ゼロの使い魔~逝ッテイーヨされた天才科学者~   作:ゴルドドライブ様

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 今週は日朝スーパーヒーロータイム(仮面ライダーの放送)がないのでテンション低めに書き上げました。

【唐突なクイズ】
Q.これの元ネタを答えなさい。
『必殺技はアクロスブレイカー♪天十郎は粉々SA☆』

 まぁ正解しても何もないんですがね。という訳で答え合わせは次の投稿で。……読者にこのネタ分かる人いるのかな。


盗まれたのはだれの責任か

 ルイズ達が王都トリスタニアに出かけていたのと同時刻。トリステイン魔法学院では、教諭ジャン・コルベールは学院長室へと足を運んでいた。先日、ヴェストリの広場で暴れまわったロイミュードと名乗る亜人のことで話があるためだ。件のロイミュードであるが、騒動から数日が経過した今現在でも未だその足取りは掴めない。となれば学院の付近にはもういない、そう考えるべきだろう。連日コルベールを含む他の教員達も夜間の警備に駆り出され、疲労が蓄積されつつある。だからこそ常の授業への影響が出ない内に、教員達の夜間警備参加を取りやめるよう進言するつもりで、学院本塔を歩いているのだ。

 

 そんな時であった、宝物庫の扉が開け広げになっているのを発見したのは。

 

 宝物庫が開かれることは滅多にない。そしてここに収められているものはトリステイン王国王室からの預かり物も数多く存在する。賊がこんな真昼間から堂々と盗みに入るとも考えづらいが、念のため杖を抜き扉まで足音を殺してそっと近寄る。

 

「そこにいるのは誰だ!」

 

 大声を上げながら、扉の前に立ち塞がり逃げ道を防ぐ。呪文は既にほぼ唱え終わっている、後一言で相手を殺傷可能な魔法が放たれる。人一人を殺すだけならば極論コモンスペルの『ファイア・ボール』で事足りる。呼吸ができなくなって必然的に生存は不可能になるからだ。

 

 相手を攻撃することへの抵抗は勿論ある。こんなことをしないために、過去を捨てこの学院で教員をやって、火の魔法が破壊以外にも使えることを証明するために研究もしているのだから……。

 

 感情を表に出さぬように努め、宝物庫にいるであろう誰かが姿を現すのを待つ。

 

「わ、わたしです。ロングビルです」

 

「っと……ミス・ロングビルはどうしてここに?」

 

 おずおずと顔を出したのは、学院長秘書のロングビル。

 

 どうしてここにいるのかを聞きながら、被っていた無表情の仮面を外し、唱えている『ファイア・ボール』の呪文を取りやめる。

 

「えぇ、宝物庫の目録を作ろうと思いまして」

 

「そうだったのですか、これは失礼なことを……」

 

 申し訳なさそうな表情を浮かべ、ポリポリと髪の薄い頭をかく。

 

「ところでなんでまた目録を?」

 

「ここ数日は傷ついた学院の修繕や、あの亜人への警戒からの夜間警備と色々立て込んでいるでしょう?なのでそのついでにと思いまして」

 

「なるほど、そういうことでしたらお手伝いしますよ」

 

「本当ですか助かります。……なにか御用事があったのでは?」

 

「いえいえ、大したことではないですよ。先程話に出た夜間警備の件でオールド・オスマンに話があるだけですので」

 

「どのようなお話を?」

 

「いえね、恥ずかしながら我々教員達も疲れが溜まってきているので、夜間警備をそろそろやめてはどうだろうかと思いましてね。……ここ数日は探し回ってもあのロイミュードと名乗る亜人の影も形も見つかりませんから」

 

「そうだったのですか。わたしも学院の修繕作業にかかわっていたのに気付きもしませんでしたわ」

 

 学院秘書をしているロングビルであるが、メイジとしても実力は土のトライアングル。であるために学院の修繕作業に携わっていたのだ。補足するなら、一般的に土メイジは土木作業において多大な力を発揮する。具体例を挙げるなら、物体をそのままの状態で保存することのできる『固定化』の魔法、それがある為に土のメイジは様々で場面での役割がある。ある意味、その汎用性に優れすぎる『固定化』の魔法がある為にハルケギニアでの科学技術の進歩が全くと言っていいほどにないのはとんだ皮肉と言えよう。なまじ魔法という存在があるが故に、貴族は平民に比べ圧倒的有利な立ち位置にあと言っても過言ではないだろう。

 

 閑話休題。

 

 そんな世間話を続けながら、コルベールとロングビルの二人は目録つくりの作業を続けていく。

 

「ところで……『固定化』に弱点はないのでしょうか?わたしも土メイジなので気になるのですが」

 

「そうですね……あまり知られてはいませんが『固定化』の魔法は一点に集中された物理的衝撃を加えれば破ることは可能ですよ。……実例としてはあの亜人が学院本塔に突き刺さったことからも理解できるでしょう…………本塔にはスクウェアクラスの『固定化』がかかっているという話なのですが…………」

 

 コルベールが最後にぽつりと呟いた言葉はロングビルには聞こえなかったようで、何事もなかったかのように話を続ける。

 

「なるほど……どんな魔法にも弱点はあるのですね」

 

「えぇ、どんな魔法にも向き不向きはあります。例えば風の魔法ですが――」

 

「あの!ミスタ・コルベール」

 

「――なんですか?」

 

 長引きそうだと感じたたロングビルは、コルベールの話を遮るように大声を出す。

 

 それに若干ながら不機嫌になるコルベール。

 

「実は気になることがありまして……この『破壊の杖』と『怪物の種』とは一体どのようなものなのでしょうか?」

 

 ロングビルが問いかけたのは、立札こそあるものの黒いケースに収められているために中身の窺えない二つのモノ。

 

「それらについてはオールドオスマンから聞いた話になりますが、『破壊の杖』は竜をも容易く殺すこともできて、『怪物の種』は文字通り怪物を呼び出し使役できる、とのことですね。酒が入っていてはしましたがオールド・オスマンはつまらない嘘を吐くような方でないので事実と言っても間違いはないでしょうね」

 

「へぇ……実に興味深いですね」

 

 問われたことが本人の興味をよく引くものだったのかコルベールは堰を切ったように話しだす。ロングビルの目が肉食獣のように爛々としているのに気付かずに……。

 

「おっと……少し話しすぎましたね」

 

「えぇ、中々に惹きつけられる話でしたわ。もう少しで終わりですので頑張りましょう」

 

 それから数十分後、目録づくりを終えたロングビルとコルベールは宝物庫の扉にに施錠した。

 

「助かりましたわミスタ・コルベール。お陰様で予想していたよりも早く終えることができましたわ」

 

「そうですか、それは良かった。ところで、その……お食事などいかがでしょうか。あ、いや、時間のある時で構いませんので」

 

「クス……そうですね。お時間ができましたらその時はよろしくお願いしますわ。……お伺いするのは研究室でよろしかったでしょうか?」

 

「は、はい!もちろんです。いつでもお越しください!」

 

 意気揚々と評するに相応しいコルベールを見送るロングビル。そして彼が見えなくなると、ニコニコとした笑顔の仮面を脱ぎ捨て一言。

 

「これだから男ってのは扱いやすくていいねぇ……ちょっと媚びるだけでこうにも分かりやすい反応を返してくれるんだから」

 

 

 

 

 

『おい!俺っちが何をしたってんだ!!離せ、離せよ!!』

 

『はっはっは!ざまあないね!デルフくん』

 

『ご同輩、オメェも笑っていられる立場じゃねぇだろ!』

 

『……私もどうしてこうなったか聞きたいくらいだよ…………』

 

 宙にロープでぶら下げられ喚き散らしているのはその日に購入された喋る剣――デルフリンガーと、我らが蛮野天十郎の二人?である。

 

 特に語ることもなく、ルイズとキュルケが衝突した、言葉にすればそれだけで済むことである。彼女たちの領地は国境を跨いだ隣地、故に色々と確執があるのだ。……ルイズのヴァリエール公爵家は代々恋人や婚約者を、キュルケのツェルツプストー辺境伯家に寝取られているなどと話とは無縁ではないとだけ言っておこう。

 

 ちなみに今は買い物に行った日の夜。

 

 視界がすこぶる悪い。そんな中。、先にロープを魔法で断ち切った者が勝利というひどく変則的な決闘を仕掛けたキュルケはとんだ変わり者に類するだろう。

 

 ……とは言っても、こんな勝負を持ちかけられて、それを受けるルイズもルイズなのだがそれはそれとして置いておこう。

 

 キュルケの友人であるタバサの使い魔――シルフィードの脚に結び付けられたロープ、その先端から情けない声を上げる剣とベルト。

 

『こんなのに買われるんじゃなかったあぁぁぁああああ!』

 

『ルイズ嬢!今すぐこんなことはやめるんだ、ゴォォオオオオオオウ!!』

 

 体全体をヴァイブレーションさせながら助けを乞う。若干一名錯乱しているようだが気にする程のことでもないだろう。

 

 そして彼の眼下では、当事者であるルイズとキュルケが、どちらが先にやるかで話し合いをしており、剣――デルフリンガーの一応の持ち主である才人は何とも言えない表情で二人を見ていた。腕にはキュルケが購入した、ツェペー卿作だという剣を抱えて。

 

「ふぅ……ふぅ……!あんたが先にやりなさい、ってことよヴァリエール!」

 

「ふぅ……ふぅ……!仕方ないわね、だけど後で吠え面かいても知らないわよツェルプストー!」

 

 どうやら話が漸く纏まったようだと、才人は意識を現実に戻した。

 

 先にロープを狙うのはルイズらしい。呪文を唱える彼女を眺める。

 

「――ファイア・ボール!」

 

『こっちに来るんじゃねぇえええええ!』

 

『また逝きたくないぃいいいい!』

 

 予定調和というべきか、唱えられた呪文は本来の効果を発揮せずに、いつも通り爆発した。……よりにもよって、昼間にコルベールとロングビルが目録をつくっていた宝物庫の外壁で。無論、剣とベルトを吊り下げたロープには掠りもせずに……。

 

「ちょ、ちょっとヴァリエール!?なにやってんの」

 

「わ、わたしは悪くないわ!勝手に逸れる魔法が悪いのよ!!そもそもアンタが勝負を仕掛けてこなければこんなことにはならなかったのよ!?」

 

「なっ!?こんなタイミングで逆切れ!?」

 

「そうよ!……ってなによアレ!?」

 

 ルイズが唐突に指を指す。それにつられてキュルケもその指の指す方を目で追う。そこにあったのは、全長三〇メイル(メートル)を超すゴーレム。そしてその肩に乗るように穴の開いた壁から飛び出してきたローブを身に纏った怪しげな人物。

 

 そんな人物が腕に盗んだであろう二つの黒いケースを抱えて、ゴーレムの肩の腕で悠々と立っている。それに怒りを覚えたルイズは再び呪文を唱える。まるで自分は相手をするに相応しくないと言われているようで……。

 

「――ファイア・ボール!」

 

 唱えられた呪文は、巨大ゴーレムの胸部に直撃。

 

「あ、当たった!?」

 

 珍しく、狙い通りの箇所へ命中するルイズの魔法。

 

 しかし、それを意にも介さず歩き続けるゴーレムであったが、ふとその構成を崩し唯の土くれへとその姿を変化させる。

 

 ルイズ達が、ゴーレムが消えたその場所に駆け寄るも、ローブを纏った怪しげな人物の姿はなく、その場に残されたのは件の人物が纏っていたであろうローブのみ。そう、盗んだ二つの黒いケースごと怪しげな人物はその姿を消したのだった……。

 

 

 

 

 

 ここは、今のルイズ達の舞台であるトリステイン王国ではないどこか。

 

 そこには二人の男の姿があった。一人は跪いていることから、彼らが主従関係にあるようだ。

 

「……なにか報告があるようですね」

 

 主と思われる人物は机の上の書類に向かったまま顔を上げない。取るに足りないものであった場合はどうなるか、態々貴重な時間を取らせたのだから、という感情を報告する相手への威圧に乗せて……。

 

「は、はい。『三本のベルト』についてです」

 

「ほぅ……詳しく聞かせてください」

 

 この時漸く、主は顔を上げた。その顔に浮かぶ感情はなにか。それは諦観であり、喜びであり、憎しみの感情であった。ドロドロと煮えたぎる様々な感情を一度に浮かべた『主』の表情は、口で表すのが困難なものであった。

 

 『三本のベルト』。その意味を理解するのは『主』のみ。その『主』に従う者は、ただ『主』が求める物である、という唯それだけの理由で探し続けてきたのだ、『主』が求めるその物を。

 

「さて……貴方が見つけたのは『赤のベルト』ですか?それとも『紫のベルト』?さてはて『黒のベルト』ですか?まさか何も見つからなかった……という報告ではないことを祈りますよ」

 

「ひぃっ……!わ、私が見つけましたのは『黒のベルト』にございますぅ!」

 

 言いながら差し出すのは、白を基調を基調としつつも黒のラインが入った『黒のベルト』。

 

「ふむ…………。かつては『私』を殺す直接的な原因になった『赤のベルト』や『紫のベルト』ではなく『黒のベルト』ですか……」

 

「おおお、お許しをぉおおおお!?」

 

 『主』が僅かに眉をひそめたことを敏感に感じ取った配下の男は情けなく命乞いをする。それは『主』の機嫌を損ねたと思ったから。故にプライドも含めた全てを捨て去り助命を乞う。ようやく『人間を超えた存在』になれたのだ。だからこそ、こんなところで死ぬことはできない。だから文字通り必死の形相でもって頭を床にこすり付ける。

 

「それにしても貴方は良い仕事をしてくれました。『適合者』の数が数えきれない『二本のベルト』のうちの一本を回収してくれたのですから」

 

「あ、ありがたき幸せぇっ……!」

 

 『主』の機嫌が戻り命だけは助かったと、更に強く頭をこすり付ける配下の男。だが『主』は表情を一変、非常に憎々しげな感情を隠しもせず、配下の男を睨み付けた。

 

「ですが、貴方のその無様な姿は私の癇に障りますね」

 

「ひ、ひやぁぁぁあああ!ま、また(・・)死にたくないぃいいいいいい!!

 

 床を這いずり、扉を目指す配下の男。非常に遅々とした速度であるが無理もない、『主』の放つ物理的圧迫感すら感じる威圧で体が動かないのだ。

 

 這う這うの体で扉の前まで辿り着いた配下の男。扉に手を掛けようとした、まさにその時。

 

「うーっす。大将、報告に来たぜぇ」

 

「…………ふぅ。ですから今の私は『大将』ではなく『司令』ですよ」

 

 豪快に扉を蹴破って部屋に入ってきた男は、親しげに『主』に声をかける。かけた声から分かるようにその姿は、決して上品なものではない。長年着続けたせいで擦り切れた赤い服に、無造作に伸ばした黒い髭の、堅気な職に就いているとは到底思えない目つきをした男である。

 

 彼の入室とともに毒気が抜かれたのか、嘆息を一つ。

 

「ったく、細かいことはいいじゃねぇかよ大将」

 

「まずは報告を聞きましょうか」

 

「あぁー……細工は流々仕上げを御覧じろ……って感じかぁ?」

 

「……なるほど、最低限の仕事は終えてきたようですね。ところで、どれ程こちらに引き込めましたか?」

 

「ハッ!ちょっと力を見せつけただけでこっちに鞍替えしやがったぜ」

 

「なるほど……計画は滞りなく進んでいるようですね」

 

 ふむふむ、と頷きながら手元の書類になにかを書きつけていく。彼のことを熟知しているのであろう、そうでなければ説明できない程の量。それを計画書を銘打たれた書類に書き込み、いくつかの項目にバツ印をつけていく。非通り書き終えると、そして今気づいたとばかりに扉の前で蹲っている配下の男に目を向ける。

 

「いつまでそこにいるのですか?また(・・)また殺しますよ?」

 

「ひ……ひあぁぁぁああああ!!?」

 

 少しばかりの威圧を向ければ、配下の男は心底怯えた様子で部屋から逃げるよう飛び出していった。

 

「ふむ……少し脅かしすぎましたかね?」

 

「初対面で同僚が喰われる様を見せつけられりゃ、そりゃ怯えるってもんだろ?」

 

「ふふ……貴方こそ、自分の行ないを思い出してはどうでしょうか?」

 

「あぁん!?裏切り者を一瞬で消し炭にしただけだろ?」

 

「自覚なしとは恐れ入りますよ」

 

「大将もな」

 

 クックッ、と含み笑いをする人の姿をした悪魔が二人。蝋燭の火に揺らめく二人の影は人の姿をしておらず、まさに二人の本性の露わにしたかのように人ならざる姿をしたものであった。

 

 

 

「あ、その宝石がついた指輪やめてくんねぇか?どうしても嫌な思い出が蘇るからよ」

 

「いえいえ、これは立場上外せないものなので無茶を言わないでください」

 

「わぁってるよ、言ってみただけだ」

 

「指輪を付けているという理由だけで、貴方が裏切らないことを祈りますよ?」

 

「大将が約束を守る限り、俺は裏切らねぇよ。もっとも……俺を殺せる奴がいるとは思えねぇがな」

 

「ふふふ……怖い怖い。これは頑張らないといけないですね」

 

 『主』は、漸く手に入れた『三本のベルト』の一本である『黒のベルト』を感慨深げに眺めると、そっと机の引き出しに仕舞い込むのであった。




 伏線張りで話が動かない回は書いてて辛いです。後はネタを挟むことができなかったのが悔やまれます。
 蛮野はすっかりギャグキャラに落ち着きましたね^^;←煽りにしか見えない人は某掲示板やオンゲに毒され過ぎていますので注意しましょう。by現在進行形の作者

 文字数が足りないと思ったので、急遽ある方々に劇場版的なノリで出張ってもらいました。
 ヒントはばら撒いているので分かる人には分かります。

 ……ネタバレは厳禁よ?絶対だからね。
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