ハイスクールD×D 駒王学園の第三勢力   作:空☆条☆承☆太☆郎☆

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中盤

明滅する視界と止まない耳鳴り。漸く(ようや)我を取り戻すと、一気に周りの情報が入り込んでくる。

 

 

「…そうだ、敵の攻撃にやられて…士郎に突き飛ばされて……っ、士郎は!小猫ちゃんも!」

 

 

俺は爆発の中心辺りを見るが、そこには何も無い。まさか、二人ともやられたのか!?

 

 

「どうやら仕留め損なったようね。あの人間の坊や、中々勘が鋭いようね」

 

 

突然声が聞こえてきた。聞こえてきた方を向くと、宙に浮く一人の悪魔がいた。あれは確か、ライザーの『女王』だったはず。

 

 

「ふふふ。でもまあ、時間の問題でしょうね。相当な傷を負っていたもの。油断を上手く付けたからとてもやりやすかったわよ、貴方たち。私たちにとっては多少の駒を犠牲(サクリファイス)にしても、貴方たちを一人でも狩れれば十分なのよ。ただでさえメンバー不足なのですもの。それだけで大きなダメージとなるでしょう?」

 

 

そう言って、愉快そうに笑うライザーの『女王』に対して、俺はふつふつと怒りを滾らせていた。だが、一つ安心できることがある。このヒトの言うことが正しいなら、まだ士郎と小猫ちゃんは撃破(テイク)されてないってことだ。怪我をしていたとしても、アーシアがいる。

 

 

「本当だったら、俺が相手してやりたかったさ…でも、頼みます!朱乃さん!」

 

 

「任されましたわ!イッセーくん!」

 

 

そうだ。俺には俺の役目がある。まだあの二人が残っているなら、俺は進むべきなんだ!

 

 

「そう。私の相手は貴方になるというわけね『雷の巫女』さん。貴方とは一度戦ってみたかったのよ」

 

 

「お相手、務めさせていただきますわ、ライザー・フェニックスさまの『女王』、ユーベルーナさん。それとも、『爆弾王妃(ボム・クイーン)』とお呼びしたほうがいいのかしら?」

 

 

朱乃さんの体から金色のオーラが発せられる。これが、俺たちグレモリー眷族の中でも最強の『女王』か!

 

 

「その二つ名はセンスがなくて好きではないの」

 

 

対するライザーの『女王』、ユーベルーナさんも体からオーラを迸らせる。

 

 

「朱乃さん、お願いします!」

 

 

俺はそう告げると、木場の待つ運動場へと走り出す。背後では、爆音と雷鳴が間断なく鳴り響くのが聞こえてきた。

 

 

side OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side SHIROU

 

 

「ぐ、あああああッッ!!」

 

 

爆発の前に咄嗟に一誠を突き飛ばし、なんとか塔城を庇うことがができた。だが、爆風をと熱波を受けて深傷を負い、俺は満身創痍の状態だった。

 

 

「衛宮先輩、大丈夫ですか!?」

 

 

塔城に担がれて、体育館の残骸の陰へと運ばれる。

 

 

「ぐっ…大丈夫だ…ハァハァ…まだやれる…」

 

 

「無茶です!ダメージが大きすぎます!今すぐアーシア先輩を呼びますから!…部長、アーシア先輩!応答してください!」

 

 

俺のインカムはさっきの爆発で使い物にならない。どうやら塔城の方も壊れてしまっているらしい。

 

 

「…仕方がない、か…」

 

 

塔城が何か呟き俺の方に向き直る。その手は青白い光を発している。

 

 

「何、を…」

 

 

「…集中しますから少し静かにしていてください」

 

 

塔城が俺の背中に手を当てると、何かが身体の中に入り込んでくる感覚があった。それはやがて全身を巡り温かい感覚が溢れてきて、身体がとても楽になった。

 

 

「すごいな、これ」

 

 

「…応急処置ですが、なんとか動けるようにはなるはずです」

 

 

「そうか。ありがとう、塔城…それにしてもその能力は一体」

 

 

「…ごめんなさい。あまり、この能力には触れないでもらえますか?」

 

 

「…分かった。詮索するのも野暮だしな」

 

 

「…ありがとうございます。それと、他のヒトたちにも内緒にしておいてください」

 

 

「勿論だ。…よし、行くか」

 

 

『ライザー・フェニックスさまの「兵士」三名、リタイヤ』

 

 

姫嶋先輩は俺たちを爆撃した相手と戦っているようだし、さっき一誠が運動場へ向かって行くのが見えたから、これは木場がやってくれたのか。

 

 

「…塔城、一旦ここで別れよう。ライザー・フェニックスの方へ向かってくれ。体育館(ここ)から回り込めばすぐ新校舎だ」

 

 

「…了解です」

 

 

side OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ISSEI

 

 

俺と木場は無事に合流し、ライザーの『騎士』『戦車』『僧侶』と対峙していた。

 

 

「木場の方は完全に一対一(ワン・オン・ワン)か」

 

 

相手の『騎士』の呼びかけに応じて、木場はさっきから打ち合っている。

 

 

助太刀に入りたいけど、それは野暮だし、行っても足手まといになるだけの気がするしな。

 

 

「あんたは闘わないのか?『僧侶』さん」

 

 

ドレスを纏ったドリルロールの女の子。それが、この『僧侶』の特徴だ。そばには顔の片側に仮面を嵌めた『戦車』が控えている。

 

 

「私、あなたのお相手はしませんわよ。イザベラ、貴方がお相手してあげたら?」

 

 

「元からそのつもり。さ、お互い手持ち無沙汰ならば闘い合おうか」

 

 

「そうかい。…本当に手だししないのか?」

 

 

「今の所は大丈夫だ。基本あの子は観戦しているだけだから」

 

 

「なんだ、そりゃ!」

 

 

「彼女は、レイヴェル・フェニックス。ライザーさまの実妹だ」

 

 

なん…だと!?あの鳥公、本気で自分の妹を眷属にしてるってのか!?

 

 

「ライザーさまが言うには、『属性として必要なんだよな。俺にその趣味は無いけど、こうしてると羨ましがる奴もいるし、世間的にも意義があるんだよ』とのことだ」

 

 

なんちゅう野郎だ!本当の変態でバカなヤツだ!

 

 

「では、いくぞ!リアス・グレモリーの『兵士』よ!」

 

 

ビュゥッ!と俺の頬を拳が掠めていく。なんとか顔を横に逸らして躱すことはできた!

 

 

「うん。この程度の打撃は躱すか。すまないな。少々見くびっていた。もう二段ほどギアを上げていこうか!」

 

 

イザベラは身体を揺らし始める。瞬間───

 

 

ビュッ!ドォッ!俺のこめかみを狙って拳が放たれてくる!しなる腕はまるで鞭のようだ!これは、ボクシングのフリッカーか!?

 

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が一定まで上がらないとこちらも攻撃に転じられない!

 

 

───ブォッ!と空を切る音が響く。フリッカーの合間に蹴りが繰り出された。視界の下の方で何かが動くのが映ったので咄嗟に身を引いてどうにか助かった!

 

 

「今のは確実に入ったと思ったんだがな。本当に君のことを侮っていたよ。猶予期間である十日間で相当に鍛えたんだね」

 

 

俺、闘えてる!部長の特訓がここに生きてるんだ!負けてたまるか!絶対に!

 

 

「…どうやら、余計なことを言ってしまったらしいな。君から感じるプレッシャーが増したよ」

 

 

「『戦車』イザベラ。俺はリアス・グレモリーさまの下僕で最も弱い。それでもあんたを倒す!」

 

 

拳を前に突き出し、気持ちを新たにする。

 

 

ヒュオッ!と風を切る音が聞こえる。そちらを見やると、木場の闇の剣が霧散していた。どうやら相手の『騎士』にかき消されたらしい。

 

 

「残念だが、私には貴様の神器は通用しない」

 

 

『騎士』カーラマインの剣は炎に包まれている。あれが闇の剣を消したのか。

 

 

「そのようだね。でも、残念だけど、闇の剣(これ)だけが僕の神器のすべてではないんだ」

 

 

不敵な笑みを見せながら、臆することなく木場はそう言う。

 

 

「何?戯言を。リアス・グレモリーの『騎士』よ、見苦しさは剣士としての本質を曇らせて───」

 

 

「───凍えよ」

 

 

木場が低い声で言うと、柄だけの剣に何かが集まっていく。それに、なんだか寒くなってきたぞ!?

 

 

ピキピキと冷気を伴いながら、氷が刃を形成していく。そして、パリン!という氷が割れる音とと共に、氷の剣が現れた!

 

 

炎凍剣(フレイム・デリート)───この剣の前では、いかなる炎も消え失せる」

 

 

氷の剣だって!?木場の武器はあの闇の剣だけじゃないのか!?この場にいる全員が驚愕の表情を浮かべている。

 

 

驚いたのはそれだけじゃない。焦った様子のカーラマインが炎の剣を横薙ぎに振るい、それを氷の剣で木場が受けた。途端に、激しく燃えていたカーラマインの剣が冷え固まり、崩れ落ちた!

 

 

「っ!まだだ!我ら誇り高きフェニックス眷属は炎と風を司る!受けよ!炎の旋風を!」

 

 

使えなくなった剣を棄て、短剣を腰から抜き放ち、叫ぶ。熱波と共に炎の渦が巻き起こり、離れた場所にいる俺たちのところにも熱波がとどいてきた。

 

 

「カーラマインめ。味方がいることを忘れているのか!」

 

 

旋風から顔を庇いながらイザベラが毒づく。木場の剣も熱に当てられて融けている。

 

 

「なるほど、熱波で僕らを蒸し焼きにするつもりか…。でも」

 

 

木場は動じずに、剣を前へ突き出した。その形状はまた変化を始めている。

 

 

「───止まれ」

 

 

コォォォォッ!と木場の剣が旋風を吸い込んでいく。瞬く間に熱風は止み、グラウンドが静まり返る。

 

 

風凪剣(リプレッション・カーム)。一度の戦闘で二本以上も魔剣を出したのは久しぶりだよ」

 

 

変化を終えた剣の刀身には円状の特殊な刃が生えていた。その中心には謎の渦ができている。あんな剣まで持っているのか!

 

 

「…複数の神器。ならば、他の所有者からそれらを奪い、自分のものとしている後天的な神器所有者なのか?」

 

 

「違うよ。僕は複数の神器所有者でもないし、後天的な神器所有者でもない。───創り出したのさ」

 

 

「創り…出す?」

 

 

「そう、『魔剣創造(ソード・バース)』。僕は任意に魔剣を創り出せる。それが、僕の神器の能力であり名称だ」

 

 

木場が地面に手のひらを向けると、グラウンドから複数の剣が飛び出してきた!これ、全部が何かしらの能力がある魔剣なのか!

 

 

『Boost!!』

 

 

よし!ジャスト百五十秒!俺も準備が整ったぜ!

 

 

「赤龍帝の籠手!爆発しろっ!」

 

 

『Explosion!!』

 

 

手に魔力を込める。そして、両手の親指同士と小指同士を重ねる!空いている隙間は見ようによってはドラゴンの口に見える。

 

 

悟られないように技名は残念ながら心の中でしか叫べないのが、悔しいぜ!

 

 

いくぜ!「ドラゴンショット」!

 

 

バゴォォォォォッ!と、両手の隙間から巨大な魔力が打ち出される。

 

 

こいつはデカイぜ!俺の身体の五倍はある。スピードに乗り、イザベラめがけて飛んでいく。

 

 

「イザベラ!避けろ!」

 

 

カーラマインが叫ぶ。それに応え、受け止めようとしていたイザベラが回避する。

 

 

ドラゴンショットは直進していき、テニスコートに着弾する。

 

 

ゴォォォォォォンッッ!と轟音と閃光が放たれ、爆風が巻き起こる!土煙が晴れると、テニスコートは丸ごとなくなっている!?

 

 

一応はセーブして撃ったのにこれかよ!?やっぱり俺の神器は異常だ!

 

 

「イザベラ!!その『兵士』を倒せ!そいつの神器はこの戦場を一変させるほどの力がある!」

 

 

「承知した!赤龍帝の籠手!『プロモーション』させれば我々にとって脅威となる!その前に叩かせてもらう!」

 

 

そう来ると思ったぜ!でもな、今の俺は上級悪魔クラスの攻撃力なんだよ!

 

 

「うらぁっ!」

 

 

俺の拳がイザベラ放たれ、それをイザベラはガードする。

 

 

だが、パワーアップした俺の拳はそのガードを崩し、イザベラを吹き飛ばす!

 

 

「もらった!弾けろ!『洋服崩壊』!!」

 

 

バババッ!とイザベラの服が弾け飛ぶ。スゲぇ!デケぇ!脳内保存だ!

 

 

「なっ!なんだこれは!」

 

 

反射的に大事な部分を隠すイザベラ。やっぱり、武人気質でもそうなるよね!

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 

増幅した魔力をイザベラに放つ。

 

 

ドオォォォンッ!と衝撃が広がり、それが収束すると、地面にはイザベラが倒れている。その身体は光に包まれ、どこかへ転送されていった。

 

 

『Reset』

 

 

同時に赤龍帝の籠手の効果が切れた。

 

 

『ライザー・フェニックスさまの『戦車』一名、リタイヤ』

 

 

グレイフィアさんのアナウンスが響く。

 

 

「いよぉぉっし!!」

 

 

 




ドラゴンショットの発射モーションはドルオーラに変えてみました。

分かる人いるかな。
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