ルーンファクトリー「世界を救ってきました。午後からは農作業です」
どっちもどっち
※2019年工事内容※
誤字脱字修正、細かい描写の追加、特殊タグ追加、句読点、行間……
***アーランドの街・広場***
「うわー、すごい賑やかだなぁ!」
そう、長い準備期間を終えてついに『王国祭』が開催されたのだ。
まさに街はお祭りムード一色で、普段何も無い街の通りには様々な種類の露店が数多く立ち並び、お祭りの盛り上がりに一役買っている。
そして、露店が出ていても『サンライズ食堂』といった普段からあるお店などにも多くの人が来店していて、店員がいそがしそうにしていた。
さて僕はといえば、正直なところ時間を持て余している。
ここのお祭り自体初めてなうえ、シアレンスであったお祭りとは規模も形式も まるで違っていてどうしていいかわからない状態だ。
「おーい、マイス君!楽しんでるかしら?」
どうしたものかと思いながら露店で買った飲み物をベンチに座って飲んでいたら、聞きなれた声が聞こえ、そちらを見ると思っていた通りの人がこっちに駆け寄ってくるのが見えた。
「お疲れ様です! エスティさん」
「あははーはぁ……これからもっと疲れちゃいそうなのよねー」
話には聞いていたけど、お祭りの準備以外にも 当然 お祭りの『進行』『警備』『後片付け』などなど沢山の仕事があるらしく、楽しんでいるだけじゃいられないみたい。
「それで、どうかしら『王国祭』は」
「こんな人が多くて賑やかなお祭りは初めてで……どこからどうすればいいか見当もつかなくて」
「あらら……。ん? あっ、それじゃあさ、これからある催し物の参加者募集してるんだけど参加してみない? 優勝とかしたら賞品なんかもあるし」
「催し物ですか?」
そういえば、『王国祭』についてきいたときに言ってた気がするな。
優勝とかあるってことは、シアレンスのお祭りみたいに何かを競い合うのだろう。
「それって何か必要な道具があったりとかは……」
「なんにも無いわよ。しいて言えば、体力と筋力があると有利かなってくらい」
別段 体力や筋力に自信があるわけではないけど、特に道具を使わない競技なら出ない理由が無い。
エスティさんに参加の受付の仕方を教えてもらい、正式に参加者となることができた。
そして、催し物が始まるまでゆっくりと待つことにした。
僕は、ちゃんと内容を確認しておけばよかったと後悔することとなる。
―――――――――
「王国祭メインイベント、『キャベツ祭』! スタートっ!!」
その宣言により、参加者たちが各々目的の場所へと走り出す。
それに遅れないように、僕も良さそうな場所のある方へと走り出した。
だけど、一人になったとき、目の前の光景に叫ばずにはいられなかった。
「やっぱり、森の中で自生してるキャベツを採るのは何か違うって!!」
『キャベツ祭』、制限時間内に決められた範囲内で多く『森キャベツ』をとってきた人が優勝という いたってシンプルな競技だ。
だが、「キャベツは畑で育てるもの」だという意識は、アーランドで生活するようになってから それなりにたつけど中々変えることができずにいた。
他の人が何も疑問に思わず採りまくっていることと合わせてショックを少なからず受け、思うように競技に集中できなかったのは言うまでもない。
―――――――――
「ははは、全然ダメだったな……」
ショックを受けて集中できなかったのはもちろん、カゴの中の整理をしてきていなかったのでキャベツを入れるスペースがあまり無く、あまり持ち運べなかったこともあって、自分が勝つ予想が全くできなかった。
おかげで、カゴだけでなく直接手でキャベツを持ち運ぶ事態になってしまっている。
それにしても、気のせいかもしれないけど、周りの目が僕に集まってる気がする。……アーランドに来てからそれなりにたつけど、なじみの無い異国の服装の初出場者だから目立っちゃってるのかな?
「栄えある第一回、キャベツ祭優勝者は……美少女錬金術士のロロナちゃんです! はい、みんな拍手!」
「は、え? わたし? って、美少女って何!?」
優勝者の発表とともに、聞き慣れた焦り声が聞こえてきた。
わたわたと落ち着かない様子で特設ステージへとあがっていき、優勝賞品を手渡されたロロナは、ぎこちない笑顔ではあったけど、何とか周りの歓声に応えてた。
「さらに副賞として……なんと! 名誉ある『キャベツ娘』の称号が授与されます! おめでとう!」
「あ、ありがと――ええ!? きゃ、きゃべつむすめ!?」
称号っていうくらいだから本当に名誉なものなのかと一瞬思ったけど、ロロナの反応を見る限りどうやらそうではないらしい。
「はい皆さん! 『キャベツ娘』ロロナちゃんに今一度盛大な拍手を!」
「いいぞー! キャベツ娘!」
「キャベツ娘かわいいー!」
「よっ! キャベツ娘!世界一!」
「キャベツ娘ー! 結婚してくれー!」
「ちょ、そんな……やめてー! こんな称号いらないー!」
「大変そうだなー」なんて思いながらも「お祭りなんだからこういった賑やかさもいいよね」と思ってしまっている自分がいる。
……そういえば、もし男性やおばあさんなんかが優勝者だったら称号はどうなっていたのだろう? 少し気になるかも。
「これから、どうしよう……?」
何をしようか迷ってるのではなく、本当にどうしたものか困っていた。
原因は両手をふさいでいる『キャベツ』だ。
カゴの中のものを捨てるわけにも 街中にとったばかりのキャベツを捨てる気にもなれず、少々時間がかかるけど家まで戻らないといけないかと考えていた。
「あー!マイス君だ!」
後ろから声をかけられたので振り返ってみると、『キャベツ娘』ことロロナがこちらに手を振りながら駆け寄ってきていた。そのすぐ後ろにはクーデリアが付いてきているようだ。
「あっ、ロロナ。優勝おめでとう!」
「ありがとう! ……でも、あれはちょっとねぇー」
「まあ、あれもお祭りの一環として割り切るしかないんじゃないかな?」
「マイス君に譲ってあげたいくらいだよ……」
トホホッ、と少し元気なさそうにしているロロナをどうしたものかと考えていると、そこにクーデリアが「それにしても」と話しに入ってきた。
「あんただったのね、
「
「そのキャベツの柱よ。てっきり、どこかの旅芸人のパフォーマンスか何かだと思ってたわ」
「えっ?
「仕方ない事かもしれないけど、あんたってところどころ常識がずれちゃってるわよ…」
そう言われて、本当にそうなのか確認をとろうとロロナの方を向くと
「まっすぐ9個も積んで走って運べるのはすごいよね!」
と、フォロー(?)されて、どう反応すればいいのかわからなくなってしまった。
その後、ロロナの提案でアトリエにキャベツを置かせてもらい、一緒に王国祭を見てまわった。