マイスのファーム~アーランドの農夫~【公開再開】   作:小実

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※2019年工事内容※
 途中…………


マイス「武闘大会の その後に」

「……んっ…あれ…?」

 

 重いまぶたをあげて見えたのは、知らない天井。僕は今 寝転んでいるみたいだけど、少なくとも家のベッドではない

 

 

「あっ!マイス君!!」

 

 そう僕の名前を呼ぶ声が聞こえたので そちらへ目を向けると、おそらく僕が今寝ているベッドと同じタイプのものであろう 白い簡易的なベッドに腰をかけていた フィリーさんとリオネラさん、それにホロホロとアラーニャが、立ち上がり こちらへ駆け寄ってきた

 

「えっと…っ!?」

 

 起き上がろうとしたところ、身体に鈍い痛みが走り 顔をしかめてしまう

 

「む、無理しちゃダメだよっ…!骨折はしてないそうだけど、いろんなところを打撲してたりしてるみたいだから、ゆっくり体を休ませないと…」

 

 リオネラさんに言われて 自分が感じる痛みの理由がわかったんだけど、どうも寝転んだままでいる気になれなくて、痛みを我慢しながら上半身を起こす

 

「大丈夫?マイスくん?」

 

「うん、なんとか、ね……そうだ、僕はステルクさんと闘ってて……それで…」

 

 それで……どうなったんだっけ…?

 

 

 そう疑問に思っていると、リオネラさんのそばに浮いていたホロホロとアラーニャが フワフワと近づいてきた

 

「んー、まあ アレは相打ちってところか?」

「あなたが気絶してたのと、騎士さんのほうが先に立ち上がったから 彼が決勝戦に進出したわよ」

 

 うーん…未だによく思い出せないが……まあいいか

 

 

「でもって、その決勝戦も たぶんもう終わっちまってるだろうな」

 

 ホロホロの言葉に 僕は少し疑問に思うことがあった

 

「「たぶん」って、決勝戦は観てないの?」

 

「観に行けねかったんだよ。で、終わったと思ったのは 聞こえてきてた爆発音がやんだからだ」

 

 ああ なるほど

 決勝戦に出てたのはロロナとステルクさん。そのうちロロナは錬金術で作った爆発物を中心としたアイテムで戦っていたから、その爆発音がなくなったのであれば 決着がついたんだろう

 

 そう考えていると、ホロホロがその短い腕を組んで「ウンウン」と頷くように動いた

 

「それにしても すごかったんだぜ。マイスがやられちまった時 こいつらふたりそろって声になってない悲鳴上げるわ、気失いそうになるわでなぁ…」

 

 ホロホロの言うことを肯定するように アラーニャも頷いた

 

「そうよー。この『医務室』に駆けつけた時も、お医者さんの邪魔になっちゃうのに わんわん泣き出しちゃって…。ついさっきまで泣いてたのよ」

 

「そ、それは…だって……」

 

「ビターンって、ビターンってなって……」

 

 ……本当に、僕はどんな負け方をしたんだろうか…。おそらくだが、リオネラさんとフィリーさんの様子からすると、結構 散々なやられ方をしてしまったのだろう

 

 

「ごめんね、ふたりとも。心配かけちゃったみたいで…」

 

「ううん、いいの!」

 

「マイス君に大きなケガがなくてよかったよっ!」

 

 そう言ってくれたふたりだったけど、 泣いていたことを知られてしまったからか、リオネラさんもフィリーさんも顔を赤くしていた

 

 

――――――

 

 『医務室』の外へと繋がる扉。おそらく あの外は『控え室』があったりした 『観客席』の下の空間だろう

 その扉から見知った人が顔を覗かせてきた

 

「っと、あら、もう起きてたのね」

 

 そう言って入ってきたのはクーデリアだった

 

「うん、ついさっき目が覚めたんだけど……クーデリアがここに来たってことは、ロロナは無事に勝ったんだね」

 

 僕がそう言うとクーデリアは「まあね」と返し、そのまま続けた

 

「ロロナが あんたみたいになるんじゃないかって ちょっと心配してたんだけど……もし第二回武闘大会があるとしたら 爆発物は禁止になってるわよ」

 

 そう断言したクーデリアを見て理解した

 きっとロロナは決勝戦でも一方的な勝負で勝ったのだろう。恐るべきは錬金術といったところだろうか……いや、参加者の中で唯一 遠距離攻撃が出来るという時点で勝ちは堅かったのかもしれない

 

 

 

「あとは、決勝戦の後に色々あったりもしたけど……それはまあいいかしら。 で、調子はどうなの?」

 

「うん、まあ大丈夫かな…?えっと、背中とかが時々痛むくらいで……」

 

 言い終わる前に、遠くから走ってくる音が耳に入ってきた。そしてその足音は『医務室』の前で止まり…

 

 

「マイス君、大丈夫!?」

 

 勢いよく入ってきたのはロロナだった

 

「ちょっとロロナ。怪我人がいるのがわかってるなら、少しは静かにきなさいよ」

 

「うっ…ご、ごめんね、くーちゃん。全部終わって やっとのマイス君のお見舞いだったから…」

 

 クーデリアに叱られてしょぼんとしたロロナだったけど、僕のほうを見てニッコリと笑った

 

「うんうん、マイス君が無事みたいで よかったぁ。あっ、もし まだ痛むところがあるなら お薬使う?私だって ちゃんと調合できるんだよ!」

 

 ロロナは最初のほうこそ僕のことを心配してくれているようだったが、何故か最後は対抗心を燃やしているようだった

 

 

――――――

 

「よいしょ…っと」

 

 身体を横にすべらせてベッド脇まで移動し、足を床に下ろす

 すると、リオネラさんとフィリーさんが僕の両隣に駆け寄ってきた

 

「無理はしなくていいよ、マイスくん」

 

「必要なら わ、わ私が手を貸してあげるよ」

 

「えっ、あ、うん…」

 

 心配してくれるのはありがたいことなんだけど……もうそんなに痛むわけじゃないし、そんなにくっつかれると むしろ動きづらいというか…

 

「もう大丈夫だから、ね?」

 

 そう言ってひとりで立ち上がって 大きく伸びをしてみせると、まだ少し心配そうな顔をしていたけど ふたりはしぶしぶ離れてくれた

 

 

 と、そんなことがあったものの 『医務室』の外へと繋がる扉のほうへと行こうとしたのだが、その途中に立っていたロロナとクーデリアが

 

「私もお姉ちゃんとして、頼ってもらうべきじゃないのかな?」

 

「いや いつからマイスの姉になったのよ」

 

「えっと……けっこう前から?」

 

 ホムちゃんに「おにいちゃん」と呼ばれ慣れてしまっているから、 ロロナに弟扱いされても 僕は特に驚きもしないんだけど……

 だからといって、クーデリアから「何いってるの、この子…」といった意思を 視線で投げかけられても、苦笑いすることしかできないのだが…

 

 

 

 

「そうだ。ロロナの優勝祝いに 今からみんなで どこかに食べにいかない?」

 

「えっ!?そ、それはうれしいけど…でも、いいの?」

 

 僕の提案に、嬉しそうに けど少し申し訳なさそうに言うロロナ。しかし、その隣のクーデリアはあっさりと頷いていた

 

「遠慮しすぎよ ロロナは。せっかくマイスがこう言ってくれてるんだし、こんな時ぐらいはお言葉に甘えちゃいなさいよ」

 

 

「そもそも、マイスくんは そんなに出歩いてもいいのかな…?」

 

「いいんじゃねぇのか?入院しろってわけでも無いし、本人も大丈夫って言ってたしな」

「お医者さんが言ってたわよ「体が丈夫過ぎて 逆に驚かされた」ーって」

 

 リオネラさんが心配そうに言うけど、それをホロホロとアラーニャが「心配ない」と言いくるめた

 

 

「ええっと…私もついていっていいの…?」

 

「うん!せっかくの機会だからね。フィリーさんはロロナと初めてだから緊張するかもしれないけど、とってもいい人だから きっと仲良くなれるよ」

 

 そんなことを話しながら僕たちは『医務室』を出て、街へとくり出した

 今年の『王国祭』も、街はとてもにぎやかだ




 今回で二年目は終わりです


 それで、次回からの三年目なのですが……一、二年目よりもかなり早足に進むこととなります。理由としては、書きたいと思っていたイベントのほとんどを書き終えてしまったからです

 「各キャラの最終イベントとか、色々いっぱい残ってるじゃん」って言われそうですが……
 いちおう、ロロナは『トトリのアトリエ』での正史のルートを進んでいますので、今作では書かれてない原作の話も 書かれてないだけでちゃんと進行している設定です。ただ、マイス君が関わりようがない・関わっても変化が少ない・話の進みに問題が無い ものは省略させていただいてます。原作の丸写しはダメなので…


 そんな私の勝手な都合で書いていく『マイスのファーム~アーランドの農夫~』ですが、どうかよろしくお願いします

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