書きたいこと、書くべきことが沢山あるのがいけないと思う。特に本編である『ロロナルート』はこれでも結構端折ってるという事実。……いつになったらゴールインするんだろう? 【*20*】とかかな?(遠い目
-追記-(11/23)
上記のように色々と思うところがあって、ちょっとナンバリングを修正(?)中。詳しくは活動報告のほうで……と言いたいところなんですけど、その文章をまとめる時間が無いほど本編とIFを書く時間が無い今日この頃。近々詳細を報告します。
【*7-1*】
***ロロナのアトリエ***
「それでね、それでね! わたしが師匠を探してあちこちを旅してた時の事なんだけど……」
「へぇ……そんなことがあったんですか」
「というか、それだけ探し回って見つからない先生の先生って、いったい何処で何をしてるんだろう?」
アトリエで会話をはずませているのは、ソファーに並んで座った先生とミミちゃんとわたし。それぞれの膝の上には『パイ』の乗ったお皿があり、手元には『香茶』の
今日は特別お仕事も無く、マイスさんのところでの『学校』の『錬金術』関連のことも無かったため、アトリエでちむちゃんたちと戯れてたんだけど……。
そこにミミちゃんがたまたま来て、ロロナ先生の発案で「せっかくだし……」っておやつにすることになった。『パイ』と『香茶』を用意し、それから雑談をしながらおやつを……って、そんな感じだった。
なにはともあれ、お母さん探しとか、冒険者免許更新のためのランクアップとか、そういうことを考えなくていいノンビリとした時間を過ごしているわたし達。
でも、わたしとしては未だに気が抜けないっていうか……いや、でも、ちょっとはマシになったんだけど……。
何が?って、
ロロナ先生ってば、あれからというもの頻繁にポケーッとしてることが多くて、ホントにどうしようもないっていうか、天然とかそういうのを通り越してボケちゃったんじゃないかって思っちゃうくらいだった。
しかも、大変なのが『錬金術』で調合している最中にそんな状態になっちゃった時。大抵の場合、調合が上手くいかなくなって大爆発……からの、ポケーッとしてて爆発から逃げようとも隠れようともしないことがほとんどのロロナ先生を救出・看病。さらにはちむちゃんたちに手伝って貰って散らかったアトリエの掃除……と、後処理が盛り沢山なの。
あの大変さっていったら……今更だけど、わたしが爆発させる
そしてそれは、今の生活にも少なからず影響があって、「特別お仕事も無い」って言ったけど……実は、何度も爆発があってるせいで「今頼むのはマズいかも……」っていう
情報の出所は『冒険者ギルド』で依頼を取り扱っているカウンターの受付嬢をしてるフィリーさんで、きっとウソでも何でもなく、事実なんだと思う。……爆発があった時にアトリエの周りが
……そんな、色々とわたしの生活にも影響をおよぼし始めている先生の
でも、全く無くなったわけじゃなくって、ふとした時になってたりする。もしかしたら、どういう時になるのかを調べていけば、先生がどうしてこんなことになってしまったのかがわかるのかもしれない…………んだけど、今のところはわかんないんだよなぁ……?
わたしがそんなことを考えて口が休まっている間にも、先生とミミちゃんは会話の花を咲かせていた。
「まあ、師匠は昼過ぎに起きて一日中ダラダラしたり、変に早く起きたと思ったらフラ~っと出て行って夜遅くに帰ってきたり、昔からアトリエはわたしに任せっきりで気まぐれで自分勝手な生活してたから……。アトリエの存続が決まった後もいきなり旅に出たと思ったらフラッと帰ってきて、アトリエを開いてお客さん奪っていったり……」
「真偽のわからない噂しか聞いたことがありませんでしたけど……ロロナさんの話している内容と雰囲気のせいか、なんというか、悪名高さに関わるような所業以上に「気まぐれなネコっぽい」っていう印象が強くなってきた気が……」
「うーん……わたしはネコって言われると師匠より、本物のネコと一緒にいることが多かったほむちゃんが思い浮かぶんだよねぇ……。はぁ……師匠はともかく、ほむちゃんになかなか会えないのが寂しいなぁ」
「ほむ……? ああっ、マイスのところに時々いる女の子がそんな名前で……あら?」
原因……原因かぁ……。このまま何にもなくなっていくなら別に知らないままでもいいんだけど、まだまだ続くようなら原因を調べて解決しないといけないよね? 結局はわたしにも色々と影響が出ちゃいそうなわけだし……。
「ちょっと、トトリ? ねぇ、聞いてるの?」
「えっああ、うん! わたしも『ミートパイ』よりも『おさかなパイ』のほうが良いと思うなっ!」
肩を叩かれてとっさにそっちの方へ目を向けると、ジトーっとした視線を向けてくるミミちゃんが。
わっ、わたし、何かしちゃったかな……?
「何言ってんのよ? そんな話、してないんだけど……?」
「あはははっ……ご、ごめんなさい。ええっと……それで?」
「いや、ほら、さっきまで普通に話してたはずなのに、ロロナさんがいきなり黙っちゃって、反応もなくなったの。変よね……一応は小声で何か言ってるっぽいけど」
ミミちゃんに言われて、わたしから見てミミちゃんとは反対の隣に座っているロロナ先生の方を見た。そこにはどこかを見てポケーッとしているロロナ先生の姿が。
これは……
「ああ、またかぁ……」
「
「うん。ちょっと前から時々こうやってポケーッとすることがあるの。ゴハン食べてる時とか、調合してる時とか……あと、マイスさんのところで『錬金術』の授業のことで話し合いしてる時とかに」
他にも、ホントに何気ない時にいきなりなるから、本当に困ってしまう。
わたしの話を聞いたミミちゃんは目を細めた。
「調合の時って、それって工程によってはかなり危ないんじゃ……って、ああ。最近聞く爆発の噂って、それで……。結構頻繁になってるみたいだし、思った以上に大変な状況ね」
「そうなの。ロロナ先生に直接聞いても、隠そうとするか、そのままポケーッてし始めちゃうかでどうしようもなくって……たぶん、わたしが『
「そんなこと言われてもねぇ……」と言って、腕を組み首をかしげて考え出すミミちゃん。わたしもちょっと考えてみるけど……うーん、やっぱりわからないんだよなぁ……。
……ついでに言うと、わたし達がこうやって話したり、うんうん唸っててもロロナ先生は相変わらずぼーっとしているままだったりする。
そうやって少しの間、わたしとミミちゃん二人揃って考え、悩み込んだんだけど……
「……やっぱり、そうよね」
「えっ? ミミちゃん、何かわかったの!?」
「違うわよ。私なんかよりよっぽどそばにいるトトリが考えてもわからないことが、私にそんなポッと思いつくわけないじゃない。……今更だけど、そう思っただけよ」
「ああ、まぁ……そうだよね」
ガックリと肩を落とすけど、そう簡単にわかるものなら、わたしだったこうも悩んだりすることは無かったことには間違いない。確かにミミちゃんの言う通りだ。
でもなぁ……
「せめて何か、もうちょっとヒントでもあれば」
「んなこと言ったって、本当に何かあったのかどうかもわからない曖昧なところから始まってる時点で、そもそも
そんなことを話していると、不意に玄関のほうからノックが聞こえてきた。それに続いて……
「こんにちはー!」
っていう元気な挨拶が。ノックしてすぐに入ってこなかったり、その挨拶の声からしてお客さんは……。
誰か察しがついたところで、わたしはいつものように返事を返した
「あっ、はい。どうぞー」
「お邪魔しまーす。こんにちはトトリちゃん! あっ、ロロナとミミちゃんもいるんだね」
「ええ、ちょっとお茶にお呼ばれして……。とりあえず、お元気そうでなによりです」
入って来たのはマイスさん。そのマイスさんに、ミミちゃんがちょっと固めの挨拶をして、ロロナ先生はあいかわらず…………あれ?
「う、うぇぅ!? ま、、まままマイス君!? えっ、いや、ちょっ! なんでもない! なんでもないよ!? うん!!」
「……何言ってるんですか、先生?」
ちょうど復活したところだったのか、いつものマイスさんに目を覚まさせられた時のように慌てた様子で……何故か、何か言い訳でもするようにアタフタしだしてた。
……っと、そんな変な先生は置いといて……っと。
「なんていうか、マイスさんがアトリエに来るのって久しぶりですね。最近は忙しそうで、わたしたちからソッチに行くことが多くなりましたし……もしかして、何か用事でもあったんですか?」
「うん、実はそうなんだ……けど、うーん……? この中だと、やっぱりロロナに聞くのが一番かな?」
「先生に?」
わたしが首をかしげるのとほぼ同時に、「ええっ!? わ、わたしぃ!?」という先生の驚いてる声が聞こえた。
それにしても、マイスさんが先生に聞きたい事って何なんだろう? 言ってる様子からすると、一応わたしからも聞くことは出来そうな感じには聞こえたけど……『錬金術』のこと? いや、でもそれなら、普段マイスさんのところでしているように話せばいいだけだし、今後もコッチから行く予定がすでに立ってるのに、今、わざわざ来るようなことは無いはずだけど……?
と、そんな時に、である。
誰かが、わたしの腕をガシッと掴んできて……いきなり立ち上がらせるように引っ張られた!
見てみると、いつの間にか立ってわたしのすぐそばまで来ていたミミちゃんが。腕を掴んできてたのはミミちゃんのようだ……って、なんで?
そんなわたしの疑問を他所に、ミミちゃんが話しだす。
「それでは、ちょうどいいタイミングですし、私はこれにて……。あっ、トトリは少々借りていきますので」
「「えっ?」」
「ちょ、ミミちゃんどうしたの? なんか微妙に猫かぶってるし……というか、そんな引っ張らないでー!?」
いきなりのことにポカンとしている先生とマイスさんをよそに、「それでは、ごゆっくり」とよくわからない一言を言ってからわたしを引っ張ってアトリエから出ていくミミちゃん。
えっ、えっ? 一体、何がどうなってこんなことにー!?
――――――――――――
***職人通り***
ミミちゃんに引っ張られ、先生たちを置いたまま外に出て来てしまった……。
「ちょ、ちょっと!? ミミちゃん! どうしたの? 冒険に行きたいなら、そう言ってくれれば……ていうか、それならそれでアトリエで準備してから……」
「別にそういうわけじゃないわよ。ただ、ちょっと、あそこは二人きりにしたほうが良さそうだなって思っただけ」
……? 何の話だろう? 気にはなるけど……
「そんなことより、今、先生を放置するのは色々とマズイと思うんだけど……マイスさんといる時って、普段以上にポケーッとしてることが多いし、わたしが間に入ってないと絶対マイスさんの迷惑になっちゃうよ!」
「ああ、やっぱり……っていうか、そこまでわかってて、その場にも居合わせてるのに、なんでこうも気付かないのかしらね?」
「えっ? 何が?」
わたしがそう言うと、なんでかわからないけど、ミミちゃんがとっても
……いや、だから何で?
「トトリ? 一応確認までに聞いておくけど……マイスと一緒にいる時に、あなたの先生はボーっとすることが特に多いのね?」
「うん、そうだけど? いっつもマイスさんに声かけられたり手をパタパタされてやっと、さっきみたいに慌てて……。おかげで話し合いがあんまり進まなくって、マイスさんに余計に時間を作って貰わなきゃいけなくなって。先生にはわたしが「しっかりしてください!」って言ってるんだけど、全然治らないんだよね……」
「ハァー……」
いやっ、だから何でそんなため息を!? ついでに、なんでそんなかわいそうなものでも見るかのような目でわたしを見てるの!?
「ロロナさんがボーっとしてるの……
「へぇー……えっ!? これって何!? もしかして……! わたし!?」
「違うわよ!」
ビシッとツッコんでくるミミちゃん。
「わたしじゃない……それじゃあ、なんなの!? 教えて、ミミちゃん!!」
「何ってそれは……まぁ、なんというか、その……ねぇ? どう言ったらいいのかしら?」
何故かちょっと顔を赤くして言うミミちゃん。……いや、でもっ!
「そんな勿体ぶらなくていいから!」
「あー、もうっ!! アレよ、アレ! こ……!
こいわずらい……?
………………?
…………………………。
………………………………………!
…………!!??
「はぁっ、うえっ!? 誰が! 誰に!?」
「ロロナさんが、マイスによ。……どうやら一方通行みたいだけど」
そう言いながら、窓からアトリエ内を覗くミミちゃん。
まだアトリエを出てすぐの場所だったことを思い出し、ちょっと声のトーンを抑えながらわたしはミミちゃんのそばに寄って言う。
「いやいやいやっ……ええっ!? ロロナ先生が!? ホントに!?」
「あんな熱い視線をチラチラ向けてて、好きじゃないってことは無いでしょうし、さっき私と話してた時にボーっとしだしたのは今思えばマイスの名前出した時だったし……。たぶん、ボーっとしてる時はいつもマイスのことでも考えてたんじゃない?」
「うわぁ……ウソだぁ。マイスさんほどじゃないにしろ、あんな子供っぽい先生が、そんな……恋愛だなんて……。信じられないっていうか、有り得ないっていうか」
「あんた、自分の先生に対しても相変わらずキツイわね」
「えっ、何が?」と首をかしげると、またミミちゃんにため息を吐かれた……。
「トトリが何にもわかってなかったのは理解したけど……一応聞くけど、邪魔とかはしてないわよね?」
「う、うん、たぶん……大丈夫、だと思う。……けど、やっぱりなぁ……。えぇ、なんで二人が……?」
「そうかしら? 私からすると、結構お似合いだと思うけど? 昔から仲は凄く良さそうだったし、相性は問題無さそうだし……二人して、かなり凄い人なはずなのに全然それっぽくないところとかも」
「ああ……うん」
ミミちゃんの言葉を聞いて、わたしは妙に納得してしまう。
でもなぁ……? ロロナ先生もだけど、マイスさんも先生以上に
「しっ!」
そんな事を考えていると、急にミミちゃんが静かにするように言ってきた。「どうしたんだろう?」って思ってると、アトリエから先生とマイスさんが出てきた。
『
それにしても……二人はアトリエで何を話して……今からどこへ行くんだろう?
「……って、あっ!」
並んで歩いている二人……そのうちのロロナ先生の手が、隣で揺れてるマイスさんの手に伸びて……!!
「いやっ先生! なんでそこでいかないんですか!?」
「そう言うトトリは、あの二人のそばにいて何で気付かなかったのよ?」
「……ホントなんでだろ……?」
もしかしなくても、わたしが察せてなかっただけで、あの二人の間で結構色々とあってたりした? まさか……ねぇ? ううん……?
って、ちょっと目を離してたうちに、二人がむこうのほうまで行ってしまってた。
……で、誰かと話してるみたい。あれは……
「ステルクさん? あっ、先生たち、もう行っちゃった……」
「そうみたいね。……って」
わたしとミミちゃんが見ている先でロロナ先生とマイスさんが『冒険者ギルド』があるほうへと歩いて行き……その後ろ姿を見送ってたステルクさんが……
「「あっ」」
いきなり膝をついて倒れた。
ええ……一体何があったの……?
次回、視点が変わり色々と進む……予定。