【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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0話を読んでくれた方、ありがとうございました。
そうでない方は、初めまして。kielly(きえりー)というものです。

初投稿のこの物語ですが、
今回の話がこの物語の第1話、という扱いになるのではないかと思います。
相変わらず読みづらいところもあるかと思いますが、読んでいただけると幸いです。


*記憶のかけら編
1話 7人のμ's


 

 

『いやっ!いっちゃダメ・・・いかないで!』

 

 

『ごめんね、ぼくのおとうさんのおしごとするばしょ、かわっちゃうから。いかなきゃ。』

 

 

『いやだよぉっひとりにしないでよぉっ・・・うぅっ・・・』

 

 

『ぜったい、またあえるから。そのときまでまっててほしい。やくそくするよ。』

 

 

『・・・ほんと?またあえるの?』

 

 

『うんっ、ほんとだよ!そしてまたあえたとき、ぼくはきみにこういってやるんだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピッ、ピピピッ・・・

 

 

目覚ましの音が鳴り響く。

うぅ、もう朝なのかよ・・・

 

目覚ましを止め、時間を確認する。

時刻は5:30。いつも起きる時間より1時間ほど早い起床。

 

というのも、昨日のライブの後

 

 

 

『みーくんも、明日からの練習、見に来てね!』

 

 

 

穂乃果に練習を見てほしいとお願いされてしまった。

横にいた2人も、口にこそ出さなかったものの、来てほしそうな表情をしていた。

 

ファンとしてはすごく嬉しいのだが、朝からの練習らしく、集合は6:30に神田明神。家から神田明神まで歩いて15分といったところ。

 

朝に弱い俺にとっちゃこの上なくつらい。

 

まぁでも・・・

 

 

「応援するって決めたんだし、いっか」

 

 

そんなわけで今日からμ'sの練習に参加することになったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参加することになった・・・んだけど

 

 

「やべぇ!あと10分しかねぇじゃねえか!?」

 

 

気づけば時刻は6:20、集合まで残り10分、家から神田明神まで15分。

 

あれ、遅刻?初日から?

 

目覚めてからの行動が遅い俺は毎朝登校時間ぎりぎりなわけで。

どうやら朝練も、例外じゃないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

 

神田明神の長い階段を駆け上がる。

家から全力疾走できた上、この階段すら駆け上がらないといけないなんてこんな苦行を強いられるとはっ。

 

 

「あっ!みーくんきたぁ!」

 

 

奥から声が聞こえる。この明るい声は穂乃果だろうか。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・遅れてごめん・・・」

 

「いいよいいよ!それよりちゃんと来てくれたんだね!」

 

「あぁ。応援するって決めたし、練習してるとこ見たかったからさ」

 

「えへへ~♪」

 

 

嬉しそうに穂乃果が笑う。怒ってなかったみたいでよかった。

すると横から

 

 

「えへへじゃありませんよまったく。いつも穂乃果が遅刻してくるくせに。それに瑞希さんは遅刻なんかしてないじゃないですか。」

 

 

そう言って園田さんが時間を穂乃果に見せつけていた。6:30。ぎりぎり間に合っていたようだ。

 

 

「まぁまぁ海未ちゃん。今日は遅刻してないから怒らなくても・・・」

 

「ことりが甘いからいけないんです!このままでは穂乃果はダメ人間になってしまいますよ!」

 

「もうっ!ダメ人間はさすがにひどいよ海未ちゃん!この鬼教官!」

 

「鬼とはなんですか!!」

 

 

控えめに南さんが園田さんを宥めようとしていたがが効果はなく、ギャーギャーと言い合いになっている2人。

そういえば、3人の賑やかな会話を直接見るのは初めてかもしれない。

・・・南さん大変だろうなぁ。

 

そんなやりとりを見ていると

 

 

「ったく、朝から騒がしいたらありゃしないわ」

 

「あはは・・・」

 

「始めるんなら早くしなさいよ」

 

「凛も早く練習したいにゃ~!」

 

 

後ろから4人の声が。4人も後ろから見ていたらしい。

 

いつの間にか、メンバー全員そろってたんだな。

 

 

 

 

 

「うんっ!早く始めようっ!」

 

「こら、まだ話はっ」

 

 

園田さんを振り切って穂乃果が練習開始を促す。

 

 

ようやく、始まるようだ。

 

 

 

 

 

「それじゃ、新しいμ'sでの練習開始だよ!でもその前に・・・」

 

 

開始するのかと思いきや、何やら話があるようで

 

 

「まずはそれぞれの自己紹介しようよ!」

 

 

穂乃果に言われて気づいた。

そういえば、2年生組はいいとして、他の子の名前がほぼわからない。

下の名前だけとか苗字だけ、とか。しまいにはあだ名しか知らない人までいる。

 

それに、俺のことも何も話してないしな。

 

 

「それもそうですね。まだお互いのこと全然知りませんし」

 

「だよねだよね!じゃあ私から!」

 

 

そういって穂乃果から順に自己紹介していく。

 

 

「私は、高坂穂乃果です!実家が和菓子屋やってます!ぜひ買ってみてね!」

 

 

和菓子屋なんてやってたのか。和菓子食べたい。

・・・穂乃果が話の後でちらっとこっちを見た気がする。

それも、何かを期待しているような表情だった気がする。

買えって言われているのだろうか。脅されないか不安である。女の子怖い。

 

 

「私は園田海未といいます。穂乃果と同じ2年で、私と穂乃果とことりは幼馴染です。弓道もやっています。作詞担当です。」

 

 

あの曲の作詞は園田さんがやってたのか、すげぇな。というかこの3人幼馴染だったのか。どおりで息が合ってること。

 

 

「南ことりです。μ'sの衣装担当で、裁縫とお料理が得意です♪」

 

 

改めて聞くとすげえ甘々な声してるな南さん。それゆえに裏の顔が怖いと感じてしまう。

にしても、衣装は南さんが作ってたのか。なんだこのグループ、すごくないか?

 

 

「次はにこね。矢澤にこ、3年生。アイドル研究部の部長をやっているわ。」

 

 

アイドル研究部、ほんとにそんな部活があったんだな。

そいえば、ここの6人はその部に入部したんだっけ、ライブのあとに・・・副会長の強引な手引きによって。

 

 

「1年、西木野真姫。ライブの曲を作曲したわ。」

 

 

作曲までこのグループでやってたんですか。ハイクオリティ過ぎてついてけなさそう。

 

 

「1年の星空凛だにゃ!かよちんと幼馴染で、運動するのが好きだにゃ!」

 

 

元気いっぱいな女の子って感じだな。星空なんて名前、なかなか珍しい。

そして、かよちんとは・・・?

 

 

「い、1年生の小泉花陽です。凛ちゃんと幼馴染です。あ、アイドルが好きです・・・」

 

 

あぁ、かよちんてこの子のことか。最後らへん声が小さくなってたが、アイドル好きだったのか。

どおりでライブの後、目が輝いてたわけだ。

・・・矢澤先輩がちらっと小泉さんのほうを見た気がするが、なぜかな。

 

 

と、μ's全員の自己紹介が終わったあと、みんながこっちを見てきた。

あれ、この流れは俺も自己紹介するの?俺、メンバーじゃないんだけど?

 

 

「え、俺も・・・?」

 

「もちろんだよ!みーくんもμ'sみたいなものだから!」

 

 

ああ、そういう風に思ってくれてたのね。素直にうれしい。

じゃあ―――

 

 

「2年の白河瑞希といいます。穂乃果たちと同じクラスです。趣味は・・・料理です。」

 

 

自己紹介を終えたが、料理が趣味といった瞬間、南さんの表情が輝きだし、矢澤先輩がじろじろ見てきた。

 

 

「料理が趣味?男の子・・・にしては似合ってるわね」

 

「みっくんお料理できるんだぁ♪まるで―――」

 

 

この先の言葉はわかっている。だから俺は自己紹介で趣味なんて言いたくない。

だけど、趣味以外のことを言えば、もっとダメな方向にいきそうだから、言えない。

 

きっと、南さんが次に言う言葉は―――

 

 

 

 

 

 

「女の子みたいでかわいいね♪」

 

 

 

 

 

これである。これが女の子が得意じゃない理由。

 

普通の男子が趣味が料理と答えたところで、おそらくは"可愛い"だなんて言われないだろう。

ましてや、それを言われたところで女の子を不得意になんて感じるやつはそういないだろう。

しかし、俺は嫌なほど言われ慣れている、"可愛い"と。

 

 

 

 

 

なぜなら

 

 

 

 

 

 

両性的、いや、どちらかというと女性的なこの顔がコンプレックスだからである。

 

 

 

 

 

 

小さいころから女の子と間違えられてきた。

女の子からは毎日のように『女の子みたい!』とか、『かわいい!』とか散々言われてきた。

いつしかそれが言われるのが嫌で、女の子から遠ざかっている自分がいた。

男子からも、どこか同性として扱ってくれていない節があった。

それでも仲良くしてくれる奴はいた。というか大半のやつから優しくされていた。

しかし、トイレに行こうとすると、恥ずかしそうな目で見られることが多かった。

 

 

それがすごく嫌だった。

 

 

身長も、男子にしては低いこともあり、女子として見られることが多かった。

それゆえに、この顔がコンプレックスで、それをかわいいと言ってくる女子がほんとに苦手だった。

 

 

今もそう。

 

 

「そうだよね!みーくんかわいいよね!」

 

「確かに、趣味が料理と言われても、まったく違和感ありませんね。」

 

 

 

もう、言わないでほしかった。

 

 

 

「料理ねぇ・・・ぴったりじゃない。」

 

「女の子みたい、というより女の子そのものじゃない。」

 

 

 

こいつらなら、そんなこと言わないって、心の中でそう思ってたのに。

 

 

 

「白河先輩見たとき、女の子かなって思ってたにゃ!」

 

「た、確かに、男性の先輩とは思ってませんでした」

 

 

 

やっぱり、だめだったんだ。

 

お前らなら、μ'sなら大丈夫、なんて思ってたのが間違いだった。

 

怒りと悲しみが俺の頭の中を埋め尽くす。

 

 

もう、限界だった。

 

 

 

「おい、おm「君たち、相手は立派な男の子やで?それはいくら何でも失礼なんとちゃう?」・・・え?」

 

 

 

口を開き、会長のときみたく汚い言葉を吐く寸前で、それを誰かに遮られた。

この関西弁は、確か・・・

 

 

 

「瑞希君がかわいそうやん?」

 

 

 

副会長だった。それも、巫女の格好をした。

 

 

 

「ちゃんと謝っとき?君たちだって、『男の子みたいでかっこいい!』なんて言われて嬉しいと思えるん?少なくとも、うちはそうは思わんよ?」

 

 

副会長が俺を必死に守ってくれた。

 

今まで、"可愛い"と言われることは多々あった。というかそれが大半だった。

 

でも、彼女は違った。僕を"1人の男"として見てくれている

 

それがすごく嬉しくて―――そしてなぜか、懐かしくて。

 

 

 

「あ、そうだよね・・・みーくんごめんね?」

 

 

穂乃果が謝り、それに合わせて他のメンバーも謝罪してくる。

 

 

「あ、あぁ。言われなれてるから、別にいいよ」

 

 

怒りに満ちていたはずの心はすっかり落ち着いて。

逆に申し訳ないと思ってしまうくらいだった。

 

 

「あ、ありがとうございます、副会長さん。」

 

 

とりあえず感謝の意をつげる。すると

 

 

 

「・・・うちの名前、東條希っていうんや。副会長って呼び方はやめてくれへん?」

 

 

 

 

そう言う副会長の表情は、ライブの後のあの表情そのものだった、

それをみるととても胸が苦しくなってくる。

 

なんだ、この気持ち。

 

 

「・・・すいません。じゃあ、ありがとうございました、東條先輩」

 

 

呼び方を変え、もう一度読んでみた。

 

 

しかし表情が変わることは、なかった。

 

 

 

 

気を取り直し練習を開始して、少し経った後

 

 

「もうこんな時間じゃないの。そろそろ学校行かないと間に合わないんじゃない?」

 

 

矢澤先輩がそう切り出す。

時間が結構経っていたようで、いつもの登校時間になっていた。

 

 

「それもそうだね!じゃあみんなで学校行こうよ!」

 

「うん♪」

 

「そうですね。」

 

 

そう言ってみんな、各々準備を始めた。

 

俺も用意しようかな、なんて立ち上がる。

ふと周りを見渡す。が、東條先輩の姿がない。

メンバーじゃないから、もう学校に向かったのかな?

まぁ、巫女服だったし、着替えに時間がかかるんだろうな。

 

 

メンバーの着替えが終わり、「さぁいこうっ♪」なんて言いながら俺の腕を引っ張ってくる穂乃果。

みんなもそれに合わせて動き出す。

穂乃果のやつ、ずいぶん無理やりなんだな。

 

 

そいえば、最近の女の子って、こんなにボディタッチ多いのだろうか。

 

 

穂乃果に関しては初っ端からみーくんだなんて呼んでくるし。

南さんがそれに合わせてあだ名で呼んでくるし・・・

 

 

 

あれ?

 

 

 

ここで1つ気づいたことがある。

 

 

 

 

 

なぜ女子が不得意な俺が、穂乃果のことだけ「高坂さん」と呼ばないのだろう?

 

 

 

 

 

基本的には女子と距離を置いているため、女子はさん付けで呼ぶ。

現に南さんや園田さんはさん付けだしな。

もとから仲がよかったわけでもないのに、どうして穂乃果だけ?

 

 

昔から「穂乃果」と呼んでいた、そう思ってしまうような違和感のなさはなんだろう。

 

 

確かにこいつは絡みやすい性格をしているし、現に親しみのある態度で接してくれている。

とはいえ女子不得意な俺が慣れてもいない女子をいきなり呼び捨てで呼ぶことなど今まではなかったはずで。

 

 

なんでだろう?

 

 

なんて疑問を抱きながら、学校への道のりをメンバーと歩いていた。

 

そんな4月の朝。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みーちゃん、私のこと、覚えてくれてないんだね。」

 

 

 

 

1人。すすり泣きながら瑞希のことを思う女の子が1人。ここに。

 

 

 

そんな4月の、まだ肌寒く感じる、曇り空の朝。

 

 

 





読んでくださった方、お疲れさまでした。
伏線をいくつかはってみました。いや、はりすぎました。
段階をふんで少しずつ、と考えていたのに、一気にやっちゃいました。てへぺろ。

プロローグに続き、今回の話も、シリアス寄りの話になってしまいました。
あと2、3話で早いとこシリアス展開終わらせて、早く楽しい話が書きたいなぁ。
書いてる本人は楽しいんですけどね。読んでる人からすると、結構きつくありませんか、こういう内容って。
私はきついです、読むの。
そのせいでしょうか。プロローグより文字数少ないです。
プロローグは7000文字、こちら4500文字。
あれ?プロローグ、1話っていう扱いでよくね?


そんな話は置いといて、ついこの前、HJNNのかよちゃんとことりちゅんを迎え入れました。
なにこの可愛さ、反則じゃないですか。あなたは最低ですっ!

仕事が終わり、帰ってきて部屋のドアをあけると、

「パナパナァ」「チュンチュン」

これです。このお出迎えです。
あぁ、生きててよかった。生きてることを実感できます。
末期ですね。いや、真っ姫ですかね。

読んでくださった方、ありがとうございました。
次の話は1週間以内には投稿できるのではないでしょうか。
いかんせん、添削等に時間がかかってしまうので、高い頻度の更新とまではいかないかもしれませんが、完結もせずに放置、なんてことにはならないようにはします。

まぁ、完結なんて考えてませんが。


1月4日 改
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