【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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本編の更新です。
今回は本編の更新を少し急ぎました。

というのも、10日にはえみつんの誕生日、土日は仕事・引っ越しの都合で休む暇はないとなると、次に更新できるのが2~3週間後になってもおかしくないからです。

そんなの絶対嫌だからね。

それに、スクフェスでホノカチャンイベントが始まったので、その記念もかねてです。

というか、穂乃果ちゃんイベントが始まったからという理由が大きいです(*・8・*)


15話 苦労

 

 

 

「絵里ちも、μ'sに入れてくれへんかな?」

 

のんちゃんから言われた意外な一言。

 

 

あの、生徒会長をμ'sに。

 

 

パーティをするといいながら、結局その話を期に解散した僕らは、穂乃果の家から歩いて帰っていた。

 

「ねぇのんちゃん」

「ん?どしたんみーちゃん?」

「どうして、あの生徒会長をμ'sに?」

 

気になっていたことを口に出す。

 

生徒会長は、音ノ木坂の生徒から『怖い人』と思われている。

 

実際はそんなことはなかった。話してみて、『あぁ、不器用な人なんだな』そう思うくらいに、明るくて優しい、お姉さんみたいな人。

 

でも、それを知ってるのはμ'sのみんなと僕だけ。

すごくもったいないと思う。

 

のんちゃんが生徒会長をμ'sに入れたい理由ってそれなのかな?

 

「もしかして、生徒会長の良さを知ってもらいたいから?」

「うん。それももちろんあるよ?けど、それだけやないんや。」

「え?」

 

それだけじゃない?だったらなんだろう・・・

 

「絵里ち、昔バレエやってたんは聞いたやろ?そのことが関係してるんよ」

「どういうこと?」

「まずは、この動画を見てほしいんや。」

 

そう言ってのんちゃんはスマホを取り出し、僕にある動画を見せてくる。

一体、なんの動画だろう・・・?

 

 

 

「すごい・・・」

 

僕の口から自然と漏れる感嘆の言葉。

のんちゃんが僕にみせてきたのは―――

 

「絵里ちのバレエ、すごいやろ?」

 

生徒会長のバレエの演技。姿が幼いあたり、昔の映像なのだろうが、目立つ金髪がすぐに生徒会長を連想させる。

素人の目で見ても、生徒会長のその演技は素晴らしいものだと思う。

 

「でも、絵里ちは結果が残せなかったん。それで日本にきたのをきっかけに、バレエを完全にやめた。でも、今でも絵里ちはダンス踊るのすごく好きなはずなんや。現に、絵里ちはスクールアイドルが流行ってることも知ってるし、雑誌にスクールアイドルが掲載されるたびにチェックしてんのやで。」

「えっ、あの生徒会長が?でもアイドルはデメリットが大きいって・・・」

「あれは確かに、穂乃果ちゃん達につらい思いをしてほしくないって想いもあったんやろうけど、本当は、自分に言い聞かせてたんやと思う。」

 

穂乃果たちに言っていた言葉、あれが会長自身に言い聞かせている言葉であるならば、きっと会長は、練習を見ながら羨ましがっているのではないだろうか。

まぁもっとも、ダンスの練習なんてまだやってもいないんだけど。

 

「絵里ちは素直やない。不器用な上に優しい人やから、自分の気持ちを素直に表に出すことで他人に迷惑をかけてしまうかもしれない、生徒会の仕事もあるのに、自分の気持ちを優先させてしまったら、音ノ木坂を廃校から守れる人が誰もいなくなってしまうかもしれない。そう思ってるはずなんよ。」

「そんなこと―――」

「ないやろ?でも絵里ちはそこまで考えてしまうんよ。責任感は人一倍で優しい、しかも生徒会長なんて立場でもある。そんな今の環境が、絵里ちの自由を絵里ち自身で潰してしまってるん。・・・自分の本当にしたいことも必死に我慢してな。」

 

 

 

 

 

 

『邪魔なのよ、あなたたち。ダンスもできない、歌も下手。アイドルなのに笑えていない。こんなんで誰がファンになるっていうの?そんなものを見せるくらいならやめてちょうだい、迷惑だから。』

 

 

 

『私に、あなたたちの練習、見させてもらえないかしら?』

 

 

 

『星空さんと矢澤さんは、柔軟を重点的にやっていかないとね・・・』

 

 

 

『みんな、家で今言ったメニューをこなしておいてね?これをするかしないかで全然変わってくるはずだから』

 

 

 

 

 

生徒会長と出会ってからのことを思い出す。

 

"邪魔"と言っていたのは、穂乃果たちがアイドルとしての活動をやることで起こりうるデメリットを回避させたいがための不器用な言葉。

 

練習を見させてほしいといったのは、アイドルとしてやっていく穂乃果たちを見守りたいから。

 

柔軟を勧めていたのは、すべての基礎だからという理由だけでなく、けがを防止させたいがための 、彼女たちを守るための手段。

 

メニューをこなしておけと言ったのは、結果が知りたいのではなく、穂乃果たちの練習をまた、見に行くための口実。

 

この4つが僕の思っている通りだとするならば、生徒会長はのんちゃんの言う通り、ダンスを、スクールアイドルをやりたいと思っているのはほぼ確実。

 

 

だったら、マネージャーとして僕がやることは一つだけ―――

 

 

「のんちゃん、生徒会長をμ'sのメンバーに加えたいんだ。協力、してもらえるかな?」

 

「うん♪」

 

 

 

一旦は解散したものの、μ'sに関することなので、その発起人である穂乃果に連絡を取ろうということになった。

 

『穂乃果、さっきの生徒会長の件についてちょっと話したいことがあるんだけど、いいかな?』

 

メッセージアプリで穂乃果に確認をとる。

すると、そのメッセージを送って2秒後、電話がかかってきた。

少し驚きつつも、僕はスマホを耳に当てる

 

「もしもし」

『もしもし穂乃果だよ!みーくんから話したいなんて言われるなんて今日はもう最高だよ~♡』

「あ、あぁ、それはよかったね」

『えへへ♡・・・で、絢瀬先輩のことだっけ?どうしたの?』

「あぁうん、そのことなんだけどさ―――」

 

僕はのんちゃんから聞いたことを話しつつ、僕の気持ちを伝えた。

 

『なるほどねぇ。でも絢瀬先輩みたいな人がいたら、すごく頼もしいかも!』

「だよね!だから生徒会長をμ'sに―――」

 

続きを言おうとしたところで、穂乃果の様子が変わった。

 

『・・・でも、絢瀬先輩がμ'sに入ったら、みーくんと絢瀬先輩が一緒にいる時間も長くなるよね?ということはまたこの前みたいに仲良くお話したりするのかな?だとしたら穂乃果は嫌かな』

「えっ?いやでも前のはちゃんと理由話したよね?」

『だとしても、また前みたいに夫婦漫才やられたら、穂乃果おかしくなっちゃうよ』

「夫婦漫才なんてしてないよ!!・・・穂乃果の機嫌を損ねないようには気を付けるからさ、なんとかお願いできないかな?」

 

すこし病んでる穂乃果だけど、まだ前みたいな怖い雰囲気は感じない。ならまだ説得は効くはず。

 

『・・・うん。みーくんがそういうんだったら、穂乃果はみーくんの言うことを優先するよ。それにμ'sに入れるってことは穂乃果も絢瀬先輩の近くにいれるんだもんね。だったら穂乃果が、みーくんが絢瀬先輩に近づかないようにすればいいんだから。』

「う、うん。ありがとう、穂乃果。」

 

最後らへんの言葉が恐ろしくて軽く震えたけど、了承してくれたみたい。

ということは

 

「のんちゃんにちょっと代わるね?ここからはのんちゃんが話すよ」

 

そう言ってのんちゃんにスマホを渡す。

というのも、実は今から生徒会長の家に行って、生徒会長を説得しようという魂胆なのだ。

しかし、"生徒会長の家に行く"なんて僕の口から言ったら、おそらく穂乃果はまた暴走してしまうだろう。だからのんちゃんを介して穂乃果に伝えてもらう。

 

のんちゃんに代わってから数分後、のんちゃんは通話を切って、僕にスマホを返してきた。

 

「穂乃果ちゃん、今から来るって。」

「そっか。ありがとねのんちゃん。」

 

来るということはOKしてくれたということだろう。とりあえずは一安心かな。

 

 

数分後、穂乃果と合流した僕らは、のんちゃんの案内で生徒会長の家に向かって歩き出した。

のんちゃんいわく、生徒会長の家はのんちゃんの家から近いらしく、よく遊びに行っているらしい。

 

「僕が記憶を失ってる間に、生徒会長とそんなに仲良くなってたんだね」

「うん。この似非関西弁も、絵里ちと話すきっかけとして使い始めたんやけど、なかなかやめれんようになってもうたわ」

「なんで絢瀬先輩と話すために関西弁を使ったの?」

「あんときの絵里ちは、誰も寄せ付けたくない、みたいなオーラを放ってたから、一番気さくに話しかけられてかつ、距離を縮められるかなって思って。」

「なるほどね。のんちゃんも苦労したんだね。」

「そんな苦労なんてしてへんよ。穂乃果ちゃんやみーくん、そして絵里ちなんかよりも全然―――」

 

言いかけて、すごく悲しそうな顔をするのんちゃん。

 

やっぱり、苦労してるじゃん。

 

「のんちゃん」

 

左側にいるのんちゃんの頭をなでながら、僕はのんちゃんに言う

 

「今まで頑張ったね。僕のことも、生徒会長のことも。お疲れさま。だけどこれからは僕がいる、穂乃果がいる。だから一人で苦労なんて掛けさせないから。」

「っ!うん・・・うん・・・っ」

 

涙声で、必死に顔を手で隠すのんちゃん。きっと、たくさんの苦労をしてきたはず。

これからは、僕がのんちゃんを支えていくんだ―――

 

「ねぇ」

 

右にいる穂乃果が僕をじっと見つめ、何かを訴えている。

・・・目に透明感がないのが、すごく怖い。

 

「穂乃果もたくさん苦労したよ?一日だってみーくんのことで悩まない日なんてなかったよ?だから・・・穂乃果にもナデナデして?」

 

腕にしがみついて、少しの上目づかいで僕を見る穂乃果。すごく可愛らしいしぐさのはずだけど、目の透明感のなさに、少し怖さを感じる。

 

でも、確かにそうだ。

 

穂乃果だって、僕のことを優先に考えてくれた。僕のことを助けてくれると約束してくれた。穂乃果だって苦労している。それに、穂乃果がこうなっているのだって、元はと言えば僕のせいだろうし、μ'sのファンになったときだって、穂乃果を支えていくと決めたんだから。

 

「うん、穂乃果もたくさん苦労したよね。ありがとう。・・・でも腕にしがみつかれてて撫でてあげれないから、いったん離れてくれないかな?」

「うん♪」

 

すぐに離れた穂乃果の頭を、放してくれた右手で撫でる。

 

「くぅぅん♡」

 

嬉しそうに声をあげながら、僕の身体にしがみついてスリスリしてくる。・・・まだペットプレイは続いていたの?

 

まぁ、そんなことは置いといて。

2人ともたくさんの苦労をしてきたと思う。

のんちゃんは生徒会長のことで。

穂乃果は、廃校のことで。

 

そして、2人は僕のことでも苦労してきている。

 

だったら、これからは2人のことを僕が支えてあげるんだ。

 

それがきっと、僕ができる、2人への感謝の気持ちの表し方。

 

 

そして、たった今ついた生徒会長の家。

そこにいるはずの、のんちゃんの悩みの種である、生徒会長。

その悩みの種である生徒会長も、いろんな苦労をしている。自分のしたいことまであきらめて、自分の自由を捨てて、学校のために、そして穂乃果たちのために練習を手伝ってくれている。

 

だったら、その生徒会長を救ってあげることもまた、2人への恩返しになるんじゃないだろうか。

そして、他でもない生徒会長を助けてあげられるし、練習に付き合ってくれていることと、のんちゃんを支えてくれていたことへの恩返しができるのではないだろうか。

 

そんな想いを胸に、エレベーターに乗り上がっていく。

 

エレベーターを降り、のんちゃんを先頭に生徒会長の住む部屋へと向かう。

なんとなく緊張する。だって、あの生徒会長の家だし、のんちゃんと穂乃果以外の女の子の家なんて行ったこともない。・・・嫌な顔されたりしないかな?

 

のんちゃんの足が止まり、僕らを見る。

そしてベルを鳴らした。

 

 

ドタバタと足音が聞こえてくる。

ガチャ、ドアが開き、中の人が現れた。

しかし、現れたのは―――

 

 

「あ、希さん!・・・と、どなたですか?」

 

 

生徒会長と同じ金髪の、知らない子だった。

 

 

 

 






いかがでしたでしょうか?

この話から、この章の話が少しずつ進んでいきます。

絵里ち加入、アニメとは大きく変えるつもりなので、お気に召されない可能性もありますが、お許しくださいね。
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