これまでの希ちゃんがどういう風に行動したのか、どんなことを思っていたのか。
そういうことが中心となったお話です。
希ちゃん視点でのお話が、あと2つ、3つほど続くかと思います。
春
入学式も終わり、いよいよ新入生歓迎会の時期がやってきた。
とは言っても、私には何の関係もない。
なぜなら、私は副会長として、絵里ちの横で仕事をしているから。
生徒会は部活じゃない。だから新入生が入学しても、生徒会にはさほど影響はない。
「廃校」なんていうことになりさえしなければ。
正確には、「廃校」になるかもしれない、ということだったが。
絵里ちはこの問題に立ち向かうことを私に告げてきた。
「絵里ちがそう決めたなら、うちが手伝ったる」
絵里ちは親友。それ以外に理由なんていらない。
ある日、穂乃果ちゃんたちが廃校を阻止するために活動を始めた。スクールアイドルを始めるらしい。
毎日神田明神にしては、長い階段を何回も何回も駆け上がり、発声の練習やダンスの練習を一生懸命にこなしていた。
これをみたら、絵里ちはどう思うのだろう。
方法は違えど、同じ目的を持つもの同士、ではあるが。
ダンス。絵里ちには辛い過去がある。
優しい彼女はきっと、自分と同じ辛さを味わって欲しくない、そう思うだろう。
だけど不器用な彼女は、伝え方を知らない。
だったら、私の出番かな。
穂乃果ちゃんたちが講堂を使いたいと言ってきた。
…絵里ちに言うたら間違いなく断られるやろうなぁ。
そう思ったのと、絵里ちが素直に伝えられるチャンスかもしれない、そう思って。
「ええよ〜。うちが講堂の使用許可とっておくから、穂乃果ちゃんたちは練習しとき〜。」
絵里ちに許可を取らず、承認した。
ライブ当日。
練習をちょこちょこ見に来ていた西木野さんが、講堂の角のところでこそこそとしていた。
まったく、素直やないなぁ。
「何してるん?」
「ひゃぁ!?ちょっ、ビックリさせないでよっ!」
たまたま通りかかっただけだ、と言う素直じゃない子を、無理矢理講堂の中に入れようとする。
手を引っ張って、ドアを開け。
ふと中の客席を見ると、男子用制服を着た子が1人。
「みーちゃん…?」
思わず声が漏れる。
彼がいるとは思っていなかった。
いや、来るはずない、とまで思っていた。
しかし彼は目線の先にいる。
躍る3人の姿に見とれていて、人が入ってきたことにすら気づいてないみたいだが。
思わず、ドアの外に出てしまった。
予想外だったから?焦ったから?
…違う。
彼と話すのが怖い、そう思ってしまった。
正確には、『彼にどういうふうな態度で接せられるのかを知るのが怖い』そう思った。
あることがきっかけで、記憶をなくしてしまった彼に、よそよそしい態度で接せられる。
それがどれだけ苦しいことか。
「どうしたの希、こんなところで?」
「あっ、絵里ち・・・」
生徒会長様のお出ましである。
いつもなら生徒会室にいる時間。
何も連絡なしに私は欠席しない。だから心配して、絵里ちは探してくれていたのだろう。
しかし、これは予定通り。
ここで絵里ちに見つけてもらうことで、ライブが行われていることを知ってもらい、絵里ちの口から、絵里ちの素直な気持ちをぶつけてもらう。そうさせるためにここに絵里ちが来るよう仕組んだ。
絵里ちは不器用な性格からか、『怖い人』と思われていることが多い。
絵里ちが素直に思っていることを伝えられれば、少なくともあの子たちには誤解を解いてもらえる。
そう思っていた。
・・・結果から言えば、大失敗だった。
素直になるどころか、暴言吐きまくりで、なおのこと悪い印象を与えてしまったようだ。
穂乃果ちゃんたちは涙目で絵里ちを悔しそうに見つめている。
私のやっていたことは間違いだったのかな。
絵里ちのためにやったこと。穂乃果ちゃんたちのために、講堂の使用を許可したこと。
役立たずな自分が情けなくて、今にも涙が出そうだ。
「・・・おい、そこの金髪女」
そう言い放ったのは、この講堂内唯一の男子、みーちゃんだった。
溜まっていたものを一気に吐き出すかのように、荒々しい言葉で絵里ちに思いのたけをぶつける。
この学校で、絵里ちにあそこまで言える人間はいないんじゃないだろうか。
私にもできない、絵里ちを叱る、ということ。
間違ったことを言っている絵里ちを正してあげるということ。
やっぱり、記憶がなくったって、みーちゃんはみーちゃんだった。
だめなことはだめ、そういって正しい方向へ導いてくれる。
ただ、こんなに言葉は汚くはなかったが。
それでも、ちゃんと伝わっている。
「・・・そう。なら勝手にしなさい。」
悲しそうな表情で階段を上がってくる絵里ち。
自分の言ったことを悔いているのだろう、辛そうな表情。
うつむいたまま、私の横を通り過ぎるとき
「ごめんね、希。」
そう言って去っていった。
私の目論みは、ばれていたということなのだろうか。
講堂に残るのは、ライブを行った3人と1年生2人、座席に隠れているにこっち。
横にいる西木野さん。
そして、みーちゃん。
絵里ちのあの発言を聞いて、若干ためらっていたもう一つの目論み。
みーちゃんがいたことは想定外だったが、みーちゃんがいたからこそ、もう一つの目論みが行動に移せるのだから。
「そこの1年生お二人さんと、真姫ちゃんににこっち、この4人をμ'sに入れてくれへんかな、穂乃果ちゃん?」
快く受け入れてくれた穂乃果ちゃんたちは、神田明神で朝練を始めるらしい。
どうやら、みーちゃんも参加するらしい。
記憶を失えど、みーちゃんであることに変わりはない。
たとえ前みたいに「のんちゃん」と呼んでくれなかったとしても。
記憶を失ったのなら、また新しい思い出を作っていければいい。
でも、そのためには交流の場が必要だ。
いつもより早起きそして神田明神に向かい、巫女服に着替える。
そういえば、みーちゃんに巫女服姿を見てもらうのってはじめてな気がする。
ちょっと緊張しちゃうな。
μ'sのみんなを発見したので、こっそりと様子をうかがう。
どうやら自己紹介をしているようで、次はちょうどみーちゃんの番のようだ。
「2年の白河瑞希といいます。穂乃果たちと同じクラスです。趣味は・・・料理です。」
料理、そう言うまでに若干の時間があった。
顔を見ると、とても不安そうに、何かを警戒していた。
・・・まさか、わずかながらに記憶が残っている?
だとしたら・・・
「女の子みたいでかわいいね♪」
そう言われたとき、明らかにみーちゃんの表情が暗くなった。
間違いない、わずかに記憶が残っている。
となると今のことりちゃんの発言は、みーちゃんの傷をえぐることになってしまう。
みるみる暗くなるみーちゃんの表情。
もうやめてあげて。
みーちゃんの過去を知る者なんて、私以外にいない。
彼女らは純粋に素直な気持ちをぶつけているはず。
しかしそれが彼にとってはもっともつらいはず。
みーちゃんの辛そうな顔なんて見なくない。
落ち込んでいく私の心、そして悔しそうにしているみーちゃん。
耐えられなかった。
「君たち、相手は立派な男の子やで?それはいくら何でも失礼なんとちゃう?」
少しでもいい、みーちゃんが明るくなってくれるなら。
たとえ無駄に面倒な先生のように扱われようとも。
「あ、ありがとうございます、副会長さん。」
みーちゃんからのお礼の言葉は、ひどくよそよそしかった。
悲しくて、つらくて、『副会長』だなんて呼ばれたくなくて。
「・・・うちの名前、東條希っていうんや。副会長って呼び方はやめてくれへん?」
「あ、すいません・・・じゃあ、ありがとうございました、東條先輩」
・・・違う、そうじゃないよ、みーちゃん。
明るくなっていくみーちゃん。
暗く沈んでいく私の心。
少しでも記憶が残っているのなら、私の名前で何かを思い出すかもしれない。
そんな考えは甘かったようだ。
みんなが学校へ向かっていく。
穂乃果ちゃんがみーちゃんの手を引っ張っていく。
羨ましい。私が穂乃果ちゃんだったら、あんなふうにできたのかな。
昔だったら、私もああいうことをしていたのに。
今の私には、それは無理。勇気が足りない。
「うっ・・・うぅ・・・」
堪えていたものが涙となってあふれ出す。
記憶を失った。それはわかっているつもり。
でも、認めたくない。
「みーちゃん、私のこと、覚えてくれてないんだね。」
「私は、一日たりとも忘れたことなんて、なかったのに。」
あふれる様々な感情を涙に変えつつ、一人、みーちゃんのことを想った。
希ちゃん視点のお話です。
なかなか文にするのが難しかったです。伝われば良いな。
プロローグ、1話での希ちゃんの心境を今回で書きましたが、
あと2つ,3つ話があります。
それが終わったら、また主人公視点で、という風に考えています。
少しずつ、この作品を読んでもらえるようになって、評価や感想ももらえるようになってきて、すごく嬉しいです。
ラブライブが好きだという気持ち、少しでも伝わってくれると幸いです。
最近寒くなってきましたね~
急に気温が低くなってきてますが、体調大丈夫ですか?
きつかったらすぐに休んでください、僕のようになっちゃいますよ(風邪)
寒い時期と言ったら、僕の中じゃ『鍋』。これです。
今日、昨日と1人鍋やってます。いいものですね、1人鍋も。
しめはおじや。これもまたいい。
やはり、鍋は最高です。
おいボッチとか言ったやつ、あなたは最低ですパンチくらわすぞ。