お話の中で出てくる金額は、まっとうな考察などはそこまで行わずに、いくつかの資料を元に「だいたい、このくらいじゃないかな?」と考えたものです
なので、現実味はそこまでありません
昔、お母さんがあちこちで活躍(?)をして、いろんな人に迷惑をかけたりしたことがあったそうで……
その中で、お母さんが出した被害をマイスさんが肩代わりしていたというお話……
ロロナ先生やイクセルさんから、わたしが避けていたせいでマイスさんが元気が無い事を聞いて、悩みに悩んだ末に、あの日、わたしはマイスさんの家へと行った
お母さんとのお金の貸し借りをしていたこと、そしてそれがどうなっているかをようやくマイスさんと話すことができた
一部、よくわからないところや納得できないところがあったりしたものの、それでも何とか折り合いをつけることができて、マイスさんとは前と同じような付き合いができるようになった
……そんなこんなで、後日、アトリエに来てくれたマイスさんと『パイ』を食べながらお話をしたりしていたんだけど、その中で近々村のお祭りがあることを聞いた
どんなお祭りなのかを聞いたけど、マイスさんは首をひねって「実は僕も知らないんだ…」と、不思議なことを言ってきた。詳しく聞いてみると、マイスさんはどうしてかわからないけど、お祭りの企画・準備に参加させてもらえなくて知りようが無かったらしい
そういえば、普段はティファナさんのお店やイクセルさんのお店とかに調合の素材を買いに行った時にチラシを見たりしてたんだけど……今月は一度も見ていない。うーん…?本当にあるのかな?
――――――――――――
***青の農村***
そんな疑問もあったけど、たまたまお仕事とかの予定が無くてヒマが出来たから、マイスさんから聞いていたお祭りの日に『青の農村』に行ってみることにしたんだけど……
「うーん…? いつものお祭りの日よりも人が少ない。けど、普段よりは多いから、やっぱり今日は何かやってるのかな?」
村の入り口辺りから見えた光景から、わたしはそう思った
それに、村の中の道に普段は無い出店もあるから、お祭り自体はやっていることは間違いないだろう
「でも、何のお祭りなんだろう?……って、あれ?あんなところに、看板なんてあったっけ?」
村の入り口から少し行った所に、これまでのお祭りでも置かれたことがなかったような花飾りで装飾された看板がたっていた
「ええっと、なになに……『記念祭』?記念って、何のだろう?」
「この村ができた記念。ちょうど今日がその日ってことなんだ」
「へぇー、そうなんですか……って、あっ、コオルさん、こんにちは」
看板を見つめていたわたしに声をかけてきたのは、『青の農村』を拠点に活動をしている行商人のコオルさんだった
コオルさんは、わたしが初めて『青の農村』を訪れた時からの知り合いで、こうして『青の農村』に立ち寄った時に時々会ってお話することがある
「あの、この『記念祭』って何をするんですか?」
わたしがそう聞くと、コオルさんは少し申し訳なさそうにしながら自分の赤髪をかいて言った
「ああ、悪いが今日のお祭りは何か特別な催し物があるわけじゃないんだ。……せいぜい、ここから見える『
「そうなんですか? ここのお祭りって、いつも面白い事をやっているイメージがあったんですけど……」
「そりゃあ、ウチの村長がそういうのが好きだからな。けど、今回は企画の原案から
「村長が関わってない……そういえば、マイスさんがそんなこと言ってたっけ?」
私の言葉を聞いたコオルさんが、少し驚いた後、納得したように頷き出す
「なるほど、マイスから今日の事を聞いてたのか。身内用の祭りだから街には広告は出してなかったのに来たから不思議だったが、そういうことだったのか……つっても、広告を出さなかったのはマイスにバレないようにするためだったんだけどな」
コオルさんがそう言ったんだけど、わたしはどうにも気になってしまうことがあって、つい首をかしげて問いかけてしまう
「あのー、村ができた記念のお祭りなんですよね? そういうのって普通、村長がとりしきったりするんじゃないんですか?何でマイスさんに知られたらいけないようなことに…?」
「あーっとだな、一応言っておくが『記念祭』の開催は今回が初めてだ。
「村長に感謝…?労う?」
「ああ。この村は元々、村長の作った作物に…その農業に関心を持ったりして、学びたいって人たちが集まってできたものだからな。なんだかんだ言って、尊敬もされているし、感謝もたくさんされてるんだよ。……オレはちょっと別なんだけどな」
普段は聞けないような話を聞いて、なんとなく不思議な気持ちになる
そして、そこまで聞いて、なんとなくだけどこのお祭りがどういうものなのかがわかってきた気がした。そうすると……
「……もしかして、マイスさんに隠してたのって」
「まぁ、俗に言う「サプライズ」っていうやつだな。そのうえ、その準備を手伝わせたりするのは格好がつかないだろ?」
「あははは……なるほど」
この前、マイスさんに会って今日のお祭りのことを聞いた時に感じた「お祭りの準備を手伝いたい」っていう空気は、かなりの物があった気がする
あの様子だと、たぶん内容を隠して少しだけ準備を手伝ってもらおうってなっても、いつの間にか「少しだけ」じゃなくて半分くらいマイスさんがやってしまって色々と残念なことになるのはほぼ間違いないと思う
「……でも、いいんですか?」
「ん? 何がだ?」
「もう、記念祭って始まってるんですよね? コオルさんはマイスさんのところに行かなくても…?」
わたしは辺りを見渡す。村の中にある出店を見て回っている幾人もの人の中には、街の人や旅の人はいる感じはするけど、『
「それなら気にしなくていいぜ。今は日中だからな、オレなんかよりも年下のやつらを中心としたメンバーでマイスに何かしてるはずだ。……で、オレやもっと大人の連中は夜だ。それまでは『
「へぇ、そうだったんですか」
とりあえずは、コオルさんから今日のお祭りがどういうものなのかを聞くことが出来た
その話からすると、どうやら今日はマイスさんに会うのは難しそうだ
……そうなると、わたしはどうしようか?
催し物が無いっていうことは、観戦のようなこともできないわけで……でも、出店を見て回って掘り出し物を探してみるのも悪くは無いかも?
……というわけで、見て回ろうと思い、ここから移動しようとコオルさんに一言お礼でも言おうとしたところで、ふと、あることを思い出した
「……? どうかしたか?オレの顔に何かついてるのか?」
「あっいえ、そういうわけじゃ……でも、なんて言えばいいんだろう?」
「よくわかんねぇな。何か言いたいなら、とりあえず言ってみたらどうだ?」
そう言ってもらえるのはありがたいけど……うーん、本当にどこからどう話せばいいんだろう?
「ええっと……ギゼラっていう人を知ってますか?」
「おお、知ってるぜ……というか、ウチの村の人間だったら大体のやつは知ってると思うぞ。よく、冒険の途中なんかにマイスのところに来てたからな。それに、『集会場』の建設の時のこととか、色々逸話みたいなもんもあるしな」
「うぅ……その、ご迷惑をおかけしました…」
「なんでお前が謝るんだ?」
コオルさんは不思議そうな顔をしているけど……うん。わたしとしてはどうしても、本当に申し訳ない気持ちになってしまう
「その、実はわたしのお母さんで……」
「…………苦労してるんだな」
予想外にも、コオルさんはわたしを責めたりすることもなく同情を…………あれ?これもこれでなんだか悲しいような気も……?
……って、そうじゃなくて!
「この前マイスさんに、お母さんの代わりにお金を払った分を返しますってお話をしたら断わられたんです。……それで、その時にマイスさんが「コオルに怒られる」って言ってたんですけど……あの、どういうことなんですか?」
「オレに怒られる…? ああ、うん……まあ確かにな。けど、その様子だと
呆れたように大きなため息をついたコオルさん。そして首を振った後、わたしの方を見てきた
「どこから話すか悩むが長くなっても悪いからな、端的に話すぞ。……マイスは、ちょっとした問題をかかえてるんだ」
「問題…?」
「そう、その一つが「お金を使わない」ことなんだ。正確にはほとんど使わないだけどな。街の雑貨屋や食堂なんかでも多少使ったりはしてるみたいだけど、ほとんどは
コオルさんは、まるでそれが問題であるかのようにいうんだけど……でも、それってただ単に節約してるっていうだけで、別に悪い事じゃないような気がするんだけど……? むしろ、いいことなんじゃないかな?
そんなわたしの考えが読み取れたのか、コオルさんは首を振った
「…これだけじゃあ、
「えっ、でも、悪い事じゃ無いですよね?それも」
「まあな。作物にしろ、それからできる加工品にしろ、その品質も量も、マイスが
またため息をついたコオルさんは、「ちょっとわかり辛いかもしれないが…」と言葉を続けた
「あのな、『お金』っていうモノは無限のようでも限りがあるんだ。
「もちろん、食べ物以外でも同じようなことが言える」と付け足した。
「他にも、税金とかでも動いてたりするんだが……とりあえず、置いておくぞ。そのお金の流れが
「えっ、でも、お金を貯めてる人なんていくらでもいますよ?わたしだって貯めてます。……それに、お金持ちの人たちはきっと、わたしなんかよりももっと貯めてると思うんですけど」
「だから、限度があるって言っただろう?」
何度目かのため息をついたコオルさんは、わたしに全ての指を伸ばした右手を見せてきた
「「5」だ」
「5?」
「あとは「万」と「コール」だ」
ええっと、つまり……
「50,000コール……?」
「おう。とは言ってもだいたいってだけで、本当はもうちょっとごちゃごちゃした数字だ」
そう頷くコオルさん
……でも、結局何の数字だろう? 「コール」はお金の単位だから何かの金額だろうけど……? ここまでの話からすると、もしかしてマイスさんの収入のことかな?
『冒険者』になるために初めて『アーランドの街』に行くとき、御者のペーターさんの嘘の「馬車代、10万コール」を本気にしてジーノ君と頑張ってお金を貯めた時がある
あの時は結局、一ヶ月で3000コールくらいしか貯められなかった。けど、『錬金術』も戦闘も上達した今ならもっと稼げるとは思うけど……それでも5万コールも稼げる自信は全く無い
「すごいですね。一ヶ月で5万コールだなんて……」
「先月の一日平均稼ぎの話だからな」
「……へ?」
「だから、一ヶ月だと単純計算で150万コールだ」
「…………ええっ?」
「ついでに言うと、先月は低いくらいだ。冒険とかに出てない月は倍くらい……最高額は倍以上の金額になるから」
「………………農業って、そんなに儲かるものなんですか?」
「いや、マイスが異常なだけだ」
倍以上……
単純に倍だけだったとしても300万……もし、それが1年…12ヶ月続けば合計3600万。でも、倍以上っていうのは、あくまで「最高額は」って話だから……いや、低いくらいって言う先月の金額で計算した月150万でも年1800万だから、大金と呼ぶには十分過ぎるよね
あれ…?もしかして、わたしがマイスさんに頼んで冒険について来てもらったりしたこともあるけど、付いてきてもらうだけでマイスさんに結構な損失を負わせてたの……?
「……で、だ。そんな収入のやつが自給自足で生活して、お金を貯め込みだしたらどうなるか、わかるな?」
「……はい、大体は」
「そんなわけで、
……それは喜んでも良いものなのかな?
だって、ということはわたしのお母さんが、困ってしまう金額のマイスさんの貯金を抑えられるくらいの金額分、何かしらの迷惑をかけているわけで……それって、良い事とは言いにくいんじゃ……?
「今はもう、マイスが毎月決まった額を国にあげて積立金の形式になる制度を定めてるから、お前のお母さんが借りてるってわけじゃない。というか、自然災害や他の冒険者による損害は全部マイスの金から払われてるから、そう気にすることじゃないぞ」
「気にするとか気にしないとか、そういう問題じゃあなくなってるような気が……。ていうか、わたし以外にもお腹が痛くなりそうな人がいるような気がしてきました……」
「まあ、国の上層部の人間あたりが腹じゃなくて頭が痛くなってるかもな。実際助かってる部分もあるだろうけど、大金を収めるヤツが何か要求するわけでもなく、毎月毎月、
国の上層部って言うと、前に会ったトリスタンさんは大臣さんだったっけ? お母さんとマイスさんの話を聞いた時に嫌そうな顔をしてたのは、そういう部分もあったのかもしれない
「『錬金術』が使えたり、戦いも凄く強かったりするのを知った頃から「すごい人」とは思ってはいましたけど……もしかして、マイスさんって「とんでもない人」なんですか?」
「マイスが何か頼み事でもすれば、国は断れないだろうから、そういう意味では影響力は強い……というか、その大元の財力がトップクラスだな。強さも国内屈指なわけだし」
そう言うコオルさんは、マイスさんがいるのであろう『集会場』のほうに目を向けて、苦笑いをした
「まあ、本当にすごいのは、それをほとんどの人に知られず、感じさせずにいられることと…………本人が、自分のしていることとそのすごさを全く理解してないことだな」
――――――――――――
その後、コオルさんから……
「オレが知ってる限りでだけど、明確にギゼラさんのために肩代わりした金額はマイスでも9ヶ月分くらいだぜ?まともに考えれば一生で払えるかってくらいだし、いちいち気にしてたら大変だぞ?
……って言われた
わたしが気にしていそうだから、心配してそうだと思って気を遣い言ってくれたのかもしれないけど……9ヶ月…月150万で考えても…………
……うん。コオルさんの言う通り、マイスさんとのお金の事は考えないようにしよう……
アースマイトの財力は異常
原作『RF3』だと、マイスは一日20万は行きますからね……
物価など異なる点があるはいえ、このくらいいくのではないでしょうか?
参考までに、お金持ちエンドは『ロロナのアトリエ』では100万コール。『トトリのアトリエ』では50万コールとなっています