【完結】―僕と2人の幼馴染の遠い記憶―   作:kielly

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この物語の大切な部分となるであろう話です。

しかしながら、すいません。

今回でこういうシリアスな話は終わる予定だったんですが、無理でした。


ちゅんちゅんに免じて許してね(✳︎・8・✳︎)





7話 少年の記憶、二人の再開

瑞希side

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

家から全力で走って向かった先は、とあるマンションの一部屋。

 

引っ越しさえしていなければ、ここでよかったはず。

 

 

ピンポーン

 

 

静かな中に聞こえるベルの音。

 

 

 

 

反応がない。

 

 

ドアに耳を近付け、中の音を確認するが、全くと言っていいほど物音がしない。

 

…寝ているのかな?

もう一回鳴らしてみる。

 

ピンポーン…

 

先ほどと変わりなし。

 

 

考えられるのは、寝ている、不在、居留守。

 

ドアを鳴らしても来てくれないのなら。

 

 

ケータイを取り出して、メッセージアプリを開く。

 

『東條先輩』

 

そう登録してある彼女のアイコンをタップし、メッセージを打つ。

返してくれるかは分からない。返してくれたとしても、会ってくれるかは分からない。

 

でも

 

今すぐに伝えたい。

 

文章じゃダメなんだ。電話じゃダメなんだ。

 

このことはきちんと、直接会って、直接言いたい。

 

 

 

だって

 

 

忘れていたのだから。

 

 

 

 

 

彼女のことも、学校でのことも。

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分のことも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希side

 

 

 

 

 

 

10分ほど歩いたところにある小さな公園。

 

他人から見れば、なんの変哲もないただの公園。

 

でも、私にとっては、とっても大切な思い出のある場所。

 

 

 

 

今では、その思い出は私だけのものとなってしまったが。

 

 

 

いつもベンチに座り、いろんなことを考える。

 

 

 

みーちゃんと遊んだこと

 

 

みーちゃんと小さなことで喧嘩したこと。

 

 

みーちゃんと、穂乃果ちゃんの家の店に行って、和菓子を食べたこと。

 

 

 

みーちゃんと、約束したこと。

 

 

 

みーちゃんと、お別れしたこと。

 

 

 

 

 

いろんなことを思い出しては、また、涙を流す。いつものこと。

 

 

だが、今日は少し違った。

 

 

 

ヴヴヴ…ヴヴヴ…

 

 

 

静かな空間に鳴り響くバイブ音。

 

 

絵里ちかな?

 

 

そう思い、ケータイを取り出して確認。

 

 

 

 

 

『from:みーちゃん』

 

 

 

 

 

「え…みーちゃん…?」

 

 

予想外からのメッセージ。

涙を流す元凶からの。

でも、とても嬉しくて。

 

 

慌ててアプリを開き、メッセージを確認する。

 

 

 

『こんばんわ。

 

遅い時間にすいません。

 

いきなりなんですが、今から会えませんか?

 

どうしても会ってお話ししたいことがあるんです。』

 

 

 

 

会ってほしい。

話したいことがある。

 

 

 

それがどういう内容かは分からない。

もしかしたら、会うことでまた辛くなるかもしれない。

 

 

だから

 

 

 

 

 

 

『あの場所で、待ってます。』

 

 

 

 

 

 

記憶を失った彼には通じないであろう言い方で、場所を伝える。

 

 

もしかしたら、何かしらの記憶を取り戻したのかもしれない。

 

 

そんな、僅かな期待を込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希side

 

 

 

 

 

 

ピコン…

 

メッセージアプリの通知音。

 

メッセージを送ってから30秒で帰ってきたその内容は

 

普通の人には全く通じないだろうと言える簡潔なもの。

 

 

でも

 

 

記憶を取り戻した今ならわかる。

 

 

 

 

「待ってて…のんちゃん」

 

 

 

 

 

再び、走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希side

 

 

 

 

 

メッセージを打ち終え、ケータイをポケットにしまう。

 

 

「みーちゃん…」

 

 

ふと呟く彼の名前。

最近はずっとこんな感じだ。

 

彼の名前を呟いては、心が冷たく冷え切る。

まだ季節は春。

昼間は暖かくとも、夜はひんやりとしている。

心だけでなく、身体までもが冷え切ってしまう。

 

 

ここにきてどれくらいの時間が経ったのだろうか。

 

5分…20分…いや、1時間はゆうに超えているのかもしれない。

時間の感覚がなくなる。

 

ケータイを出し、メッセージアプリを開き、彼とのやりとりを見る。

 

どうやら、メッセージを送ってから3分も経ってはいなかったようで。

 

 

自分のメッセージの横には「既読」の2文字。

 

しかし、彼からの返事はない。

 

 

やはり、通じない。

 

分かってはいた、通じないことくらい。

 

でも、それでも。

 

 

「うっ…うぅ…っ…」

 

 

こんなことなら、無理に接点なんて持とうと頑張らなくてよかったじゃないか。

 

寂しくて、悲しくて、溢れ出し。

 

結局、頑張ったって意味がない。ならいっその事、交流を深めるような真似はやめよう。

 

そう、思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと…見つけた…」

 

 

 

 

 

 

 

息が切れ切れになりながらも話す、彼の声を聞くまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瑞希side

 

 

 

 

 

「やっと…見つけた…」

 

 

「みー…ちゃん…?」

 

 

 

涙を流しながら、名前を呼ぶその姿は、あの頃と変わらなくて。

 

 

 

「やっぱり、ここだったんだね」

 

 

「やっぱり…?」

 

 

そうきき返す彼女。

言葉の意味が分からず、きょとんとした、その表情は、あの頃のまま。

 

やっと、思い出せた。

 

 

大切な、友達のことを。

 

 

 

大切な、思い出を。

 

 

 

 

息を整え、少しの緊張を抑えつつ、僕はあの約束を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま、のんちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果たす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…あぁ…っ…」

 

 

 

「うわああぁっ…あああぁっ…!」

 

 

 

「ごめんねのんちゃん、遅くなっちゃった。」

 

 

 

「うわああぁっ!…みーちゃぁんっ…!」

 

 

 

暗く静かな公園で

 

 

 

あの頃と何も変わっていなかった彼女と

 

 

 

大声で泣きさけぶ彼女と

 

 

 

 

強く、抱きしめあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おさまったかな?」

 

「グスッ…うん…ごめんね…」

 

「…長い間、大切なこと忘れてて、ごめん。」

 

「…うん。」

 

 

泣き止んだのんちゃんを撫でながら、僕は謝る。

 

 

「のんちゃんはずっと覚えててくれたのに、僕は忘れてたんだ。あの時の約束を。

 

あんな大切なことを、忘れるなんて。最低だよ、ほんと。

 

だから、気の済むまで怒ってよ。

 

許してもらえるなんて思ってないよ。でも、それで少しでものんちゃんが楽になれるのなら。」

 

 

大して身長差のないのんちゃんから、少し涙で濡れた目で、少しばかりの上目遣いで僕を見つめられ。

 

 

 

溜め込まれていた想いが、溢れ出した。

 

 

 

 

 

 

 

「 ずっと、寂しかった。悲しかった。

 

 

なんで私だけ覚えてるのって。

 

 

また会えるって言ってくれたのに。その言葉を信じてずっと待ってたのに。

 

 

記憶を失って、私のことまで忘れて。

 

 

私は辛い思いをしてたのに

 

 

一人称とか言葉遣いとか、全部変わっちゃってるし。

 

 

まるで別人かのようになっちゃって。

 

 

『東條先輩』なんて呼ばれた時、すごく辛かったんだよ?

 

 

そのくせ、穂乃果ちゃんのことは昔と変わらない呼び方だし。

 

 

絵里ちとはすぐに打ち解けるし。私は頑張って打ち解けたのに。

 

 

他のメンバーとも仲よさそうに話してるし。

 

 

どうして私だけ…こんなに辛い思いをしてるのに、みーちゃんは平然としているの?

 

 

いつもそう思ってた。

 

 

正直、会わなければよかった。そういうことを考えちゃうくらいには失望してたの。

 

 

ひどいよね、記憶失ってるって知ってるのに、そんな相手に失望しちゃうなんてね。」

 

 

 

 

 

「…ごめんねのんちゃ「だけどね!」…え?」

 

 

 

 

 

「いろいろと変わっちゃってたけど、根本的なところは何も変わってなかったの。

 

 

それに、ちゃんとこうやって、約束を果たしてくれた。

 

 

また、昔みたいに『のんちゃん』って呼んでくれた。

 

 

だから、もう、そんなことはもういいの。

 

 

それとね?私も言うの遅くなっちゃったけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うんっ、ほんとだよ!そしてまたあえたとき、ぼくはきみにこういってやるんだ

 

 

 

 

 

『ただいま、のんちゃん、って!』

 

 

 

 

 

『ふふふっ。じゃあわたしもまたあったら、こういってあげる!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おかえり、みーちゃんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「のん…ちゃん…っう…うわあぁっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束したあの頃の2人が

 

 

 

 

 

 

 

 

再会を果たした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は、僕が、泣きさけんだ。

 

 

大切なことさえ忘れていた僕を温かく包んでくれて

 

僕は忘れていたというのに、ずっと忘れずに思い続けてくれたその一途さに

 

うれしさと、懐かしさを感じて。

 

 

 

 

 

「ははっ…ごめんね、僕も泣いちゃったよ。」

 

「いいよそんなの。私も泣いちゃったんだから、おあいこだよっ。」

 

「のんちゃん、ほんとに昔から変わってないんだね、安心したよ。」

 

「みーちゃんもねっ。話し方も1人称も変わっちゃってたから、もう昔のみーちゃんはいないのかなっ思ってたけど、そんなことなかったっ。」

 

「うん、やっぱり僕には『俺』なんてのは似合わないのかもね…」

 

「ふふっ、なかなかに似合ってたで?」

 

「…変わってないって言ったけど、その似非関西弁だけは変わってるかも。」

 

「うちやって、日々進化してるんやで〜?」

 

「あはは…じゃあ、その進化していくところも、これからは見させてもらおうかなぁ。」

 

「任しときっ!…って、こんな風に変わったのは、絵里ちや穂乃果ちゃんのせいかなぁ」

 

「なんで2人のせいなの?」

 

「関西弁話すようになったんは、絵里ちと会話しよう思うて使い始めたのが始まりなんよ。」

 

「なるほどねぇ。」

 

「穂乃果ちゃんは、言わなくても分かるんとちゃうかな?」

 

「まぁ、あんな性格だしねぇ…」

 

「そうやでっ。それに、昔からみーちゃんと穂乃果ちゃんと3人でいたから、それが写ったんかもしれへんのよ。」

 

「よく穂乃果のところに和菓子食べに行ってたっけ。」

 

「うんっ。それに、この公園で遊んでたときも、いつも穂乃果ちゃんから元気もろうてたし。」

 

 

 

 

えっ…?

 

 

 

「…公園で、遊んでた…?」

 

「うん、3人でブランコ乗ったり滑り台すべったりしてたやん?」

 

 

 

 

…何かがおかしい。

 

 

 

「のんちゃん、それっていつ頃の話?」

 

「…えっ?もう、忘れんぼ屋さんなぁ。みーちゃんが、引っ越す少し前までずっと一緒に遊んでたやん?」

 

 

 

 

 

そんな記憶は、全くない。

 

まさか…

 

頭によぎる。

 

 

 

 

 

「ねぇ、のんちゃんと穂乃果と僕って、どんな関係だったの?」

 

 

「そんなん決まってるやんっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かけがえのない、大切な幼馴染、やでっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら僕は、まだ全てのことを思い出したわけではないようだ。

 

 




なんとも難しいです、こういう話書くのって。
思ったように書けていない部分もあって、まだまだ未熟な部分が目立ってますが、お許しくださいな。

もうちょっとだけ、こういう話が続きます。
予定だと、3話くらいなんですがねぇ…
なんとも言えません。



絵里ちゃんの誕生日が近くなってきてて、非常に焦っています。

期間にしてあと1週間ちょっと。
誕生日記念は絶対に書こうと思って投稿を始めたので、絶対にサボれない。

どういう風に書いたらいいのか、イマイチ掴めていません。
絵里ちゃん加入まで書いていないので、メンバーたちとの関係や話し方、そういうのが定まっていません。

加入まで書いてしまって、絵里ちゃんの誕生日記念を書くか。
今現状のまま進めて、絵里ちゃんの誕生日記念を、特別な形で書くか。

どうしようかなぁ…



今回の投稿を機に、タイトル横に話数を書いてみました。
これで少しは見やすくなるのかな…?

最初からしとけよって話なんですがね。

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