マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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※2019年工事内容※
 途中…………


マイス「変わったようで変わっていない日常…なのかな?」

モフモフ

 

「あのー…フィリーさん?」

 

モフモフ

 

「んー?」

 

モフモフ

 

モフモフ

 

 

 どうしてこうなった……

 先日のフィリーさんはどこへやら。僕の家にリオネラさんと一緒に来たかと思えばいきなり「モコちゃんに変身して!」と要求。流されるままに僕がモコモコの姿になると、僕をだきかかえてソファーへ……

 そして、今、僕はフィリーさんの膝の上でモフモフされています……

 

 

「えぇっと…」

 

「……リオネラさん、とりあえず座ったらどうかな?」

 

 リオネラさんも、先日の引きこもってしまったフィリーさんを知っているので、今のフィリーさんの行動に困惑してオロオロとしてた。僕に促されてやっと座ったけど、変わらず落ち着いていなかった

 

 

 

「あの…フィリーちゃん。何があったの?どうしたの……?」

 

「うん、部屋から出てきてくれたのは嬉しいんだけど……いったい?」

 

「ふふっ…リオネラちゃん、マイス君、あのね…」

 

 僕をモフモフするフィリーさんの手が止まったので 振り返りながら見上げてフィリーさんの顔をうかがってみた。その顔は薄く微笑んでいて、目は軽く閉じられていた

 

 次の瞬間!フィリーさんの目がカッと見開かれた

 

「人間、時には何かを得るために 別の何かを投げ捨てなきゃいけない時があるの!!」

 

 ……えっと、それってつまり…?

 

 

「吹っ切れた、ってことかよ」

 

 リオネラさんの隣に浮かぶ黒猫の人形・ホロホロが呆れたように言った。そして それを聞いてか聞かずかフィリーさんは言葉を続ける

 

「今、私は羞恥心を捨てて、このモフモフを堪能しないといけないのっ!」

 

 そう言って再び僕をモフモフしだした

 

 

「おれは知らねぇけどよ、マイスのモフモフってそんなに中毒性があんのか?」

 

「気持ちいい柔らかさだったけど…私はあそこまでは……」

 

 ホロホロの疑問にリオネラさんが答える。…というか中毒性って、まるで『金のふわ毛』が危ないモノみたいじゃないか

 

 そして、フィリーさんにモフモフされるがままで どうしようもない僕に、リオネラさんの隣に浮いていた人形の内 虎猫のほう…アラーニャが僕に近づいて来て言った

 

「……今のフィリーの顔、見ちゃダメだからね」

 

「えっ?」

 

「あの子、表情が緩みに緩んで レディーがしていいような顔じゃなくて……その、とてもじゃないけど…ひとに見せられないわ」

 

 ……あれ?僕って…『金のふわ毛』って、危ないモノだったっけ…?

 

 

 

――――――――――――

 

 

「ご、ごめんね マイス君。気がついたら すっごくモフモフしてたみたいで……」

 

 あらかた僕をモフモフし終えたフィリーさんが、ハッとした後 僕を床に下ろして そう謝ってきた

 

「いいよ。フィリーさんが元気になったみたいだし」

 

 確かにモフモフされ過ぎて 肉体的にも精神的にも疲れたけど、以前のようなフィリーさんに戻ったので一先ず良しとすることにした

 

「ああ…でも本当にマイス君のモフモフは良い!一日中でもモフモフしてたいよぅ…」

 

 もう、その『モフモフ大好き』はずっと続くんだね……。いつからこうなってしまったんだろう……いや、ほぼ間違いなく僕のせいか…

 というか……

 

 

「そんなに好きなら、持って帰る?」

 

「「えっ!?」」

 

 僕の提案にフィリーさんとリオネラさんが声をあげる

 

「え、えええ えっと、マイス君!?それはっどういう!?」

 

「モコモコってモンスターの毛は、刈っても 少し経つと一定の長さまで伸びるんだ。『シアレンス』では その刈った毛で毛糸を作ったりとかしたりするんだけど……って、2人とも、どうしたの?」

 

 自分の『金のモコ毛』を触りながら説明していると、ふと視界に入ったフィリーさんとリオネラさんが ふたり揃って自分の顔を両手で隠しているのに気がついた

 

「…気にしないで、マイス君……」

 

「そ、その…なんでもないから……!」

 

「……?そう?」

 

 

 

 

「そういえば……」

 

 顔から手を離して僕を見るリオネラさん。その顔はこころなしか赤かった気がするけど……気のせいだと思う

 

「モコモコってモンスターはそうだとして……マイスくんは大丈夫なの?」

 

「うん。毛色が違うこと以外は 基本的に普通のモコモコと一緒だから」

 

 答える僕に、今度はフィリーさんが聞いてきた

 

「モコちゃんの姿から人間の姿に戻っても…?」

 

「ああ…、それも問題無いよ。髪の毛とかが減ってたりもしないし……ちょっとスースーする気がするだけで…」

 

「おい、それって…」

「もしかして……」

 

 ホロホロとアラーニャの何かを察してくれた その声に僕は頷いた

 

「刈られた経験があるんだ。…半分くらい不本意だったけどね」

 

 いやまあ…あれはある意味 仕方のないことだったけど……うん、あんまりいい記憶じゃないんだよね…

 

 

 

 

 

コンコンッ

 

 玄関の扉がノックされた

 

「はーい!……あ、そうだった」

 

 返事をして あることに気がつく。今の僕はモコモコの姿だ、このままではマズイだろう

 僕はピョンと跳んで回転し、人間の姿に変身する。そして、扉へと行く……と、その前の扉が開いた

 

「じゃまするわよ…って、どうしたの、マイス?」

 

「どうしたのって、いつもお出迎えしてるよね…?」

 

 入ってきたのはクーデリアだった。ロロナはいないみたいだけど、ここまで一人で来るのは珍しい…というか初めてかな

 

 

「そういえば…。ごめん、アトリエと同じ感覚で入っちゃった」

 

「まぁ、アトリエは返事待ってたら 調合に集中してたりして気付かれないことがあるからね」

 

「……やったことあるのね?」

 

「あはははっ…」

 

 あれは恥ずかしい思い出だ。小一時間ほど中からの反応を待っていたところを ホムちゃんがおつかいから帰って来るまで、ずっとドアの前で待っていて……。なお、アトリエにいたロロナはパイを作ってた

 

 

「そういえば クーデリア、今日はどうしたの?」

 

「ロロナがどっか行ってて、ちょっとヒマしてたから 来てみたんだけど……あら?誰かいるのね」

 

 クーデリアが僕の肩越しにソファーの方を見る

 

「あら、リオネラと……誰?なんだか見たことある気もするんだけど…」

 

 そう言って首をかしげるクーデリアに対し、リオネラさんとフィリーさんは…

 

 

「こ、こんにちは クーデリアさん」

 

「おうおうっ!おれたちのことを忘れてもらっちゃ困るぜ」

「こんにちは、クーデリア」

 

 おそらく、ロロナの手伝いで知り合ったであろうリオネラさん。そう問題はなさそうだった

 

 

「はは はじ、は…!!」

 

 フィリーさんは……どうしてだろう?以前、エスティさんからのおつかいの際に 女性店員に挨拶した時よりも、ずいぶんと緊張しているようだった

 

 

「……ねぇ、マイス」

 

「ん?……ああ」

 

 クーデリアに呼ばれて そちらへ目をやると……まあ、色々とわかった。フィリーさんが緊張している理由とか……

 

 簡単に言えば、クーデリアが睨んでいたからだ。その鋭い眼は、フィリーさんを見た後に僕の方をむいた。…『目は口程に物を言う』とはよく言ったもので、その眼は「なに コイツ」と不機嫌そうな雰囲気を醸し出していた

 

「こっちのこはフィリーさん。えっと…クーデリアは会ったことあるかな?『王宮受付』にいるエスティさん。あのひとの妹さんなんだけど…」

 

 そう言うとクーデリアは「ああっ」と声をもらし、軽く頷いた

 

「どうりで…このイライラの理由もわかったわ……ああもうっ」

 

 なんだろう?エスティさんと何かあったのだろうか?

 

 

「そもそも、オドオドした感じが慣れないのよ…!」

 

「あぁ、クーデリアの周りにいる ロロナやイクセルさん、アストリッドさんとも違うタイプだからかな」

 

「リオネラである程度は慣れたつもりだったけど……」

 

 うーん、根本的に性格が合わないのかもしれない。でも、そんなにぶつかり合うわけではないから険悪にはなりそうでは…けど、良くも転びそうにないのかもしれない

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

コンコンコンッ

 

「はーい!」

 

 クーデリアがイスに座り、女の子三人が話しているうちに 僕がみんな分の香茶と茶菓子を用意した時、再びドアがノックされた

 今日は来客が多い日だ

 

 僕が玄関の扉を開くと、そこにいたのは 時折うちにお茶に来るジオさんだった

 

「失礼する…おやっ、今日は先客がいるよう―――」

 

 

「ジオ様!?」

 

 

 そう大きな声を出したのはクーデリアだった。というか、「様」って…

 僕がそんなことを思っている間に、バッっと立ち上がったクーデリアがジオさんのすぐそばまで駆け寄り、ジオさんの手を取った

 

「ささっ!ジオ様、どうぞ こちらへ!」

 

 クーデリアはそう言ってジオさんの手を引き、空いていたイスへと誘導する。そして ジオさんをそこに座らせて、僕がテーブルまで持ってきていた香茶と茶菓子をジオさんの前に置いて……

 

「遠慮なさらず、ごゆっくりしてくださいね ジオ様!」

 

 ニッコリとした笑顔をジオさんにむけた。…………どこからツッコめばいいんだろうか。クーデリアの変貌に僕だけで無く、リオネラさんとフィリーさんも驚きを隠せていなかった……とりあえず、僕は玄関の扉を閉めた

 

「あ、ああ、ありがとう………いいのか?(ボソッ」

 

 クーデリアの勢いに流されるがままだったジオさんは、クーデリアに軽く礼を言うと、戻ってきた僕のほうを見て小声できいてきた

 

「はい、大丈夫ですよ。香茶も茶菓子も まだまだ用意できますし…」

 

「いや、これまでの経験から そこはあまり気にして無いのだが……一応、ここの家主はキミなのだろう?」

 

「あはははっ…」

 

 まあ、まるでクーデリアが自分の家に招待したかのような感じだったけど……そこはそんなに気にしなくてもいいだろう

 ……とりあえず、一人分足りなくなった香茶と茶菓子を用意しに 僕はキッチンへとむかった

 

 

 

――――――――――――

 

 

「そう、実はだな……今日はキミに伝えることがあって立ち寄ったのだよ、マイス君」

 

「僕に、ですか?」

 

 ティーカップを置いたジオさんが 僕を見ながら口を開いた

 

「今年の『王国祭』の催し物の内容が決まった。去年の『キャベツ祭』にも参加したキミは、今年も参加を考えているのではないかと考え、その内 耳にするとは思うが、早めに知っておいた方が準備ができて良いのではないかと思ってな」

 

 ジオさんの言葉に、クーデリアが「そういえば、マイスも参加してたっけ」と思い出したように呟いていた

 確かに 気にはなっていたし、内容によっては参加しようと思ってたけど……なんでジオさんが そんなに早くに内容を知れたんだろうか?それに……

 

「今年の催し物って、準備が必要なものなんですか?」

 

「無しでもなんとかなるとは思うが、あるにこしたことはないだろう。今年の催し物は『武闘大会』、参加者同士が闘い 優勝を決める大会だ」

 

 なるほど、たしかにそれは準備をするべきだろう。武器のことはもちろん、自身の体調や……必要ならイメージトレーニングなんかもすべきで、準備期間をしっかり設けておくべきだと思う

 

 

「あ、あの……それって、危なくないですか?」

 

 おずおずと質問をするリオネラさん。質問を受けたジオさんは、自分の整ったアゴ髭を指で触りながら答える

 

「ふむ、もっともな心配だが…あくまでこれは『王国祭』の一環、国を挙げてのお祭りの一部だ、人道的なルールはあるさ。危険な場合は ちゃんと止めが入るようになっているよ。……まあ、少々の打撲や擦り傷などは負ってしまうかもしれないがな」

 

 それはそうだろう。対戦者同士も相手に対して大きなケガを負わせようとは思わないはずだ。そして 対戦者が熱くなり過ぎれば、ジオさんが言ったように周りが止めれば問題無いだろう

 と、そんなことを考えていると、ジオさんが「とはいっても問題があってだな…」と、少し困ったような顔をした

 

「どうされたのですか、ジオ様?」

 

 未だに聞きなれない言葉使いと態度のクーデリアさんが 心配そうにジオさんの顔を見つめる

 

「『武闘大会』で国民が盛り上がる、という予想は 間違っていないだろう……だが、参加者のほうが ちゃんとした者が集まるか、という不安があってだな…」

 

「……?志願者とか いそうにないんですか?」

 

「アーランドは治安が良く、とても平和だ。…故に 腕自慢というのも少なくてな。事実、王国勤めの騎士でさえ、そこまで戦える人物は数えるほどしかいない」

 

 なら、戦える騎士同士で……とは言っても『王国祭』中の騎士は普段とは比べられないほど忙しいらしいし、仮にそうなったとしても 確かに盛り上がりに欠けそうではあるか…

 

 

「そ…そそれで、マイス君に……?」

 

 初めて会ったジオさんに、まだまだ緊張しつつも フィリーさんが訪ねた。対して ジオさんは普段と変わらない 紳士的で落ち着いた様子で頷いた

 

「そうだ。マイス君、キミに白羽の矢が立ったわけだ。 私は直接見たことは無いが、ロロナくんやそちらのお嬢さん…他にも何人からか 話は聞いている。モンスターをものともしないほどの実力者だとね」

 

「えぇ…!?それはさすがに大袈裟かと……」

 

「うむ、正直 私も半信半疑だ。モンスターたちと仲良く暮らしているキミを知っていると どうもな……。だか、彼らが嘘を言っているようにも思えん」

 

 うーん…実際、僕が強いのかどうかはよくわからないし……。それに、対人戦なんて経験は無いから 色々と心配だ

 

 

 

 

「マイス君なら…」

 

「勝っちゃうんじゃないかな?」

 

 そう言って フィリーさんとリオネラさんが顔を見合わせて頷いていた

 

「このあいだ、私と同じくらいの大きさのモンスターを…あっぱー、っていうのかな?こう、思いっきり打ち上げてたし…」

 

 グーをつくった手の腕を ビシッと真上に挙げながら言うフィリーさん

 

「その後、そのモンスターをキャッチして ゆっくり地面に降ろしてあげてたけど……あれ、ポイって放り投げて 他のモンスターにぶつけられそうだったよね…?」

 

「いやいや、あの大きさのもんが あんな高さから落ちてきたのを」

「何事も無く受け止めてた時点で とんでもないんだけどね、いくら『ぷに』相手とは言っても……」

 

 その時のことを思い出しながら言うリオネラさんと、ホロホロとアラーニャ

 

 

 そんなふたり(と二匹?)の話を聞いたクーデリアとジオさんは…

 

「何してんのよ、あんたは…」

 

「何をしているんだ、キミは…」

 

 …まあ、そうなるよね

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