【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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いいにくのひ記念です。

言うまでもない、希ちゃん回です。ギャグ回です。

文字数短いので、サクッと読んでもらえるかなと。


いいにくのひ記念『YAKINIKU』

 

 

「・・・・・・」

 

 

精神を集中させ、"その瞬間"をじっと待つその姿は、弓道に勤しむ海未ちゃんの如し。

ただ一瞬、"その瞬間"を待ち続ける。

"その瞬間"、それを待ち続けてから、一体どれだけの時間がかかったのだろうか。それすらもわからない。

 

ただただ、待ち続ける。

 

 

「・・・つ!!はあああああぁっ!!!」

 

一閃。"その瞬間"を見極めた私の腕が、光の速さで『それ』をつかみ、素早くステージへと移動させる。

 

 

「あのー、希・・・?」

 

 

休む暇はない。次にくる"その瞬間"に備え、再び精神を集中させる。

たとえ絵里ちが私を呼んだとしても、応えることはできない。だって、絵里ちのためでもあるんだから。

 

 

「ねぇ、希ってばっ」

「無駄ですよ絵里さん。ね、穂乃果?」

「うん。だって希ちゃんは今――」

 

 

「っ!!はああああああああっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お肉、焼いてるんだもん」

 

 

 

 

 

焼きあがった『お肉』をトングで素早くつかみ、'お皿―ステージ―'へ乗せる。

今焼きあがったお肉は2枚。あと2枚焼き終わるまで、"お肉が焼ける絶妙なタイミング"を見極める必要がある。

 

 

 

 

 

今、うちたちは焼肉屋に来ている。

みーちゃん、穂乃果ちゃん、絵里ち、うちの4人。1人一枚ずつお肉をお皿に乗せるため、うちは今、戦っている―――

 

 

「はああああああっ!!」

 

 

「の、希が、練習でも生徒会の仕事中でも見せないような真剣な表情でお肉を焼いてる・・・」

「まぁ、のんちゃんだからね」

「仕方ないよね~」

「2人はもう見慣れてるのね・・・」

 

 

何やら外野がざわざわしてるけど、なんやろうか。

まぁ、いいか。

最後の一枚――それのタイミングを見計らう。

ジュゥッと焼けゆくお肉を見つめ、ただただ待つ。

 

・・・っ!今やっ!!

 

 

「はああああああああっ!!!・・・はぁ、はぁ・・・終わった・・・」

 

 

最後の1枚をお皿に乗せ、トングを置くころには、この上ない疲労感がうちを襲ってきた。

でも、それと同時に、この上ない達成感・充実感も感じている。

 

あぁ、幸せ♡

 

 

「の、希・・・お疲れさま、です」

「のんちゃんお疲れさま~」

「希ちゃんお疲れ!」

「ありがと。さ、食べよか♪」

 

 

お肉を焼くことが幸せなら、食べることもまた、幸せ。

お肉をお箸でつかみ、塩を少しだけつけて、口に入れる。

 

 

「あはぁっ・・・おいしい♡」

 

 

口の中に広がるお肉の脂、噛むと溶けるようになくなっていくお肉。

お肉の余韻にひたりながら、ご飯を口に放り込む。

 

「んん~♡さいっこう♪」

 

口に残るお肉の脂を、ご飯が胃の中に連れていく。

お米の一粒一粒に脂がコーティングされ、喉を通り、胃へとたどり着く。

身体が、喜んでいる。

 

 

おっといけない。うちだけが楽しんでしもうた。焼肉はみんなで楽しむもんや・・・

穂乃果ちゃん達は、楽しんでるかな?

 

 

「は、ハラショー・・・!こんなに焼肉がおいしいと感じるなんて!!」

「旨いっ!お肉の旨味が逃げることなくお肉に詰まってる感じがする!こんなののんちゃんにしかできないよ!!」

「はぁぁ♡柔らかくてジューシーで、穂乃果、何杯でもご飯いけちゃいそう♡」

 

 

よかった、みんなも喜んでくれてたみたいやね。命を懸けて焼いた甲斐があったってもんや。

 

 

焼いたお肉は4枚。1人一枚ずつ。

 

 

こんなの全然、足りるわけないよ。

 

 

そろそろ次、焼かんとな。

 

 

「さぁて・・・うぐっ!?」

「希!?どうしたの!?」

「え、絵里ち・・・さっきので、うちのエネルギーもう切れてもうたわ」

「希!そんなに無理しないで!!」

「あかんよ絵里ち・・・うちが焼かな、みんなに美味しいお肉、食べさせられへんやろ?」

「いやぁっ!!トングなんて置きなさい!お肉なんていいからっ、もう休んでっ!!」

 

 

 

ふふ、絵里ちは優しいなぁ・・・

 

 

 

 

「ダメや、うちが、焼かな・・・いと・・・」

「え・・・そんな、希!希ってばぁっ!」

「ごめんな絵里ち、もう・・・限界や・・・」

「だめぇっ!目を閉じちゃいや・・・のぞみいいいいいいいいいいいっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ、お肉焼いちゃおうよみーくん!」

「うん!のんちゃんも、もうそろそろいいよね?」

「うん、ええよ~♪うちはもう満足や♡」

 

「え!?えぇっ!?」

 

 

いつものお決まりパターンも終わったから、そろそろ本格的に食べていこか♪

 

今回は絵里ちに付き合ってもらったけど、前に来たときは、海未ちゃんとことりちゃんに付き合ってもらった。そんときはひどかったなぁ。海未ちゃんが救急車呼ぼうとしてたし、ことりちゃんは穂乃果ちゃんにくっついて泣き叫んでたし。

そう考えれば今回の絵里ちはさすがやったな。すごく冷静やったわ。

 

 

本当はもうちょっとだけ楽しんでいたかったけど、もう潮時や。

なんせ、今回は―――

 

 

「みーちゃん!穂乃果ちゃん!絵里ち!さぁどんどん食べるで~!」

「うん!時間なくなっちゃうもんね!」

「よーし!おなか一杯食べちゃうぞ~!!」

 

 

 

 

 

食べ放題の100分コースやからね!!!

はよせんと、食べる時間なくなってしまうわ!

 

 

「ほら絵里ちも!はよ食べんと時間きちゃうよ?」

「絵里さん!食べたいのあったら焼きましょうか!?」

「どんどん食べないと、穂乃果が全部食べちゃうよ~?」

「ちょっ、え、えぇっ!?」

 

 

みんなでワイワイしながら、同じものをみんなで頬張って、みんなが笑顔になれる―――

 

 

 

 

やっぱり、焼肉って最高やん♡

うち、やっぱり焼肉だ~いすき♡

 

 

 

 

 

「ちょっと~!!さっきのが何なのか説明しなさいよ希ぃっ!!!」

 

 

 




つい先日、職場の同期と焼肉に行ってきました。
やっぱり久しぶりに食べる焼肉はこの上なくおいしいですね。

今日が「いいにくのひ」というのをすっかり忘れてたので、今日中に書き上げられるかが不安でしたが、食べに行ったこともあって、割とすらすら書けました。

自分の中での勝手なイメージですが、希ちゃんは焼肉奉行だというイメージがあるので、今回はそういう希ちゃんを書いてみました。


ご飯を食べてるであろう時間帯にこういうお話。どうでしょうか?



この話で、希ちゃんの一人称が『私』から『うち』に代わっている部分があるかと思いますが、それは希ちゃんの心理状況で変えてるだけです。

け、決して書き間違えたとか、そんなんじゃないんですから!
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