後半の流れが上手くまとめられず、昨日のうちに書き上げられなかったもので……。
アンケートですが、作者のページの活動報告にて引き続き行っています。上位はかなりの接戦となっています!
アンケートの中で心配されている方がいましたが、今作品の『メルルのアトリエ編』は原作の大幅の改変も検討しておりますので、マイス君のお嫁さんが「色々と事情がある」、「登場が遅い」、「そもそも登場しない」というキャラであっても何とかするつもりですので気にせず投票してください!
もう一つ。複数人を選んでいる場合は票数をそれぞれ「0.5」などとして計算させていただきます。また、同じ方がコメントにて複数回返答した場合、最も新しいコメントのみを換算させていただきます。ご了承ください。
※※追記※※
上記の票数の計算について、追記で詳しく書かせていただきます。
「○○と〇〇」、「〇〇か〇〇」など、同列だととれる表記であれば「0.5票」など等分して計算。「〇〇。でも○○も捨てがたい」、「〇〇で。でも〇〇と○○もいいな(見てみたい)」、「〇〇→〇〇→〇〇」など、優先順位が見て取れる場合はその中の最上位のものに「1票」として計算。……と言うことにさせていただきます。
そして、前回触れるのを忘れてもう一週間程前の話題になりますが、アトリエ新作『リディー&スールのアトリエ~不思議な絵画の錬金術士~』と『アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~』の情報が公開されました。まだ情報は少ないですが、期待・不安が錬金釜でぐーるぐーるされている感じですが、続報を楽しみにしたいと思います。
僕の生活リズムには何通りかある。
共通しているのは、朝一番の畑仕事だ。雨の日には水やりをしなくていいので短縮されるけど、それ以外はいつもやっている。他にも、一日一回、時間は決まっていないけど『青の農村』をぐるっと一周し、村のみんなに挨拶をしてまわり、ついでに調子も確認する。
あとは、毎日ではないものの少なくとも二日に一回ペースで『アーランドの街』を訪れ、作物や加工品などを
また、村のお祭りの前には話し合いや準備があったりするので、そういう時には他の時間を削って村の『集会場』などにいることが多くなる。
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***冒険者ギルド***
さて。今日の僕はと言えば、朝一番の畑仕事を終えた後はそのまま『アーランドの街』へと足を運んでいた。特別何か用事があったりしたわけじゃない。ただ、なんとなく「今日は朝の街を歩いて周りたいなー」と思っただけだ。
……こういう時は、トリスタンさんのような『大臣』みたいなお仕事でなかったことを良かったと思えた。きっと、今のように思い付きで行動なんてしたら怒られそうだし、やっぱり僕の性分からして、自分のペースで仕事ができる今の仕事のほうがあっているんだろう。『村長』もそんなにすることがなくてよかった……。
……とまあ、そんなわけで、街を歩いて回った僕だったけど、今は『冒険者ギルド』でフィリーさんとお喋りをしている。
少し前には、『冒険者免許』を取り扱うほうの受付でクーデリアと話していたんだけど……その内容は、主に近頃動きが活発になっているモンスターたちについてだった。『青の農村』周辺ではそんなことは無いけど、ジオさんも話していたように各地で大なり小なり影響が出ているそうだ。ただ、それでも時間と共に鎮静化していくだろう、というのが『冒険者ギルド』の見解らしい。
で、今しているフィリーさんとの会話の内容はと言えば、先日『
「はぁー……お仕事がお休みだったら、私も行ってたのに……」
「あははっ、来年は『カブ合戦』に出場してみる?」
そう聞いてみたけど、フィリーさんは困ったように笑いないながら小さく首を振った。
「それはさすがに遠慮しようかな……観てるだけなら楽しいけど、アレ絶対痛いもん」
「それはまあ「厄払い」だし、ちょっとくらい痛くないと」
『カブ合戦』には、その年の豊作を願うという意味合いもあるが、『カブ』をぶつけることにより付いている厄を払うという意味合いもある。簡単な話、悪いものを身体から叩き出すわけだ。
なので、『カブ合戦』は多少痛くないと意味が無い……というのは言い過ぎかもしれないけど、ある程度痛いのは仕方のないことだ。
「えっと、いちおう聞くけど、今年の怪我人の数は……?」
「三人。……あっ、でも今年は骨にヒビが入った人はいなかったよ」
「これまではヒビが入った人もいたんだね……そっちに驚きだよぅ」
まあ、そうはいってもイベント後に『青の農村』の総力をあげてすぐさま適切な処置を行うため、痛みも抑えられた状態で一週間ほどで全快する。そもそも僕は、病気なんかは専門外だけど、ただの怪我や傷なんかは治すのは得意だし。
「もちろん、「みんなで楽しく・賑やかに」っていう『青の農村』のお祭りの本分だから、参加者のみんなも楽しんで帰ってもらうことを前提にしてるよ。参加前に怪我をする可能性を知ってもらって、その上で参加してもらうし。それに、もし怪我をした場合は、さっき言った通りすぐに治療するんだ」
そうすることで、参加者全員が最後には全員笑顔で帰れるようにと勤めている。そのおかげか、参加希望者はリピーターを含め年々増えて行くばかりであり、僕としては嬉しい限りだったりする。
「と、とにかく、『カブ合戦』はちょっと……あっ、そういえば来月は何があるの?」
「来月は恒例の『冬の収穫祭』。だから、催し物への出場は難しいよ」
「ああ、そっか……。私は野菜とか育ててないもんね。でも、美味しいものが沢山あるから収穫祭は好き……なんだけど、ついつい食べ過ぎちゃうからなぁ。気を抜いたら太っちゃうし。でも……」
楽しみなのか嫌なのか、どっちとも取れるようなことを言いながら「うーん、うーん」悩んでいるフィリーさん。
「太っちゃう」って、そんな気にするようなことじゃないと思うんだけど……。というか、フィリーさんは細過ぎるくらいだし、むしろ沢山食べた方が良いと思うんだけどなぁ?
「ねぇ、ちょっと」
僕がフィリーさんに「そんなに気にしないで食べて良いんじゃない?」と言おうとしたところで、僕の後のほうから誰かが声をかけてきた。背中を向けていた僕はもちろん、僕とのお喋りに気をとられていたのかフィリーさんもハッと驚いたように背筋を伸ばしていた。
「う、うえぇぅっ!? ミ、ミミ様ぁ!?」
「だ・か・ら! いちいちビクビクするんじゃないわよ! 私が何かした!?」
「ご、ごごご……ごめんなさぁいー!」
……フィリーさんは、相変わらずミミちゃんの事が苦手みたいだ。
それはひとまず置いといて、ミミちゃんがここに来たって事はほぼ間違いなく依頼を受けに来たんだろう。となると、僕がここにいては邪魔になってしまう。フィリーさんとは沢山話したし、このままダラダラと話し続けてしまいそうな気もするから、この機会に僕は移動しようかな?
そう思い、僕は動き始めた。
「それじゃあフィリーさん、お祭りの話はまた今度ってことで。それとミミちゃん、お仕事頑張ってね」
「待ちなさい」
別れを告げて移動しようとした僕を、ミミちゃんが呼び止めてきた。
「今日は……マイスに用があるの」
「な、なぁんだ、良かったー……」
自分に用があって来たわけじゃないという事に安堵してため息をもらすフィリーさん。そんなにミミちゃんが苦手なのかな?
……そんなフィリーさんは、ミミちゃんにジロリと睨まれて「ぴぃ!?」と短い悲鳴をあげた。……その、自業自得だと思う。
「マイス、ちょっと付き合いなさい」
「えっと、冒険について行けばいいのかな? なら、ちょっと準備する時間が欲しいんだけど……」
家をあけるとなると、コオルを初めとした村の人たちに言いに行っておかないといけないから、一度『青の農村』に帰りたい。そういう理由があってそう言ったんだけど……
「必要ないわ」
「えっ?」
「今日は、その……私がマイスの家にお邪魔するだけだから」
――――――――――――
そう言われた僕は、ミミちゃんに言われるがままに『青の農村』へと戻ることとなった。
「なんで、いきなり僕の家に?」
はじめはそう思ったんだけど、よくよく考えてみれば誰かが家に遊びに来るなんてことはよくある事だった。
そして、それがミミちゃんとなれば珍しいこと。むしろ嬉しいくらいだ。
というわけで、帰り道の途中からは気分が高揚し始めていた……。
――――――――――――
***マイスの家・作業場***
「なるほど……そういうことだったんだね」
納得した僕は、ひとり頷く。
というのも、僕の家についたところでミミちゃんが言ってきたのだ「錬金釜を使わせて」と。
以前、とある一件で僕はミミちゃんに『錬金術』を教えた。何度も失敗したものの、ミミちゃんはコツを掴んで、最終的には簡単なものであれば調合できるようになった。
その際に教えたレシピは『薬品系』、その時に依頼にあった傷薬などだ。中には、ミミちゃんの普段の冒険なんかでも使えるものもあったから、おそらくは、冒険用に持っておきたいから調合しに来たんだろう。素材も持参しているし、前々から考えていたのかもしてない。
「迷惑なら迷惑って言いなさいよ」
「あはははっ、そんなこと無いよ。っていうか、僕としてはもっと頼ってほしいくらいなんだけど……」
「お断りよ。貴方に頼ったら、何もしないでよくなって人としてダメになっていくもの」
「えぇ……そ、そこまで言うほどじゃないと思うんだけど……?」
僕は抗議混じりの疑問を口にしたんだけど、ミミちゃんは最初から答える気が無かったのか無反応で錬金釜の中を杖でぐーるぐーるとかき混ぜ続けている。
なんとも言えない空気の中、僕は「どうしたものか」と頭をかいた。
ミミちゃんは『錬金術』の基礎を学んでいるしレシピもしっかりと把握している……けど、「絶対大丈夫」とは言い切れない。なので、爆発しそうになったり何かあっても対応できるように、僕はミミちゃんがいる錬金釜から少し離れた場所……『薬学台』の机に備え付けてあるイスに腰をかけて見守っている。
調合中に集中を乱れさせてはいけないからコッチから話しかけるのは……だからと言って、調合を手伝おうとしても「手助けはいらないわ!」って怒られそう。もちろん他の事をして目を離すのも、どこか不安があるので出来そうにもない。
特に急いでやらないといけないことが無いから、のんびりしてても問題は無いんだけど…………何もしないっていうのも、やっぱりヒマなものである。
「ねぇ」
ヒマでヒマで仕方なくて、錬金釜をかき混ぜる動きに合わせて揺れるミミちゃんのサイドテールを見て「色が色なら『トウモロコシ』のヒゲみたい……それはどちらかといえばクーデリアか」なんてどうでもいい事を考えていたら、ミミちゃんが錬金釜を見つめたまま話しかけてきた。
「トトリ、もうこっちに来ないのかしら……」
「うーん。……んん?」
ミミちゃんの問いかけに僕はほぼ反射的に
そう、あれは『カブ合戦』が行われるよりも前のことだ。あの時はロロナが僕とリオネラさんたちを呼んで色々話して……。
「えっと……もしかして、ロロナに何か言われ……いや、言ってるのを聞いた、とか?」
僕の言葉に、ミミちゃんの肩がビクンッと跳ね上がった。後半にだから、きっとたまたまアトリエの前を通りかかったところに、アトリエ内で心配するロロナの独り言がこれまたたまたま聞こえたのかもしれない。
うん、ロロナの独り言は声が大きいからありえそうだ。……で、それを聞いたミミちゃんは「もしかしたら……」と変に不安をかきたてられてしまったのだろう。
「べ、別にいいじゃない。覗き見とかしてたわけじゃないもの」
「それはそうだけど……そんなに速くかき混ぜるとそのうち爆発しちゃうよ?」
「ちょっ……それは早く言いなさいよ!?」
そんなこと言われても、ついさっきミミちゃんがいきなり速くかき混ぜはじめたから、今よりも早くに言うのは無理があるんだけど……。
一度深呼吸をして、かき混ぜる速さをゆっりとしたペースに戻していくミミちゃんを見て、とりあえず爆発の心配がなくなった事を確認すると、僕はついさっきのミミちゃんの問いに対する答え口にした。
「「ギゼラさんを探す」っていう目的はこのあいだの冒険で無くなったけど、トトリちゃんが『冒険者』や『錬金術士』を辞める理由は無いと思うし、そんなに心配しなくてもいいと思うよ? ……って、ロロナにも言ったんだけどなぁ……」
「本当に、そうかしら……?」
またかき混ぜている錬金釜を見つめたまま疑問を口にしてきたミミちゃん。
……ロロナもそうだったけど、声色からも感じ取れるくらい本当に寂しそうに言うから、凄く心配しているのがわかる。
「絶対、とは言えないけどね。でも、調合をしてる時……は、よくわからないかもしれないけど、一緒に冒険してる時……トトリちゃんは嫌そうにしてた?」
「……してなかったわ。激戦の後とか、もの凄く暑かった時とかに疲れた顔するんだけど、綺麗な景色とか珍しい素材とかを見るとすぐに元気になって……嫌そうどころか、凄く楽しそうだった」
「だよね? きっと、トトリちゃんは冒険自体好きなんだと思う。だったら「これからもいろんなところを冒険してみたいっ!」って『冒険者』を続けるだろうし、そうなれば街にも来る……とは思うよ?」
「なんで、最後は自信なさそうに言うのよ。……どうせなら、キッパリと言ってくれた方がこっちとしてもありがたいんだけど」
顔は相変わらず錬金釜の方へ向けたままだけど、ミミちゃんは不満そうに言ってきた。
けど、僕としてはミミちゃんに嘘を言う気は無いから、やっぱり断言することは出来そうにない。
だから、どう答えたものかと悩んだ……けど、僕が言う前にミミちゃんが「……わかってるわ」と呟き、そのまま話し出した。
「冒険者を続けるとしても、永久資格さえもらえれば別に街に来なくてもいい。それこそツェツィさんたちがいる『アランヤ村』で活動すればいいだけだものね……家族と一緒にいれるなら、その方が良いに決まってるもの」
……ミミちゃんにそう言われると、僕から何か言うなんてことはできそうにも無かった。
物心ついた頃には家族がお母さんしかおらず、そのお母さんも早いうちに無くなってしまったミミちゃんにとって「家族」と言う存在はとても大きく意味のあるものに違いない。その気持ちを知っているだけに、同意も否定も出来ない。
「マイスは……
「えっ?」
さっきまでの強気な喋り方とは打って変わって、丁寧な喋り方になったミミちゃん。でも、時々見かける猫かぶりとは違う感じで……まるで昔のミミちゃんに戻ったかのような「柔らかい」という表現があっている声色だった。
けど、僕はそこにはそこまで驚かなかった。これまでにも何度かそう言うことはあったから、「どうしてそうなるんだろう?」という疑問はあってもそれ以上のことは無い。
問題は祖の内容だ。僕はどう、って……話の流れからして…………何のことだろう?
「その……家族と一緒にいたいとか、思わないんですか?」
「あ……あー、うん。なるほど……」
そういうことかと納得した僕だったけど、また「あれ?」と疑問に思い……すぐに納得した。
……そういえば、ミミちゃんが小さい頃に読み聞かせのようにして、前にいたシアレンスの事とか、魔法の事とかを物語風にしたりしてみて色々話したけど……僕自身のことってほとんど話したことがなかったような気がする。
人間とモンスターの『ハーフ』であることは隠し事ではあるが、それ以外のことは知られてもいい事ばかりで……というか、『アーランド』に来た頃にいろんな人に聞いてまわったりしていたから、結構知られている。そして、その知られている事の中にミミちゃんへの答えもある。
……となると、
「……家族と一緒にいたい、っていう気持ちは無くはないんだけど……色々あって、結構昔に
ミミちゃんは錬金釜をかき混ぜている手を完全に止めて、僕のほうへと振り向いてきた。その目は「何で?」と疑問を投げかけてきている。
「理由はいくつかあるんだけど……一番大きいのは憶えてないからかな?」
「憶えて、ない?」
「そうなんだ。ミミちゃんには話すのは初めてかもしれないけど、僕って実は半分くらい記憶喪失なんだよね。一回全部忘れて、今は
「じゃあ……」
「うん。お父さんとお母さんのこともよく憶えてなくってさ、色々教えてもらったり、褒めてもらったことは憶えてるんだけど、それ以上は全然思い出せないから、もうね」
「だから諦めたんだ」と僕は言った。その時には、ミミちゃんは錬金釜をかき混ぜるための杖から手を離して、完全に体を僕のほうに向けていた。
そんなミミちゃんが気まずそうに目をそらしながら、口を開いた。
「もしかして、この前言ってた「シアレンスに帰るっていう目標がついえた」っていうのも、その記憶が戻らないからで……」
「あっ、いや、それはまたちょっと事情が違うんだけどね。記憶が無い僕が生活してたのが『シアレンス』で、そこに帰れないのはまた別の理由があって……それはーそのー……」
「……何? ハッキリ言ってくれないの?」
どう言ったものかと悩んでいると、その様子が気に入らなかったのか、ミミちゃんが少し声色がいつもの鋭い感じに戻ってきて……ついでに、片方の眉も跳ね上がってる……。
……でも、「僕は異世界から来たんですー」なんて言ったところで信じてもらえるかどうか……いや、意外と信じてもらえるかも……? それに、やっぱりウソを言いたくはないし…………あぁ、だけど昔魔法の事とか『はじまりの森』のこととかを物語のようにして話した時期があるから「また、作り話?」とか言われるかも……?
迷いに迷ってしまい、沈黙が続いた『作業場』。
そんな中、「ポフンッ」と軽快な音が僕らの耳に入ってきた。かき混ぜるのをやめてしまっていた錬金釜だけど、どうやら最低限以上のことはできていたようで無事調合が完了したようだ。
その音につられて、僕もミミちゃんも錬金釜のほうを見た。
そして、ミミちゃんが再び僕のほうを見て……ひとつため息をついてから錬金釜へと向きなおり、錬金釜の中から調合したものを取り出し始めた。
「まっ、こんなものかしら」
取り出した『薬用クリーム』を見てそう呟くミミちゃん。……と、その時…………
「お邪魔してまーす。マイスさん、います……か?」
なんとっ! 家のリビングダイニングに繋がる扉からトトリちゃんが入ってきた……で、言っていることからして、僕がいないか『作業場』を見渡そうとして……『薬学台』のところにいた僕を見つけるよりも先に、錬金釜のそばで『薬用クリーム』を持っているミミちゃんに目を止めた。
「げっ!」
ミミちゃんのほうもトトリちゃんに気がつき、二人の目が合った。
トトリちゃんは、両手を口元に当ててワナワナと震えている。
「み、ミミちゃんが……調合してる!?」
「うぐっ……これは、そのっ……!」
対するミミちゃんは、顔を真っ赤にして言葉を詰まらせていた。
……別に調合してただけなんだし、そんなに恥ずかしがったりしなくていいと思うんだけど……?
「そういえば、前に冒険に行った時にくれたお薬……「お店で買った」って言ってたけど、いい特性が色々付いてるからどこのお店で買ったんだろうって思ったけど……もしかして、あれもミミちゃんが……?」
「そ……そうよっ! 悪い!? 文句でもあるの!?」
より一層顔を赤くしたミミちゃんが、何故かケンカ腰でトトリちゃんに言い放った。……が、そばまで駆け寄ってきていたトトリちゃんがミミちゃんを手をガシッと掴み、引き寄せる。
「悪くなんてないよ! この『薬用クリーム』もすごく上手に出来てるし……凄いよミミちゃん!」
「んなっ!? べ、別にあんたに褒められても嬉しくなんて無いわよ! それに、『錬金術』を覚えたのだって、あんたの手伝いをしたいからでも何でもなくて……そうっ! 冒険者としての活動の幅を広げて、より有名になるためなんだからっ!」
「ミミちゃん、何言ってるの? 誰もそんなこと聞いてないんだけど……?」
人の顔ってこれ以上赤くならないんじゃないかな?……ってくらい真っ赤っかになってしまっているミミちゃんと、そんなミミちゃんにいつもの調子でズバッと言うトトリちゃん。
そんな二人を見ている……というか、取り残されてしまっている僕なんだけど……どうしたらいいんだろう? さすがに、今のあの二人の間に入っていこうとは思わないんだけど……。
と、そんな時、さっきトトリちゃんが入って来た扉から、別の人が入ってきた。
「トトリぃー? マイスいたのー? ……って、何があったのよ、これ?」
「あれ? メルヴィア?」
そう。入ってきたのは、トトリちゃんと同じ『アランヤ村』出身の冒険者・メルヴィアさんだった。トトリちゃんとミミちゃんがきゃあきゃあ言っているのを見て、一人首をかしげていた。
僕に気がついたメルヴィアは「あっ、邪魔してるわ」と言って軽く手を振ってきた後、そのまま僕に聞いてきた。
「で、どうしたのよ、トトリは?」
「どうしたって言うほどのことじゃないんだけどね」
そう言って事のいきさつをメルヴィアに話そうとしたんだけど……
「あーっ! マイスいたー!」
「うわっ!?」
声と共に、誰かが僕に跳びついてきた。それをなんとか受け止めて、誰なのかその顔を確かめてみると……
「ピアニャちゃん?」
「うん! ピアニャだよ!」
なんでピアニャちゃんが……て、どう考えてもトトリちゃんとメルヴィアが連れてきたんだろうけど……でも、どうして?
そんなことを考えていると、また開け放たれた扉のほうからトタトタという足音が聞こえてきた。それも一人じゃなさそうな足音だ。
「ピアニャちゃんっ! 勝手に行っちゃダメって言ったでしょ!」
「あら~。マイス、ここにいたのね~」
「ツェツィさん!? それに、パメラさんも!?」
なんでこの二人まで!?
一気に人が増え、賑やかになった『作業場』……。
いや、でも本当にどうしたんだろう……?
じらされるミミちゃん。……でも、これでやっとミミちゃん視点での話を書けそうです。
そして、最後に一気に現れた人達は今後どうなっていくでしょう? 確定事項は、マイス君に胃袋を捕まれることでしょう!