【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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この話からが新章、"廃校阻止編"となります。

バレンタイン記念もかねてこのような内容にさせてもらいましたが、後々の話に出てくる割と重要な部分が書かれているところでもあります。


*廃校阻止編
19話 *Bitter macaron*


 

絵里先輩を、'生徒会長'という名の固い鎖から解放することが出来た。

 

 

解放された次の日の朝練習では、元気に練習に励む絵里先輩の姿があった。

 

 

 

本当に絵里先輩がμ'sに加わったんだ

 

 

 

そう思うと、本当に嬉しくて、頼もしくて。

 

 

約束通り、僕は生徒会の仕事を手伝いながら、μ'sの練習に参加した。

 

 

大変ではあるけれど楽しいと素直に思える、そんな充実した日々に変わった。

 

 

 

 

 

いろんなことがあったそんな1週間の休日に、僕は―――――

 

 

 

 

「みーくん♡」

 

 

 

 

何故か穂乃果と二人きりになっていた。

 

 

僕の部屋で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Bitter macaron

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の発端は昨日の放課後練習後。

 

穂乃果に呼び出され

 

 

 

『 明日、みーくんの家に行くね♡』

 

 

 

とやたらテンション高めに言われたのだ。

 

そのあまりの不気味さに、断ることが出来ないまま、今日を迎えてしまった。

 

そして今、その穂乃果と僕は、僕の部屋の中でただただ見つめあっていた。

 

 

「えへへ、みーくん♡」

 

「な、なんでしょうか」

 

 

穂乃果はすごく嬉しそうな顔で僕を見つめてくるのだが、僕が穂乃果を見つめているのは穂乃果のそれとは大きく違う。

 

言いようのない恐怖が、この穂乃果からは感じられる。だから'見つめている'のではなく'怖くて目が離せない'と言った方が近い。

 

・・・怖い。

 

 

「ねえみーくん」

 

 

唐突に穂乃果が僕を呼ぶ

 

 

「な、なにかな?」

 

 

自然と震える声を必死に抑え、穂乃果に応える

 

 

「実はね――――じゃーん!マカロン作ってきたの♪ことりちゃんに教わったんだ〜♡」

 

「・・・え?マカロン?」

 

「うんっ♡」

 

 

何を言われるかと思えばこれである。

 

なんだ、僕の思い違いだったのか。

わざわざお菓子を作ってきてくれただけみたいだ。

 

しかも、穂乃果が穂むまん以外でお菓子を作って持ってきてくれるなんて、人生初なのではなかろうか。

ちょっと嬉しくなるよね。

 

 

「みーくんのために作ってみたんだ〜♪食べてくれる...?」

 

「もちろんだよ、ありがとう穂乃果。わざわざ作ってくれるなんて」

 

「えへへ♪じゃあみーくん、はい、あーん♡」

 

「えっ!?いや、僕自分でたb「あーん...だよ?」あ、あーん...」

 

 

相変わらず穂乃果に弱いな僕は...そう思いつつ、穂乃果のくれたマカロンを口に入れる。

 

 

「あっ、美味しい・・・これ本当に穂乃果が作ったの?」

 

「むー、信じてくれてないの~?」

 

「え?いや、いつも穂乃果からは和菓子もらってたから、こういう洋菓子作れるイメージがなくってさ・・・」

 

「あ、そういう・・・えへへ、みーくんのためだけに作ってみたんだ♡」

 

「僕のために・・・嬉しいよ。じゃ、じゃあもう一個もらってもいいかな?」

 

「うんっ♪みーくんに食べてもらうために作ってきたんだから全部いいよっ♡はい、あーん♡」

 

「あーん・・・うん、やっぱり美味しい!」

 

「えへへ~♡」

 

 

嬉しそうに笑いながら僕にマカロンを食べさせてくれる穂乃果。

素直に笑ってる時の本当に可愛いと思うんだけどな。

 

ん、今もらったピンク色のマカロン、すごくおいしかった――――

 

 

「あっ、そのピンクのマカロンどうだったかな・・・?」

 

「うん、これすごくおいしかったよ!味付けこれだけ変えてるの?」

 

「うんっ♪実はね?そのマカロンには、穂乃果のとびっきりの愛と—―――――」

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果の血液が入ってるんだよ?」

 

 

 

 

「っ!?っげほげほっ!」

 

 

聞きたくない言葉が聞こえてしまった

 

 

「あっ、みーくん・・・喉に詰まっちゃった?大丈夫?ほら、ジュースで流し込んで?」

 

「ちがっ!血の入ったものなんっむぐぐっ!?」

 

 

穂乃果からジュースのペットボトルの口を無理やり僕の口に突っ込まれ、無理やりマカロンを流し込まされる。

 

 

「穂乃果の愛が受け取れなかったの?ねえ、美味しいんだよね?」

 

「んーっ!!んんっ、っ・・・」

 

 

必死に頷いて肯定を示そうとする。

でも穂乃果から頭まで固定されてしまっていて、あまりうまく動かせない。

 

 

「ねえ・・・穂乃果の血、美味しい?美味しいよね♪美味しいよねえ!?」

 

「ぐふっんっ・・・んんっ!!っはぁはぁ・・・うん、美味しかったよ・・・」

 

「えへへっ、やっぱりみーくん大好きっ♡」

 

 

穂乃果の表情が変わりつつあるのが分かり、焦った僕は急いでジュースを流し込み、必死に頷く。

それに満足したのか、満面の笑みで僕を見つめる。

 

 

素直に、"普通"のマカロンを食べていたはずだったのに、なぜこうなったんだろう。

 

 

僕は穂乃果のことは嫌いじゃない、むしろ好きだ。だからマカロンを僕のために作ってくれたってこと自体はすごく嬉しい。

 

でも、これはやりすぎだと思うんだ。

 

 

「ねえ穂乃果」

 

「えへへ~・・・ん、どうしたのみーくん?」

 

 

嬉しそうにしている穂乃果にこんなことを聞くのもあれな気がするけれど、聞かずにはいられなかった

 

 

 

 

「どうして、血液入りのマカロンなんて作ったの?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

普通な質問をしたと思う。

明らかに常識の域を超えているのは穂乃果だ。

 

"普通"の人なら、こんなことはしないはずだしね。

 

 

 

しばしの無言のあと、穂乃果は言う

 

 

「ねえ、なんで生徒会に入るだななんて言ったの?」

 

「え?」

 

 

なぜそんなことを聞いてきたのか分からなかった僕は、心の声が素直に出てしまったようだ。

 

穂乃果は続ける

 

 

「絵里先輩が加入できるようにするには、生徒会での負担を減らすしかない、そう思ってたのは穂乃果もわかってたよ。でもそれって絵里先輩とみーくんの距離が近くなっちゃうよね?希ちゃんも副会長だから、3人で作業するんだよね?嫌だなぁ―――――"穂乃果の"みーくんが、他の女の子と話すだなんて。距離を近づけるだなんて。だからね、思ったの。"表面的に離れてしまう"んだったら、いっそのこと"内側には常に穂乃果がいる"ようにすればいいんだって♪"穂乃果のもの"だっていう印を、内側からつければいいんだって♪たとえ体は離れてたって"内側ではつながってるんだ"って♪」

 

 

「っ・・・」

 

 

 

絵里先輩とのんちゃんと3人で、穂乃果の目が離れたところで仲良くなるんだったら、それ相応に穂乃果も近づいてあげる

 

 

そういう風な内容だったんだろう。

 

正直、狂気しか感じない。

今回で初めてっていうわけじゃない、けど"血液"まで飲まされたのは今回が初めてだ。

 

徐々に、穂乃果の行動がエスカレートしていってるのがよくわかった。

 

 

でも、それでも僕は穂乃果は嫌いにはなれない。

 

 

だって、そう思えてしまえるくらい、穂乃果には助けてもらってるからだ。

 

 

とどのつまり、穂乃果は絵里先輩やのんちゃんと"穂乃果の知らないところで仲良くなる"のがつらい、そういうことなんだろう。

 

穂乃果がつらいんだったら、僕はそれを救いたい。

 

ここで僕が穂乃果を救える方法があるとすれば—―――――――

 

 

 

 

「穂乃果」

 

「あはははははあっ・・・え・・・?」

 

「僕は誰と仲良くなったって、穂乃果のことは絶対に大切にするよ。だって穂乃果は僕の大事な人だから。誰よりも大切にする。でも、僕もたくさんの人と仲良くなりたいんだ。もちろんμ'sのみんなとも。だから―――――生徒会の仕事の間だけ、そこだけでいいんだ、僕に自由をくれないか?」

 

 

 

狂ったように笑っていた穂乃果をそっと抱きしめ、そう告げた。

 

 

穂乃果の表情が、いつもの穂乃果に戻っていく様子が、抱きしめた腕の中で確認できた。

 

 

どうやら、成功みたいだね

 

 

 

「・・・本当?穂乃果のこと、大事にしてくれる?」

 

「うん。大事だよ」

 

「信じてもいいの・・・?」

 

「僕は穂乃果を裏切るようなことはしたくないからね。」

 

「・・・それなら、いいよ?」

 

「・・・ありがとう」

 

「そ、その代わり―――――もっと強く、ギュッって抱きしめて?穂乃果のことが大事だっていう証拠、もっとちょうだい?」

 

「うん・・・」

 

「ん――――えへへ」

 

 

 

 

なんとか穂乃果の暴走を抑えた僕は、そのあと穂乃果を見送り、部屋に戻ってきた

 

 

 

 

徐々にエスカレートしていく穂乃果

 

 

 

ついに"血液"まで、僕に味わせてきた

 

 

 

そしてその血液は―――――僕の体の奥に、流れてしまった

 

 

本格的に、穂乃果が僕を独占しようとしていている

 

 

 

 

それを、僕はどう思っているのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甘いはずのマカロンの後味は、とても苦かった

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

穂乃果の病み具合が悪化してまいりました。
極力話の内容が重くならないように工夫したつもりですが、どうだったでしょうか。



今回は、別作品"兄と妹~ときどき妹~"との同時投稿という形をとらせていただきました。
というのも、"2パターンの穂乃果"を描いてみたということの比較をぜひしてほしかったからです。

Twitterの方で穂乃果の魅力についてのアンケートを取らせてもらったのですか、"明るくて元気なところが好き"という意見が多かったのです。

ですのでどちらの作品も、あえて"明るくて元気ではない"穂乃果を書かせていただきました。
それぞれの穂乃果に特殊な属性を付けてみました。

今作ではご存知の通り"ヤンデレ"、兄妹の方では"ツンデレ(?)"という風に。

どういう風なご意見を頂けるか、楽しみです。
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