【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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1か月ぶりの更新となってしまい、申し訳ありません。


記念があまりにも多すぎて、特別編の方ばかりの更新となってしまいました。


2月にも記念ラッシュが来るようなので、今のうちにたくさん書けておければなと思っています。



今回の話は、16話時点での4人の想いが語られています。

ストーリー自体が進むわけではなく、補足という形ですので16.5話というタイトルにさせていただきました。





16.5話 それぞれの想い

 

 

 

僕、白河瑞希は考える

 

どうやったら、生徒会長をμ'sに迎え入れることができるだろうか。

 

 

 

 

どうやったら、"生徒会長"という呪縛みたいなものから解放してあげられるか。

 

 

 

 

いや、解放じゃなくったっていい。少しでも楽にさせてあげるだけでいい、生徒会長を素直にさせてあげたい、自分の好きなこと、やりたいことをやりたいようにさせてあげたい。

 

 

自分のしたいことをやれない悔しさ、悲しさは痛いほどわかる。

 

 

僕だって、小さいときいろんなことがしたくて行動したけど、できない・やれないことが多かった。

それは、容姿のせいだったり、親から止められたからだったりといろいろだったけど、自由にできなかったっていう意味では、今の生徒会長と一緒。だからわかる。

 

 

じゃあ、どうやったら会長を自由にしてあげられるんだろう?

 

 

単純な話、生徒会長をやめることができたなら、自由になれるだろう。

けど、そんな話はもちろん無理。

 

 

生徒会長が苦しむ理由は、生徒会長だからということだけではないと思う。

 

 

 

生徒会長―――絢瀬絵里は、音ノ木坂学院が好きなんだ。

 

 

 

彼女はこう言っていた、"アイドル活動なんて不確実なものに頼る余裕なんてない"、と。

 

 

誰かに頼まれたわけじゃないはず、そういう使命を持って生まれたわけでもないはず。

 

でも彼女は'確実性'を求めている。

 

ということは、彼女はこの学校を守りたい、廃校にしたくないから活動をしてるわけで、それってつまり、この学校のことが大好きだから守りたい、ってことだと思うんだ。

 

でも、だからこそ生徒会長という立場になってしまったことでその気持ちが強くなりすぎて、空回りしてるんだと思う。

 

 

 

学校が好き、っていうのはきっとμ'sのみんなも同じはず。でなければ、廃校寸前のこの学校でスクールアイドルを始めようだなんて思えないはずだから。

 

 

 

同じ気持ちを持つ者同士なら、協力し合えればいい。

 

そう、簡単なこと。

 

 

でも、その簡単なことであるはずのことが、『生徒会長という立場』であるというだけでそれを阻んでくる。

 

 

彼女はバレエを習っていた。その知識をμ'sのみんなに教えてくれていた。'確実性'を求めているはずの彼女が'不確実'であろうスクールアイドル活動のサポートをしてくれている。

 

彼女は、決してアイドル活動を否定しているわけじゃない。それはわかってる。

ましてや彼女は、まだ踊りたいという気持ちすら残っている。

 

だったら踊ればいい、μ'sの一員として。

 

 

でも、それもまた、"生徒会長"という立場が、それを阻む。

 

 

どういう考えをもってしても、『生徒会長という立場』という言葉が頭をよぎり、すべての考えを否定させる。

 

 

 

彼女を、絢瀬絵里を、救いたい。

 

でも、どうすればいいか分からない。

 

 

 

 

 

 

 

白河瑞希は、悩む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、高坂穂乃果は考える。

 

 

 

 

 

どうやったら、みーくんを独り占めできるか。

 

 

 

みーくんを、穂乃果"だけ"のものにできるか。

 

 

 

 

 

穂乃果がスクールアイドルを始めた理由、それは確かに、"この学校を廃校にしたくない"から。

 

 

 

 

でも、本心は違う。

 

 

 

 

穂乃果は、みーくんが好き。学校より、漫画より――――μ'sや家族より、好き。

 

みーくんさえいれば何もいらない。

 

 

 

穂乃果がスクールアイドルを始めた本当の理由、それは"みーくんを独り占めしたい"から。

 

 

 

 

 

『穂乃果がみーくんのアイドルになるから』

 

 

これはみーくんに送った、本気の言葉。

 

 

でも、"みーくんのアイドル"になるにはどうすればいいのか分からなかった。

 

 

なら、"本物のアイドル"になって、みーくんにファンになってもらおうって思った。

 

 

そうすれば穂乃果は、ファンになってくれたみーくんを独り占めできると思った。

 

"アイドル"である穂乃果が、"ファン"であるみーくんだけのアイドルになることで、必然的にみーくんは穂乃果以外は見えなくなるはず。

 

 

 

これが穂乃果の、スクールアイドルを始めた本当の理由。

 

 

 

でも、穂乃果は臆病だった。1人じゃできないと思った。

 

だから、海未ちゃんとことりちゃんも誘った。

 

海未ちゃんとことりちゃんを誘ったのはそういう欲望からだけじゃなくて、もっとシンプルな、"3人でやりたいから"、そういう気持ちもあったから。

 

 

 

それに、2人はみーくんに興味はなさそうだしね。

2人なら安心できるよ。

 

 

 

どこかでみーくんが見てくれるかもしれない、そう思って3人で書いたポスターの甲斐あって、みーくんはファーストライブにきてくれた。

 

お客さんこそ今のμ'sのみんな以外はいなかったけど、みーくんが来てくれたっていうだけでこのライブは成功だったと思うんだ。

 

 

というか、それ以外に目的は穂乃果の中にはなかったからね。大成功だったよ。

 

 

 

 

 

みーくんにμ'sのマネージャーみたいなことをしてもらうことになったけど、本当は穂乃果だけのマネージャーであってほしかった。

 

 

でも、いいの。みーくんのしたいことが、穂乃果のしたいことだから。

 

 

 

そのみーくんは、絵里先輩をμ'sの一員にしたいと言ってきた。

 

 

 

みーくんのしたいことは、穂乃果のしたいこと。

 

 

 

 

 

でも、それは正直嫌だった。

 

 

 

 

 

絵里先輩が練習に参加してくれた。それはすごく嬉しかった。

 

 

 

でも絵里先輩は、記憶を取り戻したばかりのみーくんと仲良さげにお話ししてた。

まるで、何年も前から一緒にいた"夫婦"みたいに。

 

 

 

 

違う、みーくんの横で笑っているのは絵里先輩じゃない、穂乃果なんだ。

 

なのになんで絵里先輩がみーくんと親しげに話してるの?

 

そんなの、絶対に許さない。

 

 

 

 

みーくんが、絵里先輩をμ'sの一員にしたいと言ってきた。

 

またそのときみたいに仲良さげにお話しするかもしれない。

 

 

それだけは、絶対に阻止してみせる。

 

だって、みーくんは穂乃果のものなんだから。

 

 

 

阻止するには、その絵里先輩を穂乃果のそばにおいて、監視すればいい。

 

 

今のμ'sのメンバーでみーくんに気がありそうなのは、希ちゃんだけ。

でもそれは仕方がないと思う、幼馴染だったんだから。

 

 

でも、絵里先輩は違う。

 

幼馴染でも、元からの知り合いでも何でもない。

 

 

だったら、みーくんを独り占めするには"邪魔な存在"になっちゃう。

 

 

幸い、他のμ'sのメンバーはみーくんに気はないみたいだから、"邪魔"になりそうなのは絵里先輩だけ。

 

 

 

希ちゃんだけは、"ライバル"だって認めてあげる。

 

 

 

 

ともかく、絵里先輩さえどうにかすれば、穂乃果がみーくんを独り占めできる確率がぐっと上がっちゃう。

 

 

だったら、絵里先輩にはμ'sに入ってもらって、穂乃果が監視できるように近くにいてもらわなくちゃ。

 

 

 

もう、絵里先輩とみーくんが楽しげに話すことがないように。

 

 

 

絵里先輩ごめんね、嫌いじゃないんだよ?でも―――――

 

 

 

 

 

 

 

みーくんを独り占めするには、仕方のないことなの。

 

 

 

 

 

 

全ては、みーくんを穂乃果が独り占めするために。

 

 

 

 

 

 

 

高坂穂乃果は、企てる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、東條希は考える

 

 

 

どうやったら、絵里ちを素直にさせることができるのだろう

 

 

 

 

どうやったら、絵里ちをμ'sの一員に加えることができるだろう。

 

 

 

 

 

絵里ちは不器用。

 

自分の想いを口に出すことが下手。感情を表に出すことが下手。

 

 

でも、決してそれらができないわけじゃない。

 

 

絵里ちは、"生徒会長"であることにプレッシャーや責任感を感じすぎている。

 

まるで、生徒会長であるという呪いにかかってしまっているみたいに。

 

 

 

生徒会長とはいえ、世間からすればただの一生徒でしかないのに、絵里ちはそれを重く受け止めている。

 

 

 

 

廃校なんてことにならなければ、こんなことにはなってなかったんかもしれんね。

 

 

 

 

タイミング悪く、絵里ちの代で廃校という知らせが届いてしまった。

 

 

 

 

絵里ちは案の定、生徒会長として、学校を廃校から守る活動を始めようとした。

 

 

でもそれはすべて無駄に終わった。

 

 

 

そんなとき、穂乃果ちゃん達がアイドルを始めた。

 

 

絵里ちはアイドルが好き。でも、絵里ちは生徒会長として、廃校から"確実な手段"で守ろうとしている。

 

 

穂乃果ちゃん達のそれは、いわゆる博打。一発逆転を狙う最後の手段。

 

 

でも穂乃果ちゃん達は、それを博打だなんて思っていないはず。

そうでもなきゃ、今さら廃校の決まったこの学校でアイドルを始めようだなんて思わない。

 

 

絵里ちにも、それくらい大胆になってほしい。

 

 

大胆になれたら、きっと素直になれるはず。

 

 

 

素直になれたら、きっと『私もアイドル始めたい』の一言くらいすぐ言えるはず。

 

 

 

絵里ちには自分のやりたいことをやりたいようにやってほしい。

 

今まで自分を捨ててきた絵里ちに、本当の絵里ちに戻ってほしい。

 

 

 

そしてみんなで、一緒に笑いたい。

 

 

 

 

絵里ちをμ'sの一員に加えたい理由の一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも

 

 

 

もう一つだけ、理由がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果ちゃんを、監視しておきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

みーちゃんの記憶が戻ってからの穂乃果ちゃんは、明らかに狂気じみている。

 

 

みーちゃんを見るなり、何かと束縛したがる、くっつきたがる。

 

 

みーちゃんを見る目が、明らかに病んだ人のそれと一緒であること。

 

 

これは明らかにおかしい。

これは被害者であるみーちゃんすらも気づいているみたいで、怯え切った表情を見ることもあった。

 

 

このままじゃ、みーちゃんが危ない。

 

 

うちが、みーちゃんを守ってあげなくちゃ。

 

昔みたいに。

 

 

 

 

穂乃果ちゃんがおかしくなること自体は、今に始まったことじゃない。

 

 

昔3人で遊んでた時も、稀に見せていた姿だった。

 

その時はまだ、"嫉妬"に近いものだったから、まだ可愛いものだった。

 

 

 

でも、今のそれは明らかに危ない方向へと進んでいる。

 

 

 

 

みーちゃんを守らなきゃ。でも、どうやって?

 

 

 

 

 

うちには、1人の親友がいた。

 

絵里ち。

 

 

しっかりもので、冷静な親友。

 

 

 

 

うちには、ある思いが浮かんだ。

 

 

 

 

絵里ちをμ'sの一員に加えることができたら、穂乃果ちゃんの様子を2人で見張ることができるのではないだろうか。場合によっては、2人でみーちゃんを救うことができるんじゃないか。

 

 

 

 

始めは1人で穂乃果ちゃんを見張るつもりだった。

 

 

 

でも、うち1人には、それは重すぎた。

 

豹変した穂乃果ちゃんはとにかく怖い。うち一人ではとてもじゃないけど、どうにもできない。

 

 

こんなんじゃ、みーちゃんは救えない。

 

 

 

 

絵里ちをもしμ'sの一員に加えることができたなら、百人力。

 

 

 

 

 

絵里ちをμ'sの一員に加え、みーちゃんを穂乃果ちゃんから守りたい。

 

 

 

 

 

これが、絵里ちをμ'sに加えたい理由の二つ目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里ちを素直にさせたい、自由にさせたい

 

 

 

これは紛れもない本心。

 

 

 

でも

 

 

みーちゃんを穂乃果ちゃんから守るため、絵里ちの力を借りたい。

 

 

これもまた本心。

 

 

 

 

 

 

結局うちは、絵里ちのことを救いたいっていう気持ちを言い訳にして、みーちゃんを守りたいがために絵里ちを"利用"しようとしている。

 

 

 

 

 

 

 

ほんと、最悪な親友でごめんな、絵里ち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東條希は、苦悩する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、絢瀬絵里は考える。

 

 

 

 

どうやったら、廃校を阻止できるか。

 

 

 

 

どうやったら、"生徒会長ではない私"の気持ちのままに行動ができるか。

 

 

 

 

 

 

私は今まで何度も我慢してきた。そう、いつも我慢ばっかりで、本当にやりたいことなんて滅多に出来やしなかった。

 

 

 

今だってそうだ。

 

 

 

本当は私だって踊っていたい。

 

希の言うとおり、私はアイドルが好き。

 

 

 

μ'sに入れたら、私は自由になれるのかしら?

 

 

 

自分のやりたいことを無理矢理抑えて我慢して、偽りの顔でみんなを見下すような目で見つめ、笑うことすら忘れてしまっていた私なのに?

 

 

 

 

 

 

無理よ、そんなの、今さら。

 

 

 

 

 

 

私は人を傷つけてきた。

 

 

見下すのみならず、暴言まで吐いて相手を罵倒した。

 

 

 

高坂さんたちが、そのいい例だ。

 

 

 

私は、その罪を少しでも償おうとして練習に参加させてもらおうと懇願した。

 

 

でもその行動は、償いでも何でもなかった。

 

 

 

私はただ、彼女たちのように自分の好きなこと、やりたいことをやりたかっただけ。

 

要は、ただのわがままを押し付けただけ。

 

 

そんなの、罪をただ重ねてしまっただけじゃない。

 

 

 

違う。そんなのは違う。

 

私はただ、彼女たちの助けに少しでもなれば、という思いで練習に参加させてもらっただけ。

 

 

 

 

彼女たちみたいに、アイドルとしての活動がしてみたかっただけ。

 

 

 

 

だから、希たちが誘ってきたときは正直すごく嬉しかった。

 

 

 

でも、それと同時に"生徒会長"という言葉が私を蝕んだ。

 

 

 

 

私は生徒会長。

望んでなったものでなかったとしても、私は生徒会長としての仕事を全うしなきゃいけない。

 

 

 

そう、私は、生徒会の長なのだから。

 

 

そんな不確実であることよりもっと確実性のあることでないとこの学校は救えない。

 

 

遊んでる暇なんか、ない。

 

 

 

 

 

 

でも

 

 

 

 

 

 

気づいてほしい

 

 

 

 

 

 

 

 

助けてほしい

 

 

 

 

 

 

 

 

偽りの仮面を被った、不器用なこの私を

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつもの罪を重ねてしまった愚かな私を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を、自由に羽ばたかせてほしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絢瀬絵里は、自由を求める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの想いは違えども、4人それぞれが1つの願いに向かって進みだす

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

次回はいよいよ、絵里ちをμ'sに加えるべく、3人が中心となって動き出します(予定)



更新頻度が著しく遅くなってしまったこと、何も報告しなかったこと、お詫びします。



Twitterにはよく出没してたんですけどね(笑)
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