マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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※2019年工事内容※
 途中…………


マイス「今日も街は騒がしく」

***職人通り***

 

 『王宮受付』で依頼の整理をして、『サンライズ食堂』に食材を届けた後のことだった

 

「あら、マイスじゃない」

 

「こんにちは、クーデリア。今日もロロナに用事?」

 

「「も」って、何よ その含みのある言い方は!」

 

「えっ?」

 

「…む、無自覚……いや、私の気にし過ぎなのかしら?」

 

 クーデリアが何かボソボソと言ってるけど、さすがに聞き取れない。モコモコの姿ならば もしかしたら聞き取れたかもしれないけど……まあ、気にするほどのことでも無いと思うし、別にいいや

 

 

「そういう あんたはロロナに用事でもあるの?」

 

「ないけど、せっかく近くに用があったから 様子でも見ていこうかなって」

 

 確かホムちゃんは 採取を頼まれて出かけてるからいないはずだ。昨日、本人が僕の家に来て「数日間 採取に出かけますので。……出かける前に、少しだけ こなーと遊びます」ということがあったのだ

 

「そうなの。でも、残念だけどロロナは今留守みたいよ。アトリエには誰もいなかったわ」

 

「そうなんだ。……鍵が開いてたってことは街のどこかに出かけてるのかな?」

 

 『王宮受付』と『サンライズ食堂』では見かけなかったから 街の中央の『広場』の方にでも行っているのか、それか途中ですれ違っていたのかもしれない

 

 

「で、あんた今からどうするの?」

 

「そうだなぁ、家に帰る…その前に雑貨屋さんで花の種を買っていこうかな」

 

「そういえば 花も育ててたわね。……あれって儲かるの?」

 

「成長するまでの時間とお世話が必要だけど、上手くいけば種を買った金額の5倍くらいにはなるかな」

 

「育てるのが どう難しいかわからないから何とも言えない部分があるけど、聞いてる分には それなりに儲けそうね」

 

「あとは……種類によっては薬をつくれるものもあったりして、薬に加工してから売った方が ちょっとだけ高くなったりすることもあるかな。…まあ それは花と薬、それぞれの供給量によるんだけどね」

 

「薬って…アレもそうだったのかしら……?ふーん、ちょうど今ヒマだから雑貨屋までついていっていい?…ちょっと興味あるし」

 

「うん、いいよ!」

 

 

 そうして雑貨屋さんのほうへと足を向ける……それにしても、なんだかしっくりこない、というか少し気になったことがあった

 

 クーデリアとはそんな長い付き合いじゃないけど、あんまりお金のことには特に興味をしめしたりすることは無かった気がするが、今回、なんで「儲かるか」なんて聞いてきたのだろうか?

 まあ、僕の考え過ぎだろう。おおかた「欲しいものがあるけど値段が高いから 今の所持金から増やせないだろうか?」とかいった理由だろう

 

 

 雑貨屋さんは『職人通り』にあるので、そうかからずに たどり着くことができた

 

「……あれ?」

 

 ふと、耳に聞きなれた声が聞こえてきたような気がして立ち止まる。この声は……

 

「…?どうしたのよ。いきなり立ち止まったりして」

 

「えっと、なんだか雑貨屋さんの中からロロナの声が聞こえたような気がして……」

 

「そう?私には何も聞こえなかったけど……まあ、たまたまロロナも来てるってことは ありえなくはないわね」

 

 それもそうだ。もしかしたら錬金術の材料が足りなくなって、雑貨屋さんで買えるから、って買いに来ているのかもしれない

 そんなことを考えながら、僕は雑貨屋さんの扉を開けた

 

 

 

――――――――――――

 

***ロウとティファの雑貨店***

 

 お店に入ってすぐに見えたのはロロナの後ろ姿。そして、奥の方にいるのは、ここでよく見かける男性客三人と……あれは確かロロナのお父さんだったかな?カウンターにはティファナさんは見当たらない

 あれ?こんなこと、前にもあったような……

 

 

「お父さん、またいる……」

 

「わ!ロロナ!」

 

 ロロナの静かだけど怒りがこもった声に、ロロナお父さんが驚きながらロロナに気がついたようだ

 

 

「もう!この間お母さんにすごく怒られたのに、まだ懲りてないの?」

 

「違う、違うんだ!これには理由が…」

 

 焦った様子でワタワタしながらも ロロナに何か言おうとするロロナのお父さん

 

「理由って?」

 

「いいか。ティファナさんは若くてきれいで、そして何より未亡人だ」

 

「…それで?」

 

 ロロナのお父さんは、先程までの焦りは顔から消えて フッと真面目な顔になる。まるで別人のようにキリッっときまった顔だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それ以外に何の理由がいるんだ!?」

 

「知らないよ!訳分かんないこと言わないでよ!」

 

 ロロナのお父さんの言葉に、さすがのロロナも 怒りに怒っている。あんなロロナを見るのは初めてだ

 なお、クーデリアは…

 

「最低ね…あれでロロナのお父さんなんだから驚きよ、ホント……ああいうのになっちゃダメよ」

 

「…うん」

 

「……まっ、あんたなら大丈夫かしらね」

 

 何故だか僕に注意を促した

 

 

 そんな中、ロロナのお父さんへの援護が入ってきた。この雑貨屋さんで よく見かける三人の男性客だ

 

「そうだそうだ!ライアンさんの言う通りだ!」

 

「正義は我々にある!」

 

「いやあ、ライアンさん!あんたとはいい酒が飲めそうだ!」

 

 彼らはロロナに対し、意気揚々と口をそろえてロロナのお父さんを擁護する

 僕の隣では、ため息とともに「ダメだ、この人たち…」と吐き捨てるクーデリアがいた

 

 

 

「はあ…もう意味が分かんない……」

 

 ガクリと肩を下げて 疲れたように呟いたロロナ。そんな後ろ姿を見ながらクーデリアが声をかける

 

「なんて言うか、大変そうね ロロナ。……いろんな意味で」

 

「あっ、くーちゃん、それにマイスくんも。珍しいね ふたりで雑貨屋さんに来るなんて」

 

「さっき通りでたまたま合ったのよ。ヒマがあったから なんとなくマイスの買い物について行ってみようかなって思ったのよ」

 

 

「うん。僕が種を買うようがあって、クーデリアが花の種に興味があるから それじゃあ行ってみようかなって」

 

 僕が付けたしでそう言うと、クーデリアから わき腹を肘でつつかれた。どうしてのかと思い そちらを見ると、僕のことをジロリと睨んでいた

 

「別にわざわざ そこまで言わなくてもいいいわよ(ボソリ」

 

「……?つまり、言ってもいいんじゃないのかな?」

 

「いや、まあ……そうだけど…」

 

 

 「なんか納得できないわ」と呟いてそっぽを向くクーデリア

 何かしてしまったのか、どうしたらいいかわからず困っていると、ふと視界の端でニコニコ笑顔なロロナが見えた。クーデリアもそれに気づいたようで、ロロナの方を向いた

 

「どうしたのよ ロロナ?」

 

「えっとね、くーちゃんとマイスくんが仲良くお話ししてるのが なんだか嬉しくて!」

 

 自分のことであるかのように嬉しそうに言うロロナに、僕とクーデリアは互いに顔を見合わせる。……で、特に何も思うところが無く お互い「どういうこと?」「さあ?」といった感じで首をかしげて、再びロロナの方を向く

 

「特に仲が良いとかはないけど……あっ、でも 初めて話した時のマイスはカチカチに固まってて、その頃に比べれば まあ仲良くなったのかしら」

 

「だよねー。けっこう最近までマイスくん、わたしたちにも丁寧で ちょっと違和感あったんだ。 あれはあれで 精一杯背伸びしてる感じでかわいかったけど」

 

「…最後のは、よくわからないよ……」

 

 こういう時、どういう反応をすればいいんだろうか……

 

 

―――――――――

 

 

「っと。種を買いにきたんだった」

 

 レジカウンターにティファナさんはいないけど、店が開いていたのだから いつものように呼んだら奥のドアから出てきてくれるだろう。そう思いカウンターへと歩き近づいたんだけど、他の方向から誰かが僕に近づいてきているのに気がついた

 

 僕が立ち止まって そちらへ向くその前に、先に動いていたのだろう人が間に入ってきた

 

 

「……お父さん、マイスくんに何の用?」

 

「ろ、ロロナっ。あれだ、ロロナの男友達は…ほら、やっぱり心配じゃないか…!」

 

 ふくれっ面のロロナに 中々強気に出れないロロナのお父さん

 

「ふんだっ!マイスくんは お父さんとは関係ないもん。それに――――――」

 

 

 と、続けてロロナが何か言おうとしたところに、乱入者が現れた。……あの男性客三人組だ

 

「だ、ダメだ、ライアンさん!」

「その子は格が違いすぎる!!」

「ダメージが半端ないんだ!!」

 

「ならなおさらロロナの近くには……!」

 

「ち、違うんだ!その子は…」

 

 三人組がロロナのお父さんに呼びかけるが、それが逆にロロナのお父さんの原動力になってしまっているようだ

 ……というか、あの三人組は なんであんなに焦っているのだろうか?

 

 

 

「その子はっ!閉まっているティファナちゃんの店に 鍵を使っておじゃまするような子なんだ!!」

 

「な、なななっ!なんだって!?」

 

 ……何をそんなに驚いているんだろう?鍵を使わずにおじゃまするのは泥棒だろうけど、使っておじゃまするのは別におかしくないと思うんだけど…

 

「マイスくん…今の話、本当……?」

 

「えっ」

 

 気づけば 何故かロロナにジトーッと睨まれて……うん、たぶんロロナは睨んでいる気がする。いつもと同じようなパッチリした目だけど…

 

 

「マイスくん……」

 

「ロロナ、一回冷静に考えてみたら?」

 

「くーちゃん、私はれいせーだよ」

 

「じゃあ問題だけど、お人好しでお節介焼きな天然の男の子が ちょっと病弱な女性の家に何かを持って行きました。それはなんだと思う?」

 

「えっ? うーんと…………お薬、かな?…って、あっ!」

 

「そういうことよ。…でしょ?」

 

 そう言ってクーデリアが僕の方を向く

 ……そうなんだけど、なんで知ってるんだろう…?そんなことを考えていると、クーデリアが何かを探すようにキョロキョロしだした

 

「えっと、たしか……」

 

 

 

「マイスくんがウチにおろしてくれてるお薬は その棚の二段目よ」

 

「んっ、あったわ……って」

 

「ティファナさん!?いつの間に…」

 

 薬を商品棚から見つけ出したクーデリアとロロナが驚いたようにティファナさんを見る

 

 

「ティファナさん、こんにちは!」

 

「いらっしゃい マイスくん、それにロロナちゃんとクーデリアちゃんも。お店が賑やかだなぁって思ったら、みんなが来てたのね」

 

「いや、それはなんというか……」

 

「私たちよりもアッチなんだけど……」

 

 そんなことを言いながらロロナとクーデリアが男性客たちの方へ目を向けるけど……彼ら(ロロナのお父さんを含む)は店の端っこのエリアの定位置まで いつの間にか移動していた

 

 

―――――――――

 

 

「マイスくんに看病してもらった時に貰ったお薬がとてもよくてね。後で頼んで、ウチに置いてもらえるようにしたのよ」

 

「で、私がその薬にこの前 気づいて、見たことない薬だったから「これ何?」って聞いたら その時のことを聞かせてくれて……だからマイスが合鍵使って入ったってことを知ってたの」

 

 ティファナさんとクーデリアの説明を聞いて、ロロナはティファナさんの話に、僕はクーデリアの話に 「そうだったんだー」と声をもらした

 

 

 

―――――――――

 

そんなこんなで、今回のちょっとした騒ぎは大したことは無く終わった……ロロナのお父さんが家に帰ってからどうなったかは知れないけど…………そして

 

 

「…あれ?もしかして、マイスくんって私よりも薬の調合上手いの……?」

 

 数時間後の夜のアトリエで、そんなとこを思いついてしまったロロナが一人悩んだとか……




 こういう話ばかり書きたい衝動が……
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