【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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今回は希ちゃん視点でのお話です。
これまでの希ちゃんがどういう風に行動したのか、どんなことを思っていたのか。
そういうことが中心となったお話です。

希ちゃん視点でのお話が、あと2つ、3つほど続くかと思います。


5話 少女の想い 再開

 

入学式も終わり、いよいよ新入生歓迎会の時期がやってきた。

とは言っても、私には何の関係もない。

 

なぜなら、私は副会長として、絵里ちの横で仕事をしているから。

生徒会は部活じゃない。だから新入生が入学しても、生徒会にはさほど影響はない。

 

 

 

「廃校」なんていうことになりさえしなければ。

 

 

 

正確には、「廃校」になるかもしれない、ということだったが。

絵里ちはこの問題に立ち向かうことを私に告げてきた。

 

「絵里ちがそう決めたなら、うちが手伝ったる」

 

絵里ちは親友。それ以外に理由なんていらない。

 

 

ある日、穂乃果ちゃんたちが廃校を阻止するために活動を始めた。スクールアイドルを始めるらしい。

 

毎日神田明神にしては、長い階段を何回も何回も駆け上がり、発声の練習やダンスの練習を一生懸命にこなしていた。

 

これをみたら、絵里ちはどう思うのだろう。

方法は違えど、同じ目的を持つもの同士、ではあるが。

 

ダンス。絵里ちには辛い過去がある。

優しい彼女はきっと、自分と同じ辛さを味わって欲しくない、そう思うだろう。

だけど不器用な彼女は、伝え方を知らない。

 

だったら、私の出番かな。

 

 

 

穂乃果ちゃんたちが講堂を使いたいと言ってきた。

…絵里ちに言うたら間違いなく断られるやろうなぁ。

そう思ったのと、絵里ちが素直に伝えられるチャンスかもしれない、そう思って。

 

「ええよ〜。うちが講堂の使用許可とっておくから、穂乃果ちゃんたちは練習しとき〜。」

 

絵里ちに許可を取らず、承認した。

 

 

ライブ当日。

練習をちょこちょこ見に来ていた西木野さんが、講堂の角のところでこそこそとしていた。

まったく、素直やないなぁ。

 

「何してるん?」

「ひゃぁ!?ちょっ、ビックリさせないでよっ!」

 

たまたま通りかかっただけだ、と言う素直じゃない子を、無理矢理講堂の中に入れようとする。

 

手を引っ張って、ドアを開け。

 

ふと中の客席を見ると、男子用制服を着た子が1人。

 

 

「みーちゃん…?」

 

 

思わず声が漏れる。

彼がいるとは思っていなかった。

 

いや、来るはずない、とまで思っていた。

しかし彼は目線の先にいる。

躍る3人の姿に見とれていて、人が入ってきたことにすら気づいてないみたいだが。

 

思わず、ドアの外に出てしまった。

予想外だったから?焦ったから?

…違う。

 

彼と話すのが怖い、そう思ってしまった。

正確には、『彼にどういうふうな態度で接せられるのかを知るのが怖い』そう思った。

 

 

あることがきっかけで、記憶をなくしてしまった彼に、よそよそしい態度で接せられる。

それがどれだけ苦しいことか。

 

 

「どうしたの希、こんなところで?」

「あっ、絵里ち・・・」

 

生徒会長様のお出ましである。

いつもなら生徒会室にいる時間。

何も連絡なしに私は欠席しない。だから心配して、絵里ちは探してくれていたのだろう。

 

しかし、これは予定通り。

ここで絵里ちに見つけてもらうことで、ライブが行われていることを知ってもらい、絵里ちの口から、絵里ちの素直な気持ちをぶつけてもらう。そうさせるためにここに絵里ちが来るよう仕組んだ。

 

絵里ちは不器用な性格からか、『怖い人』と思われていることが多い。

絵里ちが素直に思っていることを伝えられれば、少なくともあの子たちには誤解を解いてもらえる。

そう思っていた。

 

 

 

・・・結果から言えば、大失敗だった。

素直になるどころか、暴言吐きまくりで、なおのこと悪い印象を与えてしまったようだ。

穂乃果ちゃんたちは涙目で絵里ちを悔しそうに見つめている。

 

私のやっていたことは間違いだったのかな。

絵里ちのためにやったこと。穂乃果ちゃんたちのために、講堂の使用を許可したこと。

役立たずな自分が情けなくて、今にも涙が出そうだ。

 

 

 

「・・・おい、そこの金髪女」

 

 

 

そう言い放ったのは、この講堂内唯一の男子、みーちゃんだった。

 

 

溜まっていたものを一気に吐き出すかのように、荒々しい言葉で絵里ちに思いのたけをぶつける。

この学校で、絵里ちにあそこまで言える人間はいないんじゃないだろうか。

 

私にもできない、絵里ちを叱る、ということ。

 

間違ったことを言っている絵里ちを正してあげるということ。

 

 

やっぱり、記憶がなくったって、みーちゃんはみーちゃんだった。

だめなことはだめ、そういって正しい方向へ導いてくれる。

ただ、こんなに言葉は汚くはなかったが。

それでも、ちゃんと伝わっている。

 

 

「・・・そう。なら勝手にしなさい。」

 

悲しそうな表情で階段を上がってくる絵里ち。

自分の言ったことを悔いているのだろう、辛そうな表情。

うつむいたまま、私の横を通り過ぎるとき

 

「ごめんね、希。」

 

そう言って去っていった。

私の目論みは、ばれていたということなのだろうか。

 

 

講堂に残るのは、ライブを行った3人と1年生2人、座席に隠れているにこっち。

横にいる西木野さん。

そして、みーちゃん。

 

絵里ちのあの発言を聞いて、若干ためらっていたもう一つの目論み。

みーちゃんがいたことは想定外だったが、みーちゃんがいたからこそ、もう一つの目論みが行動に移せるのだから。

 

 

 

 

「そこの1年生お二人さんと、真姫ちゃんににこっち、この4人をμ'sに入れてくれへんかな、穂乃果ちゃん?」

 

 

 

 

快く受け入れてくれた穂乃果ちゃんたちは、神田明神で朝練を始めるらしい。

どうやら、みーちゃんも参加するらしい。

 

記憶を失えど、みーちゃんであることに変わりはない。

 

 

たとえ前みたいに「のんちゃん」と呼んでくれなかったとしても。

 

 

記憶を失ったのなら、また新しい思い出を作っていければいい。

でも、そのためには交流の場が必要だ。

 

いつもより早起きそして神田明神に向かい、巫女服に着替える。

そういえば、みーちゃんに巫女服姿を見てもらうのってはじめてな気がする。

ちょっと緊張しちゃうな。

 

 

μ'sのみんなを発見したので、こっそりと様子をうかがう。

どうやら自己紹介をしているようで、次はちょうどみーちゃんの番のようだ。

 

 

「2年の白河瑞希といいます。穂乃果たちと同じクラスです。趣味は・・・料理です。」

 

 

料理、そう言うまでに若干の時間があった。

顔を見ると、とても不安そうに、何かを警戒していた。

・・・まさか、わずかながらに記憶が残っている?

だとしたら・・・

 

 

 

「女の子みたいでかわいいね♪」

 

 

そう言われたとき、明らかにみーちゃんの表情が暗くなった。

間違いない、わずかに記憶が残っている。

となると今のことりちゃんの発言は、みーちゃんの傷をえぐることになってしまう。

みるみる暗くなるみーちゃんの表情。

 

もうやめてあげて。

 

みーちゃんの過去を知る者なんて、私以外にいない。

 

彼女らは純粋に素直な気持ちをぶつけているはず。

しかしそれが彼にとってはもっともつらいはず。

 

みーちゃんの辛そうな顔なんて見なくない。

落ち込んでいく私の心、そして悔しそうにしているみーちゃん。

 

耐えられなかった。

 

 

 

「君たち、相手は立派な男の子やで?それはいくら何でも失礼なんとちゃう?」

 

 

 

少しでもいい、みーちゃんが明るくなってくれるなら。

たとえ無駄に面倒な先生のように扱われようとも。

 

 

 

 

「あ、ありがとうございます、副会長さん。」

 

 

みーちゃんからのお礼の言葉は、ひどくよそよそしかった。

悲しくて、つらくて、『副会長』だなんて呼ばれたくなくて。

 

 

「・・・うちの名前、東條希っていうんや。副会長って呼び方はやめてくれへん?」

 

 

「あ、すいません・・・じゃあ、ありがとうございました、東條先輩」

 

 

・・・違う、そうじゃないよ、みーちゃん。

明るくなっていくみーちゃん。

暗く沈んでいく私の心。

少しでも記憶が残っているのなら、私の名前で何かを思い出すかもしれない。

そんな考えは甘かったようだ。

 

 

みんなが学校へ向かっていく。

穂乃果ちゃんがみーちゃんの手を引っ張っていく。

羨ましい。私が穂乃果ちゃんだったら、あんなふうにできたのかな。

 

昔だったら、私もああいうことをしていたのに。

今の私には、それは無理。勇気が足りない。

 

「うっ・・・うぅ・・・」

 

堪えていたものが涙となってあふれ出す。

記憶を失った。それはわかっているつもり。

でも、認めたくない。

 

 

「みーちゃん、私のこと、覚えてくれてないんだね。」

 

 

 

 

「私は、一日たりとも忘れたことなんて、なかったのに。」

 

 

あふれる様々な感情を涙に変えつつ、一人、みーちゃんのことを想った。




希ちゃん視点のお話です。
なかなか文にするのが難しかったです。伝われば良いな。

プロローグ、1話での希ちゃんの心境を今回で書きましたが、
あと2つ,3つ話があります。
それが終わったら、また主人公視点で、という風に考えています。


少しずつ、この作品を読んでもらえるようになって、評価や感想ももらえるようになってきて、すごく嬉しいです。
ラブライブが好きだという気持ち、少しでも伝わってくれると幸いです。


最近寒くなってきましたね~
急に気温が低くなってきてますが、体調大丈夫ですか?
きつかったらすぐに休んでください、僕のようになっちゃいますよ(風邪)

寒い時期と言ったら、僕の中じゃ『鍋』。これです。

今日、昨日と1人鍋やってます。いいものですね、1人鍋も。
しめはおじや。これもまたいい。
やはり、鍋は最高です。

おいボッチとか言ったやつ、あなたは最低ですパンチくらわすぞ。
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