マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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 捏造設定・独自解釈入っています
そして、どんどん原作ネタバレが著しくなっていきますよ!






※2019年工事内容※
 途中…………


リオネラ「私の秘密」

 ***旅人の街道***

 

「おっ、ソッチのもいいんじゃねぇか?」

「そうね。それじゃあリオネラ、採りましょうか」

 

「う、うん」

 

 

 今日はロロナちゃんの錬金術に使う材料を採りに『旅人の街道』まで来てます。クーデリアさんも一緒です

 モンスターをある程度 追い払った後、手分けをして素材を収集しはじめてから少ししたときのことでした

 

「ロロナ、なんか見たこと無いのがあるんだけど……ちょっと、聞いてんの?」

 

 クーデリアさんが 採取で見つけた素材のことをロロナちゃんに聞こうとしている声が 後ろのほうで聞こえてきた。ロロナちゃんの返事が無くて 少しイライラしてきてる…?

 

「もうっ!!返事くらいし…な……さ…」

 

「…ど、どうしたの?って、あ……あれ?」

 

 怒鳴り声が途中から変になったのが気になって振り返ってみたんだけど……

 

「ろろろ!?ロロナちゃんがいない!?」

 

「あいつ、どこ行ったのよ!!」

 

 私とクーデリアさんがあたりを見回してみたけど、ついさっきまで近くにいたはずのロロナちゃんが見当たらなかった

 

「はぁ…おおかた素材の採取に夢中になって よそに行っちゃってるんだと思うんだけど……」

 

「私、探してくる…!!」

 

 

「はぁ!?ちょっと!……って、もう行ってる。私たちまでバラバラになったら意味ないってのに……」

 

 

 

――――――――――――

 

 

「ロロナちゃーん…ロロナちゃーん……」

 

 名前を呼びながら ロロナちゃんのことを探し回りはじめて、それなりの時間がたった

 

「ホントにコッチの方にいるのかぁ?」

「わからないわよ。何の手がかりもないんだから……」

 

 ホロホロとアラーニャがそんなことを話してるけど、わからないからといって探さないわけにはいかない。きっとロロナちゃんはひとりで寂しく不安がってると思うし、早く見つけてあげたい

 

 

「…ぇ…りおちゃーん!ここだよー!」

 

 ふいに遠くから聞こえてきた声。だけど、その声は間違いなく……

 

「ロロナちゃんの声だ…!」

 

 声のした方へと走り出す。あたりは薄く霧がかかっていて 少し視界が悪いけど、そうかからないうちにロロナちゃんの姿が見えてきた

 

 

「ロロナちゃん!よかった…急にいなくなるから、どこに行っちゃったかと思って…」

 

「うぅ…ごめんね。ぼーっとしてたらいつの間にか……」

 

「オイオイ…大丈夫か、それ。もっとちゃんとしろよな」

 

 ホロホロの言葉に 涙目になりながら「ご、ごめんなさい…」って言うロロナちゃん。その姿は 少し頼りないけど微笑ましくて、なんだかロロナちゃんらしかった

 

 

「とっ、とりあえず、日が暮れる前に元の場所まで戻ろう……あっ」

 

「そうだねー…?りおちゃん、どうしたの?」

 

 私が振り返った先には 道がある……それは私がロロナちゃんを探しに来たときに通ったから当然なんだけど……

 

 その道が途中で三方向に別れていた

 

「…………私、どうやって来たんだっけ?」

 

「え……えええええええええ!?」

 

 

 

 

 そもそも この『旅人の街道』は、街へと伸びる大きな一本の街道があり、そこから多方向への小道が枝分かれしたり交わったりして存在している場所。大きな街道こそ一本道で何の問題は無いのだけど、小道に入ればひとたび迷路のようなモノで 慣れない人は迷ってしまったりする。それは大きな街道から離れるほどに、だ

 

「ごめんね……。わたしが迷子になったりしたから…」

 

「ううん、私が、ちゃんと道を覚えておけば…ごめんなさいっ!」

 

「りおちゃんは悪くないよ。わたしがしっかりしとけば…ごめんなさい!」

 

「そんなことない。私が…私が全部悪いの!ごめんなさい!ごめんなんさい!」

 

「いつまで謝りあってるんだよ、こいつら」

「そうよねぇ…この状況が変わるわけでもないし……」

 

 私とロロナちゃんの謝りあいは ホロホロとアラーニャが入ってくるまで続いた

 

 

 そして、これからどうしようって行動に移そうとしたとき

 

「っ!ちょっと待ってリオネラ!何か来るわよ!!」

 

 アラーニャの警告にあたりを見渡し……目よりも先に 耳がそれに気がついた

 

バサッ バサッ

 

 はばたく音。そして、その音は私たちの前に姿を現した

 『グリフォン』その強さは、同じ場所に住む他のモンスターから頭一つとびぬけていて、おそらくは『旅人の街道』で遭遇するモンスターの中でもトップクラスだ

 

「わ、わわ?モンスター!?」

 

 ロロナちゃんの声に振り向くと、そっちには鳥型のモンスターが複数体、取り囲むようにいる。一体だけなら何とでもなるけど、それが複数……その上『グリフォン』までいる

 

「こりゃまたゾロゾロと出てきたなぁ」

「戦うにしても、逃げるにしても、今の状況でこの数は……」

 

「ど、どど、どうしよう…?ね、りおちゃん?」

 

 

「大丈夫…」

 

「えっ」

 

「ちゃんと逃げられるから、安心して。ね?」

 

「う、うん…でも…」

 

 私の言葉に 不安そうな顔をしながらも頷くロロナちゃんを見て、私はある種の覚悟を決める

 

 

「いいの?リオネラ」

 

「他に方法ないし……それに、ロロナちゃんならきっと平気…だと、思うんだけど……」

 

 アラーニャの問いかけに 私は答える。やっぱり不安は拭いきれない…

 

「自身なさげだな。どうなっても知らねーぞ」

 

 …けど、思い出されるのは一か月ほど前の『近くの森』での出来事

 私がギリギリまで…いや、それ以上に迷ってしまったせいで、お友達のフィリーちゃんを危険な目に合わせてしまったこと。あの時、たまたま近くにマイスくんが通りかかって助けてくれたから何ともなかったけど、もしも マイスくんがいなかったら……そう考えると、自分が許せなかった

 

 

 ロロナちゃんを近くまで引き寄せて、手をしっかりと握る

 

「しっかり掴まっててね……行くよ…」

 

 私は、私自身とロロナちゃんに『()』を巡らせた

 

 何故か私だけが生まれながらに持つ『力』。それは 物に触れたりせずに動かしたり浮かせたりできる『力』。私のしている「糸の無い人形劇」のタネであり、私が旅をするようになった原因でもある

 

「え、え…えええええええ!?」

 

 今、その『力』で私自身とロロナちゃんを空へと飛ばしたのだ

 

 こうなれば問題は解決できたも当然だった

 囲んでいたモンスターたちは、いきなり飛んでいった私たちを見失い追いかけてこれない。そして、地上からでは把握できない道のりも、ところどころを木々に隠されていても 上空から見渡せば理解するのは難しくは無い

 

 

「えっと……うん、あそこだ。……!?」

 

 私たちがクーデリアさんと採取していた場所が確認でき、その近くの街道まで飛んでいく

 途中、気になるものをみてしまったけど、今はロロナちゃんと無事に帰ることが優先だった

 

 

――――――――――――

 

 

「ふう…ここまでくれば、もう……」

 

 街道に降りたち、周囲を確認する。幸い 人もモンスターもおらず問題はなさそうだ

 

「ロロナちゃん、大丈夫?」

 

「う、うん…あの…えと……わたし、今、空飛んでた?」

 

「…………。」

 

 ロロナちゃんの問いかけに 私は答えることができなかった。ずっと隠してきた秘密……一度は話すことを覚悟してたけど、いざとなると口が重くなってしまう

 

「まあな。こいつの得意技だからよ」

 

 何も言えない私に しびれをきらしたかのように、ホロホロがロロナちゃんに行った

 

「ど、どうして?どうやって?りおちゃんがやった…んだよね?」

 

「それは…」

 

 目の前であそこまでのことをやったんだから話さないわけにはいかなくなってしまっている。けど……

 

 

「やっと見つけたわよっ!あんたたち、何勝手にどっか行ってるのよー!!」

 

「あら、おむかえが来たみたいね」

 

 少し遠くからクーデリアさんの怒鳴り声が聞こえてきた。アラーニャの声に釣られて私とロロナちゃんがそちらを向くと、遠くから駆けてくるクーデリアさんが見えた……ここからでも怒ってるのがわかる…

 

 

「あの…今度、ちゃんと説明するから……だから…」

 

「うん…」

 

 話している途中でクーデリアさんが合流してきて、話しを聞かれたら少しまずいから……。そう自分に理由を言い聞かせながら、とりあえず今を切り抜ける

 どちらにしても、そう遠くないうちに話さないといけないのだから、ただほんの少しの先延ばしでしかないけど……

 

 

 

 そして もう一つ、問題があった

 

 飛んでいる間に見かけた 気になるもの……それは、マイスくんだ

 たまたま『旅人の街道』に用があって来ていたのか、私たちが採取していた場所とは違う小道にいるのが見えた

 

 それだけならまだいいんだけど……そのマイスくんと目が合ってしまった気がした。つまり、私とロロナちゃんが飛んでいるのが見られたかもしれないということだ

 

 「かもしれない」というのには、一応理由がある

 ホロホロとアラーニャくらいの小さいものであればそういうことは無いのだけど、人ほどの大きさのものを動かした際には、必要な力が大きいためか それらが淡い光に包まれるのだ

 だから、飛んでいる私たちが 外の人からハッキリと見えたかはわからない

 

 でも、不安は消えることは無く、私の心の中に渦巻いていた……


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