マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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 先日更新できなかった件。そして、今回の更新が遅れてしまったこと……大変申し訳ありませんでした

 予想以上にゴタゴタしているというか、もう泥のように眠りたいというか……

 ですが、できる限り頑張りたいと思っています。頑張らせていただきます、何が何でも!!


4年目:マイス「予想外の出来事」

 

 先日、僕の家に来たトトリちゃん。そのトトリちゃんとの会話では、色々とあったんだけど……それはひとまず置いておいて、その中で、今後の事で大切なことがある

 

 それは、トトリちゃんが海へ出ていったギゼラさんを探しに行くということ。そして、そのための船をグイードさんが造るということ。その船を造るための材料をトトリちゃんが集めてくるというものだ

 

 っで、その船の材料集めを僕も手伝うことになったんだけど……その材料を調合するための素材をトトリちゃんから教えてもらい、その中から僕に集められそうなものを考えた

 

 

 その結果、一番僕が集めるのが適している素材は『木材』だという結論になった

 

 船というものを思い浮かべてもらうとわかるかと思うけど、船の大半は木で造られている……つまり、『木材』は『数』も『質』も必要とされ、それが船の最終的な出来栄えにも影響してくる

 

 だから、トトリちゃんに変わって僕が……とはいっても、『質』に関しては『素材』から船の材料へと『錬金術』で調合する際に、ある程度は他の素材でフォローをすることができるから、そこまででもない

 でも、『数』のほうが厄介だった。『木材』を集めているだけで、その間は他の事に手を出すヒマが無くなりそうなくらい必要個数が多かった。そうなると素材集めの他に、素材集めの他に素材・船の材料共々(ともども)『調合』しないといけないトトリちゃんには負担が大きすぎるのでは? ……と、思ったから、僕が集めることを買って出たのだ

 

 

 

 (さいわ)いなことに、僕はこれまでにウチの『離れ』や『モンスター小屋』、他にも『集会場』などといった『青の農村』の建物を建てる際に『木材』を集め吟味(ぎんみ)してきた経験のある。その経験とこれまで得た知識を持ってすれば、船造りのための大量の『木材』集めもそれほど難しいことでは無いだろう

 

 というわけで、トトリちゃんに素材集めのお手伝いを申し出た後日。僕はヒマを見つけては『木材』の調達を始めたのだった……

 

 

――――――――――――

 

 

***職人通り***

 

 

 そんなこんなで、結構な量の『木材』を集めた僕は、さっそくトトリちゃんに渡しに街の『ロロナのアトリエ』へと向かっていた

 この前、『アーランドの街』から『アランヤ村』という長距離を一瞬で移動できる『トラベルゲート』というアイテムをトトリちゃんが持っていることが判明したため、もしかしたら村にいるのかもしれないけど……まあ、とりあえずアトリエへと行ってみることにしたのだ

 

 

「……んっ、とりあえずは、誰かいるみたいだね」

 

 通りを歩いている途中、遠目に見えてきたアトリエの屋根……そこから飛び出ている煙突から(うす)く煙が出ているのが見え、僕はそう思った。あれは『錬金術』で『調合』をしている時に出るものだから、それが見えるということはトトリちゃんかロロナが調合をしているということだ

 

 

 ただ……

 

「……あれ?」

 

 歩いて行き、アトリエが近づいていくにつれて、僕は()()()()に気がついた

 確かに、調合をしている時はあの煙突から煙が出ているのが見えるんだけど……それが、なんだか今日は心なしか濃い……というか、変に色づいている気もする

 

「調合してるものによって、ちょっと変わったりするけど……それにしても、すごい気がするなぁ……? 毒薬でも調合してるのかな?」

 

 でも、船の材料の素材の中には、毒とかそういったものを必要としていた憶えは無い

 だとすると……

 

「結構強いモンスターがいる採取地に行かないと採取できないようなものがあったから、その採取地に行く準備だったりするのかな?」

 

 

 

 そんな事を考えながら歩き続け、アトリエの手前まで来たんだけど……ここで、また別の事に……()()に気づいた

 

「…………なんだか、さっきよりも煙が濃くなってる」

 

 それに、アトリエの中が何だかいつもよりも騒がしい気が……

 

 

 そこまでで、僕はある考えに思い当たった

 

「これって、もしかして……」

 

 僕がそうこぼしたその一瞬後に…………アトリエの煙突・窓・扉から一気に煙が()き出し、それと同時に爆発音が鳴り響いた

 

 

「ちむ~!」

 

 久々に聞いた爆発音と共に、玄関の扉から小さな影が飛び出して……というか、飛んできた。その声から正体はわかっていたから、僕はその影を受け止めた

 

「大丈夫……じゃないよね、どう考えても。吹き飛ばされたわけだし……」

 

「ちーむー……」

 

 飛んできた影……ちむちゃんのうちの一人だった

 大丈夫じゃないと思ったんだけど、受け止めた時は目を回してたものの、すぐに首をブンブンと振ったかとおもうと目をパチクリとさせて、ちょっとすす汚れているところ以外はいつもの様子に戻った。どうやら、身体は小さいけど結構丈夫らしい

 

 この子は確か……

 

「痛いところはない? ちむおとこくん?」

 

「……ちむ、ちむー!」

 

 僕の腕の中で、元気に手を挙げて「大丈夫ー!」と伝えてくるちむおとこくん。怪我も無いみたいなので一安心だ

 

 

「って、それも大事だけど、他のみんなは大丈夫なの!?」

 

  僕は、ちむおとこくんが飛び出してきた扉から中に入る。爆発の勢いのせいか扉も窓も開いたから、室内の煙はほとんど晴れてきていた。だから、アトリエの中はそれなりに見えるくらいにはなっていた

 

「ロロナー、トトリちゃーん? それに、ちむちゃんたちもー、大丈夫ー?」

 

 誰がいるのかはわからなかったけど、とりあえず、いそうな人の名前を読んでみた

 すると、玄関を入って左手の方……から声が聞こえてきた

 

「ちむ?」

「ちむむっ!」

「ちむ!」

「ちむ~」

 

 そっちに目を向けてみると、ソファーの下の隙間からちむちゃんたちが()()顔を出しているのが見えた。……また知らないうちに、女の子が一人増えていた

 

「ちむー!」

 

 僕が抱きかかえていたちむおとこくんがピョンとソファーの上に飛び降り、そこから床に飛び降りて、ちむちゃんたちと再会(?)を果たした。ソファーの下から出てきたちむちゃんたちは、みんなしてちむおとこくんに抱きついたり頭を撫でたりしている

 どうやら、爆発の寸前にみんなでソファーの下に隠れようとして、ちむおとこくんだけが少し遅れてしまって吹き飛ばされたらしかった

 

 

「とりあえずコッチはもう大丈夫として……」

 

 煙は外に逃げていっているため、さっきまでよりも見えるようになってきていた室内。僕は改めてアトリエ内を見渡した

 

「えっ……」

 

 そして見つけた……同時に目を疑った

 

 

「どうやったら、そんなふうになってるのかな……?」

 

 僕が目をやる先……そこには、素材や調合したアイテムを収納する『コンテナ』があるんだけど……

 その『コンテナ』の中にダイブするかのように頭から上半身を突っ込んでしまっている人が一人。服装からしてロロナだろうが……なんだかジタバタしているから、いちおうは大丈夫……なの、かな?

 

「ろ、ロロナー? 大丈夫?」

 

「そ、その声はマイス君……! 助けてー!! 変な体勢で入っちゃって、その、腕と……とかがコンテナの(はじ)にひっかかって出られないのー!」

 

「ええっ、どうしてそんな事に……。とりあえず、ジタバタしないでジッとしてて」

 

「うん……」

 

 ようやく大人しくなったロロナだけど……うん、どうしようか

 体勢を変えられないとなると、一番手っ取り早いのは『コンテナ』を壊してしまうことなんだけど……確か、アトリエのコンテナって見た目以上に物が入ったり、トトリちゃんのアトリエのコンテナに繋がってたりする……って、トトリちゃんから聞いたことがある。そんなものを壊しても問題は無いのだろうか? もしかしたら、壊した瞬間、物が溢れ出てきたり……

 

 

 そう考えると、僕がとれる手段は……

 

 

「ふぇっ!?」

 

 僕は、ロロナの腰のあたりを片腕で抱え上げる様に掴んだ

 

「それじゃあ、いくよー!」

 

「ちょ! くすぐったいよ!! というか、最近ちょっと、ほんのちょーっとだけ運動不足でお腹周りは触らないで欲しいかなー……じゃなくて!? 何!? 何するのー!?」

 

「そー……れっ!!」

 

 

――――――――――――

 

 

 勢いで引き抜いて、「スッポーン」という音が似合いそうな感じで抜けたロロナ……だったんだけど

 

「ひどいよ、マイス君! 力任せで引っ張るなんて!」

 

「うぅ、ごめん。……やっぱり、痛かった?」

 

「それはもう……って、抜けたんだから良しとした方が良いのかなぁ……」

 

 そう言ったロロナは(あき)れ半分、(あきら)め半分といった様子でため息をついた

 

 

「マイス君、そういえばトトリちゃんは?」

 

「トトリちゃん? まだ見つけてないけど……」

 

 やっぱりトトリちゃんもいたらしい。僕はあたりをキョロキョロ見渡してみたんだけど……うーん、見当たらない。かなり散らかってしまっているから、その下敷きに……?

 

「たぶん、錬金釜の近くにいると思うんだけど……」

 

 そう言いながらロロナは、爆発したのであろう錬金釜のほうへと歩いて行った

 

 

 

 ……っていうか、もしかして……

 

「今日の爆発って、ロロナじゃなくてトトリちゃんがやっちゃったの!?」

 

「わ、わたし、最近は調合失敗したりはしてないよ!?」

 

「みぎゅ!」

 

「「えっ」」

 

 僕の言葉に、振り返りながら反論してきたロロナだったけど……その時、ロロナの足元から、何か潰れたような声が……

 

 

「……ロロナ? もしかして……」

 

「…………」

 

 無言でその場から飛び退()いたロロナは、素材や調合書、依頼書などなどが散らばったその場所をゆっくりと書きわけだし……止まった

 それを見ていた僕はゆっくりと近づいて行き、そのロロナが見つめる場所に目をやった

 

「きゅう~……」

 

 ロロナに踏まれたからか、その前の爆発でなのかはわからないけど、目を回して伸びてしまっているトトリちゃんが埋もれていた……

 

 

「とりあえす、ソファーに寝かせようか?」

 

「……うん」

 

 

――――――――――――

 

 

 救出したトトリちゃんをソファーに寝かした後、ロロナはトトリちゃんに怪我が無いか確認をし、その間に僕とちむちゃんたちは散らかったアトリエの片づけをした

 

 片づけが一段落したことろで、僕はソファーのそばの床に腰を降ろしているロロナに近づいて声をかけた

 

「どうだった?」

 

「うん、ちょっとした擦り傷とか打撲とかはあったけど……お薬使ったからもう大丈夫だよ」

 

 そう言いながらロロナは、寝ているトトリちゃんの髪を撫でていた

 

 

「それにしても、トトリちゃんが爆発させるなんて珍しい気がするんだけど……そんなに難しい調合だったの?」

 

  疑問に思っていたことを聞いてみると、予想外にもロロナは首を横に振って「そうじゃないんだけど……」と言ってきた

 

「最近色々あって、トトリちゃんが元気が無くてね……わたしが、もっと気をかけてあげれてれば良かったんだろうけど……」

 

「……何があったの?」

 

「わたしも詳しくは聞いてないんだけどね。トトリちゃん、ミミちゃんとケンカしちゃったんだって」

 

「ええっ!」

 

 トトリちゃんとミミちゃんがケンカをした……少し信じられないことだった

 

 僕がミミちゃんに避けられていることもあって、二人が一緒にいるところはほとんど見たことは無いんだけど……それでも、話を聞く限りでは仲は良かったみたいだった

 それに、この前の免許更新前に金モコに変身してアトリエに来た時に二人に会ったけど、その時はとっても仲が良かったはずだ

 

 

 いったい、何があったんだろう……? 


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