ハイスクールD×D 人間は現代兵器と戦法で勝る   作:BroBro

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序章 旧校舎のディアボロス
駆逐する人間


 

 

 

「礼、ありがとうございました!」

 

「忘れ物するなよ」

 

 

制服を着た生徒の号令。退屈な時間が終わりを告げた。

 

現在俺、『王生 晴心(いくるみ そうしん)』は15歳の高校生だ。この駒王町の駒王学園は、結構頭のいい者が入る学園として有名である。

 

自慢じゃない。なんて言ったって俺は45年生きてきたのだ。今までの知識をフル活用すれば分からないものなど殆ど無い。

 

ん?一人称が違う?そりゃあ中学生で私なんて使ったら馬鹿にされるに決まっている。仕方ないが、一人称を俺にした方がやりやすいんだ。

 

 

転生してから早15年。随分と時間が経つのが早い気がするが、俺はこの間自分の能力を底上げする日々だった。俺の能力は兵器を何も無い所から出現させる。俺の能力で1度で生み出せる手持ち兵器は最大で3つ、地雷系兵器が5つ、固定砲台が1つだ。これ以上出したら俺はスタミナ切れで意識を失う。

 

具体的に言えば過呼吸になり、息が吸えなくなって一時的に気絶する訳だ。過呼吸の中気絶する事で体は自然に正常な呼吸が出来る様になっている。

 

まあそんな人外を相手にするにあたって心許ない状態ではあるが、俺からして見れば充分な状態だ。特に弾薬がバンダナを巻かずに無限に出てくるのは有り難い。まあ弾倉は取り替えなければいけないのだがな。

 

この能力は中1の時に、民間人を襲っていた羽根の付いた者を倒す際に用いた。一応その者は撃退した。実証試験は大成功に終わっている。

 

それから俺はずっと人間に害を加える者を撃退する仕事をしている。給料なんて無いが意味のある仕事だ。

 

今は午後の4時。奴らが活発化するのは夜の6時からだ。学校が終わって直ぐの俺にはやる事がない。仕方ないのでトボトボと家に帰宅する為に学校の校門を出ようと歩を進める。

 

 

『おいあれ見ろよ!』『え?リアス先輩じゃないかよ!?』『キャー先輩ー!』

 

 

突如校門近くから黄色い悲鳴が上がる。俺が下駄箱に上履きを入れ、校門を見てみると、そこには人だかりが出来ていた。その中心には燃えるように紅い髪をした生徒が歩いている。

 

 

「またか……」

 

 

その生徒の名は『リアス・グレモリー』。3年生で、この学園で類を見ない程の絶世の美女として学園の『二大お姉さま』として君臨している。

 

その美しさ故、周りには男女問わず人が集まるらしい。俺の悪友からの情報だ、間違っていないだろう。

 

毎日の様に校門の前に人だかりが出来る為、正直俺は迷惑している。

 

 

「早く帰って一眠りしたいのに……仕方ない。少し待つかな」

 

 

俺は学校の中に戻る。あの人だかりは一回出来るとなかなか消えない。外で待っていても面倒だろう。

 

だが、学校の中に戻っても俺に壁が立ちはだかった。

 

 

『イヤァァァァ!』『そんな…木場君と兵藤君が一緒に歩くなんて……』『汚れてしまうわ木場くん!』

 

 

今度はなんだ騒々しい。面倒極まりないが、確かめて見るとするか。

 

俺は完全な悲鳴が聞こえた所を確認する。そこには、二年生の先輩2人が一緒に歩いていた。1人は学園で12を争う程のイケメンと言われた男『木場佑斗』だ。その隣を歩いているのは学園一嫌われていると言っても過言では無いほどの変態男『兵藤一誠』。2人は旧校舎の方向に歩いていく。にしてもこの2人が一緒に歩いている姿はなかなか珍しいな。

 

兵藤一誠先輩は大のイケメン嫌いだ。そんな先輩が仇敵と一緒に居るだけでも有り得ない事だと言うのに……。

 

 

「どっちにしても此処は通れない」

 

 

2人を取り巻く女子生徒が一年教室への道を完璧に塞いでしまっている。これでは俺の教室へは行けそうに無いだろう。

 

面倒だ……面倒過ぎるぞこの学園!

 

 

「……どうしました?」

 

「うおっ!?」

 

 

唐突な背後からの声に俺は飛び上がってしまった。声の正体は大体察しがつくが、念のために背後に振り返る。

 

 

「なんだ小猫か……」

 

「……別に驚く事は無いと思いますけど」

 

「いきなり背後から声がかかったら誰でも驚くぞ」

 

 

首を若干下に向けないと顔を覗けない程背が小さいこの少女、この少女は『塔城小猫』と言う。高校生になった時に世話になったり世話したりと色々あった高校生活初めての友達だ。白髪に小学生の様な顔。この学園に潜むロリコンは子猫のファンクラブを作り、「可愛い!」と女子生徒からも人気が高い。加えて無言系女子としても注目されている様だ。

 

ロリコンの気持ちは分からん。

 

 

「……それで、どうかしたんですか?」

 

「いやあれがな。道を塞いじゃって困ってるんだ。俺が教室に行けない」

 

 

俺は道を塞いでいる女子生徒の群れを指さす。すると子猫は俺に呆れたようなジトッとした目を向けた。

 

 

「……だったら2階から行けば良いんじゃないですか?」

 

「………あぁ……そう言えばそうだな」

 

 

この学園は廊下の端に階段が設けられている。これは1階から3階まで続いており、2階を経由すれば反対側の階段へと行け、俺の教室に入れると言う訳だ。この設定を今まで忘れていた。

 

 

「手間を取らせた。済まなかったな」

 

「……本当に迷惑です」

 

「いや…はい、すいません……」

 

 

この子は嘘を付かないから心に響く。せめて本音くらい隠してくれないかな……。

 

 

「……それじゃあ、私はこれで」

 

 

それだけ言い、小猫は校門脇に存在する旧校舎へと歩いていった。

 

なんか精神的ダメージを受けた気がするが、取り敢えず教室に向かおう……あれ?今子猫は何処に行ったっけ?

 

 

「あれ?校門誰もいないじゃん!」

 

 

知らない内に校門前にはリアス先輩も野次馬共も誰も居なくなっていた。なんで気付かなかったんだろう……。

 

一先ず、俺はさっさと家に帰って一眠りする為に下駄箱に上履きを入れ、下履きを取り出す。

 

 

「あっ」

 

 

だが、下駄箱の淵に下履きが当たり、衝撃で俺の手から靴が離れて行ってしまった。

 

もう本当に面倒!と、嘆いても仕方ないのでイラつきながらも下履きに手を伸ばす。

 

だが、上履きエリアからではなかなか届かない位置に転がって行ってしまった為、手を伸ばしても届かない。

 

上履きも靴下も汚したくない俺は、この現状に苛立ちが頂点に立っして来ているのを感じた。

 

 

「あらあら、大丈夫ですか?」

 

 

そんな俺の靴が突然持ち上げられ、俺の前に優しく差し出される。この透き通る様な声は……。

 

 

「ああ、すいません。お手数をおかけしました朱乃先輩」

 

「そんなに改まらなくてもいいですわよ?」

 

 

目の前に居るのは黒髪でロングヘアーの女性『姫島朱乃』。学園の中で呼ばれている『二大お姉さま』の内の1人だ。その風格はお姉さまと呼ぶにふさわしい程の気品を感じさせる。とても温厚な3年生の先輩だ。この先輩にも良く野次馬は集るが、今回は下校時刻を結構過ぎていると言う事もあり、周りにそれらしき者はいない。因みにこの人のファンクラブも存在するらしい。

 

終始ニコニコと笑顔を絶やしていなかった姫島先輩は、俺に次は気おつける様にと一言言いながら去っていった。

 

 

「……今日は珍しい事ばかり起きるな」

 

 

こんなに有名人に出会う事もなかなか無い。既に1日が終わろうとしているが、もしかしたら今日は運が良いのかもしれない。

 

 

「案外今日の仕事は楽になるかも……」

 

 

俺は夜のお仕事(殺し)に少しの期待を持ち、学校の校門から家への帰路へついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校を出てから数十分、辺りは既に暗くなっているが、俺は何事も無く自分の家に着いた。

 

 

「ただいまー」

 

 

玄関を開け、家の中に居るであろう親に挨拶する。

 

 

「あら、お帰り〜」

 

 

廊下の奥から母親の声が聞こえた。俺はその返事を聞き、下履きを脱いでリビングへと向かう。

 

家のリビングはそれなりに広く、大き目のソファーが二つ程置いてある。その内の1つにパジャマ姿の男が座っていた。

 

 

「お、お帰りハル」

 

「ただいま親父。今日は少し早く帰って来たな」

 

「今日は仕事が早く終わったんだ。日ごろ頑張っている成果だねぇ」

 

 

少し生えた顎髭を撫でながらウンウンと頷くこの男は俺の親父だ。何時もは夜中の11時位まで帰って来ないのだが、今日は頑張った様だ。

 

因みに親父が言っていた「ハル」と言うのは俺の愛称見たいなものである。

 

 

「それはそうと、もうじき夕飯が出来る見たいだからお風呂入って来なさい」

 

「あいよ」

 

 

他の家はどうか知らんが、家は飯の前に必ず風呂に入る。

 

それから俺は風呂から上がり、飯を食べる等して3時間ほど時間を費やした。時刻は夜の8時だ。

 

 

「そろそろ行くか……」

 

 

俺の仕事の時間だ。

 

俺は毎日の様に人間を喰らう悪魔と言う化け物共を始末する為に外に出ている。親には夜風に当たってくると言えば納得するのでそこら辺の心配はいらなかった。

 

 

今日の敵はとある大型の館に潜んでいる悪魔だ。この悪魔は夜中に出歩いている人間を殺している。名は『バイザー』と言うらしい。

 

昨日偵察に行ってきて分かったが、バイザーは随分と馬鹿な様で、俺がバイザーの頭に石ころをぶん投げても気付きもしなかった。今日はこのマヌケ具合を使う事にしよう。

 

 

俺はバイザーが潜む民家の裏側に脚立を立て、屋根から中に入る。

 

民家中は少し大き目のホール見たいな場所があり、天井には骨組みが突き出ていた。まるで学校の体育館の様な場所だ。

 

俺はその鉄骨の上に腰をかけ、手にスナイパーライフル(バレットM82)を出現させる。この狙撃銃は俺の愛用の火器の内の一つだ。

 

体制を整え、狙撃の準備が完了する。その瞬間、地響きの様な揺れがホールに発生した。

 

 

「今日の人間も不味かったなぁー」

 

 

女の声。それと同時に闇から現れる上半身裸の女。そして現れる巨大で獣の様な下半身。

 

このいかにも人外なコイツが今日の目標のバイザーだ。1歩遅かったらしく、既に捕まった人間は全員喰われた様だった。

 

暗闇に慣れた目でよく見たら、ホールには大量の血が飛び散っている。あと、ここはどうやらホールではなく大聖堂の様な場所の様だ。

 

 

「でも今日捕まえた人間の顔は面白かったなぁ。やっぱり恐怖に引きつった人間を殺すのは最高に楽しいねぇwww」

 

 

草生やしやがって……今そのキタねぇ口を一生開かなくしてやる。

 

俺はライフルの銃口にサプレッサーを取り付け、バイザーの額に照準を合わせる。

 

ふぅ〜っと大きく息を吐く。

 

 

「まずは…1発……!」

 

 

ピシュン!

 

 

俺のバレットが鉛の弾を吐き出した。弾は吸い込まれる様にバイザーの眉間へと突撃していき、着弾した。

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁああぁ!!!」

 

 

バイザーが額を抑えてのたうち回る。あの1発で大概の奴は死ぬのだが、コイツは体が体なだけに相当タフなようだ。

 

だが、2発目は耐えられるかな?

 

 

ピシュンッ!

 

 

2発目の発射。この弾丸はのたうち回るバイザーの後頭部へと着弾した。

 

 

「------ッッ!!」

 

 

着弾から数秒、元気にのたうち回っていた悪魔たんは声にならない悲鳴を上げながらバイザーは動かなくなった。

 

俺はサーモグラフィカメラを取り出し、奴の体温が低下していくのを確認する。

 

これで今日の目標は駆逐完了。そう思い、俺はその場を後にしようとする。

 

そんな時だった。

 

 

『これは……』

 

『大公が言っていた、はぐれ悪魔バイザー?』

 

 

女の声が2つ聞こえた。その声に釣られるように俺は元いた位置に戻り声がした方向を見る。

 

 

「あの、部長、どういう事なんです?」

 

「分からないわ。でもこれは間違いなく私達が探していたはぐれ悪魔よ」

 

「でもそのはぐれ悪魔は既に倒されている…」

 

「恐らく先に誰かが来たのでしょう」

 

「……一体誰が?」

 

 

先ほど聞こえた声の他に新たに3つの声も聞こえた。それらの声は、全て今日聞いた事のある声だった。

 

 

「この声は……小猫、木場先輩、兵藤先輩、姫島先輩、グレモリー先輩……それにこの気配は、恐らく悪魔だ」

 

 

俺は3年間人類に害を加える悪魔を処理してきた。その為、人類と違う種族の気配は分かる。

 

目の前にいる俺の先輩達は間違いなく悪魔だ。だって背中にコウモリ見たいな黒い羽が生えてるし。

 

 

「……殺るか」

 

 

俺は連中がバイザーの増援だと考え、改めてライフルを向ける。

 

狙いは部長と呼ばれた者、『リアス・グレモリー』だ。例え学校の人気者であり、先輩であっても危険とされる者は排除しなければならない。

 

それが俺の親であっても、恋人であってもだ。

 

 

ふぅ〜……

 

 

呼吸を整え、より正確な狙撃を実現する為に行っている。これを行い、俺はリアス先輩の頭に標準を合わせた。

 

だが……

 

 

「なっ!!」

 

 

俺の視界いっぱいに誰かの足と思われる物が映った。その物体は鞭の様な起動で俺の真横から迫って来た。

 

反射的に俺は体を伏せる。

 

 

ドゴォォォオオン!!

 

 

俺の真上を通り抜けた足らしき物体は俺の真横の壁を粉砕した。

 

俺は即座に体制を整え、物体の正体に取り出したハンドガン(ベレッタM92)を向ける。

 

 

「………」

 

 

俺を攻撃してきたソイツは、俺に鋭い眼光を向けながら俺と同じ2階の床に立っていた。

 

ソイツは塔城小猫だ。信じられんが恐らく驚異的なジャンプ力で2階まで到達し、何らかの方法で俺の位置を特定し、攻撃を仕掛けてきたのだろう。

 

ここで正体を明かす訳には行かない。恐らくここから俺の撤退戦になるだろう。俺は顔を覆う黒いマスクを深くかぶり直す。

 

 

「……悪魔じゃないですね。堕天使でもない。あなたは誰ですか?」

 

「……………」

 

 

黙りを決め込む。

 

 

「……喋りませんか。なら---」

 

 

ダンッ!と言う破壊音と共に小猫が右手に拳を作りながら俺に駆け出してきた。

 

脅威的なスピード。30m位あった距離は一瞬で詰められた。

 

拳の位置から言って恐らく俺の顔面に狙いを付けているだろう。狙いも正確。当たったら下手したら死ぬ。

 

だからこそ甘い。

 

 

「……!?」

 

 

俺は顔面に飛んできた拳を払い、小猫の右手首と脇を掴む。そして、今持てる力を全て用いて一気に小猫をぶん投げる。

 

CQC(クローズ・クオーター・コンバット)と呼ばれるこの技は、米軍の時護身術として身につけられた格闘術だ。敵とされる人物が25m以内に居る場合に出来るこの格闘術は柔道、中国武術などを基礎にして生まれたカウンター技の様なものであり、火器が取り扱いずらい市街地等で対テロ武術として軍隊や警察が習っている。主にアメリカやヨーロッパで普及している武術だ。

 

この武術は相手の攻撃の勢いをそのままこちらの勢いにしてしまう。その為、接近戦やカウンター技では最強と噂されたりしている。

 

俺はコレを子猫にかけた。小猫は俺の足元に仰向けに倒れる。

 

 

カチャッ……

 

 

直ぐに俺はハンドガンを子猫の頭に向ける。人形を撃つのは初めてだが、相手が悪魔だと思えばどうということはない。

 

しかし、俺にはまだ邪魔者がいた。

 

 

「こっち---!!」

 

 

突如俺の前から聞こえた男の声。そして俺の目の前に迫る剣の刃。

 

 

「クッッ!」

 

 

俺は首元まで迫った刃を何とかイナバウアーの様に体を曲げながら躱す。

 

刃は俺の顔面スレスレを横切った。

 

 

「…向いてくれるかな?」

 

 

剣を振るってきた正体は木場佑斗先輩だった。木場先輩は俺に良く斬れそうな剣をむけてくる。

 

俺は木場先輩にハンドガンを向けた。

 

それが命取りだった。

 

 

ドゴン! ボキッ!

 

「ぐがっ!!」

 

 

俺の胸にとても強く、重い衝撃が走る。瞬間、俺は屋根を突き抜けて上空へと吹き飛ばされた。そして屋根の1部に勢いよく落っこちる。

 

 

「ガハッ……グッ…クソッ……ウゥ、ァ……!」

 

 

そう言えばまだ俺の下に小猫がいた事を忘れてた。ハンドガンが小猫から木場先輩に向けられたスキを付いて俺に蹴りを入れてきたのだろう。

 

体からヤバイ音がしたな……恐らく肋の1本か2本位折れているだろう。災難だ……。

 

天井したからまた大きな破壊音が聞こえる。恐らく俺を屋根ごと落とすつもりなのだろう。今の俺は体は動くが走れない。かけっこでは勝てないだろう。

 

 

「…クッ……仕方ない、奥の手を使うか…」

 

 

コレを使うとゴッソリと体力が削られるからあまり使いたく無かったんだが……仕方ないか。

 

俺は目の前に青白いウィンドウの様な物を出現させる。そこにはここら一体のマップが表示され、タッチスクリーン式になっていた。

 

俺はその画面の側面にある『support』のボタンを押し、俺がいる教会にスライドさせる。

 

 

「時間稼ぎを頼むぞ、『AH-1』……グゥ!!」

 

 

グンと俺の体が重くなる。それと同時に息切れも激しくなった。

 

確か俺の脚立は南側に置いたはずだ。俺は匍匐前進で前に進む。下からの音が大きくなる。そろそろ屋根が落ちるだろう。その前に早く行かなければ…。

 

 

BataBataBataBataBataBataBata……

 

 

遠くから音が聞こえる。

 

 

BataBataBataBataBataBataBataBataBataBataBataBata--!

 

 

音は次第に大きくなり、上空にその音の正体が現れた。

 

 

BataBataBataBataBata!!

 

 

それは、1機のヘリコプターだった。

 

AH-1、通称『コブラ』は、アメリカ軍が取り扱う戦闘ヘリだ。世界初の戦闘ヘリであるコブラは、機首下に機関砲を搭載している。

 

いま俺の目の前にいるこの機体は『AH-1W』またの名をスーパーコブラと言い、機関砲以外にも対戦車ミサイルや空対空ミサイルなどバリエーションを豊富にしてある。

 

この機体は一応無人であり、俺が指摘した場所にいるあらゆる生物に攻撃する。聞けば頼もしく思えるが、とある欠点がある。

 

それは見境なく攻撃するという事だ。例え一般人であっても生物と見なしたからには攻撃する為、コイツは市街地では使えない。

 

だからこそ街から外れたここでなら出せる。俺にとっては最強の即戦力だ。

 

 

ドガガガガガガガガッッ!!

 

 

コブラが教会の中に機関砲をぶちまける。コイツが気を引いている今のうちだ。

 

脚立を使って屋根から降りる。

 

後方から爆発音が響く中、俺は何とか戦線を離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ……!」

 

 

口の中に鉄の味が広がる。どうやら肋骨と一緒に内蔵をやられたようだ。

 

このままじゃまずい。出血多量か、ショック死も有りうる。まさかここまでダメージを食らう一夜になるとは思わなかった……。

 

 

「うぐ……グオァ………」

 

 

足の力が消えた。また口から血の塊を吐き出す。

 

街の真ん中。そこで俺は血を撒き散らしながら地に膝をつく。

 

視界が暗む。前が見えにくい。そろそろ死へのカウントダウンを始めなくてはならないかもしれない。

 

 

(こんな所で………)

 

 

まだ神の所に行くには早い。そう思っていても思考がうまく働かない。

 

視界の光景が闇に染まった。それと同時に体を動かす体力すらなくなっていく。所詮体は人間のスペック。死ぬ時は早いものだ。

 

 

(終わった……)

 

 

地に背中を預け、仰向けに倒れる。

 

 

『---!-----だい----ぶ-ーですか---!---?』

 

 

どうやら死ぬ前には聞き覚えのない女の幻聴が聞こえるらしい。まあ、今気にしても何も変わらないだろう。

 

真っ暗な空を眺めながら、俺の意識は闇に消えた。

 




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