※2019年工事内容※
誤字脱字修正、細かい描写の追加、特殊タグ追加、句読点、行間……
***街道***
「にしたって、いきなり一人でこんなところまで来たなんて信じらんねぇな」
「だ、だって……! 知らない人に護衛を頼むなんて出来なかったんだもん」
私はホロホロ君になんとか言い訳を返した。
話の内容は初めてマイス君と会った日のこと、おつかいで護衛も付けずに街の外のマイス君のお家付近まで来た時のことだ。
「けど、さすがに戦ったりできない子が一人では感心しないわね」
「だよなー。リオネラだってオレたちがついてるしな」
「わ、私だって少しは戦えるよ……」
アラーニャちゃんの言葉にホロホロ君が、ホロホロ君の言葉にリオネラちゃんが 反応して賑やかな会話になってた。
そもそも、なんでこんな話をしているのか。
それは、今ちょうど私たちが アーランドの街からのびる街道を歩いているから。
ここ最近、マイス君が何だか元気が無いように感じられて私は心配してた。そして、リオネラちゃんも同じだったみたいで、昨日ふたりで話し合って「お茶とお菓子を持って行ってお茶会をして、マイス君とお話しする&元気づけよう!」ということになった
だから、私とリオネラちゃんは、それぞれ香茶とお菓子の入ったカゴを分担して持ってる。
そうこうしているうちに、街道からわきにそれるように存在するマイス君のお家へと続く小道へとたどりついた。
私とリオネラちゃんは緊張や不安からかおしゃべりが止まってしまい、空気が少し重くなってしまってた。
「もう、気持ちはわからなくもないけど、フィリーちゃんもリオネラも暗くなっちゃってるわよ。元気づけようとしてる人が元気無くってどうするの」
「そうだぜ。こういうときは、空気を読まないくらいバカみてぇに笑ってればいいんだぜ?」
ホロホロ君は無茶苦茶なようなことを言ってるけど、アラーニャちゃんの言うことは確かにそのとおりだ。
なんでマイス君が元気がないのか。私なんかで マイス君が抱えてる問題を解決できるのか…………不安なことはたくさんある。
だけど、私はマイス君の力になりたかった。ダメダメな私なんかにも優しくしてくれて、何度も助けてくれたマイス君を……今度は私が助けたいって思った。
「フィリーちゃん」
それに、今の私はひとりじゃない。マイス君をきっかけにお友達になったリオネラちゃんも、マイス君が心配でなんとかしてあげたいって思っていたみたい。
私だけだといっぱい不安だけど、リオネラちゃんもいるんだから……きっと、ふたりでなら出来ることも増えると思う。
「リオネラちゃん……うん、行こう!」
顔を見合わせて頷いて、私たちはマイス君のお家のある林の中へと小道を歩き出した
―――――――――
***マイスの家・前***
シャキーン
コンッ コンッ コンッ
カラン カラン
ドス ン ドス ン
マイス君のお家に近づくにつれて、聞き覚えの無い音がたくさん聞こえてきだした。
「何の音……?」
不安そうに顔を強張らせているリオネラちゃんがそう言ったから、音は私の聞き間違えなんかじゃないってことがわかる。
「もしかして、マイス君が元気が無いことと関係あるのかな……」
「そうかも……」
私の言葉にリオネラちゃんが頷いてくれたけど、私の中では不安が大きくなっていってた。何なのかわからない音、これを私たちで何とかできるんだろうか…………
林に入った小道は やがて林を抜けて、マイス君のお家の全体が見えてきた。そこには―――――――――
「「…………」」
もしも、お人形が動いて喋っていたり、マイス君のお家に人と仲が良いモンスターがいたりと、変わったことに慣れていなかったら叫んだり気絶したりしていたかもしれない。
マイス君のお家の前の庭には想像を絶する光景が広がってた。
丸太を切って板にしたり、木の柱に溝を彫ったりしている
木の板を運んだり、その板を組んだり、柱を立てたりしている
石を食べてはドッスンドッスン動いて、口の中に入れた石を吐き出して運んでいる
それらそれぞれ2~4体ほどが、その大きさに似合わない細やかな動きで活動していた。
「何してるんだろ……?」
「木で建物を、建ててる……のかな?」
たぶんだけど、リオネラちゃんの言う通りだとは思う。
マイス君のお家のすぐそばの土地に積まれた石と立てられた柱からして、今あるお家ほどは無いとは思うけど、結構な大きさの建物ができてしまいそうだ。
そんなことを考えてると、リオネラちゃんのすぐそばでフワフワ浮いてるホロホロ君たちが目の前の光景を眺めながら言ってきた。
「この変なモンスターたちだけどさ、ぜってぇマイスのやつが一枚噛んでるぜ」
「まあ、ここが彼の家なんだから何かしら関係はしているとは思うけど……」
作業をしている謎の存在たちは、私たちのことなんて気にせずに黙々と作業を続けている。襲ってきそうな敵意も全然無いからひとまずは安全かな。
「とりあえず、邪魔にならないようにお家のほうに――」
「行こう」って言う前に気がついた。ちょうどお家の影になっていた方から大きな『ハンマー』を持ったマイス君が出てくることに。
「あっ、フィリーさん、リオネラさん、それにホロホロとアラーニャも! こんにちは!!」
マイス君がこっちに気がついて、駆け寄ってくる。
その様子は、この前に会った時のような元気の無い感じじゃなくて、まさにマイス君っていうイメージ通りの元気いっぱいな感じだった。
私はリオネラちゃんの方に顔を向ける。リオネラちゃんもちょうどこっちを見てきていて、その顔はパァッっと明るくなった。
「「よかったー!」」
私とリオネラちゃんは一緒になって喜んだ。お互いの手を握ってピョンピョン飛び跳ねちゃったりしちゃった。
ふたりとも手に持っていたカゴを落としてたこととか、マイス君が状況が飲み込めなくて首をかしげてたりもしていたけどね……。
――――――――――――
「とりあえず、家に入らない?」というマイス君の言葉で、いったんお家に入ってからお話しすることになった。
持ってきていた香茶とお菓子をテーブルに出して、それぞれソファーやイスに座ってお喋りをはじめ……いろいろと騒がしくもある外の様子についてとか、話していった。
「えっと、あの作業しているのはモンスターじゃなくて『アクティブシード』って種から成長したので、あれ以外にもいろんな種類があって……ううん、頭がパンクしちゃいそうだよぅ……」
マイス君からあの作業している子たちのことを聞いたけど、なんだか魔法みたいに信じられないくらいのもので、すっごくビックリしちゃってて理解が追い付かなくなっちゃった。
「そ、そういえば、ロロナちゃんから聞いたことあったかも……たしか、マイスくんが『錬金術』でつくったって」
「うん、一応はそうなんだ。……というか、その話は結構広まってたりするのかなぁ?」
リオネラちゃんは何か知ってたみたい。ロロナって名前はこれまでにも、おねえちゃんやマイス君の話の中で聞いたことはある……あんまり知らないけど。
他にも色々なことをお話した。
香茶やお菓子のこと、『ウォルフ』とこなーちゃんのこと、『モンスター小屋』や『離れ』を建てる計画のこと……
でも、結局マイス君が元気が無かったことについては一度も触れずにいた。
無理をして元気なフリをしているならちゃんと聞いて解決したほうが良いと思うけど、そういうわけでもなさそうだったからリオネラちゃんと小声で話し合って触れないことにした。………きっとこれで良かっただろうと思ってる。
「こんな話を書きたい」と考えると、「そしたら 間にこういう話が必要だよね」
…………思うように筆が進みませんね。今回も短めですし
気分転換しながら 書いていきます