【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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今回の話は、前回投稿した16.5話をぜひ読んだうえで読んでいただきたいです。


読むのと読まないのとでは、おそらく解釈の仕方が変わってくるのでは、と思いますので。




あ、もちろん、16.5話を読まなくてもストーリーの進行には問題ありませんので心配なさらずに。




17話 解決策は

 

翌日

 

 

 

 

 

朝の練習に、生徒会長は来なかった。

 

 

 

 

 

 

神社の前で、みんなで生徒会長を待っていたが、時間を過ぎても、姿を見せることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「絵里ち、今日は来んかったね・・・」

 

「そうだね」

 

「うん・・・」

 

 

結局、練習もそこそこに今日の練習は終了してしまった。

僕らはうつむきながらに、3人で帰っていた。

 

 

「絵里ちはきっと、自分を捨ててるんよ。"生徒会長"だなんて仮面を被ってしまったから・・・」

 

「生徒会長・・・か。」

 

「穂乃果、絵里先輩の踊り見たかったなぁ。絶対すごいのに」

 

 

 

"生徒会長”という立場であることがかなりのプレッシャーになっていることは、昨日はっきりした。

 

 

 

 

 

僕は、どうすればいい?

 

 

 

 

彼女からそのプレッシャーから解放するには―――――

 

 

 

 

 

 

 

その答えも出ないまま、今日一日を終えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ?あの堅物会長をメンバーに加えたいですって?」

 

「なぜまたそのようなことを・・・」

 

 

次の日の放課後、部室で生徒会長をμ'sに加えたいということをみんなに伝えたところ、あまり良くない返答がきた。

 

まぁ、それも当然なのかもしれないけどね。

 

 

「生徒会長さん、実はアイドルがすごく好きらしいんだ。」

 

「絵里ちはずっと我慢してたんよ。生徒会長だから自分が学校を守らなきゃいけないんだ、って。」

 

「でも絵里先輩は本当は踊りたいんだよ!アイドル雑誌を読んでは"羨ましい"ってそのたびに思ってたんだって!だったら一緒にやったらいいんだよ!って思わない?」

 

 

とりあえず僕ら3人が一昨日の会話も交えて、他のみんなに生徒会長をμ'sにいれたい旨を伝えた。

 

すると、矢澤先輩と小泉さんの目がギラッと光らせ、口を開いた。

 

 

「なんですって?あの堅物がアイドル好き?・・・確かに、あのスタイル・容姿を持っているあいつが加われば戦力アップは間違いないわね・・・!」

 

「そ、それは本当ですか!?だったらぜひμ'sに入ってもらいたいです!!花陽、絵里先輩のことずっと気になってたんです!」

 

 

さっきの反応とは180度違うことを言ってきた2人。怪しげな笑みを浮かべる矢澤先輩に、目をキラキラさせながら話す小泉さん。

でも、2人は悪く思ってないみたいで良かった。

 

 

「ちょっと待って!」

 

 

西木野さんが何か言いたげに声をあげる。

 

 

「確かに、悪い人ではないと思うわ。練習の時にそれはわかった。あなたたちの話を聞いてアイドル好きだってこともわかった。でも、生徒会長としてやってるあの人をどうやってμ'sにいれるというの?普段はあんなに冷酷そうな生徒会長を?先輩と小泉さんはいいとして、他のみんなは何かないの?」

 

 

μ'sに加えること自体は否定こそしていないものの、解決策はあるのかという質問を投げかけてきた。

 

至極当然のことを言ってると思う。所詮は練習に1日だけ付き合ってもらっただけなのだから、生徒会長の想いを直接聞いたわけじゃない。

 

 

「凛は、かよちんがそれでいいならいいと思うよ?あんな美人さんが入るんだったら確かに廃校阻止できそうだしね!」

 

「ことりは、穂乃果ちゃんがそうしたいならそれでいいかな♪」

 

「話題からずれてること言われた気もするけど、2人はそれでいいってことね。園田先輩は、何かないんですか?」

 

「私、ですか?」

 

 

南さんと星空さんはそれぞれが穂乃果と小泉さんに合わせるということでいいらしい。

西木野さんはそれに若干のわだかまりは抱いていたらしいものの、それでよかったらしく、次はまだ何も発言してない園田さんに尋ねた。

 

 

「私は――――穂乃果とことりがそうしたいのでしたら、それで構いませんよ。私は2人に誘われて活動を始めた身、グループのことでとやかく言う必要はないと思っていますので。それに・・・μ'sは穂乃果が始めたんですから、その穂乃果がそうしたいのだったら、それを支えるまでです。」

 

「海未ちゃん・・・」

 

 

"穂乃果がそうしたいなら、それを支えるまで"

 

長年幼馴染をやってきたからこその想いなのだろう。真っ直ぐに、素直に想いを告げる園田さんはすごくかっこよく見えた。

 

 

「・・・確かに、高坂先輩がそうしたいんだったら、それでいいかもしれませんね。でも、そうやって生徒会長さんに入ってもらうんですか?それが聞きたいんですけど。」

 

 

園田さんの想いはわかった。でも結局"どうすれば生徒会長に入ってもらえるか"の解決にはならなかった。

 

 

みんなが無言になる。みんなが"生徒会長をμ'sに加えたい"ということに賛同してくれてはいるのだけど、"どうすれば生徒会長をμ'sに入ってもらえるか"という解決策は持ち合わせていないようで。

 

 

しばしの無言が部室内を訪れる。

 

 

何分くらい経ったのだろうか。1人が静寂を壊した。

 

 

「穂乃果ちゃんは、どうしたらいいと思う?」

 

 

南さんの一言。穂乃果にどうしたいかを問う。

南さんも穂乃果の幼馴染。

きっと、こうなったとき穂乃果がどうするかをいつも聞いてきたのだろう。

 

でも、その気持ちはわかる。

 

 

「穂乃果は――――」

 

 

そう、穂乃果は――――

 

 

「みんなでお願いすればいいんじゃないかなって思うよ!!」

 

 

いつだって単純なんだ。

 

 

「ちょっ!あんたら3人がお願いしたって無理だったものを、たかが人数増やした程度で何ができるってのよ!?」

 

「え、だめかな?」

 

「だ、だめってわけじゃないんですけど、あまりにも単純すぎるっていうか・・・」

 

「ん~、そうかなぁ?」

 

 

矢澤先輩、小泉さんがそう思うのは普通だと思う。

でも穂乃果は普通じゃないんだ。

 

 

「だって3人でいったからって、別に3人でアイドルやってるわけじゃないでしょ?それにメンバーに入ってもらいたいんだったら、そのメンバー全員でお願いするべきだと思うんだ!・・・どうかな?」

 

 

単純なこと。いつも穂乃果は単純すぎる。

 

でも、こういうときはその単純さが必要だと思うんだ。

 

 

「穂乃果が言い出したら聞きませんよ?それに、こうなったときの穂乃果はすごいんです。だから、穂乃果が言うならきっと、上手くいきますよ」

 

 

そう、こうなったときの穂乃果はすごいんだ。

 

 

「穂乃果ちゃんはどんな人の心でも開けるんだから、きっとうまくいくよ♪」

 

 

そう、僕とのんちゃんも、そうだったから。

 

 

「穂乃果ちゃんはいつもそうなんや。だから、絵里ちだってきっと救ってくれるはずや、きっと――――」

 

 

きっと――――"生徒会長"という鎖から解放できるのは穂乃果しかいないんだ。

 

その穂乃果がそういうのなら、きっとその方法しかないんだ。

 

 

「・・・先輩方は、ずいぶん高坂先輩のことを信頼してるんですね。」

 

「でも、なんだかそれもわかる気がするにゃ。」

 

「なんだって、μ'sを作ったのも高坂先輩ですからね。」

 

「・・・そうね。ならあんたを信用してみるわ。希もそういうんだったら、間違いはないんでしょうし。で、あとは・・・」

 

 

1年生と矢澤先輩も穂乃果のことを信じてくれるみたいだ。

そして、矢澤先輩は僕に尋ねてきた。

 

 

「白河、あんたはどう思ってるの?あんたも高坂さんの幼馴染なんでしょ?何かいいなさいよ。」

 

 

僕に、穂乃果のことをを信じるかどうか、そういう風なことを聞いてきた。

 

でも、それは愚問かな。だって――――

 

 

「僕も、穂乃果の言う通りでいいと思うんだ。僕だって穂乃果には何度も助けられたんだ。だから僕も穂乃果の言うことは信じる。それに、こういうときは単純な方がいいんだ。堅苦しく悩んでたって駄目なんだって、教えてくれたのも穂乃果だったからさ。」

 

「・・・そう。」

 

 

記憶が戻った今、穂乃果には何度も助けられてきたということはちゃんと思い出せる。

もちろんのんちゃんにも助けられてきたのは間違いないけど、穂乃果には不思議な力がある。その力が人を救う。

きっと、生徒会長だって救ってくれる。

 

 

「じゃ、さっそく行きましょ。決まったことだし。」

 

「え、行くって・・・?」

 

「決まってんでしょ、あいつのところよ。」

 

 

解決策を見出してすぐ、矢澤先輩は言った。

 

 

 

 

「生徒会長――――絵里のところよ」

 

 

 

 

 

 

 

ついに、"2度目の勧誘"が始まる。

 

前回は失敗した。でもそれは、何も解決策を持たずに行ったから。

 

でも今回は違う。確実かどうかは分からないけど、解決策を見出すことができた。

 

 

 

僕個人としても、どうしたら生徒会長を救えるかの答えを見出すことが出来た。

 

 

 

 

穂乃果にまた、教えられちゃった。

 

 

 

 

"単純でいいんだ"ってね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会長を"救う"ために動き出した9人は、動き出す。

 

 

それと同時に、止まっていた時間も、動き出した―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絢瀬絵里は、1人生徒会室の窓から、外を眺めていた

 

 

 

 

「・・・どうしたらいいの」

 

 

 

 

窓から眺めるグラウンドには、部活に勤しむ生徒たちの姿

 

 

 

 

「私も、何か部活に入ってれば、こんなことにならずに済んだのかしら」

 

 

 

 

日が沈み始めた時間、にも関わらず、絢瀬絵里の目に映る生徒たちはとてもまぶしく見えていた

 

 

 

 

「私は――――生徒会長」

 

 

 

 

「生徒会長、なんだから」

 

 

 

 

そう言い聞かせる絢瀬絵里の心は、悲しみで閉ざされる

 

 

 

 

「誰か・・・誰でもいいから・・・っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かな生徒会室には、そんな切ない言葉と共に、涙を流す1人の"女の子"がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の心を縛っていた固い鎖が

 

 

 

 

徐々に壊れていく――――――

 

 

 





いかがでしたでしょうか?


次回はいよいよ、絢瀬絵里がμ'sに加わります。

やっと物語が動き出しますね。




ちなみに今回の話は、これからの展開に関わってくる大事な部分があります。

いつものような意味深な発言で書いてあるわけではないので、ご理解いただけるかはわかりませんが。



告知です

バレンタイン回を書く予定なのですが、今回はその記念回をこちらの小説内で書きます。
いつものように、記念回集である"僕と9人の思い出たち"ではなく、こちらに"最新話"という形で。

というのも、本編に大きくかかわる内容になりますので、思い出たちの方に投稿するよりはこちらの方がいいのでは、と思ったからです。

投稿は、絵里ちが加入してからの投稿にできるようにします。




あ、"兄と妹~ときどき妹~"の方でもバレンタイン回をこの作品と同時で投稿いたしますので、そちらもぜひよろしくお願いします!!


Twitter:https://twitter.com/myy96cat

TwitterID:myy96cat


くだらない事、更新報告等を行っております。
フォローしてくださる際はぜひ一言いただけると嬉しいです!

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