話が、中々進まない……!
というのも、「前回後回しにしてた内容がある」&「描写しておきたいことが多い」&「このお話の終わりまで書くと、視点・場面が何度も変わり過ぎる上に一話にしては長すぎる」……といった事情があるため、途中の区切りで切らざるを得ない事態になったからです。
あと、実はこの【8-○】のお話のラストの締めが二種類あって、未だにどっちにするか迷っているからだったりします。『ロロナ』ルート全体の構成にはさほど影響はないのですが、とあるキャラの扱いがかなり変わってしまうため、本気で悩んでしまっています。
そんなわけで、事前に言っておきますが、まさかの【8-4】ありです。長々と引き延ばしてしまって申し訳ありません。
……あと、明日『IF』のほうの更新を行いたいと思います。『フィリー』ルートです。
【*8-3*】
***マイスの家***
お月様が照らす夜道を歩いて、ドキドキワクワクしながら来たマイスのお
ドキドキワクワクしてたのがモヤモヤイライラに変わって、なんていうか頭がグワァーって感じに熱くなっちゃってた。
「ハァ……。だーかーらー」
それで、キッチンに行っちゃったマイス君はひとまず置いといて、くーちゃんにどうしてこんな
「
「本当? ホントのホントに本当?」
「そうだって言ってるでしょ。というか、ずいぶん疑うわね? ……思ってたより独占欲が強かったりするのかしら?」
くーちゃんがボソボソ呟いてるけど……とりあえずは、本当に「新種のモンスター」のことでお話があっただけみたい。
まあ、納得できるかなぁー?
お仕事終わるまで中々『冒険者ギルド』から離れるのは難しいだろうし、来るのが夜になっちゃうのは仕方ないこと。ゴハンを一緒に食べようとしていたのは、マイス君のことを考えれば十分あり得るから、くーちゃん的には
それなら、「新種のモンスター」のこと以外に用は無かったって言ってるんだから、私の気にし過ぎで……って、あれ?
「なんにもないって言ってて……それじゃあ結局
「チッ」
「舌打ち!?」
私が驚くと、くーちゃんは「冗談よ」って言ってから腕組みして肩をすくめてみせた。
「隠したいというか、あやふやにできればって思ってたことなんだけどね。……でも、まぁロロナになら教えてもいいとは思うんだけど」
「いーから教えてよーっ!」
少しニヤニヤしながら「でもなー」ってもったいぶるくーちゃん。
……なんだか、いつもと違ってイジワルな気がする。
そんなくーちゃんに詰め寄りながら問い詰めてみたら……
「じゃあ、代わりにってわけじゃないけど、ロロナが来た理由を教えてくれない? そしたらあたしも教えてあげるわ」
まさかの交換条件。
えっ、うー……そ、それはー……くーちゃんになら言えなくも無いけど、
「
「はぁ?」
「だって、マイス君と『冒険者ギルド』に行った時、くーちゃんが言ってたよね? 「
「あー、うん。確かに言ったわよ? って、もしかして……?」
「それでそれでっ! ちょっとだけ心配になってきちゃって、どうにかしてマイス君に振り向いてもらえないかなーって考えて……昔、師匠が言ってた「ギャップ」っていうのを活かしつつ、お喋りだけじゃなくって布団の中で手ぇ繋いでみたり、思い切って同じ布団に潜りもんじゃうプランもある「お泊まり作戦
ここまで言って、くーちゃんも私が言いたかったことをちゃんと分かってくれたみたいで、少し申し訳なさそうな顔になった。
「なのに……! まさか、くーちゃんもマイス君を狙ってたなんて……騙されたぁ!」
「いや、
「ええっ!? だって、カワイイよ? カッコイイよ? あと強くて、優しくて、色々作れて、おいしくて、物知りで、でもちょっとドジっこなところもあって、お祭りとか学校とか面白いこと沢山考えるから一緒にいるのが楽しくて……ねっ! マイス君、良い子だよ! きっと最高だよ!?」
「言ってることは、最後あたり以外は否定するところはほとんだ無いけど……あんた、実は恋のライバルが欲しかったりするの? ……あと、途中で
えっ? なんで、くーちゃんはそんなこと言うんだろう? そんな話……だったっけ?
わかんなくて、ついつい首をかしげちゃっていると、くーちゃんは苦笑いしだしてため息まで吐いてきた。
「まぁ、
「い、愛しのだなんて、そそそんなぁ~」
「あそこまで言ってて、そこに照れるの……?」
それはもう仕方ないんじゃないと思うなっ!
良いところを言ったり自分の心の中で「好き」って思ったりするのと、周りの人に「好き」って気持ちを指摘されちゃうのって全然違うし……。
「とにかく、改めて言っておくけど、
「だから、照れてなんて~……勘違い?」
「そっ、勘違い。どこぞの職務怠慢大臣じゃあるまいし、あたしはそんな裏でこそこそしたりはしないわ。……思うところが全く無いわけじゃないけど、ちょっとしたアドバイスをしたりとか、普通にロロナの恋路を応援してるんだからね」
あれ? た、たしかに……。
さっき自分で言ったけどくーちゃんが色々言ったから私、今こうして「積極的にいってみよう!」って思って色々作戦を考えて行動できはじめてるわけだし、何にも悪い事は無かった気が……?
改めて思い返して考えてみればみるほど――一回冷静になってみればすぐにわかったのかもしれないけど――なんか、ただ私が
そう思えはじめたら、いきなり詰め寄ったり怒り気味に色々言っちゃったのが凄く悪い事したように思えて……
そうだ! 勘違いだったんだし、くーちゃんに謝らないと…………んん?
なんだか、隣に座ってコッチを見てるくーちゃんの顔がものすーっごくニヤニヤしてる……? そ、それに、なんだか目は変にあったかいっていうか優しい感じが……。
「いやぁ~。でも、今回はロロナが勘違いしてくれてて良いものが見れたわー」
「えっ?」
「だって、あたしをあんなに質問攻めしたり、聞いてもないのに
「っ!?」
言われてみれば、暴露しちゃった感がある気が……!
で、でも、くーちゃんってば前から私がマイス君のこと好きってことは知ってたみたいだし、いまさらそんな…………ううん、やっぱり恥ずかしいっ! 顔から火が出そう、っていうか頭が『メガフラム』っ!!
あ~う~!? ど、どーしよー!?
「それにしても……ホント、それっぽいこと言って話を少しズラすだけで簡単にひっかかるから、誤魔化しやすいわね。今は有り難いけど、他の奴に騙されたりしないか心配だわ」
「ふぇっ? な、何か……?」
「別にー? ただ、今ごろ
「うぇぅ!?」
「ああ、そうそう。マイスも不機嫌だったあんたのこと気になってるだろうし……晩ゴハン食べる時、あたしとマイスが一緒にいたから勘違いしてたってこと話してもいい?」
「やーめーてー!」
くーちゃんがすっごくニヤニヤ笑いながら顔を近づけてきて、耳元で……!?
な、なんだか今日のくーちゃんは師匠とはまた別の意味で手が付けられないよ~っ!?
―――――――――
……そんな、くーちゃんとのやりとりがあったのも、随分前のことに思えてきそうなくらい、私は今目の前での出来事のほうにばっかり意識がむいちゃってた。
というのも、くーちゃんとの内緒話のつもりがマイス君にも普通に聞こえるくらいの声で話しちゃってて、それで……
「ええっと、「お泊まり作戦
聞こえちゃった言葉のせいで、なんだかマイス君が首をかしげて困惑中です……ど、どうしよう?
そんなに考え込まれても、別に深い意味が隠されてたりするわけじゃないんだけど……。
ううーん。でも、聞かれちゃった以上は「なんにも言ってないよ!?」とか言って誤魔化すわけにもいかない。いっそのことそのまま強行突入というか、そのままのながれで作戦を開始したほうが良い気がする!
「あの、この前『離れ』のほうにお泊まりさせてもらったよね?」
「この前……ああっ、僕がお見合い相手だった娘と結婚するって
「ストーップ!? そ、そこは関係無いから思い出さないでっ!」
ただでさえ、ついさっきも勘違いのせいで恥ずかしい思いしたのに、あの時のことまで掘り返されちゃったら本当に恥ずかしすぎて頭がどうにかなっちゃいそうだよ!!
あと、隣のくーちゃんはクスクス笑うの止めてっ! その笑い声で、余計に恥ずかしくなっちゃうからっ!
「と、とにかく! あの時はゴタゴタしちゃってて、喋ったり遊んだりってことがあんまり出来なかったよね」
「まぁ、あの時はロロナがかなりお酒で酔っちゃってたからね。喋るのはいっぺんにバーッて出るか、いきなりウンともスンとも言わなくなるかの両極端って感じだったし、それに結構ボケーッてしちゃってることも多かったから、遊ぶっていうのもねぇ」
「ウン、ソーダネー」
マイス君の言葉に、ちょっと目をそらしてしまいながら何とか返事をする。
言えない……! 「好き」って気持ちの事とか、マイス君の言動一つ一つにはんのうしちゃったりとかして、『離れ』に案内されてからはベッドに入ってアレコレ考えてたらいつの間にか朝になっちゃってたとか!
「そ、それで! 実は今日、リベンジってことで色々お泊まりの準備してきちゃってるの! だから――」
「そっか! それじゃあ、ちょっと『離れ』のほうの準備してくるね。ついこの間掃除したばっかりだから、問題無いと思うけど……」
「――いきなりで悪いんだけど……あっ、ちょ……」
私が言ってる途中で、嬉しそうに立ち上がって離れへと繋がる裏口の方に早足で言ってしまうマイス君。呼び止める前に、その後ろ姿は開閉した裏口戸で見えなくなった。
……いや、まぁ断られないっていうのは嬉しいんだけど……
「そんな自信無さそうに頼まなくったって、これまでの
「確かに、くーちゃんの言う通り……でも、できれば『離れ』じゃなくってコッチでマイス君と一緒に寝てみたかったんだけど……」
「夜這いって……積極的にとは言ったけど、飛ばし過ぎじゃない?」
「そういうのじゃなくって!」
「でも、大体あってるでしょ?」
「そうかもだけどっ!」
正直に言って、『離れ』を用意してもらって、コッチでマイス君とお喋りして、眠くなって寝る時になったら「また明日」って『離れ』に移動して……って流れじゃあどう考えても今以上の関係になれない気がビンビンするだよね……。
そ、それこそ、くーちゃんが言うように「夜這い」まがいのことをするくらいじゃないと……! で、でも恥ずかしいしっ!
また、頭に血が昇っちゃう感覚がして熱くなってたんだけど……
そんな中で、くーちゃんがいつの間にかソファーから立ち上がってた。「どうしたんだろう?」って首をかしげる……それより前に、クーちゃんの口が開いた。
「まぁ、とにかくあたしはこのあたりで退散するわ。明日も朝一で仕事ってこともあるし……十中八九何かやらかしそうで不安しかないけど、いたらいたで邪魔しちゃいそうで悪いから」
「うっ……ご、ゴメンね、くーちゃん」
「別にあたしは今
そう言って歩き出したくーちゃんは軽く手を振って
一瞬わかんなかったけど、きっと『離れ』のほうにいるマイス君に一言言ってから帰るつもりなんだ、って思い当たって納得した。
……くーちゃんが背中を押してくれたんだし、私、頑張らないと!
『離れ』のこともある。くーちゃんとの話もたった一言二言で終るとは思えない。なら、時間はまだまだ余裕がある……はず!
「なら、今のうちに……!」
一回、大きく息を吸って……吐いて……。それから一度握りこぶしを作って「よしっ!」と気合を入れて…………
R-18はありません