暗闇と優しさとファミリアと   作:久幻月

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地の文しかねぇ!
各キャラの主人公に対することばっか書いてるから仕方ない…?
きっと仕方なくないはずですよねー。


三話

 サクヤ・ロキという存在はロキ・ファミリアにとって必要なファクターとして存在している。

 主神はファミリアのメンバーが居ないときの寂しさをサクヤで埋め。

 小さな団長は、自分の道を指し示してくれた、大切な弟として。

 大魔導師のエルフは、愛すべきものとして。

 歴戦の戦士は、教えることの喜びを教えてくれた小さな勇気あるものとして。

 アマゾネスの双子の姉は、愛すべき人をさらに輝かせたことに感謝しつつ、少しの嫉妬を。

 妹は、剣姫と競うように可愛がり。

 剣姫の少女は、安らぎを得た。

 いまだ発展途上のエルフの少女は、普段は触れれないが近づいてきてくれる、そんな距離に一喜一憂し。

 頭角を現そうとする少年は、教え、教わる大切さを知った。

 

 そして、弱さを嫌う孤高の狼人は思いを知った。

 

 そんなファミリアへ大きく影響を及ぼす少年は朝から出かけ、夕食を過ぎ、未だファミリアへと帰宅していなかった。

 

「あれ?サクヤはまだ帰って来てないんだ」

 

 もう遅いのに。と続けるアマゾネスの姉の言葉に食堂に居たほぼ(・・)全員が固まった。

 

「あれ?知らなかった?今日出かけてるって?」

 

 あ、ミスった。本気でティオネが思ったとき、食堂に居た数名が爆発した。

 

 そんな場面の時を遡り、ファミリアを出た少年はというと、バベルを目指していた

 

 

 

 

 

 

 バベルの最上階、全てを見下ろし、全て見ることが出来るこの場所は、この町最大のファミリアの一つである、フレイヤ・ファミリアの主神が住まう場所。

 その場所で、テーブルに肘をつき、手の甲を頬にあて憂鬱げに外を見る美女が一人。

 そんな彼女へ、こんこんと軽い音が届けば、外をぼうっと見ていた意識が戻され、来訪者の訪れを知る。

 

「オッタルです」

 

 そう扉の外の人物は言うと、静かにドアを開け入室する。

 そこでふと気づく。小さな影と、憂鬱な気分が消えていくことを。

 

「あら、今日は珍しいお客さんを連れてきてるのね?オッタル」

「お約束、とのことでしたので」

 

 オッタルと呼ばれた獣人の男はすぐさま主人の機嫌を感じる。喜んでらっしゃると。

そこまで確認すると、オッタルは少年の背を押し部屋を出る。

 

「こんにちわ!フレイヤ様!」

 

 背を押された少年はそれを合図と知り、目に巻いていた包帯を外し、挨拶をする。

 

「ふふ、こんにちわ」

 

 少年の目に映ったのは、純白のテーブルに、純白のイス。汚れなきそこには、ティーカップとポット、そしてお菓子があった。

 たったそれだけの花なき場所へ花を咲かす存在が、ここフレイヤ・ファミリアの主神フレイヤだった。

 ただ紅茶を飲むというだけで、絵になる彼女はそのまま嬉しそうに、オッタルの腕にしがみついてきた少年を見る。

 

「約束どおり、遊びに来ました!」

 

 

 

 

 

 

 神フレイヤは下界の子供たちの魂の色を見ることが出来る。

 その魂の色は無限、まったく同じというものはなく、清らか、無邪気、初心、天真、清浄、清白、清純、無垢、無心、無雑、無難、真率、純一、純真、純情、純潔、純白、激烈、強烈、殺伐、劇切、劇烈、激甚、熱烈、熾烈、猛烈、痛烈、苛烈、苛辣、過酷、過激、酷烈、非道。

 そんな善悪全てに関する感情をかき混ぜたものが魂だ。

 だが本当に稀に存在する魂がある。それが名を残す英雄や、半英雄だ。

 彼らの魂は寄っている、極端なのだ。善の感情が多いか、悪の感情が多いか、それだけのことだった。

 そしてその比率は、簡単に変わる。

 昨日の英雄は気づけば悪に、倒された悪は善にだから面白い。

 フレイヤはそんな中でも強く美しい魂を探すのが楽しくて、集めるのが好きだった。

 思いがけない発見があるから。

 神でさえ知らぬことすら簡単に見つかってしまうから、たとえば目の前の少年のように。

 見ればわかる壮大な蒼、そしてそれに沈むかのように在る否定できないほどの黒。

 生を感じさせる蒼と、死を感じさせる黒。両極端の魂を持つ可愛い子。

 その蒼を優しくはがし、現れて出てくる黒はこの世界にいったいどんな変化をもたらせてくれるのだろうか?創造するだけで快感が下半身へと降りる。

 だが、その黒の表、生を感じさせる蒼も捨てがたいものだ。

 つまり現状の少年と触れられることも黒を暴くことと同じくらい、フレイヤにとって甘美だった。

 初めて此処に迷い込んできたところをオッタルに連れられて来た少年を見てフレイヤは息を呑んだ。

 一目見ればわかるほどの純白な魂の上に塗りたくられた絶望色の黒、そしてその上を包み込むように覆う蒼。

 愛をつかさどる女神はわかってしまう。拒絶されている、しかし愛されている。

 それを見てしまったからこそ、この魂を形成させた何者かがたまらなく憎くおもった。

 フレイヤ(わたし)が最初に触れることが出来たらどれだけ良かっただろうと、あの純白の色を自分色に染めてみたかった。本当にそう思った。

 だがこういう魂はいないことはない。

 真っ白なキャンパスが染まった魂などフレイヤは多く見てきた。

 そしてどれもつまらない。そう思っていたが、この少年は違った。

 

 二律背反。塗りつぶしきれない黒に蒼。すばらしいと思った。

 こんな子供が居るから此処(オラリオ)は飽きない。

 

「今日はどんな話を聞かせてくれるのかしら?」

 

 そう問いかけて、少年に微笑む。

 今日は夕食も誘おうと思いながら、これからの時間を楽しむために。

 

 

 

 

 

 

「おい…おい、リヴェリア」

「なんだ?どうかしたか?」

「いや…どうかしたか?ってお前がどうしたよ」

 

 食堂の椅子の背もたれに腕を乗せるように座っている狼人のベートは半眼でリヴェリアを見る。

 リヴェリアは食後に紅茶を飲んでいるが、すでに飲み始めてからゆうに三十分以上は経過している。ただし一杯を、と付け足すが。

 そんな彼女は足を組み替えたり、腕をついたり放したりとせわしない。

 それをベートに言われたのに対し、何も言わないのだから相当気分が落ち着いてない。

 まぁこいつだけじゃねんだけどな、と内心思い辺りを見る。

 入り口付近には、あわあわと擬音が着きそうな少女が二人。

 奥の方では、夕食後に酒盛りをするレベル6の男たちと寄り添うアマゾネスの姉。他にも何かを飲みながらや、喋りながらと待っている人間がちらほらと居る。

 

「多いな」

 

 そう、いつもより多いのである。食後に此処にいる人数が、まぁ漏れずベートも含まれていることは言わずもがなだが。

 しかしベートはさして心配していない、わかっているから。どこに行ったかではなく、どこに居ようと大丈夫だ、ということを理解している。

 腕っ節が強いから信用できる。と昔のベートなら思っていたが今は違う。

 

「俺は知っているから信じる」

 

 口に出して思う。弱者の考えを昔なら心にも思わず、聞いていても流していた弱者の言葉。

 

-逃げては、いけないんですか?-

 

 その言葉を。

 

 ベートは弱者が嫌いだ、それは今でも変わらない。

 何を夢見てこのオラリオに着たかなんてどうでもいい、だがルールを知らず、上も知らず、下も見ない、そんな弱者が嫌いだった。

 そんな中にも、覚悟を持ったやつは居る、きっとそういう奴は少なからずレベル2へと到達している。

 前に進もうとすることはいい、理由はどうあれ、金だろうが女だろうがなんでもいい。

 最初なんだから仕方ない、そう思う。

 それは覚悟があればの話だが、意味も持たず、惰性で続ける冒険者など反吐が出る。媚を売りうまい汁を吸おうとする害虫どもなどもってのほかだ。

 過去のベートがどうだったかなどはベートにはわからない、先達の冒険者たちがどう思っていたかは、だがそう思われていたならそれを払拭するように今の自分を高める。

 前に進み、強さを求めると決めた。

 だからこそ今の自分があり、今の立ち居地がある。

 だが今の現状(レベル5)に満足など出来ない。先にはレベル6があり、オッタル(猛者)がいる。

 弱き自分(過去)を振り返って強さを求めてきたからこそ、ベートは立ち止まっている弱者が嫌いだった。

 

 はじめて見たサクヤは自分で持ったナイフに怯えて泣いている、ただの子供(ガキ)に見えた。

 苛立ちを覚えた。抗うことをせず、現状に助けを求め泣いているだけの奴と、だが違った。

 抗うことをことの出来ない運命を知った。

 

 サクヤを救おうとファミリアがここ数ヶ月動いたが、何の進展も得ず往生しているファミリアのメンバーを遠めに見ていたときだった。

 

「見てられへん、その子貸してみ、うちが救う(・・)

 

 主神ロキが動いた。その身に神気を纏いながら。

 神が手をさし伸ばす。

 つまりそれは人にはどうすることは出来ないということだ。神がこの地に降り立つ前、神は多くはなくほんの一握りの人を救っていたという。

 それは救われるべき善人であったり、裁かれるべき悪人であったり、守るための何かであったり、様々な神の采配があった。

 だからこそ全員が驚いた、降り立ったその日から制約に縛られた神が動き出したことに。

 そんなことは今の今まで誰一人の神とて子供一人のために動いてはならなかったからだ。

 

 だが現実に動いたということは、この子供は、救われるかまたは裁かれるかに相当するということだった。

 

 ギリッと自分の口から歯軋りがなる。

 後悔だ。

 その時のベートの心はそれで埋まった。

 一度、一度だけベートは少年と会話した。誰とも口を開こうとしない少年へ苦肉の策として総当りで対話を試みているときだった。

 お前みたいな奴に関わっている暇はない、さっさと出て行け、自分の弱さに付け込み逃げる雑魚が、と。

 その言葉を聞いた少年は閉じている目を開け、硬く閉ざしていた口を開いた。

 逃げちゃダメなんですか?と。

 その後のことはよく覚えていない、リヴェリア達に囲まれたためだ。

 だが、その時の光り蒼黒く濁った少年の目は未だ覚えている。

 

 本能が恐ろしいと。

 

 その時からだろう、少年に興味が湧き、関わりが始まったのは。

 




でもなんかこうなってしまう件。
次からそろそろキャラ同士の絡みが出来たらいいけど、まだまだ各キャラの心情を勝手に妄想して書き綴りたいんだよなぁ。
付き合ってもらえたのなら光栄です。

ちな、魂に関する言葉の羅列は適当ですん。

ソード・オラトリア、まだ読んでましぇん。ちまちま読みますん。ですので設定の齟齬は了承ください。
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