自由だよ。大学に行ってもいいし、下僕も好きにしたらいい。だが、キミのお父上もサーゼクスさまも心配なんだよ。御家断絶が怖いのさ。ただでさえ、先の戦争で純血悪魔が大勢亡くなった。戦争を脱したとはいえ、堕天使、神陣営とは拮抗状態。奴らとのくだらない小競り合いで途絶えた家もある。純血であり、上級悪魔の御家同士がくっつくのはこれからの悪魔情勢を思えば当然だ。純血の上級悪魔。その新生児がどれだけ貴重なのか、知らないわけじゃないだろう?」

 

 

結局それって、部長を悪魔の繁栄の為に使()()ってことかよ!?

 

 

「新鋭の悪魔───。キミの下僕のように人間からの転生悪魔が最近は幅を利かせているけど、それでは俺たち古い家系である上級悪魔の立場がない。力に溢れているというだけで転生悪魔と通じる旧家もある。それもいいだろう。新鮮な血もこれからの悪魔には必要だ。だが、純血の悪魔を途絶えさせるわけにもいかないだろう?俺とキミはそうさせない為に選ばれたんだ。俺の家は兄たちがいるから問題ないさ。でも、キミのところは兄妹二人だけ。しかもキミの兄君は家を出られたお方だ。そうなるとリアス、キミしかグレモリー家を継ぐ者がいないんだぞ?婿を得なければキミの代でグレモリーは潰えるやもしれん。キミは長く続いた家を潰す気か?先の戦争の為に『七十二柱(ななじゅうふたはしら)』と称された悪魔はもう半数も残っていない。この縁談は悪魔の未来がかかっているんだ」

 

 

やっぱりそうだ。繁栄の為、未来の為、そんな聞こえのいい言葉を並べても、結局それは、部長を道具として使うってことなんだ!最低だ!酷すぎるだろ、そんなの!部長をなんだと思ってるんだ!

 

 

「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

 

 

「おおっ、さすがリアス!じゃあ、さっそく俺と───」

 

 

「でも、あなたとは結婚しないわ、ライザー。私は私が良いと思った者と結婚する。古い家柄の悪魔にだって、それぐらいの権利はあるわ」

 

 

満面の笑みを浮かべていたライザーだが、部長の言葉を聞いて、途端に機嫌を悪くした。目元を細め、舌打ちもまじえる。

 

 

「…俺もな、リアス。フェニックス家の看板を背負ってるんだよ。この名に泥をかけられるわけにもいかないんだ。面子があるんだよ。それに、こんな狭くてボロい人間界の建物なんかにも来たくなかったしな。というか、俺はそもそも人間界が好きじゃない。この世界の炎と風は汚い。それを司る悪魔としては、耐えがたいんだよ!」

 

 

その怒りを表わすかのようにライザーの周囲を炎が駆け回る。チリチリと火の粉が部室に舞った。

 

 

「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰るぞ」

 

 

殺意と敵意が室内全体を満たしていく。ただ、その殺意は俺たちの敵意を煽るだけだった。…そう。ほんの数日前に、これ以上のものを充てられたからだ。雪ノ下さんの殺意…あれに比べれば、ライザーの殺意はぬるま湯と変わらない。

 

 

対する部長は、「下僕を燃やし尽くす」というところに反応したのか、体から紅いオーラを発している。しかし、それが放たれることはなかった。グレイフィアさんが介入してきたからだ。

 

 

「お嬢さま、ライザーさま、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら、私も黙って見ているわけにもいかなくなります。私はサーゼクスさまの名誉のためにも遠慮などしないつもりです」

 

 

その言葉を受けて、二人は表情を強張らせる。グレイフィアさんを畏怖するように。

 

 

「……最強の女王(クイーン)と称されるあなたにそんなことを言われたら、俺もさすがに怖いよ。バケモノ揃いと評判のサーゼクスさまの眷属とは絶対に相対したくはないからな」

 

 

この二人が畏れる程だなんて、一体どんだけ強いんだグレイフィアさんは。

 

 

「こうなることは、旦那さまもサーゼクスさまもフェニックス家の方々も重々承知でした。正直申し上げますと、これが最後の話し合いの場だったのです。これで決着がつかない場合のことを皆様方は予測し、最終手段を取り入れることとしました」

 

 

「最終手段…グレイフィア、それはつまり───」

 

 

「そうですお嬢さま。ご自分の意志を押し通すつもりなら、ライザーさまとの『レーティングゲーム』にて、決着をつけるというのが、最善だと思われますが?」

 

 

レーティングゲームって、確かお互いの眷属同士を戦わせて勝敗を決めるってやつだったよな。

 

 

「お嬢さまもご存知の通り、公式な『レーティングゲーム』は成熟した悪魔しか参加できません。しかし、非公式の純血悪魔同士のゲームならば、半人前の悪魔でも参加できます。この場合、多くが───」

 

 

「身内同士、または御家同士のいがみ合いよね」

 

 

グレイフィアさんの言葉を嘆息しながら部長は続けた。

 

 

「つまり、お父さま方は私が拒否したときのことまで想定して最終的にゲームで今回の婚約を決めようってハラなのね?……どこまで私の生き方をいじれば気が済むのかしら……!」

 

 

うおお…すごく、イラついていらっしゃる…怖いよぉ…

 

 

「では、お嬢さまはゲームも拒否すると?」

 

 

「いえ、まさか、こんな好機はないわ。いいわよ。ゲームで決着をつけましょう、ライザー」

 

 

部長の挑戦的な物言いにライザーが口元をにやけさせる。

 

 

「へー、受けちゃうのか。構わないが、既に成熟している俺は、もう何度か公式のゲームをやっているし、今のところ勝ち星の方が多い。それでもやるのか、リアス?」

 

 

「望むところよ。あなたを消し飛ばしてあげる!」

 

 

「いいだろう。そちらが勝てば好きにすればいい。俺が勝てばリアスは俺と即結婚してもらう」

 

 

「承知いたしました。お二人のご意思は私グレイフィアが確認させていただきました。ご両家の立会人として、私がこのゲームの指揮を執らせてもらいます。よろしいですね?」

 

 

「ええ」

 

 

「ああ」

 

 

「わかりました。ご両家の皆さんには私からお伝えします」

 

 

すごいことになってしまった。これで、俺たちが戦うことが完全に決まったわけだな。

 

 

「そういえば、リアス。まさか、ここにいる面子がキミの下僕なのか?」

 

 

「だとしたらどうなの?」

 

 

「これじゃ、話にならないんじゃないか?キミの『女王』である『雷の巫女』ぐらいしか俺のかわいい下僕に対抗できそうにないな」

 

 

そう言いながら、ライザーが指を鳴らすと、魔方陣が光だし、フェニックスの紋様が浮かび上がる。そこから、総勢十五人の……………………………………………女の子がでてきた!?

 

 

「と、まあ、これが俺のかわいい下僕たちだ」

 

 

茫然!ただ、茫然!知らず、その目からは涙が!

 

 

また賭博漫画風のナレーションが脳内で木霊する。そんな、これは…これは…憧れの、ハーレムじゃないか!!

 

 

「お、おい、リアス…この下僕くん、俺を見て大号泣しているんだが」

 

 

「その子の夢がハーレムなの。きっと、ライザーの下僕悪魔たちを見て感極まったんだと思うわ」

 

 

と、部長が困り顔で説明する。だって、仕方ないじゃないですか!いきなり、俺の夢の完成形を見れたんだもの!

 

 

「きもーい」

 

 

「ライザーさまー、このヒト、気持ち悪ーい」

 

 

自分でもわかってるから、言い返せないぜ!

 

 

「そう言うな、俺のかわいいおまえたち。上流階級の者を羨望の眼差しで見てくるのは下賤な輩の常さ。あいつらに俺とおまえたちが熱々なところを見せつけてやろう」

 

 

そう言うなり、ライザーはいきなり女の子の一人と舌を絡ませ合いやがった!

 

 

「はわわわっ!?」

 

 

俺の隣ではアーシアがそれを見て、赤面している。きっと教会育ちのアーシアには刺激が強すぎたんだろう。

 

 

「おまえじゃ、一生こんなことできまい。下僕悪魔くん」

 

 

「俺が思っていること、そのまんま言うな!ちくしょう!赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)!」

 

 

俺の左腕を赤い籠手が覆う。そして、ライザーに指を突きつける。

 

 

「おまえみたいな女ったらしと部長は不釣合いだ!」

 

 

「は?おまえ、その女ったらしの俺に憧れているんだろう?」

 

 

「うぐっ!?う、うるせえ!それと部長のことは別だ!そんな調子じゃ、部長と結婚したあとも他の女の子とイチャイチャしまくるんだろう?」

 

 

「英雄、色を好む。確か、人間界のことわざだよな?いい言葉だ。まあ、これは俺と下僕たちとのスキンシップ。おまえだって、リアスに可愛がってもらっているんだろう?」

 

 

おまえのそれとはきっと意味が違うんだい!

 

 

「何が英雄だ!おまえなんか、ただの種まき鳥野郎じゃねえか!火の鳥フェニックス?ハハハ!まさに焼き鳥だぜ!」

 

 

「焼き鳥だと!?こ、の…下級悪魔ぁぁぁぁ!調子こきやがって!上級悪魔に対して態度がなってねえぜ!リアス、下僕の教育はどうなってんだ!?」

 

 

しかし、部長はフンとそっぽを向いて知らんぷりを決め込んでいる。

 

 

「へっ!ゲームなんざ必要ねえさ!俺がこの場で全員倒してやらあ!」

 

 

『Boost!!』

 

 

音声と共に、俺の力が倍になる。堕天使をやった一撃だ!喰らいやがれ!

 

 

「ミラ。やれ」

 

 

「はい、ライザーさま」

 

 

ライザーの命令と共に、小猫ちゃんぐらいの小柄な女の子が前に出てくる。手には棍が握られている。棍を落とせば、戦意を削げるはずだ。

 

 

───瞬間、俺の体を浮遊感が襲う。

 

 

グシャァァ!と、体がデスクに叩きつけられる!

 

 

「げ、がはっ!?」

 

 

どうやら、腹に一発もらったらしかった。…嘘だろ!?全然見えなかった!?

 

 

「イッセーさん!」

 

 

アーシアが駆け寄ってきて、神器(セイクリッド・ギア)聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)によって、治癒を施してくれる。

 

 

「わかったか、リアス?このミラは、俺の眷属の中じゃ一番弱い『兵士』だ。それでも、質においてはキミの下僕たちを凌駕する。いくら、脅威と言われる神滅具の赤龍帝の籠手があるからといって、宿主がこれでは『豚に真珠』というやつだよ!」

 

 

何も、言い返せない…事実そうだから、俺は弱い。

 

 

「このままでは、勝負にならないし、ゲームは十日後でどうだ?それだけあれば、なんとかはなるだろう。プラスで、今から助っ人でも探せばいい。一人ぐらいは見つかるかもしれない」

 

 

「私にハンデをくれるというの?」

 

 

「屈辱か?だが、自分の感情だけで勝てるほど、『レーティングゲーム』は甘くない」

 

 

ついっと、ライザーの目が俺に向く。

 

 

「リアスに恥をかかせるなよ、リアスの『兵士』。おまえの一撃がリアスの一撃なんだよ」

 

 

それは、部長を思っての一言だとすぐに理解できた。

 

 

「リアス、次はゲームで会おう」

 

 

そう言い残し、ライザーは下僕の女の子たちとともに魔方陣の光の中へ消えた。

 

 

side OUT




キズナイーバーおもしろいですね。迷家、カバネリと今期はオリジナル作品おもしろいです。
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