ハイスクールD×D 人間は現代兵器と戦法で勝る 作:BroBro
やっぱり眠い中で書くんじゃ無かった……。
「ふぁ〜……」
日射しが眩しい窓際の席。そこで俺、晴心は大きな欠伸をした。
今日も天気が良く、平和な1日である。
「おい晴心!」
「んあ……?」
いきなり俺に大きな声が飛んでくる。声の正体は黒板の前に立っている先生だ。
そりゃあ自分の歴史の授業中に面白く無さそうに欠伸なんて欠かれたら怒鳴りもするだろう。
「晴心、ここ聞いていなかっただろ!この部分を言ってみろ!」
今の授業は第二次世界大戦中の歴史を学んでいるらしい。今まで全く聞いていなかった……。
黒板に書いてある物から察するに、どうやら1942年の1月〜3月までの出来事を言うようだ。普通の授業ではこんな所はやらないだろう。
でもまぁ、俺に世界大戦の事を聞くとは、ナンセンスだな!!
「1月1日、連合国共同宣言調印。
1月2日、日本マニラを占領。
1月8日、連合国軍がタイに攻撃。
1月16日、イギリスがMF3作戦を開始。
1月18日、ホルムの戦いが勃発。
1月19日、ファン・イムホフ号事件が発覚。
1月20日、ユダヤ人絶滅に関する会議が開催。
1月24日、バリクパパン沖海戦が開始。
1月27日、エンドウ沖海戦が開始。
1月31日、エチオピアが独立。
2月1日……」
この後、俺は3月までの年表を全て言って見た。恐らく誰もここまでの出来事は覚えていないだろう。実際、生徒がドン引きしている。先生に至ってはポカンとしている。
まああの時代を生きてきた俺にとっては、造作もない事だがな。
「……これでいいですか?」
「あ、あぁ。手間をかけたな………」
そう言って先生は黒板にチョークをつけた。その姿を見てか、生徒の数人がクスクスと笑っているが、俺にとってそんな事はどうでも良い。
昨日は疲れたし、もう少し寝よう。
放課後、俺は今までいた公舎とは別の孤立した公舎、通称『旧校舎』へと向かった。
ここが俺の部室と言う事になるのだろうか、どっちにしても俺はこの旧校舎の《オカルト研究部》と呼ばれる所に行く義務がある。
旧校舎の入口から一番奥の扉。そこがオカルト研究部の部室だ。
俺はオカケンの扉をガラガラと開ける。
「ご苦労様です、中佐」
「堅苦しいのは良いって……」
「あ、そうでした」
オカケンの中には俺の新しい仲間のα小隊の面々が立っていた。因みに中佐というのは生前(?)の俺の階級である。正直隊長と呼ばれるよりこっちの方がいい。
α小隊はそれぞれ好みの私服を着て、武装解除している。
俺は小隊長であるα1にとある事を聞いた。
「それで、連中は来ているのか?」
「ええ、部長さんならそこのシャワー室にいますよ」
「他は?」
「今の所は。中佐は早く来すぎたんですよ」
「あぁそうか…」
今まで気付かなかったが、部室の隅にあるシャワー室から水が滴る音が聞こえる。
にしても部室にシャワーがあるとは……『凄いよ!マ〇ルさん!』のセクシーコマンド〇部の部室見たいだな。
でもあの部室と違う所は、部室にしては中が異様に広く、壁や床に魔法陣の様な物がビッシリと書いてある所だろうか。
傍から見れば気味が悪いが、連中から見れば心地いいのだろうな。
キュッ……
そんなどうでも良い様な考察をしている時だった。蛇口を閉める音と共にシャワー室から流れて来ていた水の音がピタリと止まった。
「あら、もう来ていたのね。こんにちは」
「こんにちは。今日も部活の様子を見せて貰うぞ」
「ええ、気の済むまでどうぞ」
シャワー室から出てきたのは、我が校のアイドルでありマドンナでもあり、悪魔でもある、リアス・グレモリーだ。
この人(?)がこの部活の部長。つまり、この部活は悪魔の部活なのだ。
ガラガラッ!
突然、俺の背後の扉が開いた。
「あ、今日も来たのかよ!」
「そりゃ来るさ。様々な事に念の為として動くのが俺の性分なんでね」
「やっぱり、昨日の僕達の行動では満足しなかったかな?」
「当たり前だ。一回や二回では俺は引かん」
「……しつこい」
「そこ!ボソッと呟いた様だけど聞こえてるから!結構胸に来るから止めて!」
部室に入ってきたのは木場先輩と兵藤先輩、そして的確に俺の心を抉ってくる小猫だった。後ろには「あらあら」と言いながら姫島先輩が俺達の会話を見守っている。
勿論、全員悪魔である。
「いや〜、中佐が楽しそうで何よりですねぇ」
「これが青春と言う奴か……」
「今からでも遅くないだろ!俺達も青春を謳歌するぞ!」
「止めとけ。俺達の外見は既に20〜50歳に設定されている。今頃青春なんて出来るわけが無い」
「そうかてぇ事言うなよ〜」
「もうダメだぁ……俺達は青春を送れないんだぁ……」
俺達の会話する光景を見ていたα小隊の面々が色々と言い合っている。
なんか……俺のせいでごめんね。
「あ、皆さん、こんにちは!」
いきなり、兵藤先輩たちの後ろから元気の良い声が聞こえた。先輩達はその声の正体に向かって昼の挨拶をする。
その人物が、俺の前に飛び出して来た。
「よ、アーシア」
「こんにちは!晴心さん」
今日もアーシアは元気な様だ。
◇
二日前。
戦闘を終えた俺は兵藤先輩達の所に向かった。まだアーシアは生きている。そう信じながら。
仲間に肩を借りながら地下を出る。大聖堂の端、そこに兵藤先輩はいた。
兵藤先輩の前には、動く気配の無い横になったアーシアが眠っていた。
アーシアは妙に穏やかな表情で眠っていた。何か、死ぬ前にいい事でもあったのだろうか。俺はこんなに穏やかな表情の死体を見た事が無かったから、その答えは分からなかった。
俺は死体となったアーシアに戦死者用の布を被せた。俺の周りにいるα小隊も目を瞑り、手を合わせたり自分の体に指で十字架を描いたりしている。
俺もアーシアだったものに黙祷し、木製の長椅子に座って泣いてる兵藤先輩の元に行く。
「済まない。間に合わなかった」
返事は無い。先輩は顔を伏せ、微動打にしなかった。
これ以上ここにいる意味は無い。そう判断した俺は兵藤先輩の前から引こうとした。
「あいつが……」
だが、兵藤先輩が何かを俺に向かって呟いた。
俺はその声の続きを聞くべく、兵藤先輩に向き直る。
「あいつが、アーシアが……友達が出来たって言ってたんだ。俺と友達で良かったと……初めて、友達が二人も出来たって、凄い喜んでたよ……」
「……そうか。あいつは満足して逝ったんだな」
「……お前、なんだろ?アーシアのもう一人の友達は」
「俺は日本語を教えていただけに過ぎん。友達と言う関係を持った覚えは無いが、教え子としての関係を持っていた」
「教え子、か……」
「アイツにとっては、そうでは無かったのかもしれんがな」
兵藤先輩が顔を上げる。
相当泣いたのだろう、瞼が腫れ、目が少し赤くなっていた。
「アンタは、悲しくないのか?」
「‥…悲しくない訳が無い。教え子であろうと誰であろうと、命が失われると言う事は悲しい事だ」
「……悲しんでいる様には見えない」
「仲間の死を悲しんでいる様では、戦場で生き残れない。戦いの時は、自分の感情を押し殺さねばならん」
「………お前は、強いんだな」
「…弱いさ……」
仲間が粉々になっていく光景が、勝手に頭の中で再生される。
肉片が俺の体に付着する。戦友が、仲間が、友達が。さっきまで一緒に喋っていた奴等が一生話さなくなる悲しさ。
あんなに元気だったアーシアが、こんなに静かになる。死ぬとはそういう事だ。
俺と兵藤先輩の間に、沈黙の時間が流れる。
「イッセー」
突然、兵藤先輩に女の声がかかった。
俺は声のした方向を見ると、紅蓮の髪を流したリアスグレモリー先輩が立っていた。
「アンタは……」
「……貴方が私達を襲った、王生晴心君ね」
「何故知っている?」
「今そんな話はどうでも良いでしょ?」
「……はぐらかされるか。まぁいい、アンタらを襲った俺に何の様だ?殺すか?」
瞬間、お通夜状態だったα小隊がリアスグレモリー先輩に小銃を向ける。
それに合わせる様に、木場先輩や子猫も戦闘体制に入った。
この緊迫した状況に、イッセーは立ち上がり、リアス先輩に話をしようとする。
だが、そんな必要は恐らく無いだろう。
「別にそんな気は無いわ。貴方は私の大切な下僕を助けてくれたのだから」
「俺もこの場で争う気は無い。俺一人ならまだしも、俺の部下達に被害を出したくないからな」
「フフ、同じ上に立つ立場として一致した訳ね」
「お互い犠牲者は出したくないからな」
どうやら俺とリアス先輩の波長は似ている様だ。どこかの独裁者やアホな突撃主義者とは違い合理主義の様だ。まだ対話は可能だろう。
俺達の言葉を聞いたリアス先輩の下僕達と俺の部下のα小隊はそれぞれ戦闘体制を解く。
「それで、結局俺に何の様なんだ?」
「イッセーを守ってくれたそうね。ありがとう。貴方が居なかったら多分傷ついていたわ」
「俺はアーシアを助けるために出来るだけの戦力が欲しかっただけに過ぎない。存在に利用価値があるなら、まだ死なせる訳にもいかないと判断しただけだ。結局アーシアは救えなかったがな」
「それでも守ってくれた事には変わりないわ。それに、彼女はまだ生きるチャンスはあるの」
「「え?」」
俺は兵藤先輩と共に疑問の声を上げてしまった。
生きるチャンスがある?悪魔には死者蘇生の力もあると言うのか?まさかゾンビ化するとか言わないよな?
俺が考えていると、レイナーレを殺した地下から姫島先輩が出てきた。一人足りないと思ったらそんな所にいたのか。
「あった?」
「ええ、堕天使の亡骸も、神器も全てその場にありましたわ」
そう言って姫島先輩はリアス先輩に緑色に光る球体を差し出した。その球体は終始リアス先輩の手から数cm浮いていて、触れる事は無かった。
俺はその球体に見覚えがあった。
「そいつは……レイナーレがアーシアから取っていた神器だったか?」
「そうよ。この子の神器と私が持ってるこれで、この子はこれからも生きる事ができる」
そう言って先輩は真っ赤なチェスの駒の様な物を取り出した。俺はボードゲームが得意では無いが、確かチェスの駒だったはずだ。
多分だけど。
「部長、なんですかそれ?」
「これは貴方にも使ったイーヴィルピースよ。これと彼女の神器があれば、アーシアは生き返る事ができる」
どうやらイーヴィル?とか言うものを使うとアーシアが生き返るらしいが、怪しすぎるな。
何か見返りとかそう言うのは無いのか?
「変わりに、この子は悪魔になるわ」
「ほう……悪魔ってのは先輩達見たいな意思疎通が可能な人型なのか?それとも何時も人間を食らっている化物方なのか?」
「勿論、原型は残ったまま生き返るわ。意思もあるし、彼女の意思で逃げる事も出来る」
「ふむ………なら、いいか」
先輩が笑顔で頷く。
俺の認識では完全に化物となった悪魔が人間を襲い、交渉の余地も無い。先輩達は産まれて初めて見た人型の悪魔だ。人間を喰らわないと言う確信は出来ないが、まだ話し合う事は出来る事から、一応人型タイプの悪魔は安全と思っている。
だがもし、アーシアが復活した瞬間から暴れ出したら、俺とα小隊が2度目の死を体験してもらう事になる。
出来る事ならそれは避けたい。それに生きたいと言うのは本人も望んでいるはずだ。
先輩は俺の地味な承諾の様な言葉を聞き、α2がアーシアにかけていた布を外す。それと同時に先輩が紅い駒をアーシアの胸に置いた。
「我、リアス・グレモリーの名において命ずる。汝、アーシア・アルジェントよ。いま再び我の下僕となるため、この地へ魂を帰還させ、悪魔となれ。汝、我が『僧侶』として、新たな生に歓喜せよ!」
先輩が長ったらしい言葉を発した瞬間、紅い駒とアーシアの神器がアーシアの体の中に入って行った。
目眩と眠気を抑えながら、最後まで俺は状況を見守る。
早く病院に行かなくちゃ行けないのに何やってんだ俺は……。これが終わったら直ぐに病院に行こう。じゃないとそろそろ俺が死ぬ。
そんな事を虚ろに考えている時、今まで閉じていたアーシアの瞼がゆっくりと開いた。
「あれ?」
聞きなれた声が聞こえる。俺が敵対する悪魔になってしまったが、まあ結果オーライか。
妙に安心した俺は、無意識に目の前が黒くなっている事に気づかなかった。
「隊長!」
暗い視界の中でα小隊の声が聞こえるが、何分体が動かない。
うつ伏せで倒れたらしい俺の体に、妙に暖かい液体が体に触れた。恐らく緊急で使った止血剤の効果が切れたのだろう。
まあ、いい物も見れたし、多分死ぬ事はないと思うし、俺は少し寝ようかな。後はα小隊に任せよう。
俺は軽い気持ちで眠気に負けた。
◇
俺はアーシアに何とか助けてもらい、次の日にこの部室で目が覚めた。
それから様々な説明をしたりされたりした後、俺は念のため先輩らの行動を監視している。
人間を襲う所を見たら、瞬時に撃てる様にだ。
まあ2日経った今でもそんな事は起きてない。だが何かしらの芝居と言う可能性もある為、こうして毎日この部室に通っている。
「そう言えば中佐殿はどのような死に方をされたのですか?」
「面白い死に方じゃなかったな。まあ、色々あったって事で勘弁してくれ」
「そう言うα2はどんな死に方をしたのよ?」
「俺か?俺は味方のナパームに焼かれて死んだよ。座標ミスとか昔は良くあったさ」
「私は普通に敵の弾に撃たれて死にましてね」
「俺は崖から落ちた」
「俺は堕天使に俺のセイクリッド・ギアが危険だ。とか言う理由で槍に刺されて死んだぜ」
「は〜、その歳で殺されるとは大変だったんですねぇ。わかりますよ、その気持ち。私も少年兵として死にましたから」
「少年兵か、大変だったんだな。お前も」
「お前らなんで意気投合してんの?」
今回は死んだ事について語り合っているが、こんな感じで毎日アホな話をしている。
ちなみに、俺は自己紹介の時に先輩達に『昔の前世の記憶がある』と言った。
ここからは本当の話になるが、俺は元『第442連隊戦闘団』のメンバーだった。大佐が戦死してしまってから中佐の俺が戦闘団を率いて来たが、俺が隊長になってから1年後、戦争は終結した。
それだけしか俺は言っていない。
α小隊もこれに乗じて元所属軍等を話していた。既にこの世界になれてしまったのか、とても簡単に自己紹介を終わらせていた。
その為、俺達はこうして簡単に死因談義を語り合っている。
「それで部隊長の中尉が敵の偵察兵一人を追って行っちゃってさ〜。俺達も後に続くしか無いから追って行ったら敵に囲まれちゃって。味方部隊から孤立しちゃったんだよ」
「やっぱりベトナム戦争は恐ろしいねぇ」
「俺もヨーロッパ戦線では大変でさぁ。最初は白人部隊の弾除けとして投入されかけたりしたんだよ。ドイツ国防軍との戦闘はキツかったなぁ」
「あぁ、第442連隊戦闘団の初実戦ですか。確かあの時に初めて死傷者が出たんでしたっけ?」
「そうそう、初戦闘だった。前にいる味方が簡単に死んで行く姿を何度も見た」
俺達が下らない話をし合う。
「あらあら、苦労されたのですね」
「でもまさか第二時世界大戦を生きた人達の話を聴けるとは……人生生きて見なきゃ分からないね」
この会話を聞いている姫島先輩と木場先輩がそれぞれ思うがままの事を言う。苦労どころじゃ無かったけどな。
話し合える仲間が居るからこんな話が出来るが、本当だったら話すだけでもトラウマ物だが、共有し合うと言う事はとても大切な事のようだ。
「晴心さん」
急に、俺の隣から俺を呼ぶ声が聞こえた。
声のした方を向く。そこには、俺の顔をじっと見つめるアーシアがいた。
「晴心さん、辛かったんですね」
「……辛かったが、今は辛くない。もうここまで来るといい思い出だよ」
「そうですよ。思い返すだけでも腹が立つけど、今はそれなりに楽しいですしね」
「昔の私達じゃあ考えられないですよ。このつかの間の平和すら、私達にはありませんでしたから」
α1と5の言葉を聞き、他のα小隊の面々が頷く。コイツらと俺は、今が良ければそれでいいと言う連中だ。
この平和も全力で楽しむのが俺達だ。
だから、過去の話も笑いながら話す事が出来る。
「そろそろいいかしら?」
俺達の会話を遮る様に、リアス先輩が声を上げた。
なんだなんだとリアス先輩の方を向く俺達。たった2日でチームワークも良くなったようだ。
「仕事の時間よ。今日も出来るだけ多くの人達と契約してきなさい」
「分かりました、部長!」
わらわらと解散していく悪魔達。
「それじゃあ俺達も仕事するか」
「「「「「「了解!」」」」」」
α小隊が悪魔達一人一人の所に付いていく。
部室に残ったのは俺だけ。机に置いてあるお茶を飲み干し、俺は部室の出口に向かって歩く。
「それじゃあ、俺も行きますかね」
今回のターゲットはゲシュベルと言うはぐれ悪魔だ。防御力はそれほどでも無い為、ライフル一発で終わらせる事が出来るだろう。
今回は早く終わりそうだ。
俺は部室の電気を消し、扉を閉めた。
意味がわかんねえええええ!!(ヤケクソ)