ハイスクールD×D 駒王学園の第三勢力 作:空☆条☆承☆太☆郎☆
side UNKNOWN
駒王町の外れにある森。そこに二つの人影があった。
「厄介な相手だってヤススケのやつ言ってたが、マジで厄介なやつじゃねえか」
彫りの深い西洋人───ディーン・ウィンチェスターが両手に小剣を構えながら毒づく。
「とんだ邪魔者だな。おまえ
相対する大柄な男が辺りを見ながら呟く。
「サム、出て来いよ」
「ああ。キャスも」
男を囲むように、サムと呼ばれた男とキャスと呼ばれた男が木の影から現れる。
「天使までいるとはな」
「おまえは私の同志たちを何人も殺している。許すわけにはいかない」
茶色いトレンチコートを着た男───カスティエルが眼に怒りを湛えながら言う。
「僕らの仲間もやられてる。おまえは放ってはおけない」
背の高い男───サム・ウィンチェスターがそう言い、剣を構える。
「ふん…いいだろう。おまえたちの相手をしてやる」
言峰綺礼───かつては教会に所属し、代行者として名を馳せていた男が剣を構える。三対一の構図に全く臆することなく、余裕の笑みすら浮かべている。
新たな戦いの幕が切って落とされた。
side OUT
side Yukino
「は、はっはははは!!!!!」
男は笑いながら刀を振るう。常人の目には絶対に捉えられないであろう斬撃を軽々と躱し、雪ノ下雪乃は蹴りを繰り出す。
「っと、危ない危ない」
余裕の笑みを浮かべながら蹴りを躱す比古清十郎。鞘に刀を収め、距離をとる。
「おまえさん、まだ本気じゃないな」
「それは貴方もでしょう」
「まあな。俺が受けた依頼はおまえさんの足止めだ。ここに釘付けにしとくだけなら別段本気になる必要はないからな」
「私のことを随分と軽く見ているのね」
「そう怒るなよ。軽く見てるわけじゃない。この手合わせは確認さ」
「確認?」
「そうさ。きっちりと───」
比古の姿がぶれる。
繰り出される抜刀。
咄嗟に跳びのき寸ででそれを躱す雪乃。
「───熟してるかどうかの確認さ」
巻き込まれた電柱が真ん中から綺麗に斬り落とされる。
「よく躱したな。いいね、流石は
「…貴方の目的は何?」
「…そうだな、味見だよ。簡単に言うなら」
「味見?」
「そう。味見だ。『忍空使い』、『うちは』、『虚刀流』、まあとにかく俺は戦いたい奴がたくさんいるんだ。そのうちの一人がおまえさんで、『陸奥』がどこまでやれるか確かめたかったんだ。だからコカビエルの依頼を受けた」
「…」
一瞬、比古清十郎の眼に
「おまえさんにも思い当たる節があるだろう?頂きに近い者が感じる特有の飢えを。堪えて俺は待ったのさ。芽が育つのを」
再び抜刀の構えに入る。
「これはほんの小手調べだ。この場を保たせるだけの試し合いだ」
「私がそれを許すと思う?」
「そそるね、その殺気」
───一閃
斬撃は一つにとどまることなく、二撃、三撃と続く。
「そんな
雪乃は斬撃をかい潜り体を捻り強引に、拳を刀の側面に当てる。着弾の瞬間、刀身は粉々に砕け散った。
「おいおい、無茶苦茶だな。結構な業物だってのに」
そのまま放たれた拳を躱し、距離をとり、ほとんど柄だけになった刀の残骸を見ながら言う。
「まあいいや。おまえさんのギアも上がってきたことだし、ラウンド2といこうか」
比古は懐から取り出した巻き物から、刀を取り出しながら余裕の笑みを浮かべながら再び構える。
───ッドオオオオオオオオオン!!!!!
駒王学園の方から轟音が鳴り響く。
「あっちも派手にやってるみたいだな」
「…」
side OUT