マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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 やっぱりサブタイトルは思いつかないもので。

 そして書いていて思ったのは、話の内容はどのくらい省いてもよいものなのかということ。
 長々とグダグダになるのを避けたいので何とかしていこうと思います。






※2019年工事内容※
 誤字脱字修正、細かい描写の追加、特殊タグ追加、句読点、行間……



プロローグ「目覚ましには驚きがちょうどいい」

 ベッドに横たわっていた少年がゆっくりと(まぶた)を開ける。

 徐々に意識が覚醒してきた少年は身体を起き上がらせ、そして驚愕する。

 少年の記憶にある自分の家とはかけ離れていたからだ。床も壁も天井も着ている服も、今寝ていたベッドも何もかも違っていたのだ。

 

 少年はとっさにある言葉を発した。

 

 

「『リターン』!」

 

 

 しかし、何も起こらなかった。「魂の休まる場所に帰る魔法」である『リターン』の魔法は、なぜか発動することは無かったのだ。

 

 

 何度目をまたたかせても変わらない目の前の空間に半ば放心してしまっている少年。

 そんな少年を現実に引き戻したのはガチャリと扉が開かれる音だった。

 

「あら、起きたのね」

 

 少年のいるベッドに歩み寄るのは髪を肩のあたりで切りそろえ前髪を髪留めで留めた女性。彼女は、少年の顔を数秒観察してから――それだけでどれだけのことが解ったのかは不明だが――頷く。

 

「うん、顔色も良いし特に問題はなさそうね。あ、キミが着てた服はあそこのカゴの中にあるそうよ」

 

 そう言いながら部屋の隅にあるカゴを示した女性、その姿に目をやりながら少年の中にある疑問が自然と口からこぼれ落ちてくる。

 

「……ここは?」

 

「病院よ。キミ、街道のわきに倒れてたそうよ、おぼえてない?」

 

 女性の言葉は少年の求めているものとは違った。

 むしろ、前半はともかく後半の内容は少年を追い詰めるものだった。少年には街道を歩いた記憶などなかったから……。

 

「怪我は無かったらしいけど……大丈夫?どこか痛いの?」

 

 不安が顔に出てしまっていたのであろう、女性が心配そうに少年を覗きこむ。

 少年は自分を心配する女性に「大丈夫です」と言おうとしたが、それもできず、うつむき首を振ることしかできなかった。

 

 

 少年の心は押しつぶされそうになっていた。

 記憶を失い町に迷い込んできた少年を温かく受け入れてくれた町の住人たち、その人たちと過ごす日々、楽しかったお祭りの数々、そして冒険の中で徐々に取り戻した記憶と思い出せない誰かとの約束・使命。

 それら全てが、まるで夢の中のものだったかのように崩れ去ってゆくように感じられたのだ。

 

 そんな少年の事情は知らない女性だが、先ほどからの少年の様子から何かあるのだろうと察したのだが、立ち去るわけにもいかず頭を悩ませていた。

 

 

 ふと女性の目にとまるものがあった。部屋の隅のカゴのそば、そこにあるのは……おそらくそれで一対なのであろう二本の剣。

 そばまで近づき注意深く見てみるが、特に変わったところのない全く装飾もないただの剣。

 だが女性にはあることがわかった。

 

「この剣、ずいぶん使い込んでるわね。けど、特に欠けなんかもないみたいだし……」

 

 どれだけ整備をしっかりしたとしても、どれだけ使われてきたかは見る人が見ればわかるもの。

 柄などの状態から少なく見積もっても十分使い込んであると思われるのだが、剣のどこにも欠けや壊れ……その兆候すら無かった。

 

「素材……? それか製作者の腕が良いか、使用者の扱いがうまいか……」

 

「……シアレンスの、ガジさんっていう職人さんからもらったんです」

 

「へぇ」

 

 女性は驚いた。自分のつぶやきが聞かれていたことにもだが、先ほどの不安げにうつむいた顔はどこにいったのであろうか、少年の顔はなにやら柔和な笑みをうかべているのだ。

 まるで、「よかった」と安心したかのように。

 

 

 

 

 よくわからないが少年の暗さがなくなったことにひとまず安心した女性は新たに話をきりだすことにした。

 

「そういえば……キミの名前、聞いてなかったわね?」

 

「マイス、僕はマイスっていいます」

 

「私はエスティ、よろしくねマイス君」

 

「こちらこそ」

 

 これからどんな間柄になろうと必須である名前を名乗り合い、ちゃんとした挨拶をすませた二人。

 互いに聞きたいことは色々ある――が、エスティはそのこととは別のことをマイスに言う。

 

 

 

 

「ところでさマイス君……お腹とかすいてたりしないかしら?」

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