更新が途切れてしまい、申し訳ありませんでした!
急遽、色々な用事が立て続けに入ったため、都合がつきませんでした
とりあえずは落ち着きましたので、更新を再開させていただきます
未完では終わらせません……!
***サンライズ食堂***
『サンライズ食堂』。言わずと知れたアーランド有数の飲食店
その店内の一角に位置するテーブルにつくとある二人。そこには何とも言えない空気が漂っていた
「えー、あー……うん。「まさか…?」と思わなかったわけじゃなかったけど、本当に
申し訳なさ半分、呆れ半分といった様子で頭を抱えているのは、普段『冒険者ギルド』で主に冒険者免許関係の仕事を取り扱っている受付嬢・クーデリア・フォン・フォイエルバッハ
「そうだよ、くーちゃん!大変だったんだよ!?」
そうクーデリアに言うのは、クーデリアの幼馴染であり『アーランドの街』を拠点としてアトリエを経営している錬金術士・ロロライナ・フリクセル
涙目になりながら身を乗り出し気味でテーブル越しにクーデリアへと詰め寄ろうとするロロナに、クーデリアは手で軽く制して首を振る
「さすがに悪かったと思ってるわよ。ちょっとイタズラが過ぎたって……。でも、こんな
「でも……」
「どうしたんだ?お前ら二人が一緒にいるってのに、変な空気だな」
クーデリアとロロナの会話に唐突に割り込んできたのは、ここ『サンライズ食堂』の厨房を任されているコック・イクセル・ヤーン。二人の幼馴染でもある
どうやら、店内にいるクーデリアとロロナの様子を気にしていたようで、仕事の手がちょうど空いたところで顔を出しに来たらしかった
「あっ、イクセくん。あのね、マイス君とトトリちゃんのことでちょっとあって……」
「マイスとトトリ? …ああ、もしかてマイスがトトリに嫌われたーってヤツか?」
「あら?知ってたの?」
クーデリアの問いに「そりゃあな」と返したイクセルは、そのまま言葉を続けた
「マイスとは食材の取引でよく顔を合わせるからな。その時に気を落してるのはよく見かけてたし……それに、マイスが言うには、トトリに避けられるようになったのは『
そう言ったが、はたと口を止めて「そういえば…」と、今度はロロナを見てイクセルは口を開いた
「あいつ、「ロロナにも嫌われたかも…」って結構落ち込んでたぞ?」
「ふぇ!?そんなこと無いよ!? わたし、全然……」
首を横に振って否定したロロナだったが、クーデリアには何か思い当たる事があったようで、ロロナの言葉に口を挟んだ
「きっと、それはアレね。マイスから逃げるトトリを心配して追いかけてばかりだったから、ロロナも一緒になって避ける形になってたからじゃないかしら?……なんか、そんな感じのこと、マイスが言ってたわよ」
「あっ、なるほど……って、ええっ!? 知らないうちにマイス君に悪い事しちゃってた!?」
納得して……そして、改めて慌てるロロナ
その様子を眺めていたイクセルだったが、今度はクーデリアのほうを見て彼女に問いかけた
「……で、結局何が原因だったんだ? 少し聞こえてたさっきまでの話じゃあ、ティファナさんの一件の時のが原因じゃないらしかったが…?」
「うっ……そ、それは……ねぇ」
イクセルの問いに、少しバツが悪そうな顔をして言葉を詰まらせるクーデリア
そんなクーデリアに変わり、落ち着きを取り戻してきたロロナが答えた
「それがね、トトリちゃんのお母さん……十何万、何十万にもなるギゼラさんが壊した物とか問題とかの修復費とか賠償金なんかをマイス君が何回も立て替えてるって話を、くーちゃんがトトリちゃんにしちゃって……それで……」
「ああ、なるほど。そりゃあ逃げたくもなるくらい、顔を合わせ辛いだろうな」
ロロナの言葉に納得したように頷くイクセル。しかし、それとは別にクーデリアが少し声を荒げて言った
「ちょ!あたしはそこまでリアルな金額は言ってないわよ!? そ、それに、トトリの性格なら真っ先にマイスのところに行って「わたしが代わりに払います!」とか言うと思ったの!そうなったら、きっとあの子が知りたがってたギゼラのこともマイスから聞けるだろうし……」
「まぁ、お前の言いたいこともわからなくもないな…。俺もギゼラって人は知ってるが、その大半はマイスから聞いた話なわけだし。それに金のほうも、いくら家族って言っても、あのマイスが変に取り立てたりしないだろ。……むしろ、憶えてないんじゃないか?」
クーデリアはもちろん、ロロナも別段イクセルの言葉に何かしらの反対意見を言ったりすることは無かった
……だがそれは、逆にイクセルが首をかしげる結果を引き寄せることとなる
「……ん? じゃあ何でロロナはトトリをマイスに会わせようとしてないんだ?」
当然と言えば当然の疑問。その疑問にロロナはビクッ!と体を震わせた
「ええっと……実はギゼラさんってトトリちゃんの住んでる『アランヤ村』でもお金関係で色々とあったらしくて。それで、かなりお金のお話には神経質気味になっちゃってたみたいで……」
「そこにウン十万単位のマイスとの話がきたわけか」
「うん。……で、トトリちゃん、マイス君事態に苦手意識みたいな感じのものを持っちゃったみたいなの。……最近なんかはちょっと酷くなっちゃって、「マイス」って名前を出しただけで隠れちゃうように……」
「それ、「ちょっと酷く」ってレベルなの……?」
想像以上だったのだろう。クーデリアが引き気味で言った
「とりあえず、何とかする方法を考えないか? ここまできたことだし、俺も手伝うからよ……」
イクセルがそう言うと、クーデリアとロロナはほぼ同時に頷いたのだった……
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なお、当事者二人の内の片方…マイスはと言えば……
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***マイスの家***
「あのね、リオネラが結構前から街に立ち寄ってなかったから「フィリーさんに会いに行ってみない?」って言うのはわかるわ。でも、なんでマイスはついて来ようとしなかったのかしら?」
「それによ、不思議に思いながらも会いに行ったら行ったで、こっちも「マイス君には会えないよぅ…!」なんて言いやがるし、無理矢理連れてきたらきたで……なんだよ、この空気?」
「…………」
そう言ったのは、虎猫の人形のアラーニャと黒猫の人形のホロホロ。そして、そのふたりの主人であるリオネラも、そのそばにいた
旅芸人として旅をしている3人(?)だが、どうやら『青の農村』に訪れていたようだ
「ふ、二人とも、大丈夫…?」
心配そうにしているリオネラの問いかけに対しての、二人…マイスとフィリーの反応はと言えば……
「うん…、大丈夫だよ……」
「だ、大丈夫じゃないです……!」
あからさまに落ち込んでいるマイスと、顔を赤くしてマイスがいる方とは別方向を見ているフィリー
二人は言っていることは正反対だが、はたから見ればどちらも「大丈夫じゃない」状態だろう
「……というか、けっこう前になんだか似たような状況が無かったかしら?」
「あー、マイスがあのモコモコしたヤツだって知った時だったか?確かに似てなくもねぇ……か? あの時はフィリーに毛をモフらせたら、よくわかんねぇうちに解決したよな?今回もそれでいいんじゃないか?」
「えっ……いいのかな?そんなことで……?」
アラーニャとホロホロの会話に困ったように少し首をかしげるリオネラ
……こちらもこちらで大変そうだった……