マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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 今回も「原作改変」、「捏造設定」、「独自解釈」がたっぷり含まれてます。
 そして、早く次の話しにいきたいのに、様々な理由で今回は短く、次回に続くという事態に……。とにかく頑張らないといけません。


 前回の後書きで書いていたように補足説明……といいますか、前回の話を中心にいつ何があったかをここに書かせていただきます。

――――――――――――


-3日目:(マイス)ジーノから剣を預かる。
     (ジーノ、ステルク)冒険へ出る。
     (トトリ)マイスに用事があってピアニャと共に家に訪問。


-2日目:(マイス)剣の強化開始。


-1日目:(マイス)剣の強化完了。


 0日目:(ジーノ)強化された剣を持ちだし、その後行方知れず。
     (マイス)剣がないことに気付く(前回、『5年目:マイス「強化計……あれ?」』冒頭)。


+1日目:特に無し。


+2日目:『大物!!釣り大会』開催日。
     (マイス)フィリーとリオネラに会い、今後の事を相談し、翌日とそのまた翌日に約束をする。


+3日目:(マイス、リオネラ)翌日の『魔法』の実験や話し合い、魔導書の最終確認や杖などの道具などの準備などをするために、マイスの家で色々とする。


+4日目:(マイス、リオネラ、フィリー)『魔法』の実験、および、そこからわかった問題点や「ある計画」に関する話し合いを行う。
     (ステルク)マイスの家を訪問。ジーノがいないことを知る。『アランヤ村』近くに『スカーレット』の群れが出現したことをマイスたちに伝える。
     (マイス)『トラベルゲート』を使い『アランヤ村』へ。←(今ココ!)


――――――――――――

 ……だいたいこんな感じですね。
 


5年目:マイス「いつもと違う『アランヤ村』」

 

***アランヤ村***

 

 

 

「……よっと。ちゃんと来れたみたいだね」

 

 『トラベルゲート』を使うのは初めてだったけど、問題無く『アランヤ村』へと移動出来たみたいだ。

 同じような瞬間移動する『魔法』……『リターン』を普段から使ってはいるけど、ホムちゃんから失敗例を聞いたせいか『トラベルゲート』を使うのはちょっと怖かったりする。

 

 

さて、『トラベルゲート』で移動した僕が現れた場所はちょうど村の入り口なんだけど、そこからは『アランヤ村』の中心である広場とそれを取り囲む家々が一望できる。

 見たところ大きな混乱なんかが起きている様子は無いが、いつも通りと言うわけでもないみたい。普段なら広場には立ち話をしている人たちやベンチに座ってノンビリとしている人なんかを見かけるんだけど、今日は全然見当たらない。たぶん、『スカーレット』の接近の情報を受けて、みんな自分の家などの屋内にいるんだろう。

 

「じゃあ僕は……まず、トトリちゃんとメルヴィアを探さないとかな?」

 

 僕がすべきことは、村の人たちの安全確保と、もしもの事態への準備、あとはステルクさんが連れてきた討伐隊に参加するための準備。それらをするためには、この『アランヤ村』を拠点にして活動している二人に会って協力してもらったほうがいいと思う。

 

「二人は……アトリエか、ゲラルドさんの酒場にいるかな?」

 

 どっちもありえそうだけど、有事ってことで、村にいる冒険者である二人は一緒にいる可能性が高い気がする。そして、そうなるとギルドからの情報が直接くる酒場にいるんじゃないかな?

 普段はお客さんが少ない酒場だけど、村で一番大きな建物だから色んな人が集まって身を寄せ合っているかもしれない。そうなると、その人たちに討伐隊のことなどを伝えて少しでも安心させてあげる必要もある。

 

 

 そう考えて、僕は村唯一の酒場『バー・ゲラルド』へと歩き出した……んだけど……

 

「んん?」

 

 広場にある建物の一つの扉が勢いよく開け放たれたのだ。

 

 たしか、あそこは……実は、まだ行った事は無いんだけど、パメラさんのお店だったはず……。

 

 驚きながらも、よくよく見てみると……というか、もう僕のすぐそばまで迫ってきてたんだけど、扉を開け放ったのと同時に走って出てきたピアニャちゃんが、僕に跳びついてきた。

 

「いらっしゃい! マイスぅ!」

 

「いらっしゃい、って……ええ?」

 

 てっきり怖くて僕に跳びついてきたのかと思ったんだけど、ピアニャちゃんにはそんな様子は無くて、むしろいつも通りに楽しそうな笑みを浮かべて元気にしているように思えた。

 と、開いた扉から少し遅れて、お店の店主であるパメラさんが「まって~」と、ピアニャちゃんを追いかけるようにして出てきた。

 

 ……って、あれ?

 

「なんでピアニャちゃんが、パメラさんのお店に?」

 

 ピアニャちゃんに対して「過保護」って言うか「大好き!大好き!」って感じだったツェツィさんのことを考えたら、絶対危なくないようにと酒場かヘルモルト家で一緒にいると思ったのだが、何故だかわからないけど見当違いだったことになる。

 どういうことなんだろうと思って疑問を口に出した。それに答えたのは、いつも通りのほんわりとしたパメラさんだった。

 

 

「なんで、って……ツェツィがウチに預けて、トトリとメルヴィとおでかけに行ったからよ~?」

 

「…………へ?」

 

「あっ、でも、トトリだけすぐに帰って来たんだけど……ちょっと前に、村から飛び出して行くのがお店の窓から見えたわ。何か忘れものでも取りに来てたのかしら~? それにしては、時間がかかってたような気もするんだけどー……」

 

 パメラさんの言葉を聞いてすぐは意味がわからなくて、呆然としてしまっていた。……が、すぐに何を言っているのかがわかった。

 

 思い出したんだ。前に、トトリちゃんとピアニャちゃん、ツェツィさんパメラさん、それにメルヴィアといったメンバーで『青の農村(ウチ)』に遊びに来てくれた時のこと。

 パメラさんとピアニャちゃんが仲が良いことに気がついて、僕はちょっとパメラさんにそのことを聞いてみたんだ。そしたら「ツェツィがトトリとメルヴィアと一緒に冒険に出た時には、あたしのお店で預かってるの。だから、仲良しなのよ~」って答えが……。

 

……

 

…………

 

………………って、

 

 

「え、えええぇーっ!?」

 

「わっ!? びっくりした。マイス、どうしたの?」

 

 つい出してしまった大声に、僕に抱きついてきていたピアニャちゃんが驚いてしまったみたい。でも、それを怒ったり文句を言ったりすることも無く、ピアニャちゃんは「何かあったの?」と僕の顔を心配そうに見つめてきて……って、そうじゃなくて!

 

「え、つまりツェツィさんとメルヴィアは冒険で村の外に出てて、トトリちゃんもちょっと前に村を出たってこと!?」

 

「そうだけど……それがどうかしたの?」

 

 キョトンと不思議そうに片手を頬に当てたまま首をかしげるパメラさん。

 いや、逆になんでそんなに呑気にしていられるんだ!? ……いや、もしかしてパメラさんとピアニャちゃんは『スカーレット』の群れの事を知らない? 「不安をかりたてるようなことはしない方が良い」って誰かが判断して、情報を知らせたのは最低の人にだけだったとか……?

 

 あり得るかもしれない。パメラさんはともかくとしても、ピアニャちゃんは一緒に住んでいるトトリちゃんやツェツィさんが危ない目に遭ってると知ったら凄く不安になるだろうし、心配で心配で取り乱してしまったりしそうだ。まだまだ小さな子だから、なおさら精神的に不安定になりやすいと思う。

 

 その真偽はわかならいけど、思っていた以上に良くない状況だ。

 

 『スカーレット』の群れの詳しい位置情報や、ツェツィさんたちがどの方面に行ったのかといったことが無いから遭遇してしまっているかどうかはわからないけど、それでも危機的状況な可能性があることは間違い無い。

 それに、トトリちゃんが村を飛び出して行ったというのは、きっとステルクさんのハトから手紙を受け取て『スカーレット』の群れの事を知ったトトリちゃんが「おねえちゃんたちが危ない!」って心配になって探しに行ったんだと思う。

 

 

 僕は嫌な汗が流れるのがわかった。それと同時にゾクリッと寒気が走り、全身の筋肉がキュッと縮こまるような感覚に(おちい)ってしまう。

 似たような感覚は、今回ステルクさんから『スカーレット』の群れのことを聞いた時点でもあった。だけど、今のはそれとは比べ物にならないくらい重くずっしりとのしかかって……いや、絞めつけてきた。

 

 大変だ! マズイ。心配だ。どうしよう……色んな感情や考えがグルグル回って落ち着けなくなる。

 

 メルヴィアも、戻って来て後から出ていったっていうトトリちゃんも、一流の冒険者だ。並大抵のモンスターには遅れはとらないと思う。

 だけど、不安要素もある。それは『スカーレット』の群れの数がかなり多いという情報。もし本当に多かったとすれば、トトリちゃんやメルヴィアでも単純に数の暴力で苦戦して、負けなかったとしても少なからず傷を負ってしまうだろう。それに、もし敵の数が多かったとしても、うまく逃げれさえすれば何の問題も無い。

 ……けど、今回は冒険者じゃないツェツィさんがいる。逃げるにしても、戦うにしても、ツェツィさんを守ろうとすることで本領発揮が出来ない状況に追い込まれてしまう可能性が高い。二人の実力をかみして、さらに、後から村を出たトトリちゃんと早くに合流できたとしても、かなり厳しくなる気がする。

 

 トトリちゃんが『トラベルゲート』を使えば……でも、アレを使うにはちょっと隙が出来ちゃうし、移動する人・物が多くなればなるほど使う際の座標の設定とかが難しくなる。だから、乱戦になってたら……下手をすれば、誰か一人がおいてけぼりになったり、『スカーレット』の群れも一緒に村まで移動しかねない……だから、まず使えないだろう。

 

 

 

「マイス、どこか痛いの? お顔、キュってなってるよ……?」

 

「顔色も悪いわよ~? 一回、横になったらどうかしら?」

 

 心配そうに僕の顔を覗きこむピアニャちゃんとパメラさんが見え、僕はハッとした。……そうだ、村で色々考えてても、不安がってもどうしようもないんだ。むしろ、その様子のせいで、ピアニャちゃんやパメラさん(他の人)まで不安にさせてしまう。

 

 ……危ないだなんてことは、最初からわかってた。いや、『アランヤ村』の人たちが危ない状況に置かれるからこそ、僕は来たんじゃないか。

 

 

 気持ちを切り替えるべく、僕は両手で自分の両頬をパァン!と叩き、「フゥ!」と短く息を吐いて背筋を伸ばしてピアニャちゃんとパメラさんの顔を見る。

 そして、いつものように元気に笑顔で話しかける。

 

「僕は大丈夫だよ! だから、ピアニャちゃんはトトリちゃんたちが帰ってくるまでパメラさんのお店のお手伝いをしてあげてくれないかな?」

 

「うー? うん! ピアニャ、今日はそうするつもりだった! ピアニャが作ったやつも売るの!」

 

「後で僕も見に行くからね。……パメラさん、ちょっとの間、ピアニャちゃんのことお願いします」

 

「任されたわ~。だ・か・ら~あとでちゃんとお買い物しに来てね~♪ 約束よ~?」

 

 

 ピアニャちゃんとパメラさんの返事を確信した僕は、二人にお店に戻るように言ってから、村の入り口の方へと駆け出した……。

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 『アランヤ村』を飛び出した僕だったけど、内心、これからどうなるかが不安だった。なぜなら、メルヴィアとツェツィさん、それにトトリちゃんが言った場所がわからないからだ。

 

 ……トトリちゃんが飛び出して行けたのは、話を聞く限り最初はメルヴィアとツェツィさんと一緒に行く予定だったから、二人が行く場所を事前に知っていたんだと思う。

 だけど、僕はその場所を知らない。もし仮にトトリちゃんたちが戦闘をしていれば、近くまで行ければ、戦闘音なんかですぐわかるはずだ。ただ、最初から方向を間違えてしまったり、分かれ道を間違えてしまえば会えるはずも無く、見つけるのは至難の業だろう。

 

 

 だけど、()()()全く手が無いわけでもなかった。

 幸いなことに、僕よりも少し前にトトリちゃんが村を出ていった。その痕跡をたどっていけばいいのだ。

 

 僕は走りながら意識を『変身ベルト』に向けて……途中、勢いそのままにピョンと跳んで金のモコモコの姿へと変身した。

 

 金モコ状態なら、視線が低くなり、地面に残ったトトリちゃんのものだろう真新しい足跡を確認しながら走る事も難しくなくなる。

 また、『ウォルフ』ほどじゃないけど鼻も良くなって、『錬金術士』特有の薬草やら火薬やらの匂いの残り香をたどる事が出来る。

 そして、その大きな耳で音も良く聞こえるようになり、離れた場所からの音も正確に聞き取れるようになる。

 ついでに、根本的な身体能力も人の姿の時よりも強化されているから、速く走る事が出来る上にスタミナも増えて長時間走れるようになるため、単純に広範囲を探し回る事が出来る。

 

 

「無事でいて……!」

 

 

 『スカーレット』の群れと戦ってるかもしれないトトリちゃんたちの安否が心配でしかたない僕は、自然と走るスピードも上がっていってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 ……途中から、真新しい足跡が増えたけど……別々の道に分かれてたりすることもなかったから、僕は気にせず走り続けた……。

 






 短いですけど、前回の話に入れ込むと長すぎるため、こうして分かれることに。
 ……バランスの悪い分割だった気もしますが。
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