孫殿!   作:凸凹セカンド

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やあ (´・ω・`)
すまない。やらかしたんだ。
この駄作はサービスだから、まず落ち着いて読んで欲しい。

うん、「また」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、このタイトルを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない以下略



ずっと主人公のターンなんだすまない。私は萌骸骨さんが大好きだよ?


とんだクソゲーであることが判明した

 

 

 

 

 

 

 

 ソージがまず行ったのは情報収集だった。

 この状況に陥っているのは自分だけなのか、本当にここは現実なのか、ログアウトができないのか、自分の体は自分なのか(・・・・・)

 検証すべきことは多い。

 情報がともかく足りない。

 

 ソージは泣いてぐしゃにぐしゃになった顔を乱暴にぬぐう。もうこの時点でダイブ型ゲームという線は極端に薄れている。流れる涙や、その感触、詰まる鼻。いくら技術が日進月歩日々進化をしているとはいえ、あくまでデータでしかない仮想で、こんなことができるわけがない。大体にして、そんなリアルな感触を突き詰めるくらいならば、もっと別のところにメモリを割くだろう。益がなさすぎる。

 何度も深呼吸を行い、荒い呼吸を収めるとゆっくりと立ち上がって周辺を見渡す。

 自分が立っているところは、森林の入口の部分であるらしい。

 右手側には森の入口が招くように広がっている。鬱蒼としていながら、踏みしめられ開かれた跡があることから、誰かが行き来しているのだろう。もしかしたら森に住民がいるのかもしれないが、なんの準備も情報もなく、規模もよくわからない森に入るほど愚かでもない。

 次に左を見る。

 なだらかな陵丘になっているようで、少し歩いた先には光を反射する小川と、轍の後の残る舗装されていない道が続いている。

 

「綺麗だな…」

 

 状況ではないと、理解していながらそれは口をついて出た。

 今は失われて久しい、故郷の惑星にかつてあっただろう豊かな自然。

 青臭い空気も、草花がこんな風に匂うなど、ソージは知らなかった。

 深い新緑の色も、突き抜ける青い空も、遮蔽物のない地平線も、そのすべてが未知なるものだ。

 

「綺麗だ…」

 

 情報収集という行為は、その圧倒的な自然の前で淘汰され、ソージの頭の中は見たこともない自然と、肺を満たす清涼な空気に満たされてしまった。日が暮れて、あたりが茜色に染め上げられる時間帯にまでなって、彼はようやく自分の置かれている状況を思い出したが、不思議と後悔はなかった。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 ソージがこの世界にきて、約2週間がたった。

 状況は芳しくない。

 ①ここは全くの異世界であるということ。勿論、日本や米国もないし、貨幣は硬貨であるし、情報媒体はいまだ羊皮紙である。

 ②ユグドラシルの痕跡があること。詳しくは調査中だが、ソロのため情報収集に時間がかかっている。

 ③自分がユグドラシルのアバターのままであること。

 ④自分と同じ状況に陥っている人と遭遇できていないこと。少なくとも祖父はいない。

 

 以上のことを改めて整理して、ソージはゆっくりとため息をついた。

 足元に転がるモンスターのことは努めて意識から追い出す。

 

 初めてこの世界に転移してきたあと、紆余曲折あり、ソージはなんとか人のいる場所までたどり着くことができた。

 自分の見た目がアバターのままであることが功を奏したというか、不幸中の幸いであったというか。

 彼が行きついたさきは、バハルス帝国という聞きなれない国に属する小さな町。彼からすれば小さいが、この世界の基準で考えれば規模としては中堅どころだ。プレイヤーたちの常識である、人口一億を超すような国が、まず存在しないというところで、すでに意識の格差ができているのだが、それを教えてくれるような親切な人は存在しない。

 ソージは、そこで少し騒動に巻き込まれたが、図らずもあまり大っぴらにできない自分の素性背景の作成に一役買ってくれたので、彼はそのことに関してはもう気にもしていなかった。

 

 ソージは、ユグドラシルをプレイするにあたり、「サムライ」という職業を習得している。

 彼の憧れ、新選組一番隊隊長沖田総司。

 幕末は、多くの人間に浪漫と憧れを残した激動の時代。語ると長くなってしまうので割愛するが、ソージはつまり彼らに憧れていたのである。

 緑の黒髪を一括りにした、切れ長の目のアジア人男性。格好は「蒼天」シリーズの青く派手な戦装束。腰には二振りの打刀。データクリスタルと、祖父の伝手を大いに活用してできた、大和守安定と加州清光。格好はファンタジー版SAMURAIといった様相だ。この西洋ファンタジーな世界では嫌でも目立つ。悪い意味でそれも情報収集にはうってつけであったけれど、それ以上に幸運だったのは「南部」と呼ばれるアジア系の顔立ちをした黒髪の人種が存在するということだった。彼らとは対立はしていながあまり交流はないらしく、その詳しい文化や民性はわかっていない。

 ソージは、町でこの「南部」出身と思われ、絡まれたのである。

 このおかげで「遠い異国」の「南部」から流れ着いた「変わった格好」の「流浪の剣士」。という背景を、自然に作り上げることができたのだ。この世界の常識に無知であっても、ある程度疑問に思われることはなくなった。

 ただし、弊害があり、無知であるからこそその無知さを逆手に彼を嵌めようと動く悪辣な存在もいた。

 まあ、力によるごり押しでどうにかなったわけだが。

 

 ソージはこのとき、自分の危機にあって、手加減というものをしなかった。

 当然だ。自分の身に危険が及んだというのに、相手の力量もわからず手加減する阿呆がいるわけがない。

 彼の肉体はアバターのそれであり、種族は人間の様に見えるが「竜人」。膂力において、人間種をはるかに圧倒する力をもっている。速度は神速。振るう刀は神話級(ゴッズ)アイテム。

 結果は火を見るよりも明らかで。

 

 結果、彼は町でその名を知らぬ剣豪になってしまった。

 

 

「やあソージさん、おはよう」

「おはようございます。いい天気ですね」

 

 階下に降りて、店主と挨拶を交わす。

 席に着くと、さっそく朝食が並べられた。

 木製の椀に、木製のスプーン。サラダと、ポタージュ、それに黒パン。一般的な宿の朝食のメニューだ。

 ソージは、慣れた手つきでそれらを口に運ぶ。最初は硬くて食べられたものではないと思っていた黒パンも、今ではスープに浸して食べることを覚えたので、特別美味くもないが、問題なく食べれている。ただ、どうしても米を恋しく思うのは、日本人の性であるか。

 

「今日も森にいくのかい?」

「予定です」

「そうか、いらん世話だと思うが、気をつけてな」

「とんでもない。ありがとうございます」

 

 ソージの椀にスープを継ぎ足した店主の言葉に、彼は笑顔で返答を返した。彼の評判は、この辺りでは上々だ。

 力こそがすべてである、この弱肉強食の世界で、圧倒的強者に当たるソージは、しかし当たりは優しく腰は低い。

 南部の生まれから見ない顔だが、端正な顔立ちと、強者で在りながら、常識あるふるまいは、人々から好感と歓迎を受けた。

 彼を罠に嵌めようと企んだ悪徳集団を一網打尽にしたことも大きい。

 

「打算しかないんだけどなぁ」

 

 情がないとは決して言わない。

 けれど彼の態度は情報を効率よく集めるためであり、言葉遣いは親族の教育の賜物だ。彼は「竜人」。いわゆる、異形種である。勿論「人」とつく分、若干種族特性的に情に傾かないわけではないが、冷静に冷徹に切る捨てることもいとわなくなっている。

 

「アバターでよかったなぁ、と思う状況だよなぁ」

 

 ソロでの活動が主であったため、染みついた独り言。向かってきたモンスターに一太刀浴びせながら、おのれの、人間にしか見えないその手をとっくりと眺めた。

 シミ一つない黄色人種のそれは、刀を振るうにはあまりにも美しく整っていた。しかし、その身はこの世界にあって異様な高みへと昇華されている。肉体労働をしたことのないような華奢なその体から振るわれる膂力は、見た目に反して恐ろしく強靭だ。

 少し力を入れただけで、人間のみならず、たいていのモンスターの骨を砕き絞め殺すことが可能になっている。

 

 彼は、これが人間種であったなら、発狂していただろうことにも、冷静に対処できるようになっていた。例えば、集団襲撃であったり、凶悪なモンスターに囲まれたり、ソロでは脱することも困難な状況。そんな中でも、初日のあの混乱はなんだったのかと自問自答するくらいに、冷静であれている。

 

「さて…今日はもう少し奥に進むか…」

 

 ソージは、綺麗に左右に分断されたモンスターを一瞥することもなく、踏みしめられて土が顔を出している林道のさらに奥を目指して歩み始めた。

 彼は初めてこの世界に転移した時に近くにあったこの森を、何らかの痕跡、あるいは自分が転移した原因があるかもしれないと思い調査をしていた。

 その規模や住んでいるモンスター、危険な場所など、事前に近隣住民に聞き取り調査を行っているが、一応警戒をしてマップを埋めるように少しづつ調査の幅を広げている。

 魔法職ではないので転移は行えないが、その代わり素早さ極振りの彼には【天駆(てんく)】というスキルがある。それを使えば、端から端まで一気に駆け抜けることは可能だ。けれど、それでは意味がない。踏破することが目的なわけではないからだ。

 

 

 

 ***

 

 

 

 ソージがこの世界に転移してからさらにひと月がたった。

 彼の表情に焦りの色が見えないのは、徐々にこの世界の情報が集まり、自分以外の(・・・・・)誰か(・・)がいた痕跡を発見したからだ。

 八欲王や、十三英雄、といった伝説(サーガ)

 原住民を遥かに上回る自身の力(アバター)

 魔法詠唱者(マジックキャスター)が扱う、ユグドラシルの魔法。

 様々な痕跡を発見して、わかったこと。

 この世界に、骨を埋めなければならないかもしれないということ。

 

「可能性があるとしたら…超位魔法の…星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)、だっけ?選択肢によるけど、その時の打開策を提示?選択?させてくれる魔法」

 

 超位魔法。

 ユグドラシルでもこの世界でも、魔法には階位が存在する。

 ユグドラシルに当てはめれば、最低位の1から最高位の10位魔法までが存在する(・・・・)ことに(・・・)なっている(・・・・・)

 この世界で、第三位階以上の魔法を扱えるものは極少数。単独で発動できる魔法の最高位は、今ソージがいる帝国の首席魔法使いであるフールーダ・パラダインという老魔法詠唱者の第六位階。それ以上の魔法の行使となると、多数の魔法詠唱者を使った大儀式(・・・)になる。

 ソージは、その現実に、失望以上にあきれた。

 

 くっっっっそ弱ぇえええええ。現地民気合いいれろよおおおお!

 

 ソージは種族レベル20、職業レベル80の職業よりのビルドを組みレベル100へと至ったプレイヤーだ。

 サムライやケンセイ、スピードスターなど物理と素早さを上げた、まさしくレベルを上げて物理で殴る、あるいは、開幕ブッパ楽しいです!の典型のような職業ばかりだが、それでも魔法を習得している。バフ系中心になってしまうのはソロプレイヤーとして仕方のない偏りかたではあるが、だとしても第六位階(・・・・)の魔法を行使することは可能だ。専業がそれ以下という現実に眩暈がする。

 彼の探している帰還の可能性を孕んだ、超位魔法「星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)」。これを使える魔法使いは、現存しないという事実。

 

 帰郷をあきらめたわけではないけれど、可能性としては天文学的な数字になる。

 焦燥を抱えて有益な情報を見逃すくらいなら、いったん全部忘れてしまった方がいい。人間の時ならば、決して抱くことのないような思い切りの良さで、彼は焦りを捨てた。

 

「それ以上に問題なのがなぁ…」

 

 手の中で、首に通した金色のプレートを弄る。

 たった1ヵ月やそこらで、金のプレートをいただく冒険者に上り詰めてしまった。という事実。

 ソージはバカではない。元いた世界では愚民化政策という体のいい奴隷を量産する日本の政治体系において、大学教授の祖父という圧倒的アドバンテージを持っていた彼は、それなりに教養を身に着けていた。そういった頭ひとつとびぬけている存在は、いい意味でも悪い意味でも各方面から目をつけられる。

 

「縛りプレイ必須とかとんだ現実(クソゲー)だな」

 

 白い、何の変哲もいない外套を翻し、派手な「蒼天」の装束と目立つ顔を隠す。見る人が見なくても変質者だが、日が沈み闇の帳が降りた町は(しん)と静まりかえり、隠密行動を行う彼に気付く者はいない。

 

たかが(・・・)アスピス討伐しただけがそんな大事になるなんてなぁ」

 

 それなりの人脈を手に入れたから少し勿体ないという気持ちはあったが、彼は気持ちを切り替えてまるで夜逃げするように町を出立した。

 

 ちなみに、アスピスは森の湖を囲む大木を根城にした敏捷で視線や吐息に毒のある、コブラに似た蛇の魔獣。ギガントバシリスクには劣るがその討伐難度は、決してソロで迎え撃てるものではないのだが…勿論、そんなことを知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 




どこかおかしいところがあったらどんどん指摘してほしいです。ただ、それによっては更新が大幅に遅れる(いつもの凸凹)こともあるんだすまない。司馬遼太郎先生のような戦闘描写が書いてみたいものだ…。主人公を沖田君にしたことに深い意味はないんだ。るろ剣MAD見ていたなんてそんな!GOにもはやく魔人アーチャーとセイバー出てほしいです。コハエース見たことないんで気になります。
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