【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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前の更新から少し経ってしまいました。

希ちゃん視点は今回で終わりの予定です。


嫉妬、と言ってはいますが、ドロドロ系ではないのでご安心を。


6話 少女の想い 嫉妬

その日の放課後

 

 

いつものように、私と絵里ちは生徒会室で仕事をしている。

…フリをして、昨日のことを話していた。

 

「はぁ…」

「まぁまぁ、そう落ち込まんほうがええよ?」

「あんなひどい事言っといて、落ち込むなって方が無理よ。」

「まぁそうかもしれへんけど、そんなに落ち込んでたら、運気逃げちゃうよ?」

「運気ねぇ。はぁ…」

 

さっきからずっとこんな感じである。

相当気にしているようだ。

それもそのはず。絵里ちが一番嫌いな『人の努力をバカにする』ということを、自分がやってしまったのだから。

 

コンコン。

ドアをノックする音が聞こえる。

 

「どうぞ。」

 

言葉とは裏腹に、近付くな、と言わんばかりの刺のある声。

 

「失礼するわ。」

 

入ってきたのはにこっちたち。

 

にこっちたちをみた絵里ちの目が険しくなった。

それをみてか、入ってきた子達全員が緊張しているように見える。

 

 

「入部届け、出しに来たわ。」

 

 

入部届けを絵里ちに手渡す。

来ているメンバーはみんな入部するようだ。

ペラペラと入部届けを見る絵里ちの手が止まった。

 

みーちゃんの入部届け。

それを見て、一瞬だけ見せる複雑な表情。

 

 

「…そう。わかったわ。」

 

 

あっさりとした一言。

それを聞いたみんなが安心した表情。

それを聞いたにこっちが、部屋を出るよう促し、メンバーたちが部屋から出ていく。

ただ1人

 

 

「みんな、先に戻ってて。俺はあとで戻るから。」

 

 

みーちゃんを除いて。

 

 

記憶は失えど、根本的な性格までは変化しないらしい。

だって、わざわざ一人だけ残った、ということは

 

 

「先日の件、申し訳ありませんでした。」

 

 

みんなに知られないような形でこっそり詫びる。

あのころから変わらない。

裏でこっそりとやっておくというのがかっこよくて良い、と言っていたような気がする。

・・・ばれたとき照れくさくなるからってだけなんだろうけど。

 

 

謝られてきたことに申し訳なさを感じたのか、絵里ちはその謝罪を否定した上で、自らもみーちゃんに詫びていた。

 

 

頭を下げて謝る絵里ちを見たみーちゃんの表情は柔らかくなっていた。

どうやらみーちゃんには、誤解を解けたらしい。

 

 

 

 

ライブが絵里ちの許可なしに行われたものだったということを、絵里ち本人から聞いて、そこから少しずつ、口数が増えた絵里ち。

自分から自分の素直な気持ちを、みーちゃんに伝える。

 

ある程度話終わったあと、みーちゃんはこう言った。

 

 

「ならそれを素直に伝えればいいじゃないですか。」

 

 

そう、それだけのこと。

 

でも、それだけのことを出来ないのが絵里ち。

 

私だってそうさせようとあれこれ考えた。でも無理だった。

 

こういうときは誰かが引っ張ってあげないといけないのだが

私やみーちゃんではそれはできない。

 

 

「それに、あんなひどい事言っといて、今更言い訳がましいこと言ったって、許してもらえるわけもないわ」

 

 

 

 

「そんな訳ありません!むしろそう思っててもらえて嬉しいです!」

 

 

 

 

・・・穂乃果ちゃんも、昔から変わらないなぁ。

穂乃果ちゃんみたいに、はっきりと、迷うことなく行動するその姿。

それをみるたび明るくなる、勇気をもらえる。

 

 

そしてそれは絵里ちも同じようで。

 

 

 

「ふふっ…まぁいいわ。」

 

 

 

申し訳なさそうにしていろ穂乃果ちゃんをみて、絵里ちが笑った。

みんなも驚いていたが、正直私も驚いた。

 

 

がっかりしている絵里ち、怒っている絵里ち、余裕がなさそうに慌てる絵里ち。

いろんな絵里ちを見てきたけれど、笑っている絵里ちは久しぶりに見るかもしれない。

やっぱり、穂乃果ちゃんはすごい。素直にそう思う。

 

ほんの少しの間ではあるものの、絵里ちが少しずつ変わり始めていた。

 

 

みーちゃんが謝ってきたとき、素直に絵里ちも自分の非を詫びることができた。

穂乃果ちゃんが来たとき、絵里ちが笑うことができた。

 

 

・・・ふふっ、ほんとに昔から変わらないなぁ。

自然と笑ってしまう。

 

思えば、私も最近、あまり笑えてなかったかもしれない。

 

 

会話の最中、絵里ちが急に言い出した。

 

 

 

「でも、許してもらうだけじゃ私の気が済まないわ。そこでなんだけど・・・」

 

 

「私に、あなたたちの練習、見させてもらえないかしら?」

 

 

 

みんなは唖然。私も唖然。

 

 

でも

 

これはチャンス。

 

 

「絵里ち、昔バレエを習ってたんよ。だから、ダンスに関しては学べる事多いと思うで?」

 

 

慌てて考えて、絵里ちに続ける。

事実、絵里ちはバレエを習っていた。

ダンスに関しては、絵里ち以外に適任はいないだろう。

 

それに

 

穂乃果ちゃんと、みーちゃんと、みんなと関わることで、絵里ちがいい方向に変わってくれるかもしれない。

 

 

そして

 

 

 

いつも絵里ちと一緒にいるからというのを理由に絵里ちのそばにいれば、みーちゃんとも一緒にいられる時間が増えるかもしれない。

 

 

 

そう、思ったから。

 

そう思うと、そういうのを言い訳にしてじゃないとみーちゃんと一緒にいられないことを寂しく思う。

 

そして、情けなく思う。

 

そして

 

 

 

 

みーちゃんの記憶がなくなったりしなければ、こんなつらい思いなんてしなかったのに。

 

 

 

遠慮がちではあったが、絵里ちに押されて、海未ちゃんも折れたようで。

明日の放課後から練習につく、という形になった。

 

 

みんなが出ていくなか、みーちゃんが残り、絵里ちと話していた。

 

 

「会長、明日からよろしくお願いします。」

 

「ええ。・・・白河君、ありがとう。おかげで彼女たちに謝ることができたわ。」

 

 

絵里ちも、感謝の気持ちを伝えていた。

 

 

そんな2人をみて、微笑ましく思った。

 

 

それと同時に

 

 

絵里ちが、羨ましかった。

 

話す機会を作っても、一緒にいても

 

ちゃんとした会話、というのをしたのは数える程度。

 

 

 

それに比べて絵里ちは。

 

 

親友に対してそんな風に思ってしまう自分が醜く感じる。

 

 

でも、それでもいい。

 

ゆっくりでいい、話す機会が増やせれば。

 

少しでもいい、会話ができれば。

 

 

そしてあわよくば、記憶を取り戻せたなら。

 

 

 

「またね、みーちゃん。」

 

 

 

そんな想いを乗せて、別れを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1時間ほど。

生徒会の仕事がある程度終わった。

 

「ん~、終わったわね~」

「せやね~。絵里ち、お疲れさん」

「ん、希もね」

 

思ったよりもペースが速く進み、予定よりも早く終わってしまった。

帰るには、まだ早い。

 

 

「まだ帰るには早いし、あの子たちの練習、見に行ってみようかしら。」

 

絵里ちがそんなことを言い出した。

 

「なんや絵里ち、あの子たちのこと、そんなに気になるん?」

「・・・そんなんじゃないわよ。」

「ふふっ、素直やないなあ・・・楽しみにしてるの、うちはわかってるんやで?」

「もうっ分かってるのなら言わないでよ・・・」

 

嬉しそうな顔をして仕事されたら、誰だって気づくと思うんやけどなぁ・・・

 

「まぁいいわ。さ、行ってみましょう、希。」

 

 

そう言って立ち上がり、ドアへ向かう絵里ち。

さて、私も行こうかな。

そう思って、立ち上がりドアを開ける絵里ちの後を追う。

 

 

 

「白河君!?」

 

 

突然の絵里ちの大きな声。

慌てて走っていく絵里ち。

 

「どしたん絵里ち!?」

 

私も慌てて絵里ちの後を追う。

 

すると、そこには

 

 

みーちゃんが、地面に横たわっていた。

 

 

 

 

 

 

「あっ!みーくんが起きたよ!」

 

 

穂乃果ちゃんの声で気を取り戻す。

 

 

 

みーちゃんが倒れているのを見て頭が真っ白に。

絵里ちが何かを言っているのはわかっていたが理解ができず。

とりあえず保健室のベッドに寝かせ、絵里ちが穂乃果ちゃんたちを呼びに行った。

 

私は気が動転して、何もできなかった。

 

 

気づけば周りには、μ'sのメンバーが不安そうな顔をしてみーちゃんを見ていた。

 

 

「あれ…穂乃果…」

 

目覚めたみーちゃんに駆け寄るみんな。

よかった・・・目が覚めたんだ・・・

 

 

「白河くん大丈夫?無理せずにね?」

「いやぁ、慣れない早起きだったので、体に限界が来たのかもしれませんね。今日は早く帰って寝ようなんて思ってたのに、誰かさんに半ば無理やりに、練習に来るよう言われてしまったので。」

「うっ…」

 

 

冗談交じりに絵里ちたちと話しているみーちゃん。

・・・楽しそうだなぁ。みーちゃん。

 

「すいません瑞希さん…穂乃果だけのせいではないんです。」

「うん…ことりたちもみっくんに来て欲しいなぁって思ってから…」

「あはは、今のは冗談だよ。むしろ来て欲しいって思ってくれてたのがすごく嬉しい。」

「で、でも、無理してまで来てもらうなんて…」

「無理なんてしてないから大丈夫だよ、小泉さん」

「だからって、倒れてもらったんじゃ練習に集中できないじゃない。」

「…西木野さんも心配してくれてるの?」

「ヴェェ!?そ、そんなわけないじゃないっ!調子に乗らないでっ」

 

 

 

他のみんなとも話す。

それも楽しそうに。

 

 

私だって心配してた。

 

私だって話したい。

 

私だって同じ空間にいる。

 

 

 

 

私だって、一緒にいたいのに。

 

 

 

 

 

不安、期待、悲しみ、寂しさ、怒り。

 

 

 

 

 

記憶を失って、私のことも忘れられた。

 

それでも、どうにか思い出してほしくて。

 

前みたいに、楽しくお話ししたくて。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、今はそれは叶わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、下校してから1時間くらいだろうか。

 

下校するとき交換した、みーちゃんの連絡先を見つめる。

 

 

メッセージ送ったら、返信してくれるのだろうか・・・

 

そんなことが頭をよぎる。

 

 

「だめっ・・・みーちゃんは体調悪いんやから・・・」

 

 

体調が悪いと知っていながらそんなことをしてしまったら。

おそらくは、良くは思われないだろう。

 

何でもいい、話したい。会いたい、触れ合いたい。

・・・寂しい。

 

「うぅっ・・・みーちゃん・・・っ・・・」

 

気づけば泣いていた。

いつものように。

 

いつからこんなに泣き虫になったんだろう。

 

 

 

 

 

 

泣き止んで、少し経って。

身体は、ある場所へと向かっていた。

 

 

 

遠い昔、また会おうと約束した

 

みーちゃんとの、思い出の場所へ。

 




2日おきくらいに投稿できるだろう、そう思っていたころもありました。

4日ぶりでしょうか。まだこの物語を書き始めてから1週間ちょっとといったところなのに
なかなか書き進められませんでした。
こういうまじめな話は書きづらいですね。反省です。


先日、ラブライブの映画を見納め(仮)してきました。

毎週のように通っていたラブライブも、もうそろそろ上映終了と言ったところで。
やだなぁ、怖いなぁ。


サンシャインのCDも発売されましたね!
僕も予約購入してるはずなのですが、まだ届きません。
いつになるんですかねぇ・・・

twitter等で結構話題になっていますが、まったくついていけません。
センター投票もあっているようですが、投票できるほどの知識もないです。

はよCD届けーっ!

何やらμ'sとのつながりもあるらしいじゃないですか。
これは楽しみ。


見た目だけなら、ルビィちゃん推しです。

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