燃え尽き症候群(小説には関係無い)を患ったりもしましたが、それはそれとして……
そして、本編と平行して進行させていくはずの小説が2,3個あったはずなのですが、そっちにも時間を……
「なんで好きなことだけできないんだろうなぁ」などと子供じみた事を考えてしまうそんなボヤキを漏らしながら、今回も相変わらずのトトリ視点でお話をはじめていこうと思います。よろしくお願いします。
***街道のはずれ***
私と先生がそれぞれ投げた『N/A』が連鎖して炸裂し、『
その威力はやっぱり目をみはるものがある……んだけど、私はこれだけで決着がつくとは思ってはいない。きっとコイツは、あの時戦った『
そんなことを考えながら私が見つめるのは爆発で土埃の舞い上がった地点。土煙から飛び出してくるだろう『
「――ぁっ!?」
――――そんな私の背中に衝撃が走り、その衝撃の勢いのまま前のめりに倒れてしまった。
冷たい、熱い……ううん、ジンジン痛い……。
手持ちの回復薬が、
だけど、倒れたままじゃあどうしようもないのも事実。私は痛みに耐えつつ体勢を立て直すべく出来る限り素早く立ち上がろうとする。
私のそば以外からも小さな呻き声や土の擦れる音が聞こえてきたような気もする。きっと、私以外にもさっきの攻撃を受けてしまった人がいるんだろう。……早く
「みんな、しっかりしてっ!」
先生の声が聞こえるのと同時に痛みが一気に引き、急いで立ち上がりながら確認した周囲には、私よりも一足先に立ち上がってたのかはたまた攻撃を避けられたのか、ロロナ先生がその両手にそれぞれ空の
少し離れた所に倒れていたホムちゃんとリオネラさんたちも立ち上がってきているところで、とりあえずは大丈夫そう……かな。
「……んっ、あれ?」
足元に違和感を覚え目を向けると、あるモノが見えた。
足の爪先から踵までの長さより少し長い程度の幅がライン状に抉られている地面。それはまるで円を描くように伸びていて、その周囲は
……この
それはそれでキツイ……けど、それ以上に――――
「もしかして、無傷……?」
いつの間にか私たちの背後にいて『
なんで……? どうして……?
『N/A』よりも強力な
攻撃面にしても、防御・回復面にしても、手持ちの
「でも、どうしたら……」
「トトリちゃん! だいじょうぶ、大丈夫だよっ!」
脚から力が抜けてへたり込んでしまいそうになる直前、先生の力強い声が耳に入り何とか踏みとどまれた。
自然と、縋るように、名前を呼ぼうとしながら先生のいる左のほうを向いて――気付いた。
……先生も、震えてる……?
私なんかよりも強くて凄い錬金術士のロロナ先生が……ううん、それはまぁジーノくんみたいに「つえーヤツと戦いたい!」って感じじゃないし、先生だって怖かったり不安だったりすることもあるに決まってるよね……。
先生は、私の先生だ。
私だって知ってる。逃げるわけにも、諦めるわけにも
「そう、だよね。諦めるには、まだ早いんだから……! 先生! 私、やってやります! 『
「! うんっ、その勝負わたしもつき合うよ!」
顔を合わせ、頷き、そして改めて『
さぁ! ここからが本番なんだからっ!!
「なに馬鹿な事を言ってるんですか?」
そんなことを言う声が聞こえてきたのは、私たちの後ろ――そこにいたのはホムちゃんと、そのまた斜め後ろにはリオネラさん。そして、その足元にはちみゅみみゅちゃんと……あれ? いつの間にかちむドラゴンくんも戻ってきてる?
さっきのはホムちゃんが? でも、なんであんなことを……?
「
ホムちゃんが
これって、どういう……?
「『N/A』で有効打を与えられなかったのは事実でが、だからといって何も効かないとは限りません。アレが何かしらの耐性を持っているかもしれませんし、
「「あっ」」
私と先生の声が重なる。
そうだ。私たち錬金術士が『錬金術』で服や防具に『特性』を付与して「炎」や「雷」といった攻撃を軽減しているように……モンスターにも、特定の属性が効かなかったり逆に効いたりする――
でも、そう考えたら『N/A』があんまり効いてなさそうなのにも納得が……あれ? 『N/A』って「炎」の爆弾だったっけ……? うん、確か炎……ん? でも、素材を厳選して作ったら、全然性質が変わったような気も……。
「と、とにかくっ、何か弱点があるかもしれないっていうのはありえそうですね。ねっ、先生?」
「うんっ! よーし、片っ端から試していっちゃおう!」
ホムちゃんから各属性の攻撃用アイテムを受け取る私たち。そこに、リオネラさんが『
「上手く引き付けられるかはわからないけど……でも、当てられるような隙を作ってみせるからっ……! ロロナちゃん、トトリちゃん、よ、よろしくね」
「……うん! でも、絶対に無理はしないでね、りおちゃん」
「オレサマもついてんだから、心配すんなって。
「まっ、
リオネラさんのそばでフワフワ浮かんでるホロホロとアラーニャが、手を振りながらいつもの調子で言う。
ホロホロは冗談なのかさっきのことを根に持っているかのような事を言い、それに比べてアラーニャのほうは至って真面目そうなことを言って「だから心配しないで」と伝えてきた。
「回復やその他補助はホムに任せて、マスターたちはあのゴ●ブリのように動き回る『
「「ちむっ!」」
途中何ともコメントし辛い
不安が無くなったわけじゃない。過去最高ってくらいに大変な戦いになりそうだっていう予感は相変わらずだし、むしろ確信に近いくらいだ。
けど、さっきまで感じていた絶望感は全然感じなくなってた。
「先生たちと一緒なら絶対大丈夫!」、その気持ちが私を一歩踏み出させるチカラになっていた。
キッと『
「アナタは、私たちが絶対にやっつけてみせるんだからっ!!」
私の声を聞いてかどうかはわかんないけど笑うのをやめた『
その『
―――――――――
――んだけど……
「ひぃ……ふぅ……へぇっ……!」
「トトリちゃん、大丈夫っ!?」
先生の声に、「もうダメぇ~」って言葉が口から出てきそうになるのを寸前で飲み込んで……なんとか「へ、平気ですっ」と返すことが出来た。
でも、本音を言うとかなりキツい……。
リオネラさんやアラーニャ、ホロホロが頑張ってくれているおかげで攻撃の半分くらいは私や先生を狙ってきてなかったし、コッチへの攻撃もいくらか防いでくれてた。だから、私たちを狙ってきて私たちが対処しないといけない攻撃は10回に2,3回くらいしかなかった。
けど、結果的には私はかなり走り回ることになってた。
どうしてかっていうと……『
最初のほうで見た竜巻をおこすドラゴンがもう一度現れた他にも、燃え盛る炎のような体が印象的だったドラゴンも現れ、その大きな身体ごと尻尾を振りまわして辺り一帯を焼け焦がすような熱波を放ったりもしていた。
他にも、ついでっていうにはちょっと大きなことが――――
そんなことを考えていた私のもとに、お薬を持ったホムちゃんが駆け寄ってきた。
「大丈夫です、
「えっと……なんで断言?」
「
「いや、まぁその通りだけど……」
でも、私としてはその
「……メルおねえちゃんで慣れてたつもりだったんだけど、悔しいっていうかなんだかグサッって胸を抉られたような感覚……えっと、別に、そんな気にしてるわけじゃないんだけどね?」
「はあ……? ホムには何を言っているのかよくわかりませんが……とにかく、まだ何も終わってはいないんです。早く復帰しましょう」
うん、ホムちゃんの言う通りだよね。目の前で先生以上に大きく揺れてるからって、今そんなことを考えてる場合じゃないよね。……現実逃避するにはまだまだ早すぎる。
実際、ここまで走り回って、隙を見てアイテムを投げつけて…………そうやって一生懸命にやってきた結果、わかってきたこともたくさんある。
まず、今のところ当てることのできた道具『フラム』、『レヘルン』、『ドナーストーン』……それぞれ「炎」、「氷」、「雷」の属性攻撃アイテムだけど、どれも同じ程度のダメージ――とは言ってもそもそもの威力の低さもあってか本当に小さな負傷――を『
「じゃあなんで『N/A』は効いてないようすだったのか?」っていう疑問も湧いてきたけど、とにかく『
だけど、問題はこれまでの属性攻撃はどれも「弱点」ではなさろうってこと。残っている『地球儀』の地属性も、『
もちろん、「弱点がある」ってわかってたわけじゃなくて「弱点があったら突破口になる」って話だったわけで、「弱点が無い」って可能性もじゅうぶんあった……だけど、そこに期待をしていたのも確かだ。
やっぱり持久戦は避けられそうにないかな……
でも、最初に考えてたのとは違ってホムちゃんとちむちゃんがいるおかげで、いざという時の補給の目途も全く無いわけじゃないし、とにかく今は色々試していってみないと!
ホムちゃんから受け取ったお薬をゴキュッと飲んで体力も疲労感も一気に回復。拳を握りしめて気合も入れなおした。
「よーし、復活! すみません、先生っおまたせし――」
「トトリちゃーん! でっかいの来たから離れて~!!」
「――まし……えっ?」
なんのことか聞くよりも早く、理解した。
こっちに走ってくるロロナ先生やリオネラさん……その向こうに見える
その大きさと放たれているプレッシャーからこれまでに見たドラゴンと同じようなヤツだってことは察することが出来た。……だけど、これまでの二体ともまた違う……一見ドラゴンとは思えない見た目。
尖ってたり角ばった場所の少ない|流線形の身体。四足どころか二足歩行もできそうにない脚らしきものが見当たらない骨格。その脚や翼の代わりに身体から生えていたりする大きなヒレ…………あえて言うなら、大海原で出会ったあの『フラウシュトラウト』をより魚っぽくしたような存在だった。
羽毛のような翼を持つドラゴンが吹き荒れる竜巻をおこし、燃え盛る炎のような体表のドラゴンが辺りを焦がす熱波を放った……。となると、大きなヒレを持ち魚と竜の中間っぽいドラゴンが何をしてくるかは、だいたい予想できちゃう。
そう、たとえば『フラウシュトラウト』がやったような
そんなことを考えながら、先生たちと一緒にドラゴンから離れるように駆けて行く私。
「つめたっ!?」
と、その脚――
ううん、
あれ? でも、あたりを覆う黒い靄でちょっと見え辛くはあるけど、私のいるところからほんの十メートルほど先……ちみゅみみゅちゃんやちむドラゴンくんが待機してた辺りは全然水没なんてしてない原っぱが健在で……本当にどうなってるの!?
「って、ひゃぁ!! な、な流される!?」
膝下の大半が浸かるほどの水位になっている水は私たちの斜め後ろ――つまりはおおよそあのドラゴンへと向かうように流れていて、その勢いは激しくって、必死に抗おうとしても歩くスピードと同じくらいの速度で押し流され、正直倒れないようになんとか体勢を保つだけで精一杯っ!
何とか首を回し横目で後の方へ眼をやる。
その途中、私よりもあっち側にいたロロナ先生も必死に流れに抗ってて……そのロロナ先生の方へ焦った様子のリオネラさんとアラーニャ&ホロホロが飛んで行ってて…………
なんかもの凄く気になるモノを見てしまった気が気がするけど……と、とにかく、その大きな体ゆえに嫌でも目がいってしまう例の大きなヒレのドラゴンはと言えば、まるで遠吠えをする『ウォルフ』のようにその首を大きくもたげてゆらしていて……その真下あたりになるドラゴンの胸元前の地面に流れる水が渦巻き飛沫を激しく上げながら集まっていくのが見えた。
もしも、こけてしまったりして
――――――ぁ!!
――――――ぃ!!
「……? 今、何か聞こえたような……??」
渦へと勢い良く流れる水音と、その名かをバシャバシャと抗う私たちがあげる飛沫の音のほんのわずかな合間に、なんとなくだけど、誰かの声が聞こえたような気がしたんだけど……?
「気のせい……あっ。っとっとっと!」
不意に脚から消えた水の感覚が消えて、流れに上がらってた勢いのまま前のめりに倒れそうになったのを何とか踏みとどまる。
すぐさま辺りを確認すると、比較的小柄で流されないか一番心配だったホムちゃんも、私よりもドラゴンに近かったリオネラさんやロロナ先生も……ビショビショになってはいたりもするけどとりあえずは無事そうだった。
広範囲攻撃をやり過ごせたことにひとまず息をつきそうになっていた私に――――――
その影たちは、あの大きなヒレのドラゴンが消えた場所に再び現れた『
「「アンタっ――――」」
「ロロナに」
「トトリに」
「「――――何してくれてんのよ!!」」
「くーちゃん!?」
「ミミちゃんっ!?」
『
やったか!?(二回目のお約束)
錬金術士が二人いてもてこずる……その理由は、「二つの作品のゲームシステムというか戦闘システムの違い、それによる印象」が強いかと。つまりは書いてる人(作者)のせいですね、わかります。
ようやく役者がそろった最終戦。『終わりのもの』を突破するその方法とは……!?
次回、『最終局面』