ハイスクールD×D 人間は現代兵器と戦法で勝る 作:BroBro
モチベーション低下からなんとか復活しました。待って頂いた方(いるかは不明)には申し訳ありませんでした。これからは更新ペース上げる気で頑張ります!
「ぬう・・・ッ!!」
とある山中。そこが爆発音と共に地面が割れ、風を切る轟音と共に木々が薙ぎ倒されていた。
その天変地異が巻き起こる中、小学生と見られる子供と、あからさまに人間とは違う異様な形をした生き物が争う。小さな手で掴んだ銃で一生懸命戦う少年は、手と思わしき物の鞭のような攻撃を躱しながら銃弾を見舞っていく。
それでも本体らしき物体から生える数多くの触手と思われる物は問答無用で少年に襲い掛かる。
(そろそろ限界だ・・・ッ!)
息が絶えてきた少年は切り株に隠れて息を整え、そしてまた攻撃を加える。
この流れ作業をこなす事数回、異形のものの動きが少しづつ遅くなっていった。間違いなく、弱って来ているのだ。
(いける!)
その様子をみた少年は触手を躱しながら異形のものに接近していく。最後の一撃を確実に本体に食らわせるために。
だが、少年の立っている地面が、小さく盛り上がった。
その瞬間を、少年は気付かない。
ドグシュッ!!
少年の体を、一つの触手が貫いた。
◇
ピピピピッ・・・ピピピピッ・・・バンッ!
「うるさい・・・」
けたたましい目覚ましの音を、目覚まし時計をぶっ叩く事によって止めた俺、晴心は現在進行形で眠気に襲われていた。昨日は忙しくて殆ど眠れなかった。最近昔の夢も見るようになったし、どうやら相当精神にきているようだ。
どちらにせよ、早く支度をせねば……今日からグレモリー達の修行が始まる。
「・・・着替えよ」
最近暑くてかなわん。冷や汗もかかずに寝汗をかくとはこれいかに。
寝巻きを脱ぎ、シャツを脱ぐ。寝巻きがあるってのはいいもんだなぁとつくづく感じる。山の中でテント張って夜襲を待ってた時はそんな物無かった。今の日本は平和でいい。
先日新しく買ったシャツを引き出しから取り出し、袖を通す。
しまった。
「ああ、また忘れる所だった」
サラシを巻いてなかった。苦しいけどサラシ巻かねば心が苦しくなる。これを巻くと体を動かし安くなるしな。全く、嫌な体になったものだ。改めて神を呪う。老体には優しくと言うが、神には別に良いよね。神に老体も何も無いのか?
「むぅ・・・」
苦しい。胸が圧迫される。何なのよもう・・・。最悪だよちくしょう。
「・・・っよし。頑張った頑張った」
何とかサラシを巻き終えてシャツを着る。個人的戦闘服であるジャージに身を包み、軽くストレッチをした。
現在朝の6:45分。いい時間だ。
地面に寝転がって体の筋肉を鍛える。いや、むしろ維持すると言ったほうが良いかもしれない。この時間が一番自分を感じられていい。昔の自分を忘れない為に肉を残す。最近過去を忘れがちだから余計に頑張らなくては・・・。
目的地への集合時間は8時。それまでに飯を食ったり色々しなければならない。1時間なんてすぐに終わる。一先ず、筋トレを終わらせる。
午前7:20分。筋トレ終了。
着替えた自分が嫌になる。汗かいた。もう最悪だよ。何故体を拭いた、数分前の俺よ。
まあ、仕方ないから乾くまで着ている事にする。筋トレ道具を片付けて1階へ降りる。下には親父と母ちゃんと黒歌が居るはずだ。
「ん、おはようハル」
「おはよう」
いつも通り椅子に座って新聞を読んでいる親父に朝の挨拶をする。母ちゃんは恐らくキッチンだろう。おはようは後だな。
問題は、ここにいない問題児。いつの間にか姉の身分に居座っていた黒歌だ。さて、どこに隠れているのかな?
ゾクッ
後ろか!
背後から邪念を感じ、俺は前にステップを踏んで邪念から離れる。
だがしかし
「あふぁ!?」
「晴心おはよう!」
一歩跳ぶでは物足りなかった。あの野郎はジャンプで飛びついて来て、俺の首へと手をかける。
「やめッおい!苦しいから!」
「まだまだだねぇ。もっと牛乳飲まなきゃダメだよ?」
「なぜ俺が大きくせなならん!それに牛乳は毎日飲んでる!ホルモン剤で頭をやられたのか?」
「ホルモン剤なんて飲んでないんですけど!?」
「元気な娘達をもって父さんは幸せだよ・・・」
「何故娘達?てか親父まで何言ってんの?つかいい加減俺から離れろ黒歌!」
・・・とまあ大体こんな調子で毎朝が始まる。飯を食うまでに何で疲れなければならないのか。親父や母親も軽いから困ったものだ。
一先ず、黒歌の頭を掴んで俺の前方に投げる。クルクルと空中で回転した黒歌は綺麗に着地し、ドヤ顔で俺を見る。
何を期待しているんだあの娘は。
午前8:00
学校に行くと称し、家を出た。勿論、黒歌と共にである。
家を出ると共に、黒歌の雰囲気が変わる。プライベートと仕事の区別をしっかり出来る人間は頼もしい。プライベートは問題だが。
「さて、私はこれから魔界に行ってくるよ。色々とやらなきゃいけない事もあるしね」
「了解。予定通り俺はグレモリーの所に行ってくる。情報は随時報告する。毎晩9時に裏山の第2仮設基地に行ってくれ」
「第2?何時もの仮設基地じゃないのかい?」
「ああ、あれは恐らく今日中に無くなるよ」
「ふ〜ん……まあ、一先ず第2の方で待ってるよ」
「ああ、宜しく頼む。あの連中にもよろしく言っておいてくれ」
「分かったよ。……ねぇ、晴心」
「ん?」
「白音を、よろしくね」
「……ああ、分かってる。だからもう行け」
軽く返事をして、黒歌はお隣さんの屋根の上へと飛ぶ。その後ろ姿を、俺は見えなくなるまで見送った。
「もう、家族を失いたくは無いからな」
柄にもなく小さな独り言を呟く。この世界に来て随分丸くなってしまったと自分でも驚いている。やはり生活環境は人を変えるようだ。あの時は酷かったしな……。
……いけないいけない。ついつい感傷に浸ってるしまったか。らしく無いな。これから向かうは一応戦場ではある。気を引き締めて行かなければ。
パンッと頬を叩く。気持ちをリセットした後、俺はグレモリー達がいるであろう山へと向かった。
◇
街の少し離れた所にある小規模の山。そこにはまだ街の人間が開拓を進めておらず、殆ど手付かずの状態になっている。
しかし、それは街の人間がそう思っているだけの事。実は裏で悪魔が小規模ながら開拓を行っており、山頂にシェアハウスの様な木造の建物が作られている。
それがグレモリー家の為だけに作られたと言うことを登山中の晴心達が知るのは、少し後になる。
「ぐおぉぉぉぉぉ!!」
さて、今晴心が何故この山を登っているのか。それはこの雄叫びを上げた少年、兵藤一誠とその仲間達の修行風景を監視……もとい観察する為である。
勿論その間晴心達は黙って見ているだけではない。これを機に晴心達もサバイバル生活で己を鍛え、ついでにグレモリー達に何かしらのアクションを起こしてみようと思っている。
強襲、襲撃、夜襲……様々な乱入方法を思いついては頭のメモに留める。そうして晴心とα、β小隊は退屈な山登りを過ごしていた。
因みに、晴心とその部隊は30キロの荷物を背負い、尚且つ防弾チョッキを着用しているため相当重い。にも関わらず彼らは息も乱さずに山をスイスイと登っていく。
「お、お前ら…それ本当に30キロあるのかよ……?」
そんな彼らに、息も絶え絶えで今にも倒れそうな一誠が問いかける。
「本当に30キロだ。この程度の斜面でこれぐらいの重さならいくらでも歩けるぞ」
その問いに晴心は爽やかな顔で答えた。本当の事を言っているだろうと直ぐに分かる顔で答えられた一誠は、様々な絶望感に大きく溜め息を吐いた。
一誠も大きなリュックを背負っている。約30キロ位のその荷物を持って山に登る彼はこの時点でバテているにも関わらず、同じ位の重さの荷物を背負った晴心はバテてるどころかα小隊と尻取りを始めている。
嫌でも、彼は自分の弱さを実感しているのた。
何処から見ても絶望している顔をした一誠。そんな一誠を見て流石に可哀想に思ったからなのか、晴心が言葉を紡いだ。
「毎日の鍛錬のレベルが違うんだ。超えられなくても仕方ないさ」
一誠は毎朝長時間のランニングをし、リアスを背中に乗せたまま腕立てを数100回やっている。それだけでも充分なのだが、晴心は朝の軽い筋トレに加え、夜の過剰なまでの運動とトレーニングによって日々鍛えられていた。
身体が人間である晴心は、悪魔とは違い魔法陣による移動が出来ない。その為、はぐれ悪魔を殺す時は徒歩だし、殺す時も常に状況を把握して最善の方法で殺さなくてはならない。そんな日々を約3年、攻撃対象を悪魔に変更する前からだと約10年不利な戦闘を続けている彼は、身体能力と共に状況把握力と空間認識力、危機察知能力が常人よりも高くなっていたるのだ。
日々の過ごし方も違えば、過酷な日々を過ごしてきた時間も違う。経験と努力は、晴心が圧倒的に上回っている。そんな人間に、たった十数日鍛えただけの新米悪魔が勝る訳がない。
一誠とアーシア以外の者達はスイスイと山を登っていった。
「……お先に」
一誠の横を通った小猫が一言つぶやき、苦もなく彼の横を通り過ぎていった。
「うおりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
瞬間、一誠が雄叫びを上げながら山を猛スピードで駆け上がっていく。
男には退けない物があるのだ。少女、しかも自分より年下の子より劣っているなど、あってはならない。根性で、一誠は山を駆け登る。
「若いですね」
「ああ、ああ言う若者は将来必ず報われる。これからが楽しみな人材だな」
遅れている形になってしまった晴心に、α1が羨ましそうに声を掛けた。それを簡単に答えて返す。
すると、α1の表情が一変し、晴心に耳打ちをする様な形で話し始めた。
「いいんですか?一応、我々『渦の団』にとって驚異と成りうる存在の筈です」
「俺達に連中の殺害命令は来ていない。今来ているのは『グレモリー家を探れ』と言う命令だけだ」
「ですが、危険な存在は早々に排除した方が……」
「まだ時期じゃない。連中が本当に人間に無害か確かめてからが先だ。それに、今裏でアイツらが情報操作をしてくれている。その苦労を無駄にする訳にもいくまい?」
「……心得ました」
「だが念のため、何時でも撃てる状態にはしてある。安心しろ」
「それなら良いのですが、ぬぐい去れぬ不安……取り越し苦労であって欲しい物ですな……」
「大丈夫だ。俺は自分の身も守れるし、お前達もいるしな」
ニコッと、晴心が笑った。
それと同時に、α1が小さく溜息を吐く。そして、少々呆れたように小さく晴心に微笑むと、敬礼をし、山登りを再開した。
数時間後、グレモリー家私有別荘着。
「着いたぁぁ〜」
ボテッと一誠が倒れる。息を切らし、過呼吸気味になっている一誠の横で、他の者達はいそいそと修行の支度をする。
そこから少し外れた所に、晴心達はいた。
「さて、俺達も始めるか。全員、整列!敬礼!」
右足を揃え、全隊員が一糸乱れぬ動きで敬礼する。α、β小隊全員が背負うバックにはそれぞれ必要な物が揃えられている。武器、弾薬、火薬、ナイフ、鉄糸、などなど、最低限の物を持っていた。
そんな男臭い連中に近づく愛らしい少女が1人。アーシアである。
「晴心さんは皆さんと一緒に修行しないんですか?」
「ん?」
アーシアが抱えていた物は、晴心が好きな食べ物(菓子パン)や、歯磨き道具のような物。どうやら生活品に疎い晴心の為に持ってきてくれた物らしい。
これには流石の晴心も困った。この一週間中晴心達はチーム分けをして自給自足の生活をしながら、別チームのフラッグを撃つと言うサバイバルをしようとしていたからだ。
だが、目の前の少女はわざわざ自分の荷物を重くしてまで晴心の為に様々な物を持ってきてくれたのだ。素直に嬉しいし、サバイバルするから必要ないと、バッサリ切り捨てるほど晴心は鬼では無い。
故に迷った。上目遣いで問うて来ている少女に、修行内容を打ち明けるかどうかを。約数秒間に渡って。
そして、答えをだした。
「……お、俺達はただ点呼をしていただけだから、別にどこかに行く訳じゃないぞ」
「そうだったんですか。あの、お邪魔でしたか?」
「いや、丁度終わった所だ。な?」
冷や汗をかきながら晴心は小隊に目をやる。晴心の眼光から色々と察した小隊員達は、仕方ないと肩を落とした。
「そうですよ。だから我々に心配は無用です」
「これから戻る所だったんだよ。気にするな」
隊長を庇う様に隊員達は話す。それと同時に、全員が思考した。
『隊長はあの手の攻めに弱い』と。
結局、晴心は別荘泊まりになり、サバイバルは小隊の面々のみで行う事になった。
因みに、サバイバルを始めた次の日に各チームのフラッグが鷹によって盗まれ、全員が目標が分からぬまま山を3日間さまよい続けたのはまた別の話である。
◇
-----3日後-----
『α1小隊、配置につきました』
『β小隊、配置につきました。待機します』
『了解。作戦通り、1600に行動開始。所要時間は1分。60秒の間に方をつけろ』
『『了解』』
『作戦開始まで残り30秒。相手さんに捕まるようなヘマはするなよ?』
『分かってますよ』
『……それでは、これより《グレモリー家強襲作戦》を実行する。狼煙を上げろ!』