マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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 前回の更新が出来ず、すみませんでした!

 やりたいこと、やらないといけないことが沢山あるのに時間が無い……そんな状況ですが、書きたい内容はあるため、一生懸命時間を作って書いていきます!


 明日もがんばろう!


4年目:マイス「潜入!モコモコ作戦!」

 一度気になると、なかなか頭から離れなくなる……なんて経験は誰しも一度や二度あるんじゃないだろうか? 人によっては数えきれないほどかもしれない

 

 ……そして、今僕はその最中である

 

 解決するには、その気になることを調べて回るなり何なりして、答えを見つけるのが一番だと思う。それができない時は……忘れる努力をする、とか?

 

 

 僕は自分の中のモヤモヤを拭い去るために、行動を開始することにしたのだった……

 

 

 

――――――――――――

 

***職人通り***

 

 

 『ロロナのアトリエ』の窓から、人に気付かれないようにこっそりと中の様子をうかがう

 

 運が良いのか悪いのか、トトリちゃんとミミちゃん……そして、おのおの何かしらの作業をしているちむちゃんたちがいた

 

 トトリちゃんは釜をかき混ぜて調合をしていて、ミミちゃんはソファーに座って何か本を読んでいる。その様子からして、冒険前の調合をミミちゃんが待っている……もしくは、遊びか何かの約束をしていて、トトリちゃんが調合品納品の依頼が終わるのを待っている……といった所かな?

 もし、これがトトリちゃんとミミちゃんじゃなくて、ロロナとクーデリアだったなら、後者で間違いないんだけど……

 

 

 とりあえず僕は窓から離れた

 

「……よしっ」

 

 路地裏の物陰へと引っ込み、周囲に人の目が無い事を確認。その後、自分の腰に巻いてある『変身ベルト』へと意識を向け、クルリッと回転しながら決めポーズをとる

 

「モコッ!」

 

すると、僕は一瞬光に包まれた後「金のモコモコ」の姿へと変身した

 

 

 

「これでよし、っと。……トトリちゃんやミミちゃんの『冒険者免許』の更新が心配だからじゃなくて、このあいだのミミちゃんからのお願いの事できただけ……うん、そういうことにしよう」

 

 

 特に誰かが聞いているわけじゃないけど、僕はひとりで言い訳のようなものを呟いてしまっていた

 心配なのは本当だけど、金モコ状態でなんだかズルをしている気持ちが少なからずあるのも事実だ。……でも、何もしないでひとりで不安であるのが耐えられなかった。だから行動することにしたんだけど……

 

 ……というか、本当なら免許更新の基準の一つである冒険者ランクのことを本人達から聞けたら良かったんだけど……トトリちゃんはともかく、どう考えてもミミちゃんは話をする前に僕から逃げ出すだろう。それじゃあ何も聞けそうにない、だから金モコの姿で様子をうかがうことにしたのだ

 

 

 そんな中、自分への言い訳として思いついたのが……前に、トトリちゃんが僕を避けている時期にその理由を探ろうと、『ロロナのアトリエ』に金モコの姿で行った時の一件だった

 

 その時、ロロナもトトリちゃんもいなかったから、アトリエにいたちむちゃんたちから話を聞こうとしたんだけど……そこにミミちゃんが現れた。そして、何処からどうなってしまったのかわからないが、なりゆきでミミちゃんによる「マイスさん(ぼく)について」のお話を聞かされることとなった

 

 で、その後、アトリエから出ていくときにミミちゃんから言われたことがあった。それは……

「その…………もしよかったらマイスさんが私のこと怒ってないか、それとなく調べてくれないかしら? もちろん、私が探ろうとしてるってことは秘密にしなさいよねっ!いい?わかった!?」

……という内容

 

 その後すぐにミミちゃんは帰っていってしまい、結果的に有無を言わせないような頼みごとをされてしまった

 

 

 

 ……ということで、そのミミちゃんからのお願いの返事……というか、報告を自分への言い訳(理由)にしてしまおう、と考えたわけだ

 

 

「でも、どうしてだろう?」

 

 僕が疑問に思っているのは、ミミちゃんのお願いの内容だ

 もちろん僕はミミちゃんに怒ってなんかいないわけで、なんでミミちゃんがそんなことをきにしているのかサッパリわからなかったりする。というか、ずっと避けられている感じがしていたから、むしろミミちゃんを怒らせてしまうようなことを僕がしたのではないかとずっと考えていたくらいだ

 

 うーん……? これってもしかして、ミミちゃんが僕を避けている理由と関係があったり?

 

 トトリちゃんから避けられていたのは一応解決した。できればミミちゃんからも避けられなくなるようになりたいんだけど……その避けられる理由がわかれば一歩前進できる気がする

 

 

「でも、免許のこともそうだけど、むこうから自発的に話してくれないと知れないからなぁ」

 

 「モコ」意外の、普通の言葉を喋ったりすると僕だとばれかねないから、こっちから具体的に話題をふることができないのだ。……もしかしたら、これがこの方法の最大のネックかもしれない。でも、他に方法も思い浮かばないし……

 

 そんな事を考えながら、僕はアトリエにお邪魔すべくアトリエの玄関のほうへとテコテコと歩き出す……

 

 

――――――――――――

 

***ロロナのアトリエ***

 

 

 ノックをすると、「はーい、どうぞー!」というトトリちゃんの元気な声が聞こえてきた

 

 扉を開けアトリエに入った僕に、調合中で忙しそうなトトリちゃんは、釜をかき混ぜ続けながら、振り返らずに言ってきた

 

 

「ご、ごめんなさいっ! あと少しで調合が終わりますから、ちょっと待っててください!」

 

 どうやら入ってきた僕を見ていなかったため、僕の事を依頼をしにきたお客さんか何かだと思ったようだ

 

 

 

 さて、トトリちゃんは思った以上に忙しそうなわけだけど……そうなっても、別の人が僕に反応を示すことになる

 

「あら? アナタは……」

 

「モコッ!」

 

 その人……ミミちゃんは、手に持って開いていた本から目を離し、僕へと向けてきていた。それに対し、僕は片手をピシッと挙げて返事をする

 

「トトリに用事? それとも、前みたいにちっちゃいのと遊びに来たのかしら? それとも……」

 

 少しだけ考えるような仕草をしたミミちゃんだったけど、一瞬ハッ!?としたような顔をした後……素早く、なおかつ静かに僕のそばに移動し、顔を近づけてきた。そして小声で……

 

 

「も、もももしかして……マイスさんに聞いてきてくれたのかしら!?」

 

「モコッ!?(うえっ!?)」

 

 その勢いから謎のプレッシャーを感じてしまい、無意識に後ずさりして引いてしまった

 けど、一度深呼吸をし気持ちを落ち着けて、改めて目の前のミミちゃんに向きなおり、しっかりと頷いてみせた

 

 

「本当!? ……で、その……マイスさん、怒ってなかったかしら?」

 

「モコモーコ(怒ってないよー)」

 

「そ、そう……」

 

 今度は首を横に振ってみせた。そうすると、ミミちゃんは「ふぅ…」と息をついた。なんとなくではあるけど、それはまるで何かの脅威から逃れることが出来たかのような安心感から自然と出たため息のように感じられた

 

「よかった……でも、もしかして、私の事を忘れてるだけだったり……」

 

 眉間にシワを寄せて、ひとり不安そうに呟くミミちゃん

 

 ……どうしてそんなふうに考えるんだろう? ミミちゃんがここまで心配するようなことって何かあったっけ?

 

 僕は思い出せる範囲でミミちゃんと会ってからこれまでの事を思い出してみたんだけど……やっぱり、心当たりは無かった

 ミミちゃんの不安そうな様子を見ると、どうしても心配になり気になってしまうため、「何とか聞き出せないものか……」と僕は何かしらの行動を起こそうと思ったんだけど……

 

 

 

「ふうっ、終わったー! お待たせしましたー……って、あれ?」

 

 それよりも先にトトリちゃんが調合を終えたみたいで、そんな元気な声が聞こえてきた

 

「ミミちゃん、お客さんどこに行ったか知らない? ……えっと、その子は?」

 

「この子は『青の農村』に住んでる子よ。それでもって、さっき入ってきたお客さん」

 

 トトリちゃんがこっちを向いたからか、不安そうな様子を何処かに隠してしまったミミちゃんが淡々とトトリちゃんの疑問に答えた

 

 

 そして、今度はミミちゃんが首をかしげてトトリちゃんに疑問を投げかけた

 

「っていうか、この子、アトリエによく来てるんじゃないの? 前にもアトリエに入っていくのを見たんだけど……」

 

「ううん? アトリエで見たのは初めてだよ? あっ、でも、わたしが知らないだけで先生とはよく会ってたのかも。何回かその子のこと話してくれたし」

 

「そういえば、私がアトリエで初めて見た時はアナタの先生と一緒だったわね」

 

「やっぱり、そうだったんだ。 ……そういえばわたし、この子とちゃんと会うのは、留守のマイスさんの家に行った時以来かな……? あの時はリオネラさんに抱っこされてるのを見ただけで、お話はしてなかったなぁ」

 

 そう言ったトトリちゃんは、何を思ったのか僕のそばまで来てしゃがみ込み、視線の高さをなるべく合わせようとしてきた

 

 

「こんにちはーモコちゃん、だっけ? わたし、トトリって言うんだけど前に会った事あるんだけど……わかるかな?」

 

「モコッ!」

 

 トトリちゃんの言葉に、僕はしっかりと頷いてみせた後、少しだけピョンピョンと()ねアピールをしてみせた。大袈裟なアクションかもしれないけど、この小さな体だとこのくらいのほうが伝わりやすかったりする……時もある

 

「うわーぁ! ミミちゃん、ミミちゃん、この子えらいよ! わたしの言うことちゃんとわかってるみたい!」

 

「そのくらい当然よ。あのマイスさんのところのモンスターなんだから」

 

「えへへぇ~、こうやってじっくりと見てるとわかるけど、すっごくカワイイよね~。先生が「好き好き!」言ってたのが納得できるよー」

 

 そう言いながら僕の頭を「よしよーし」と撫でまわすトトリちゃん

 

 

 

 

 

「でも、残念なのはもう「モコちゃん」って名前がついてることだよね……。もし名前がついてなかったら「モフ・ザ・ゴールデン・モフコット」って名前をつけてあげたかったのに……この子の毛の柔らかさがすっごーく伝わってくるいい名前だよねー?」

 

「え、……そ、そうね」

 

「モコ……(えぇ……)」

 

 僕はこの時点で、今日は先程のミミちゃんの不安の理由や免許の話が話題にあがらないだろうと確信したのだった……

 


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