※2019年工事内容※
誤字脱字修正、細かい描写の追加、句読点、行間……
✳︎✳︎✳︎マイスの家✳︎✳︎✳︎
「んっ……」
窓から入り込む淡い朝日で僕は、目を覚ました。
ベッドに敷かれたマットや布団はそんな高いものではないけど新品で、初めての場所で眠れないかもという不安なんて忘れてしまうほど、ぐっすり寝ることが出来た。
そう僕は昨日から、かつて『反骨爺の隠れ家』と呼ばれていた家に住み始めたんだ。
昨日はロロナさんとステルクさんが、安全と場所の確認もかねてこの家に来た。
二人とも興味深そうに家とその周りを囲むように茂る林を調べていた。モンスターののいた形跡などは無く、「ひとまず安全確認はできた」と言っていた。
「さて、始めるとするかな」
朝食と支度を済ませた僕は、庭の中の昨日のうちに完全に雑草を取り除き耕した区画に水を汲んだジョウロを持って行った。
すでに
とは言っても問題もある。
まずは今僕が持っている知識・経験がどこまで通じるかだ。
この気候や降水量、季節の変化による環境の変化の度合いなど、わからないことが多い上に、作物のほうの特性や丈夫さもわからなかったりする。
知っているものと似ていても実際は違いがある可能性も十分にあるので、気が抜けない。なにせ、ココでは『キャベツ』は普通に年中そこらへんに転がっているようなものらしい……実際に道端に自生していたのを僕もこの目で見た。
他の問題としては、今畑にまかれている種の種類。種類が少ないというか、偏っているのが少し気にかかるんだよね。
理由は簡単で、ティファナさんという女性が営む雑貨屋に置いていた種を買ったんだけど、街の中の雑貨屋さんなわけで当然と言えば当然だが、街中でもプランターや植木鉢で育てられるような花の種を中心とした品揃えなのだ。
故に畑の種の大半は花の種で、他には薬草の種が少しと小型のトマトーーフルーツトマトというらしいーーあと、そこらへんに転がっていたキャベツくらいで、食べられる作物が少ないのだ。
街には雑貨屋の他に種を取り扱っていそうな店はなかったので他の作物を育てたいなら、誰かに心当たりがないか聞くか 自分で探索して探すしかないのだろう。
そんなことを考えながら水やりの作業を終え、あとは何かできることはあるだろうかとあたりを見渡した。
家と畑を含む庭全体を低めの柵で軽く囲み、街道側に看板を立ててみようかな? 別に侵入防止ではなく股越せることのできる、あくまで雰囲気づくりのための柵だからそのくらいでいいと思う。
看板には今は表札として名前を書いておくだけにし、畑がもっと大きくなってから畑の名前も書くようにしようか。
農作業で『ルーン』を生み出し「空間にルーンを満たす」という目的のため生活だが、思いの他この生活自体が楽しくなってきてしまっていた。
まあ、悲壮感を漂わせ続けながら生活するよりはよっぽど良いだろう、という結論を出す。
さて、これからどうしようか。
―――――――――
***王宮受付***
「こんにちは」
「あら、マイス君こんにちは。昨日はちゃんと眠れた?」
「はい! ぐっすりと」
「それはよかった」とエスティさん。
あの家から街までは歩きでも3時間ほどもかからないから、こうして簡単に街に立ち寄ることができる。
「私も時間があったら家を確認しに行きたかったんだけど……。そもそも休み自体中々無いのよねぇ」
「大変なんですね……。何か手伝いましょうか?」
「気持ちだけで十分よ。でもまあ、本気で大変になったら手伝ってね」
「はい! その時は言ってください!」
その後、受けられそうな依頼が無いか見せてもらい、王宮受付をあとにした。
――――――
***サンライズ食堂***
「こんにちはー」
「いらっしゃい! ……おっ? マイスか!」
イクセルさんとあいさつを交わした後、カウンターの席に腰を下ろす。
今は昼どきより早め、まだ人はまばらで席の空きは十分にある。
エスティさんに連れてこられて以降何度かココに食べに来てるんだけど、一度、一番人の多いときに来てしまったときは大変だったなぁ……。
注文するメニューを選びイクセルさんにそれを伝えると、何故か不思議そうな顔をされた。
「どうかしましたか?」
「んー……いやさ、店の人間としては客の注文にどうこう言うつもりはないんだけどな……」
そう言いながらイクセルさんは何かを考え込むように目をつむり、僕に疑問を投げかけてきた。
「これまでマイスが頼んだ料理が全部あっさりとしたタイプだったから、そういうのが好みなのかなって。でも、時にはこうガツンッとくるようなのも食べたくならねぇのか聞いてみたくなってさ」
「えっと、それは半分たまたまみたいなもので……」
「……? どういうことだ?」
正確言うなら、「あっさりしたものを狙って頼んでいた」のではなく、「
「イクセルさんが言うガツンっとくる料理って、例えば『スペシャルミート』とかですよね?」
「そうそう、そういうのだ」
「でも、仮に僕が『スペシャルミート』を注文したとしても、その……食べられる自身が無いんです……」
「はぁ? なんだそりゃ??」
「実は僕が前いたところだと『お肉』を食べるってことがほぼ無くて……。僕なんか、話でしか聞いたことがないくらいで、苦手意識というか食べる気が起きないんです。
そう。以前サンライズ食堂に来たとき他のお客さんが頼んだ料理を見たら見たことの無いモノがあった。
それが動物の肉であると気づき、メニュー表の中から『肉』を使っていそうなものをーー他のお客さんの注文などで確認もしながらーー自分は頼まないようにしていたのだ。
「それで、肉が入ってそうなものは注文しないようにしてたら、たまたま、あっさりしたものばっかになったのか」
「はい、そんな感じです」
まだ少し不思議そうにしているが、イクセルさんは納得したように頷く。
この国の人たちが『肉』を食べることには、実はあまり驚かなかった。
『タミタヤの魔法』がかかっていない武器でモンスターを倒しているところを見たあとだったので、「ああ、そういうものなのか」と理解できたのだ。
ただ、自分が食べるとなると、少し抵抗があるのだ。……食わず嫌いかもしれないが。
「となると、マイスがいたところじゃあメイン料理って何になるんだ?」
「魚料理……かな? あとはごはんとか小麦粉を使ったものとか」
「そこらへんは普通にあるんだな。ならオススメの魚料理があるんだが、さっきの注文から変わっちまうけど食ってみないか?」
「それじゃあお願いします」
イクセルさんが作ってくれた白身魚の香草焼きはとてもおいしかった。
それと、その後にメニュー表の中で肉を使っているものを教えてくれた。
あと「肉を食べてみたくなったら言ってくれよ。食べやすそうなもん考えとくからさ。」と、優しい言葉もいただいてしまった……そんな日が、いつかくるのかな?
ルーンファクトリーシリーズには「肉系」の食べ物はゲーム内に無いです。(魚は別)
これは、モンスター以外の動物といったものがほぼ登場しないことや、『タミタヤ』の魔法の存在などが関係しているかと思われます。
ただ、唯一『ルーンファクトリー フロンティア』の店舗別予約特典のひとつに鳥の丸焼きらしきものが描かれています。
これは、キャラクターがクリスマスっぽい衣装を着ていることから七面鳥かもしれませんね、存在しているかはわかりませんが。