ハイスクールD×D 駒王学園の第三勢力   作:空☆条☆承☆太☆郎☆

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成果

合宿開始からそろそろ一週間が過ぎる。未だ衛宮は魔戒剣を扱うことができないでいた。兵藤の方も言わずもがなである。

 

 

「ヒントは与えてるはずなんだがな…」

 

 

俺の前では、衛宮が魔戒剣を持ち上げようとしていた。が、魔戒剣の方はびくともしない。

 

 

「く、うおお…」

 

 

『小僧。以前にも八幡は言ったはずだ。その力を使っておまえさんは何をしたい?いや、何になりたい?』

 

 

見ていられないと思ったのだろうか、ザルバが衛宮に今一度問うた。

 

 

「はぁ、はぁ…俺は…正義の味方に、なりたい…誰かを…救けたい…」

 

 

衛宮士郎という人間の在り方は、酷く歪なものだ。初めて一緒に任務にあたった時に俺はそう感じた。魔獣の討伐任務だったと思う。明らかな力量差があるにもかかわらず、一人の逃げ遅れた少年をかばう為に飛び出した。

 

 

傍から見れば、それは勇気のある行動だと讃えられるだろう。それに、あの場は俺がいたからなんとかなった。だが、衛宮は俺がいなくても同じことをした、と言った。そう。こいつの勘定には、普通なら当然一番になるべき()()が入っていない。

 

 

よくは知らないが、遠坂曰く、衛宮のもっと古い過去に起因するものらしい。衛宮士郎が最も拘る正義の味方という生き方も、恐らくはそこに理由があるのだろう。

 

 

ただ言えることは、その理想は、衛宮士郎の掲げる理想は()()であるということだ。衛宮は正義の味方になると言っている。だが、それは目指してなるものでは決してない。それを目指す手段として人助けを行うのは、自己満足する為のただの偽善だ。

 

 

しかし、それでも衛宮士郎にはそれしかない。ならば、その偽りを続けていく以外に存在を保つ方法はないのだろう。

 

 

「…救けるんだ。俺は、正義の味方に…なる!」

 

 

魔戒剣が持ち上がる。ジリジリと、だが明確に。それは、魔戒剣が衛宮に応えようとしているようにも見える。衛宮の芯が偽物であろうと、人を救けるという行為には変わらない。それは尊いものだ。

 

 

「…ハァハァ…できたぞ、八幡」

 

 

「上出来だ」

 

 

知らず、俺は笑みを浮かべていた。

 

 

side OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ISSEI

 

 

修行が始まってから一週間が過ぎた。俺は未だに木場から一本も取れず、小猫ちゃんにも軽くあしらわれている。魔力を使う特訓もまだ、完成していない。

 

 

「…俺は、弱い」

 

 

分かってはいたことだった。剣の才能も、格闘術の才能も、魔力の才能も、ない。言い訳もできないほどに、俺は弱い。皆と修行すればするほどに、嫌でも自分の矮小さが突きつけられる。

 

 

アーシアみたいに回復が使えるわけでもない。なんて役立たずなんだ、俺は…

 

 

side OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side HACHIMAN

 

 

「じゃあ、衛宮。そんなに時間は残っていないが、明日からは鎧を纏っての鍛錬だ」

 

 

「わかった。…ところで八幡。なんで俺はこの鎧を託されたんだ?」

 

 

「この前、木場がおまえが双剣を使いこなしてたって言ってたからだよ」

 

 

黄金騎士牙狼以外にも、魔戒騎士の鎧は存在する。現状、魔戒騎士の数はそんなに多くない。担い手のいない鎧は黄金騎士が管理することになっている。

 

 

「そういうことか」

 

 

「そういうことだ。じゃあ俺はもう寝るから」

 

 

「ああ。おやすみ」

 

 

そうして、同室になっている俺と衛宮は床に就いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…寝る前にトイレ行っときゃよかった」

 

 

深夜、俺は尿意を覚えて目が覚めた。…おっさんかよ。違和感を覚え隣のベッドを見ると、案の定もぬけの殻だった。仕方ないやつだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トイレを済ませて部屋に戻ろうとするとリビングの方に人の気配がしたので、覗いてみると、兵藤と部長の姿が見えた。

 

 

…何を話しているかは聞こえなかったが、兵藤は涙を流していた。

 

 

恐らくは自分の弱さを嘆いてのことだろう。一人だけ素人に毛が生えた程度のものであり、身に宿す力も使いこなせていない。この環境に置かれたことで、それが浮き彫りになった。

 

 

「…それでも、この一週間あいつが積んだモンはゼロじゃない。足りないのは自信、なんだよな」

 

 

そう独り言ち、俺は部屋へ戻り再び就寝に入った。

 

 

side OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ENCOUNTER the Dragon

 

 

『おい、ドライグ、起きているんだろう?』

 

 

『……ザルバか、久しぶりだな』

 

 

『その様子だと、まだおまえさんの今の宿主とはまだ話してないんだな』

 

 

『まあな。ここまでの深度にはまだ達してないからな。恐らく後一度、深い眠りに落ちれば話すことができるようになるだろう』

 

 

『中々おもしろい小僧だ。俺様はあいつに、今までの赤龍帝には無いものを感じる』

 

 

『おまえがそこまで言うとはな。なんとなく、楽しみになってきた』

 

 

『だろう?…そろそろ、相棒が目を覚ます。俺様は戻るぞ、ドライグ。今度は、外で会えるといいな』

 

 

『またな』

 

 

『おう』

 

 

SPECIAL OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side HACHIMAN

 

 

「衛宮。おまえにはセーフティが必要だな」

 

 

結局、衛宮は夜が明けきるまで帰ってこなかった。やっぱり、昨日のうちに()()()と契約させておけばよかった。

 

 

「セーフティ?」

 

 

怪訝な顔で俺を見る衛宮にポケットから取り出したペンダントを見せる。

 

 

「起きてるかシルヴァ?」

 

 

『ええ、八幡。この坊やが、私の新しいパートナーね?』

 

 

「そうだ。しばらくは、おまえがベストだと思ったタイミングでしか鎧を召喚できないようにしてくれ」

 

 

『わかったわ』

 

 

「これって、ザルバと一緒なのか?」

 

 

衛宮がシルヴァを手に取り、尋ねてくる。

 

 

「そうだ。…おまえ、強制的に止めるやつがいないとすぐに心滅獣身になりそうだからな」

 

 

『そういうことよ。私はシルヴァ。よろしくね、坊や』

 

 

「俺は衛宮士郎だ。よろしく」

 

 

互いに自己紹介を交わしたのち、衛宮はシルヴァを首にかけた。

 

 

瞬間、轟音と共に閃光が迸り、山の一つが大きく抉り取られたのが見えた。

 

 

兵藤たちが修行している辺りを見ると、兵藤が木場と向かい合っているのが見えた。兵藤の籠手から音声が鳴り、その場に兵藤はへたり込んだ。

 

 

あいつ、やりやがったな。

 

 

こうして、残りの日数を消化し、決戦当日を迎えた。

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