風をうまく受けて飛び続けたるーちゃんは、りーねー共々自宅の近くまで飛んできていました。学校からは大きく離れてしまっていますがるーちゃんなので仕方ありません。
せっかくだから自宅を見ておこうということで、未だに意識の戻らないりーねーを引き摺って自宅へ向かいます。さっさと起きないのが悪いのです。
こんな事態になってからけっこう日も経っているので家に両親がいることは多分無いでしょうが、もしかしたらということもあります。るーちゃんは徐々に早歩きになり、りーねーへのダメージが徐々に上昇していきます。無論気にしません。さっさと起きないのが悪いのです。
自宅前まで来てみると、大量の死体が転がっていました。どうやら誰かがあいつらと戦ったようです。遺体は皆頭や首に切り傷を負っており、刃物を持った何者かが近くにいることがわかります。危険人物だと面倒なので、るーちゃんはさっさと自宅に入ることにしました。久方ぶりのただいまです。りーねーは無言の帰宅ですが、さっさと起きないのがわr――
案の定というか、なんというか、家の中には父上も母上もいらっしゃらないようでした。既にどこかに避難しているのか、あるいは・・・・・・。るーちゃんは考えることをやめました。どうせ判断材料になるものはほとんどないのだから、今は生きていると信じているべきだと考えたからです。便りが無いのは無事な証拠、るーちゃんは両親を信じます。
りーねーがまだ寝ていやがるため、るーちゃんは自分の部屋にいくことにしました。家の中にまではあいつらは入ってきていないようなので、まだベッドは使えるだろうと考えたようです。後のことはりーねーを寝かせてから考えるつもりのようです。
るーちゃんが自室のドアを開けると、小さな影が二つ、るーちゃん目掛けて飛び掛ってきました。首を狙った飛行する影の一撃は見事なスウェーで回避し、続くもう一体による胸への刺突は真っ向から蹴り返します。るーちゃん相手にパワー勝負などできようはずもなく、突いてきた人物は悲鳴をあげて部屋の奥へと転がっていきます。反射255心眼255近接戦闘255のるーちゃんに屋内での奇襲など通じません。
るーちゃんが転がっていった人影をよくよく見てみると、驚いたことにみくちゃんでした。どうやら校舎内で撥ね飛ばしたときには普通に生きていたようです。何でここにいるのかと聞いてみると「るーちゃんは何か起こるとわかってたみたいだったから、るーちゃんちにいれば助かるかもって思った」とのこと。そもそもよく生きてここまで来れたものだとるーちゃん感心です。
そうして話していると、さっき首を目掛けて飛んできた奴もばさばさと戻ってきました。その正体は大きな鳥で、足に刃物が括り付けてあります。こいつは若狭家で飼っていた(本人は長男であると主張している)ヨウムで、名前はラ・ネージュといいます(若狭悠里当事5歳命名)。自宅近辺の死体は彼がみくちゃんに刃物を括り付けてもらって大暴れしていた結果であったようです。みくちゃんとラ・ネージュは協力して家を守ったり食料を運び込んだりしながらるーちゃんの帰りを待っていたとのことでした。るーちゃんはラ・ネージュはとっくの昔に野生に帰っているものと思って計算に入れていなかったので、みくちゃん共々思わぬ収穫でした。
今後のプランを大まかに考えたるーちゃんは、まずみくちゃんに筆と硯を用意させると学校に残っている面々に宛てて明日には戻るという旨の手紙を書くと、ラ・ネージュの足に結び付けて学校まで運んでもらうことにしました。これで学校側はひとまず大丈夫でしょう。
るーちゃんはラ・ネージュを送り出すついでに食料を確保するため最寄のスーパーまで行ってきます。帰ってくる頃にはりーねーも起きているでしょう。
スーパーは食料を求めてやってくる
りーねーもちょうど起きてきたようですが、るーちゃんを見るとまた発射されるんじゃないかと警戒しているあたりまだるーちゃんのことを思い出してはいないようです。単に屋上から発射された恐怖が姉妹の絆を上回っている可能性もあるかもしれませんが。
食事を済ませた三人は学校まで移動する方法について話し合っていました。若狭家の車は父上様が乗っていったきりなので、今この家には車はありません。まずは車を調達しなければまた何日もかけて歩く羽目になりかねません。緊張が解けたのか眠ってしまったみくちゃんをベッドに放り込んだるーちゃんとりーねーは、みくちゃんが起きるまで休んで、起き次第動きそうな車を探して学校に戻るというプランで合意しました。
余った時間で少し仮眠をとることにした二人は、りーねーのベッドで並んで寝転んでいました(るーちゃんのベッドにはみくちゃんがお休み中)。しばらくころころしていると、りーねーがなにやら語り出しました。
「・・・私ね、妹がいたんだ」
目の前にいます。めっちゃころころしてます。
「るーちゃんっていうの・・・」
るーちゃんですよー。るーちゃんですよー。
るーちゃんのかなり露骨なアピールをスルーしながらりーねーは語り続けます。
「私、忘れてた・・・あの子のこと・・・・・・。今まで、ずっと・・・」
いや、だから目の前にいるんですってば。名前も見た目も何一つとして変わってないのに何故わからないのか、るーちゃん不思議でしかたありません。
「ひどいよね・・・お姉ちゃんなのに・・・・・・ずるいよね、自分だけ助かって・・・・・・」
るーちゃんは何言ってんだコイツと思っているのが一目でわかるような絶妙な表情をしながら話を聞いています。表現力255の無駄遣いです。
「ごめんね、るーちゃん・・・」
今の一言でるーちゃん確信しました。りーねーの中ではるーちゃんは既に死んだことになっているのです。既に死んでいる子がいるわけがないという心理的なフィルターがかかった結果るーちゃんを謎の幼女として認識していたようでした。勝手に殺されてたるーちゃんの実は結構すぐ切れる堪忍袋の尾が限界を迎えてぷちんといったようで。唐突に起き上がったるーちゃんはりーねーに情け無用のジャイアントスイングを敢行、部屋のドアの全壊と引き換えに見事りーねーを黙らせることに成功しました。るーちゃんはプロレスも大得意、255の技量が光ります。
りーねーが再び目を覚ましたとき、るーちゃんはちょうどドアの修理を終えたところでした。大工技能255のるーちゃん、その気になれば一晩で城でも築けます。ドアの修理くらいは造作もありません。一仕事終えました的な満足げな表情をしていますが、それがドアの修理のことなのか、りーねーを投げ飛ばしたことなのか、知るのは本人ばかりなりです。
「あれ・・・るーちゃん・・・?」
知りません。聞こえません。あーあー。
このりーねーは昔からるーちゃんの暴走の巻き添えで鍛えられているのでジャイアントスイング程度ならすぐ復活してきます。耐久力だけは100超えてます。
そのころの荷物持ち二人
「結局あのまま完全放置されてるから図書館に退避したけど、案外快適だね」
「ギギギギギギギ」
「・・・たまには漫画以外も読んだらどうだい?というかそもそも読めてるのか?」